「到達予測は」
焼灼室の床に座り込んだまま、俺は訊いた。
七瀬は、耳を押さえたまま、目を閉じていた。唇が震えている。
「先頭は……三時間。横浜のほうから来てる群れが、一番早い。東京からのは、六時間くらい。その後ろにも、ずっと続いてる。埼玉。千葉。群馬のほうからも」
「総数は」
「分かんない。分かんないよ」七瀬は、首を振った。「音が多すぎて、一つ一つ数えられない。海みたい。関東全部が、一つの海になって、こっちに流れてきてる」
誰も、何も言わなかった。
大河原が、押さえつけていた氷室から、ゆっくりと力を抜いた。氷室は床に手をついて体を起こし、ずれた眼鏡を直した。
「推定で、四百万から六百万体です」
氷室は言った。いつもの、柔らかい声で。
「関東の感染死亡者数から逆算した数字です。そのすべてが、今、ここを目指しています」
「あんたのせいだろ」柏木が、低く言った。
「否定はしません」氷室は、柏木を見もしなかった。「けれど、原因が誰であれ、結果は同じです。六時間後、この駐屯地は、数百万の再起動個体に埋め尽くされる。そして、その流れは止まらない。中心がここにある限り」
氷室は、俺を見た。
「久遠さん。選択肢は、二つしかありません」
「……言ってみろ」
「一つ。逃げること。あなたがどこへ逃げても、網はあなたを追います。数百万の群れが、あなたの後を追って、関東中を移動する。その進路上にある避難所は、すべて飲み込まれる。三百万の生存者の、大半が死にます」
「もう一つは」
「中心になることです」
氷室は、静かに言った。
「無音域に入り、網のすべてを吸い込む。数百万の再起動個体を、一度に止める。榊先生も、その仮説は立てていたでしょう。理論上は、可能です」
「その代わり」
「その代わり、あなたは完全に焼灼します。自我は、残りません。錆びが九割の今、数百万の信号を吸い込めば、残りの一割は、一瞬で消える」
氷室は、眼鏡の奥から、真っ直ぐに俺を見た。
「あなた一人と、三百万人。数字の問題です、久遠さん。今度こそ、明らかでしょう」
*
「――ふざけないで」
詩織の声だった。
詩織は、俺の頭を膝に乗せたまま、氷室を睨みつけていた。銀の輪が、怒りで震えるように光っていた。
「おにいを、数字にしないで」
「詩織さん。あなたの気持ちは――」
「分かってない。分かってないよ、あなたは」
詩織の手が、俺の肩を、ぎゅっと掴んだ。
「おにいはね、四年前、お父さんとお母さんが死んだとき、大学やめたの。私を育てるために。自分の夢、全部捨てて、宅配のバイト始めて。毎日、朝から晩まで、トラック乗って。それでも、私の弁当、毎朝作ってくれて。焼き鮭の日は、ちょっと焦げてて」
詩織の声が、震えた。
「そういう人なの。数字じゃないの」
氷室は、何も言わなかった。
焼灼室の中が、静かになった。
遠くで、地鳴りが、少しずつ大きくなっていた。
*
「……一つ、訊きたい」
鷹宮が、壁にもたれたまま、口を開いた。
半分白くなった目で、俺を見ていた。
「湊。さっき、お前、戻ってきたよな。九割焼けて、網の中心に引きずり込まれかけて。それでも、戻ってきた」
「ああ」
「どうやって戻ってきた」
「……みんなの音が、聞こえた」
俺は、焼灼室の中を見回した。
「詩織の弦の音だけじゃなかった。霧島さんの針金。大河原さんの太鼓。七瀬の鈴。柏木の笛。お前のガラス。全部が、俺の音に重なって、錆びを、ほぐしてくれた」
「それだ」
鷹宮は、にやりと笑った。
「共鳴調律。一人じゃなく、全員で。お前の錆びを、全員で分けて持った。だから、お前は戻ってこられた」
榊先生の声が、無線から聞こえた。公民館から、ずっとこの会話を聞いていたらしい。
『――鷹宮くんの言うとおりだ』
先生の声は、興奮で上ずっていた。
『錆びは、消えない。だが、分けることはできる。一人で数百万を吸えば、一人が焼ける。だが、百人で吸えば、一人あたりは百分の一だ。千人で吸えば――』
「千人も、いない」霧島が言った。「ここにいる銀環者は、七人。如月たちを入れても、十二人」
「いるよ」
鷹宮が言った。
「関東中に、銀環者は、まだいる。駐屯地に集められたのは、ほんの一部だ。自衛隊の他の施設にも。病院にも。避難所に隠れてる奴も。自分が銀環者だって気づいてない奴も。推定で、関東だけで、九千人」
「九千人」
「感染者の〇・三パーセントだ。計算すれば、そうなる」
鷹宮は、氷室を見た。
「氷室さん。あなたなら、分かるでしょう。この施設のアンテナ。群体制御のために作った、あの巨大な送信設備。あれを使えば、関東中の銀環者の脳に、直接信号を送れる」
氷室の目が、わずかに見開かれた。
「……共鳴調律の、広域化」
「湊の音を、アンテナで関東中に流す。関東中の銀環者が、それを聞く。そして、湊の音に、自分の音を重ねる。九千人で、湊の錆びを分けて持つ」
鷹宮は、咳き込んだ。口の端から、血が流れた。
「九千人で、数百万を吸う。一人あたり、数百体分。それなら、誰も焼けない。――たぶんな」
*
氷室は、長いこと黙っていた。
それから、床に散らばったリモコンの部品を、じっと見つめた。霧島が分解した、あのリモコンの。
「……不確定要素が、多すぎます」
氷室は言った。
「関東中の銀環者が、湊さんの音に応えるかどうか。応えたとして、調律が成立するかどうか。九千人の音程が、すべて揃うかどうか。どれ一つとして、検証されていません」
「だから、やめるのか」
「いいえ」
氷室は、顔を上げた。
その目に、初めて、何か違うものが浮かんでいた。
「――損失の期待値を、計算しました」
氷室は、淡々と言った。
「湊さん一人が焼灼する場合。確実に、一人が失われます。広域共鳴調律が失敗した場合。最悪、湊さんと、応答した銀環者全員が失われます。成功した場合。損失は、ゼロ」
氷室は、眼鏡を押し上げた。
「成功確率が、〇・〇一パーセントでもあるなら。期待値の上では、試す価値があります」
「……あんた、それ、本気で言ってるのか」
「私は、数字しか信じません」
氷室は立ち上がった。白衣の裾の埃を払い、乱れた髪をひっつめ直した。
「そして、数字は、今、あなたたちの側を指しています」
氷室は、焼灼室の奥の、制御盤の前に立った。
「アンテナの起動には、四十分かかります。その間、ここに近づいてくる群れの先頭を、誰かが食い止めなければなりません」
「俺がやる」大河原が、太い腕を鳴らした。
「私も」霧島が言った。
「俺も」柏木が言った。
「――如月」
鷹宮が、焼灼室の入り口の外に倒れていた如月に声をかけた。
如月は、瓦礫の中から、ゆっくりと体を起こした。額から血を流していた。
「……聞いていたわ」
如月は、氷室を見た。
氷室は、一度だけ、頷いた。
如月は、立ち上がった。
「部下四人を、起こしてくる」
*
夜明けの空は、灰色だった。
駐屯地の電波塔の、一番上に、俺は立っていた。
高さ八十メートル。眼下に、駐屯地の全景が見えた。演習場の真ん中の、四十メートル四方の穴。その周りに並ぶ兵舎。格納庫。
その向こうに、相模原の街。
白かった。
地平線まで、白かった。
いや、地平線など、見えなかった。見渡す限りの屋根という屋根、道路という道路、川という川が、白いうねりに埋め尽くされていた。そのうねりが、ゆっくりと、駐屯地へ向かって流れ込んでくる。東から。北から。南から。
海だった。
七瀬の言ったとおり、白い、巨大な海だった。
その海の、一番手前。駐屯地のフェンスのすぐ外で、小さな光が、いくつも瞬いていた。
大河原の太鼓の音。霧島の針金の音。柏木の笛の音。如月と四人の部下の、ガラスの和音。
六人が、フェンスの外に壁を張り、群れの先頭を、押し止めていた。
四十分。
もう、三十五分が過ぎていた。
「――おにい」
振り返った。
電波塔の、一段下の足場に、詩織が立っていた。
念動力で、自分の体を浮かせてここまで来たのだ。ほんの数日前まで、熱で寝込んでいたのに。
「来るなって言っただろ」
「来るに決まってるでしょ」
詩織は、俺の隣まで浮き上がってきて、足場に降り立った。
「一番近くで、一番大きな声で、おにいの音に合わせるのは、私だから」
*
無線が鳴った。
『こちら氷室。アンテナ、起動完了』
氷室の声は、相変わらず、柔らかかった。
『電波塔のアンテナに、あなたの共鳴波を増幅して送信します。出力は、関東全域をカバーします。ただし、送信できるのは、あなたが力を使っている間だけです』
「分かってる」
『それから、久遠さん』
氷室は、一瞬、言葉を切った。
『――幸運を』
無線が切れた。
俺は、詩織を見た。
詩織は、俺の手を握った。
熱かった。まだ、少しだけ。
「行くぞ」
「うん」
目を閉じた。
*
無音域に入った。
九割錆びた、頭の奥の、底の、さらに奥へ。
音が、消えた。
網が、見えた。
今までで、一番大きく、一番はっきりと。
関東全域に張り巡らされた、無数の光の糸。そのすべてが、俺に向かって、流れ込んでいた。数百万の糸が、渦を巻き、束になり、俺という中心へ。
網の奥の何かが、こちらを見ていた。
おかえり、と、それは言った。
――ただいま、じゃない。
俺は、答えた。
――俺は、帰る場所がある。
網の奥の何かは、答えなかった。
ただ、意味だけが、伝わってきた。
ひとつになれば、もう、誰も重くない。
痛みも、悲しみも、恐れも、全部、網が引き受ける。一人一人が抱えていた重さを、全部、一つにして、溶かしてしまえば。誰も、何も、背負わなくていい。
――それが、この網の、目的なのだ、と。
一瞬、分かった気がした。
このウイルスが、何をしようとしていたのか。
全部を一つにして、重さを、なくそうとしていたのだ。
「……違う」
俺は、言った。
「重いから、いいんだ」
詩織の手を、握った。
「重いから、手をつなぐんだ」
*
吸い込んだ。
網の糸を。数百万の糸を。
一斉に、流れ込んできた。
熱かった。焼けるように。一瞬で、残りの一割の、そのほとんどが、錆びに塗りつぶされかけた。
――今だ。
自分の音を、外へ向けた。
吸い込みながら、同時に、送り出す。
電波塔のアンテナが、唸りを上げた。
俺の音が、増幅されて、関東中へ広がっていく。
錆びた音。九割錆びて、それでもまだ、一割だけ残った、俺の元の音。
聞こえてくれ、と思った。
誰でもいい。
どこかにいる、同じ目をした誰か。
――弦の音が、鳴った。
詩織だった。すぐ隣で。一番近くで。一番大きな声で。
その弦の音が、俺の錆びに重なった。
続いて、フェンスの外から。太鼓。針金。笛。ガラスの和音。
焼灼室から、鷹宮のガラスの音。
公民館から、七瀬の鈴の音。
全部が、重なってくる。
でも、足りなかった。
数百万の錆びは、七人と六人では、支えきれなかった。
俺の結び目が、焦げていく。九割五分。九割八分。
――駄目か。
そう思った瞬間。
*
遠くで、音が鳴った。
聞いたことのない音だった。
低い、チェロのような音。横浜の方角から。
それから、また別の音。東京のほうから。高い、フルートのような。
埼玉から。千葉から。茨城から。栃木から。群馬から。
一つ。十。百。
音が、次々に、鳴り始めた。
関東中の、どこかにいる、同じ目をした誰か。
避難所の隅で、自分が何者なのか分からずに怯えていた誰か。病院のベッドで、熱が下がったのに、家族に目を見せられずにいた誰か。自衛隊の別の施設で、首輪をつけられていた誰か。
俺の音を、聞いたのだ。
アンテナから流れてきた、錆びだらけの、それでも必死に鳴っている音を。
そして、応えてくれたのだ。
千。二千。五千。
音が、重なってくる。
一つ一つは、小さかった。俺の音にも、鷹宮の音にも、遠く及ばない。消しゴム一つを動かせるかどうかの、ささやかな音。
それが、何千と、重なっていく。
俺の錆びに、一つずつ、そっと。
調律するように。
錆びが、分けられていく。
俺一人が背負っていた重さが、何千人に、少しずつ、分けられていく。
一人あたり、数百体分。
それなら、誰も、焼けない。
*
網が、揺れた。
数百万の糸が、何千の結び目に、分散して吸い込まれていく。
網の中心だった俺の結び目から、糸が、一本、また一本と、離れていく。
網の奥の何かが、こちらを見ていた。
おかえり、とは、もう言わなかった。
ただ、意味だけが、伝わってきた。
――なぜ。
なぜ、一つにならない。一つになれば、重くないのに。
「重いのは、嫌だよ」
俺は、答えた。
「でも、一人で重いのが、一番嫌だ」
詩織の手が、握り返してきた。
「だから、分けるんだ。みんなで」
網の奥の何かは、しばらく、黙っていた。
それから、ゆっくりと、こちらから目をそらした。
そんな気がした。
網の糸が、ほどけていく。
数百万の糸が、一本ずつ、光を失っていく。
*
目を開けた。
電波塔の上だった。
灰色だった空が、東の端から、少しずつ明るくなり始めていた。
眼下の、白い海が。
止まっていた。
動いていなかった。
数百万の再起動個体が、立ち止まっていた。それから、一体、また一体と、ゆっくりと、崩れ落ちていった。
ばたり、ばたり、と。
波が、引いていくように。
駐屯地のフェンスの外から、相模原の住宅街へ。国道へ。川沿いへ。その先の、見えない街々へ。
白い海が、静かに、倒れていった。
音が、なかった。
足音も、唸りも、何も。
ただ、朝の風の音だけが、電波塔の鉄骨を、ひゅう、と鳴らしていた。
「……おにい」
詩織の声が、聞こえた。
「終わった、の?」
答えようとして、声が出なかった。
体に、力が入らなかった。
膝が、折れた。
電波塔の足場から、体が、傾いた。
八十メートル下の、地面へ。
*
落ちていた。
風が、耳元で唸っていた。
力を、使おうとした。自分の体を、浮かせようとした。
何も、起きなかった。
頭の奥の、あの広い場所が。底の見えない井戸が。
空っぽだった。
錆びも、なかった。音も、なかった。何も、なかった。
――ああ。
分かった。
九千人に分けた錆びと一緒に、俺の力も、全部、分けてしまったのだ。
地面が、近づいてくる。
――まあ、いいか。
一瞬、そう思った。
――重さのない街だ。
眼下に広がる相模原の街は、もう、何の重さも持っていなかった。数百万の白い体が、ただ静かに横たわっている。誰も、何も、背負っていない。
俺の体だけが、重かった。
「おにいっ!」
声がした。
弦の音が、鳴った。
落ちていく俺の体が、止まった。
地面の、三メートル手前で。
ふわりと。
誰かが、下から支えるように。
*
顔を上げた。
詩織が、電波塔の足場から、身を乗り出していた。
両手を、俺に向かって伸ばしていた。
その目の銀の輪が、朝日を受けて、まぶしく光っていた。
詩織の音が、聞こえた。
弦の音。
錆びは、ほんの少しだけ、混じっていた。九千分の一の、ささやかな錆び。
でも、澄んでいた。張りつめて、まっすぐで、力強かった。
俺の体を、ゆっくりと、地面へ下ろしていく。
背中が、アスファルトに触れた。
冷たかった。
「……詩織」
詩織が、電波塔から、ふわりと降りてきた。俺の横に膝をつき、俺の顔を、両手で挟んだ。
「ばか」
詩織は言った。
泣いていた。
「ばかおにい。三回目」
「……悪い」
「悪いじゃない」
詩織は、俺の額に、自分の額を押しつけた。
「焼き鮭。約束。忘れてないよね」
「……ああ」
朝日が、昇り始めていた。
相模原の街を、東から、金色に染めていく。
白い体が横たわる、静かな街を。
重さのない街を。
*
フェンスの外から、大河原と霧島と柏木が、ふらふらになりながら歩いてきた。如月と四人の部下も。全員、血と埃にまみれていた。全員、生きていた。
無線から、七瀬の声がした。泣きじゃくっていた。何を言っているのか、ほとんど聞き取れなかった。
榊先生の声がした。何か、難しいことを興奮して喋っていた。
真壁さんが、焼灼室のある穴の縁から、手を振っていた。
その横に、氷室がいた。
白衣のポケットに手を入れて、朝日に照らされた街を、じっと見下ろしていた。その表情は、遠すぎて、よく見えなかった。
真壁さんが、穴の縁から、こちらに向かって叫んだ。
「久遠くん!」
真壁さんの声が、震えていた。
「鷹宮くんが――」
*
鷹宮は、焼灼室の入り口の壁にもたれて、座っていた。
さっきと、同じ姿勢で。
目は、完全に、白くなっていた。
銀の輪は、もう、なかった。
「……鷹宮」
俺は、真壁さんと詩織に支えられながら、鷹宮の前に膝をついた。
鷹宮の口が、わずかに動いた。
まだ、生きていた。
「……湊か」
声は、ひどく掠れていた。
「見えないんだ。もう、何も」
「喋るな」
「いいんだよ」
鷹宮は、わずかに笑った。
「半分、焼けてたからな。俺の分の錆び、ちょっと多めに引き受けた。九千分の一じゃ、つまらないだろ」
「……ばかか、お前は」
「三番目だったんだ」
鷹宮は言った。
「リストの、三番目。どうせ焼かれるなら、自分で選んで焼けたかった。……それだけだ」
鷹宮の手が、宙を探った。
俺は、その手を握った。
冷たかった。
「湊」
「ああ」
「約束の重さ」
鷹宮は、白い目で、俺のほうを向いた。見えていないはずなのに、真っ直ぐに。
「分かってて、言ったんだ」
「……ああ。分かってる」
「なら、いい」
鷹宮の手から、力が抜けた。
焼灼室の中に、朝日は届かなかった。
けれど、鷹宮の顔は、穏やかだった。
眠っているみたいだった。
*
地上に戻ると、朝日は、すっかり昇りきっていた。
演習場の、四十メートル四方の穴の縁に、全員が並んで座っていた。誰も、何も言わなかった。
眼下に、相模原の街が広がっていた。
白い体が、どこまでも、静かに横たわっている街。
その上を、朝の風が、ゆっくりと吹き抜けていった。
遠くで、鳥が鳴いていた。
カラスではなかった。
もっと小さな、明るい声の鳥だった。
(第九章 了)