BLEACH ―斬界の御厨子―   作:tunagi

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今回は石田雨竜。

死神と滅却師、そしてその騒動を少し離れたところから見ている朔夜です。


第3話 滅却師

 

黒崎一護と石田雨竜。

 

死神。

 

滅却師。

 

互いの事情を知った二人が、素直に仲良くなれるはずもなかった。

 

ましてや。

 

「どちらが多く虚を倒せるか勝負しよう」

 

などという話になれば。

 

「馬鹿だろ」

 

浦原商店。

 

朔夜は真顔で言った。

 

浦原は楽しそうに扇子を振っている。

 

「若いっていいですねぇ」

 

「虚を大量に呼び寄せる餌を使うのが青春なら、俺は青春なんていらない」

 

夜一も呆れた声を漏らす。

 

「滅却師の小僧も随分と思い切ったことをする」

 

空座町の各地。

 

次々と虚の気配が現れ始める。

 

朔夜は立ち上がった。

 

「行ってくる」

 

「勝負に参加します?」

 

「したら可哀想だろ」

 

「誰が?」

 

「二人が」

 

言うなり。

 

朔夜の姿が消えた。

 

空座町。

 

一護と石田が競うように虚を倒している。

 

だが。

 

呼び寄せられた虚すべてが、都合よく二人の前へ現れるわけではない。

 

住宅街。

 

小さな子供を追う虚。

 

その眼前へ。

 

朔夜が降り立った。

 

「悪い」

 

虚が咆哮する。

 

「そっちは立入禁止だ」

 

斬魄刀を抜かない。

 

ただ。

 

指先を軽く動かした。

 

瞬間。

 

虚の仮面へ細い線が走った。

 

次の瞬間。

 

その巨体が真っ二つに割れる。

 

「一体」

 

霊子へ変わるのを確認する前に姿を消す。

 

別の場所。

 

「二体」

 

さらに。

「三体」

「四体」

 

戦いと呼べるものですらない。

 

ただ処理している。

 

そんな朔夜を、夜一が屋根の上から眺めていた。

 

「相変わらず妙な斬り方をする」

 

着地した朔夜が見上げる。

 

「刀抜くほどじゃないからな」

 

「そういう問題ではない」

 

夜一の金色の瞳が細くなる。

 

「精度がまた上がったな」

 

「夜一さんに殺されかけた回数のおかげだよ」

 

「人聞きが悪いのう」

 

その時。

 

空が――裂けた。

 

二人が同時に上を見る。

 

巨大な亀裂。

 

そして。

 

そこから覗く。

 

白い仮面。

 

巨大な身体。

 

「……メノスグランデ」

 

朔夜の声から軽さが消えた。

 

腰の斬魄刀へ手を掛ける。

 

「出るか?」

 

夜一が尋ねる。

 

朔夜は。

 

大虚の前に立つ一護を見た。

 

あまりにも小さい。

 

経験もない。

 

戦い方も知らない。

 

それでも。

 

退く気配がなかった。

 

「……」

 

夜一が言う。

 

「見ておれ」

 

「死んだら?」

 

「その前に動けばよい」

 

朔夜の手は柄から離れない。

 

いつでも斬れる。

 

いつでも一護を救える。

 

だが。

 

一護は自ら前へ出た。

 

巨大な攻撃を受け止め。

 

己の霊圧を斬魄刀へ叩き込み。

 

振り抜く。

 

轟音。

 

大虚が押し戻されていく。

 

朔夜は。

 

ゆっくりと柄から手を離した。

 

「……やっぱり化け物だな、あいつ」

 

夜一が横を見る。

 

「おぬしが言うのか?」

 

「俺は常識人だよ」

 

「今まで聞いた中で一番面白い冗談じゃ」

 

戦いが終わり。

 

一護と石田は互いに疲れ果てながらも、少しだけ相手を見る目を変えていた。

 

朔夜は二人の前へ降り立つ。

 

「終わった?」

 

「朔夜!」

 

一護が睨む。

 

「どこ行ってやがった!」

 

「町中に散った虚の掃除」

 

石田が眉を寄せる。

 

「掃除?」

 

「君たちの勝負に関係ないところで、人が死んだら寝覚めが悪いから」

 

石田の表情が固まった。

 

自分が撒いた餌。

 

その結果。

 

危険に晒された者がいた。

 

「……」

 

朔夜は責めなかった。

 

ただ。

 

「力を使うなら」

 

静かに言う。

 

「自分の手が届かないところで何が起きるかまで考えた方がいい」

 

石田は答えない。

 

朔夜はそれ以上何も言わなかった。

 

一護が頭を掻く。

 

「……なあ」

 

「何」

 

「お前、やっぱ強いのか?」

 

「そこそこ」

 

夜一が遠くから笑う。

 

朔夜は聞かなかったことにした。




石田登場回でした。

朔夜は二人の勝負に直接混ざるのではなく、二人では守り切れない場所を処理する役割にしています。

次回はチャドが中心です。
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