いつも起きる時間より、うんと遅い朝。
小さなアパートの一室。カーテンの隙間から差し込んだ暖かな日差しが、部屋の中をゆっくりと照らす。私はそんな陽だまりの中で、布団にくるまりながら丸くなっていた。
……暖かい。実に素晴らしい。
人間というものは、どうして朝になると布団から出なければならないのだろうか。誰が決めたんだ。布団から出なければならないという法律でもあるのか。いや、警察官である私が言うことではないな。
今日は休日だ。ならば、何も問題はあるまい。
「んぅ……」
布団の中で身体を丸める。犬獣人になってからというもの、こういう暖かな場所で丸くなっていると妙に落ち着く。
前世ではこんなことを考えたこともなかったのだが。今の私は、日向で丸くなってゆっくり休む。それだけで十分に幸せなのである。あとは、おいしいご飯。これらは非常に重要だ。人間、いや、犬獣人になった今となってはなおさら、食事と睡眠は人生の幸福度を左右する。
他の娯楽だって?
もちろんある。この世界にもゲームはあるし、漫画もある。映画もあるし、Youtubeなどの動画配信サービスだってある。
獣人やら、昔より治安が悪いやら、前世の日本とは少し違う日本ではあるが、文明そのものはしっかり発達している。むしろ娯楽に関しては、前世より充実しているんじゃないかと思うことすらある。
……ただ問題なこと。私はもうアラサーなのである。
夜通しゲームをして、友人と朝まで酒盛りをして、翌日を丸々潰す。そんなキラキラした若者らしい休日を過ごす体力は、もう私にはない。
昔なら、「休日だ!朝までゲームするぞ!」くらいの勢いでいけた気がする。
でも今は違う。「休日だ!……寝よう」これである。悲しいかな。獣人でも年齢には勝てない。というか丸一日寝ても体力の50%ぐらいしか回復してない気がする。なんでや。
そういうわけで私は、朝食を食べたあと、もう一度布団に戻っていた。そして二度寝まで済ませたところで――。
ふと。顔に、暖かなものを感じた。
「……ん?」
なんだろう、夢でも見ているのだろうか。
鼻を動かすと。なんだか、懐かしい匂いがする。どこか安心するような、昔、何度も嗅いだことのある匂い。
ぺろ。
ぺろぺろ。
「…………なに」
ぺろぺろ。
ぺろぺろ。
「…………夢じゃないな、これ」
ありえないぐらい情熱的に、頬を舐められている。犬が、その家族にするグルーミングのような、親しい間柄の毛繕いをしてあげるような。
もちろん私自身も犬獣人なので、そういう行為そのものにはそれほど抵抗はない。ないのだが。
この感覚には覚えがある。というか、ありすぎる。
これは、かつて私が毎日のように味わっていたものだ。私がまだ小さかった頃、姉貴が家を出るまで、毎日のように。
「…………やっぱり」
私は薄く目を開けた。
そこにいたのはテレビや新聞で何度も見る顔だった。
「アキ姉貴、おはようございます」
「えへへ、おはよう!ハルちゃん!」
目の前で満面の笑みを浮かべる女性。私が家の合鍵を渡している、唯一の存在。
犬井アキ、私の姉貴である。そして、私と同じゴールデンレトリバーのような犬の獣人でもある。全体的に髪は気高い黒色で、全く雰囲気は異なるが。
私はしばらく姉貴の顔を見つめた。姉貴は、ニコニコしながら私を見つめ返している。
警察官として仕事をしているときの彼女からは、想像もできない顔だった。普段の姉貴は、非常に凛々しい。背が高く、スタイルもよく、整った顔立ち。警察内でもファンが多いらしく、後輩たちからは密かに憧れの存在として見られている。仕事でも無駄なことを一切言わない。判断は早く、仕事は正確。上司としても非常に厳しく、冷たい女上司のように見えることもある。
だが、身内に入った瞬間。その仮面は跡形もなく消えるのだ。
「ハルちゃ~ん!」
「わっ」
ぎゅーっ。
「ハルちゃん、久しぶりだねぇ!」
「ちょ、ちょっと、アキ姉貴……」
熱烈に抱きつかれる。そのまま頬をすりすりされて、そしてまた顔を舐められる。
「やめてくださいって」
「照れてるの~?ハルちゃんかわいい~」
「もう、私も会えて嬉しいですが、ほどほどにしてくださいよ」
姉貴の肩を押しながら、布団からゆっくり起き上がる。寝ぼけた頭を軽く振ったが、耳もまだ少し垂れている。
「アキ姉貴ももう結婚してるんですから、いい加減その癖直してください」
「えー?」
姉貴は不満そうに頬を膨らませた。
「なんで?旦那くんとも毎日これやってるから大丈夫だよ!むしろ毎日でもしてほしいって!」
「うわ!」
聞きたくなかった。朝っぱらから姉の夫婦事情なんて本当に聞きたくなかった。
「そういう話は結構です。妹相手でも恥じらいを持ってください」
「えー、ハルちゃん冷たいな~」
「普通ですよ。そんな話は姉妹でもしません」
そもそも、姉貴は私より5歳年上。現在、御年33歳。
普通にいい年である。そして、結婚している。子供こそまだいないものの、大層懇ろな旦那さんがいる。
姉貴は昔、私以外の人間をかなり警戒していた。というより、ほとんど拒絶していた。当然だ、私たち姉妹が育ってきた環境を考えれば、他人を簡単に信用できるわけがない。
そんな姉貴の心を少しずつ開いていったのが、現在の旦那さんだ。先輩警官だった彼は、それはもう猛烈なアタックを繰り返したらしい。
そして最終的には姉貴が折れた。今ではラブラブである。
……まあ。姉貴は、最初の距離こそものすごく遠いくせに、一度身内と認めるとクッソ甘くなるタイプなので。一度懐に入った旦那さんとこうなるのも、なんとなく分かる。
ちなみに、旦那さんは佐藤巡査長の同郷の先輩らしい。今も仲は良いようで、電話でも楽しげに話している佐藤巡査長は良く見かける。
そんな旦那さんとは結婚式で一度会ったことがある。そのときの第一印象は、「ちょっと軽そうな人」だった。
しかし、彼の姉貴を見る目は本物だった。姉貴のことを本当に心から大切にしている。決して、打算ではなかった。NTRアンチ兼純愛判定師である私にそう思わせるほどの甲斐性があったのだ。
だからこそ、私は彼を認めた。姉貴を任せてもいいと思った。
……それはそれとして
「朝っぱらからノロケ話を聞かされるこっちの身にもなってください。ラブラブで羨ましい限りです」
「えへへ、ありがと~!」
「今のは褒めてませんよ」
「ハルちゃんは相変わらずだねぇ」
姉貴は嬉しそうに笑った。その笑顔を見ると、私も自然と頬が緩む。
……まあ。久しぶりなのだから仕方ない。私だって姉貴のことが好きだ。これは間違いない。
「それにしても、ハルちゃんちっちゃいねぇ」
「今さらですか?」
「昔から小さかったけど、こうして見るとやっぱりちっちゃい」
「うるさいです、姉貴こそなんでそんなにおっきくなったんですか?」
「まじめにやってきたからだよ~。えへへ、ハルちゃんかわいい」
「うるさいですね……」
昔から変わらない。本当に変わらない、私からしたら太陽みたいな人。
ただこうして姉貴と一緒にいると。どうしても、昔のことを思い出してしまう。
少しだけ昔の話。
私が五歳くらいの頃。獣人の扱いが、今よりもっと雑だった時代。
私とアキ姉貴は親に売られた。行き先は、日本国内に存在していた非合法組織の研究所。
そこで、私たちは長い時間を過ごした。身体能力の測定や麻酔も無しに筋組織を採取され、不潔な針を使い回した血液検査と薬物投与を伴った実験。今になって思えば、よく生きていたなと思う。
前世の知識と経験があることを含めても。当時の私は、痛みと恐怖で何をされているのかすらよく分かっていなかった。
ただ怖かった。ただ痛かった。悪意ある掌が、何度私に向けられたことだろう。
それでも、アキ姉貴がいた。
「大丈夫だよ、ハルちゃん。怖くないから。私がいるから」
何度、そう言ってもらっただろう。前世は私も男だったというのに、本当に恥ずかしいものだ。自分よりも長く生きていない姉に、すっかり守ってもらっていたのだ。
研究所には、私たち以外にもたくさんの獣人がいた。物知りなフクロウの獣人からは、文字や知識を教えてもらった。ムキムキのクマの獣人からは、身体の使い方や力の出し方を教えてもらった。狡猾な狐の獣人からは、相手を出し抜く方法を。素早いオオカミの獣人からは、身体の小ささを利用した戦い方を。
みんな、それぞれ違っていた。
けれど。
私たち姉妹に対しては、みんな優しかった。
……いや。優しすぎた。
研究所では、獣人たちが反抗しないよう、食事は最低限しか与えられなかった。大人でさえ、十分とは言えない量だった。当然、成長期の子供には足りない。
それでも。
「ハルちゃん、これ食べねェ」
「アキもたくさん食べとけ」
大人の獣人たちは、自分たちの分を私たちに分けてくれた。弱い存在を優先し、仲間を守る。そんな獣人たちの性質が、あんな終わってる場所でも残っていたのだろう。
当然、私は何度も断った。
「私は良いですよ。おじさんたちが食べて。お腹がすくでしょう」
だが。
「じゃまねぇよォ。遠慮せんと、よく食べねぇ!」
「ああ、俺たちは大人だからな」
そう言って彼らは笑っていた。絶対にお腹が空いているはずなのに。だんだんと身体が痩せていっているはずなのに。
それを私たちに悟らせないように。楽しそうに笑っていた。
今思えばあれは、本当に強い人たちだったのだと思う。自分たちが苦しいときに、それでも誰かを助ける。弱い者を守る。私は、そんな姿をずっと見ていた。
だから今の私が警察官になっている理由の一つは、間違いなくあの人たちなのかも。色々思い出しちゃうから、あまり言わないようにしているけど。
……それだけじゃない。
「ハルちゃん。私のだって食べて良いよ。私、もうお腹いっぱいだよ~」
そう言って姉貴は、当時からやたらと私に食べ物を分けてくれた。私の記憶にある姉貴は、いつも自分の分を「ちゃんと食べた」と言っていた。
本当にそうだったのか、今となっては分からない。私だってバカじゃない。薄れた記憶を辿れば、それに繋がる違和感や、ましてはその答えだってきっとある。でも、思い出したくないのだ。
研究所で、いつの間にか姿を消していく獣人たちを、私は何度も見てきた。新しく連れてこられる人がいる。そして、いつの間にかいなくなる。それが何度も何度も繰り返された。その中には、二度と戻ってこなかった人もいる。
……そして。
姉貴の身体だけが、少しずつ大きくなっていった。私が成長期に十分な食事を取れなかったせいで、今でも小柄なままなのとは対照的に。姉貴は、異様なほど大きく、強くなった。
「あぁ……」
私は今でも、たまに思う。アキ姉貴はあの頃、私に隠れて、何を食べていたんだろう。鼻が伝えてくるその疑いを、何度頭で否定したことだろう。
真実を聞くのは怖い。聞いたら、誰かの覚悟を、台無しにしてしまう気がする。だから聞かない。
ただ。
あの場所で最後まで生き残るために、私たちに何かを託してくれた人たちがいた。
「俺らが死んだら、これ食べまっし」
「あたしだって死にたくはないけど、ただ死ぬよりは役に立って死にたいわ」
「先を生きるものには、手本として前を歩く義務がある。アキ、全力でお姉ちゃんを遂行しろ」
私が眠っている間。いっつも警戒していた耳が微かに拾っていた言葉。そんな記憶が、ぼんやりと残っている。
姉貴があれだけ強くなった理由を、私は今でも
そして私が十三歳の頃にようやく、その生活は終わった。突如、警察による摘発があった。研究所は制圧され、私たちは保護された。
あのときのことは、今でもよく覚えている。
警察官たちが私たちを助けに来た。前世は平和でお世話にならなかったし、それまでこの世界の「警察」というものを、私はほとんど知らなかった。
ただ姉貴は違った。おそらく大人の獣人たちから色々聞いていたのだろう。
「ハルちゃん、大丈夫大丈夫~。もう、ここから出られるから」
その言葉を聞いて私は初めて、
「ああ、本当に助かるんだ」
と思えた。
その後姉貴は、特異的な身体能力と身体能力検査の結果から、特例で警察学校へ入学することになった。
まだ身体的に大人になりきれていない私を、学校に通わせるために。
姉貴は必死に働いた。夜遅くまで勉強して。ボロボロになるまで訓練して。獣人差別だってはねのけて、警察官として結果を出して。私が十八歳になるまでの生活費や学費まで稼いだ。
普通の人なら、到底できないようなことを、姉貴は当たり前のようにやった。
そしてそのまま、警察官として頭角を現していった。今では、突入・制圧を専門とするエリート部隊に所属している。昔から身体能力だけは化け物じみていたが。今ではそれに、技術と経験まで加わっている。
……そりゃ強いわ。
そんな格好いい姉貴を見て育ったのだから。私が警察官を志したのも、当然と言えば当然だった。姉貴みたいになりたかった。姉貴が守ってくれたように。私も誰かを守れる人間になりたかったんだ。
――まあ。それだけなら、まだ綺麗な話だったのだが。「獣人の身体能力で、人間にマウントを取りたい!」という、しょうもない理由も普通にあった。我ながら、夢のある志望動機である。……いや、普通にカスの理由だな。
ぐぅー。
「……ハルちゃん?私、お腹すいた~!」
「はい?」
昔のことを思い出していたら、突然現実に引き戻された。ものすごくお腹を鳴らしている姉貴を見る。
「……もうお昼ですか?」
「うん」
時計を見ると、確かにお昼だ。いつの間にか、かなり時間が経っていた。
「そうですね。何か作ります」
「やった!ハルちゃんのご飯久しぶり!」
姉貴が嬉しそうに尻尾を振る。……本当に犬っぽいな。
私は布団から出ると、台所へ向かった。
ちなみに姉貴は家事がからっきしである。本当にできない。料理も掃除も洗濯もできない。
まあ、仕方ないと言えば仕方ない。姉貴は私を養うために、ほとんど休む暇なく警察官として働き始めた。私が家事を担当するしかなかった。その習慣は、今でも変わっておらず。現在は旦那さんが家事をしているらしい。
……まあ。それくらいできないと、私は旦那として認めなかったけど。
「ねぇ、ハルちゃん。やっぱり生じゃダメ?」
「ダメです」
私は即答する。
「流石にお腹壊しますよ」
「でも美味しいよ?」
「それは私も知ってますよ!どんだけ犬の本能強いんですか!」
姉貴は昔から、生肉を好む。一緒に住んでいた頃など、夜中に冷蔵庫を漁って、生肉を食べようとしていたことすらある。いくら獣人が頑丈とはいえ、流石に病気にはかかる。食中毒になんてなってしまったら大変だ。
「だって美味しいじゃん。生の方がいいじゃん!」
「姉貴が強いのは知ってますけど、お腹まで強いとは限らないでしょう」
「大丈夫だよ?お腹壊しても一晩寝れば治るよ?」
「…てことは最近生で食べましたね!旦那さんに連絡しますよ!」
以前、隠れて生肉を食べていたことがある。そのときは慌てて止めて、ちゃんと火を通して食べさせた。
それと、獣人がいるこの世界でも肉は普通に食べられている。鶏、豚、牛、そうした家畜がいるし、食用ではその辺りが一般的だ。
だが姉貴は、妙に肉の好みが広い。
羊、鹿、猪。鰐に兎。その他、普通に生きていたら絶対に見ないような肉まで好む。今は姉貴自身や私がしっかり稼いでいるので、好きなものを食べることもできる。だが、昔は本当に大変だったのだ。
「今日はジンギスカンと、ジビエを使った料理にします」
「やった!生肉は?」
「生肉はなしです。火を通します」
「えー。ぶーぶー」
「ぶーじゃありません。文句を言うならご飯抜きですよ」
「ごめんなさい」
姉貴はしゅんとした。犬耳がぺたりと倒れ、尻尾もゆっくり下がる。
……アキ姉貴はたくさん無理をした。たくさんたくさん頑張って、今の姉貴が出来上がったんだ。だから、私は姉貴の全てが好きだし、私の存在に縛られず、幸せになってほしい。
そんな内心を察したように、姉貴は私をを見る。可愛らしい上目遣いだ。
「ハルちゃん、私のこと大好きだよね?」
「……ええ、もちろん」
「えへへ。私だって大好き~」
「だからって好き放題言っていい理由にはなりませんよ」
「でも、こうやっていろんな種類のお肉用意してくれてるじゃん。来るかも言ってないのに!」
「それは……」
「私のこと大好きなのが伝わるよぉ!」
「……うるさいです」
姉貴はニコニコしている。
「それにさぁ。あのときのこと覚えてる?結婚式のとき!」
「知りません」
「結婚式のとき、ハルちゃんめっちゃ泣いてたよね」
「あー知りません知りません!」
「かわいかったなぁ」
「う、うるさいです!」
まーたこの話だ。姉貴は自分が不利になると、いつもこの話を出してくる。それはきっと、私達がおばあちゃんになっても続くのだろう。
「『大好きな姉貴を……よろしく、お願いします』って、泣きながら旦那くんに言ってたよねぇ」
「やめてください!覚えていません!」
「あのときのハルちゃん、本当に可愛かった~」
「ご飯抜き!」
「そんなぁ~」
姉貴はさらに耳と尻尾を垂らした。
……ずるい。本当にずるい。昔から私は、この姉貴の上目遣いに弱い。
「……もう」
私はため息をつく。
「機嫌直してください」
「ほんと?」
「はい、もう起こってませんよ」
「一緒にご飯食べたいなぁ」
上目遣いで、にっこり。どうみても、33歳には見えない。黒の尻尾がほんの少しだけ揺れる。昔からこれには勝てないんだ。
「分かりましたよ」
「やった!」
一瞬で元気になった。さっきまでのは演技だったのか。
「現金すぎません?」
「だってハルちゃんとご飯食べるの久しぶりだもん!」
「……まあ、そうですね」
私は小さく笑った。姉貴が隣にいる、それだけで、不思議と安心する。
研究所にいた頃、何も分からなかった私の手を引いてくれた姉。警察官になってからも、ずっと私のことを気にかけていた姉。
そして今では、仕事では誰もが恐れるようなエリート警察官でありながら。
たまに私の部屋に侵入しては、昔と変わらず、私に甘えて、私に甘やかされて。くだらないことで笑っている。
……なんだかんだ。私は、こういう時間が好きなのだと思う。
私が料理をテーブルへ並べると、姉貴は目を輝かせた。
「はい、どうぞ」
「わぁ~おいしそう!いただきます!」
「ちゃんと野菜も食べてくださいね」
「えー、お肉がいい」
「ダメです」
「ハルちゃん厳しい~」
「姉貴が甘いだけです」
そうして久しぶりに姉妹で食卓を囲む。研究所では考えられなかった、平和な昼下がり。
昔の話から始まり、最近の仕事の話。姉貴の部隊の話に、旦那さんとのノロケ話に脳を破壊されつつ。私のさくら町での話。
そして、最近、私がテレビに出まくっていることについても、姉貴はちゃんと把握していた。なんなら、姉貴は大賛成らしい。色々と、話題は尽きなかった。
おしゃべりに夢中で、気がつけば料理はすっかり冷めていた。それでも私たちは、ずっと話していた。
久しぶりに会えた姉妹、その時間を惜しむように。とびっきり長い近況報告に、花を咲かせながら。
――こうして。私の休日は、思っていたよりずっと賑やかなものになったのだった。
壮絶!いぬのTS貧乳合法ロリアラサーおまわりさんに悲しき過去!
念のため、残酷な描写タグをつけました。