親愛なる隣人杯参加作品です。
ハロー、僕はスパイダーマン、NYの平和を守る親愛なる隣人さ。
最近はヴィランもなりを潜めてて暇してる。でもNYは物騒な街だからね。犯罪は事欠かない。だからパトロールも欠かさない。
ん? なんかキッズの集団がいるな。あれはジャパニーズ? 修学旅行ってところかな。ちょっとくらスパイダーマンのスイングを見せてあげますか。ようこそNYへ!
「今の何!?」
「アメリカのヒーローだ!」
「ちょっと内海興奮し過ぎ……」
うむ、ファンサービスは成功したみたいで何より。さてそろそろ家に帰らないと……。ふとそこで白い影が目に入った。
スパイダーセンスが反応する。なんだ、今のは。
影を見たビルの屋上に降りる。するとそこには。
「なんだこれ……めちゃくちゃじゃないか。まるで」
モンスターが暴れまわった後のよう。
「モンスターじゃないよ」
「誰だ」
「KAIJUって言うんだ。知らない?」
「知らないね、ついでに君のことも知らない。お前は誰だ」
「僕は何者でもない。NULL」
「ヌル? ずいぶんと不可解な名前をしているんだね。これをやったのは君?」
「僕じゃない。レクスタティックは今も成長中!!」
「レクスタティック? 君はいったい……ってもういないし! 幻覚か? はぁ僕って働き過ぎかも」
☆☆☆
「さっきのすごかったね響くん」
「六花もそれ気になってる? 糸? でビルとビルを飛んでた」
「さしずめスパイダーマンってところか……」
「内海くんってそんなことばっかり考えてるの?」
グリッドマンと別れた後、修学旅行でニューヨークに来ることになった。うちの学校にしてはかなり奮発してるんじゃないだろうか。
「ひ、響裕太」
「うわぁ!? さ、キャリバーさん!?」
瘦身長躯で猫背の男、キャリバーさんがそこにいた。グリッドマンと一緒にハイパーワールド?に帰ったはずなのに
「なんでニューヨークに?」
「もしかしてさっきのスパイダーマンって新しい新世紀中学生のメンバーだったり!?」
「い、いや関係ない。それよりも俺たちはバグの処理に来た」
「バグ?」
「あ、ああ。グリッドマンが宇宙と一体化した際に生まれた怪獣の残滓だ」
「ってことはまた怪獣が? しかもここに?」
「ああ、だからジャンクも持ってきた!」
そこには巨漢に口当てが特徴的なマックスさんが立っていた。
「空輸するの大変だったんだぜ~」
「ま。やったの主に俺だけど」
「ボラーさん! ヴィットさん!」
新世紀中学生が勢ぞろいだ。そして見慣れた旧式のパソコンがどこかの電源に繋がれた状態で置いてあった。
『すまない裕太。この前のことがあったばかりだというのに。しかも修学旅行中に、後処理のようなことに君を巻き込んでしまうとは』
「いいんだよグリッドマン。お互いに頼り合うって決めただろ?」
『ありがとう……!』
「でも怪獣なんて見当たらないけど?」
「ば、バグは成長する。今はまだ小さいがそのうちビルより大きくなる」
「ニューヨークで怪獣が暴れたらとんでもない被害になるぞ……」
「六花、内海、俺たちでも怪獣を探そう」
「うん」
「おう」
こうしてグリッドマン同盟がニューヨークで復活した。
☆☆☆
あーあー聞こえてる? ジャパニーズのジュブナイルじゃなくて申し訳ない。スパイダーマンだよ。
さっきのヌルを追いかけているんだけど尋常じゃない速さでとてもじゃないけど追いつけない。
ここでいいニュースと悪いニュース。
いいニュースは彼がカイジュウと呼んだレクスタティックとやらを見つけたってこと。
悪いニュースはそれが一軒家よりも大きくて手を焼いてるってこと。
『GYAAAAAAAAAAAAA!』
「あーあー元気だね君。でも怒りっぽいみたい。カルシウム摂ってる?」
レクスタティックは二足歩行の爬虫類が機械の装甲を纏っている感じ。今は無軌道に暴れてる。
それに厄介なのが……。
「あ!? また大きくなった!? どこまで巨大化するんだこいつ……成長期かーい!?」
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
もうすぐアパートメントを追い越しかねない。今は裏路地にいるから目立たないけど表通りに出たらひどいことになる。
「スパイダーウェブが足りるといいんだけど……!」
「あ、いた! 怪獣だ! それにさっきのスパイダーマンもいる!」
「え!? 何!? お客さん!? 悪いけどここは危ないから下がって……」
すると四人の影がカイジュウへと飛び掛かった。一人はダガーナイフ、一人はガントレット、一人はバリスタ、一人はカタナ(わお!ジャパニーズサムラーイ!!)カイジュウがよろける。
「まだ小さい、ここで仕留めるぞ!」
「おう!」
「これでまだ小さい? てか君ら何者?」
「我々は新世紀中学生!」
「中学生? 学生には見えないけど?」
「言ってる場合じゃないだろっ!!」
どうやら彼らは協力者らしい。何やら事情も知ってそうだけど……まずは目の前の脅威の排除から!
と、身構えたその時だった。
「インスタンス・ドミネーション……!」
どこからか声がする。ヌルの声だ。するとカイジュウが動きを止める。そして。
『GLUUUUUUUUU!!』
放電、眩いほどの電光が迸り、辺りを包んだ。僕は必死にジャパニーズたちを糸で掴んで避難させた。スパイダーセンスがあってよかった。
「動きが変わった?」
「ありがとう、ございます」
「すまない助かった。しかし今の声」
「怪獣優生思想の技だな」
「また新しいのが来た!?」
「俺は新世紀中学生のレックス! 蜘蛛の旦那! ちょっと協力してくだせぇ!」
「クモのダンナって僕のこと? ジャパニーズって変な呼び方するんだね。ていうかジャパニーズなんだよね?」
すると赤い髪の少年が僕の前に来る。
「あの、俺たちさっきの怪獣を追ってて」
「君らが? ただの学生にしか……いや新世紀中学生? さんたちは置いといて」
「俺たちはグリッドマン同盟!」
「内海くん、話をややこしくしないで」
どうやらまだ何かあるらしい。グリッドマン、聞いたことない名前だ。
「民間人を危ない目に遭わせるわけには」
「私たちが守るのでそこは安心してほしい。それにこの事件の解決には彼らの協力が必要なのだ」
「マックスさんだっけ? 確かにあなたたちは強いみたいだけど。結局何をどうするわけ?」
「か、怪獣は俺たちに任せてほしい。だから、怪獣を操っている相手を止めてほしい」
「なるほど、シンプルだ。サムライさんありがとう」
怪獣を操っている相手、検討はついている。ヌルだ。ならば役割分担といこうか。
「僕はカイジュウを操っている相手に検討がついている。君たちはカイジュウをどうにかできる、できるんだよね? だったら二手に分かれよう。OK?」
「お願いします!」
「ジャパニーズってすぐ頭下げるよね。ここはNY式でいこう」
僕はそっと赤毛の少年と握手する。
「俺、響裕太って言います」
「よろしくユータ。僕はスパイダーマン。親愛なる隣人をやっている」
さあ、作戦開始だ!
☆☆☆
ジャンクの前まで戻る。
「グリッドマン! 怪獣が出た!」
『よし、ではアクセス・フラッシュだ!』
「アクセス・フラーッシュ!!」
グリッドマンがニューヨークの街に現れる。さらに巨大化したレクスタティックがこちらに向かう。
「あいつ厄介な放電を使うんだ!」
「ならば遠距離から攻撃しよう。ボラー!」
「いくぜグリッドマン! アクセスコード、バスターボラー!」
グリッドマンとバスターボラーが合体して武装合体超人バスターグリッドマンになる。無限の火力を持ち巨大な怪獣相手にも引けを取らない。
その時だった。バスターグリッドマンのミサイルを交わし、レクスタティックがこっちに迫る。
「こいつ、動きが!? うわぁぁぁぁ!?」
『ぐああああ!!』
☆☆☆
WAO! まさかユータが巨人に変身するとは! 本当にジャパニーズヒーローだったのか!? なんて驚いてる場合じゃない。僕は今、ヌルと対峙している。
「邪魔するなよスパイディ、今いいところなんだ」
「悪いけど、その悪趣味に付き合ってる暇はないな。レクスタティックを操っているのは君だな?」
「そうだよ。全てを破壊する力!」
「なんでそんなことをする?」
「君は自分が何か知らないんだね? 可哀想に僕らは所詮データに過ぎない。造られた存在だ。君も現実にいるスパイダーマンのデータを元に再現された存在に過ぎない。ここはコンピューターワールド、非現実的世界、それを知ったとき、僕の絶望は始まった」
どうやらそうとうキマってるみたい。こういうのは無視するに限る。
「例え自分がなんであろうと、僕のやることは変わらない。親愛なる隣人、スパイダーマンだ」
「クソッ! こい! レクスタティック!!」
「させないよ!」
スパイダーウェブでぐるぐる巻きにする。さっきまで高速移動がなりを潜めてされるがままにされた。
「もうこっちにレクスタティックを呼び寄せた。終わりだスパイディ」
「残念、こっちにもゲストヒーローがいてね。クロスオーバーってやつさ」
バスターグリッドビィィィィム!!
圧倒的火力によってレクスタティックは焼き払われた。これで一件落着だ。
☆☆☆
「あっスパイダーマンさん」
「サンはいらないよ。ユータ、君本当にヒーローだったんだね」
「いや俺じゃなくてグリッドマンが……」
「ああ、そういうこと。同じことだ。スパイダーマンだろうと一般人だろうと成し遂げたことは変わらない」
「? ありがとう、ございます?」
「じゃあ修学旅行楽しんで! 親愛なる隣人スパイダーマンでした!」
「ま、また会えますか?」
「もちろん!」
END