「あー、もう! あのトンチンカン、やっぱり許せなーい!」
リリが癇癪を起したかのように叫び、瓦礫の山をトラックに積み込んでゆく。
ゴミ、ゴミ、ゴミ。
アイアンブラッドが大暴れした後に出来たのは、当然ながらゴミの山であった。
MITの襲撃事件は多くの重傷者を出した。
だが幸い、救助が速かった事もあって死者は居なかった。
ケンブリッジのインフラを支えるエンジニア達が早い段階で救助や修理に参加していたのも大きかったのだろう。
しかし、アイアンブラッドが壊した合計5棟の建物の瓦礫。
その除去がまったく終わらない。
当然ながら、リリは学校をサボってまでアイアンハートを使い、瓦礫の撤去作業を行っていた。
片付けないと講義もゼミも参加できない生徒が大量にいるからだ。
困っている人を見捨てられないリリは、今日も1人で、……
「まー良いじゃん、スーツを着ているんだから、アタシもリリと一緒だし~♪」
いや、ナタリーと共に、MITの中を奔走するのだった。
「あーもう、ナタリー! 今、仕事中なの!! 私語雑談は終わってから!」
リリは抗議しながらも、空中に投影されたナタリーのホログラムに優しい笑顔を浮かべるのだった。
「硬い事言わないの、リリ。どうせボランティアなんでしょ? 終わったらカフェに行かない?」
「か、カフェに行きたいの、アンタ?」
AIがカフェに行きたいと要望を出すとは思わなかったリリが、驚いた表情を浮かべる。
何だかんだと親友と認めつつある2人だが、AIの枠を超えた言動をするナタリーに、リリも思考が追い付かない。
と、その時である。
「あ、リリ? 何かコッチに近づいて来てるよ?」
「はい? 何かって何よ?」
「解んない。ただ、マッハ2くらいの速度で接近中。うん、ミサイルじゃないね」
「はぁ!? じゃぁ、何よ!?」
リリが素っ頓狂な声を上げるのと、ブースターの爆音を立て、赤色のアイアンスーツがリリのすぐ目の前に着地したのは同時だった。
「アイアンマン!? もしかして、スタークさん!?」
リリは思わず、そう叫んだ。
それほどに、目の前のスーツはアイアンマンに酷似していた。
いや、微妙に細部が違う……?
そうこうしているうちに、ヘルメットのバイザーが開いた。
「残念、オレはスタークさんじゃないよ。オレの名前はハーレー。ハーレー・キナーだ。キミが、リリ・ウィリアムズ、で合っているかな?」
金髪碧眼の貴公子のような顔の美青年は、爽やかな笑顔を浮かべ、そう挨拶した。
「あら、イケメン~♪」
と、ナタリーが両目をパチパチさせながら見惚れる。
そんな親友AIにうんざりした様子で、
「そうだけど、MITに何の用なの、キナーさん?」
「端的に言うとスカウトだよ。NGO『レガシー』。スタークさんの遺産を守る組織だ。オレと一緒に働かないか、リリ・ウィリアムズ?」
ハーレーはそう言って、リリに右手を差し出すのだった。
続く?
要望があれば、続編を書きます。