BLEACH ―斬界の御厨子―   作:tunagi

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一護が死神となった翌日。

朔夜とルキアが、ついに直接顔を合わせます。


第2話 死神になった少年

 

翌朝。

 

「よう」

 

学校へ向かっていた黒崎一護は、電柱にもたれている少年を見つけて露骨に顔をしかめた。

 

「……何してんだ、お前」

 

「朝の散歩」

 

御門朔夜は平然と答えた。

 

「お前が?」

 

「健康的だろ」

 

「普段昼まで寝てる奴が言うな」

 

「偏見だ」

 

「事実だ!」

 

一護はため息をつく。

 

その横。

少し離れたところに、黒髪の少女がいた。

 

朽木ルキア。

 

昨夜、一護へ死神の力を譲渡した死神。

 

人間には見えないはずの状態で一護の後ろを歩いている。

 

そして――。

 

朔夜は普通にルキアを見た。

 

一秒。

 

二秒。

 

ルキアが足を止める。

 

朔夜も視線を逸らさない。

 

「……」

 

「……」

 

一護だけが首を傾げる。

 

「どうした?」

 

朔夜は再び一護を見る。

 

「一護」

 

「ん?」

 

「昨日、何かあったか?」

 

「!」

 

一護の肩が跳ねた。

 

あまりにも分かりやすい。

 

朔夜は半眼になる。

 

「その反応で全部言ってるぞ」

 

「な、何もねぇ!」

 

「へえ」

 

「何だその目は!」

 

ルキアが険しい目で朔夜を観察している。

 

見えている。

 

間違いない。

 

しかし。

 

ただ霊が見える人間とも違う。

 

気配の読み方。

 

立ち方。

 

何より。

 

――隙がない。

 

放課後。

 

ルキアは一護を捕まえた。

 

『あの男は何者だ』

 

「朔夜?」

 

『そうだ』

 

「ただの昔からの知り合いだよ」

 

『ただの人間ではない』

 

「まあ……変な奴ではあるけど」

 

『そういう意味ではない!』

 

そして夕方。

 

虚が出現した。

 

一護は死神となり現場へ向かう。

 

まだ戦い方など分からない。

 

刀の振り方も荒い。

 

ただ、圧倒的な霊力と本能だけで虚へ立ち向かっていく。

 

その戦いを。

 

近くの電柱の上から、一人の少年が眺めていた。

 

「脇が甘い」

 

「!?」

 

一護が振り返る。

 

「朔夜!?」

 

「前見ろ」

 

「うおっ!?」

 

虚の爪をギリギリで回避する。

 

「てめぇ、なんで俺が見えて――!」

 

「質問は後」

 

「じゃあ手伝え!」

 

朔夜は腕を組む。

 

「嫌だ」

 

「何でだよ!」

 

「お前の仕事だから」

 

「この野郎!」

 

怒鳴りながらも一護は戦う。

 

一撃。

 

二撃。

 

粗い。

 

無駄も多い。

 

だが恐ろしく成長が速い。

 

戦闘の中で、自分の間合いを掴み始めている。

 

やがて、一護の斬撃が虚を断ち切った。

 

霊子となって消えていく。

 

「……っしゃ!」

 

朔夜は小さく頷く。

 

「悪くない」

 

一護が振り返った。

 

「お前!」

 

「ん?」

 

「説明しろ!」

 

「何を?」

 

「全部だ!」

 

そこへ。

 

「騒がしい奴じゃのう」

 

黒猫が塀へ飛び乗った。

 

一護が固まる。

 

「……猫?」

 

「誰が猫じゃ」

 

「しゃべった!?」

 

一護が絶叫する。

 

朔夜は額を押さえた。

 

「そこに一番驚くのかよ」

 

夜一は一護を観察する。

 

「なるほど」

 

「何だよ」

 

「おぬしが黒崎一護か」

 

「俺を知ってんのか?」

 

「朔夜から時々聞いておる」

 

「余計なこと言ってないだろうな」

 

「幼い頃、川へ落ちて大泣きした話とか」

 

「夜一さん!」

 

「お前そんなこと話してんのか!?」

 

「違う! それ俺じゃない!」

 

その横で。

 

ルキアだけは笑っていなかった。

 

この黒猫。

 

そして御門朔夜。

 

明らかに何かがおかしい。

 

「貴様ら……何者だ?」

 

ルキアの声。

 

朔夜は彼女を見る。

 

しばらく黙った後。

 

「俺?」

 

腰の刀へ軽く触れる。

 

「今はただの居候だよ」

 

ルキアの目が見開かれた。

 

その仕草。

 

その刀。

 

間違えるはずがない。

 

「まさか……死神?」

 

朔夜は笑った。

 

「さてね」

 

答えを残さず。

 

その場から消える。

 

一護には。

 

その移動すら見えなかった。

 

「……消えた?」

 

夜一が笑う。

 

「まだまだじゃな、一護」

 

その日から、一護はようやく気づき始めた。

 

昔から隣にいた御門朔夜という少年が。

 

自分が思っていた以上に――。

 

得体の知れない存在であることに。




朔夜が死神らしい存在だと、一護とルキアにも少しずつ知られ始めました。

ただし本人はまだ、自分の過去を語る気はないようです。
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