訓練区画へ向かう途中、廊下の掲示板に貼られた案内が目に入った。
『新人オペレーター向け避難誘導研修。実地訓練参加者は第二演習室へ』
その下には担当者として俺の名前が書かれている。数日前、ケルシーに救助や退路確保の仕事も担当したいと伝えたばかりだが、こんなに早く話が回ってくるとは思わなかった。もっとも、今日は経験の浅い隊員に手順を教えるだけで、実際の危険はない。肩の傷もまだ完全には治っていないので、俺にとっても都合のいい仕事だった。
「……少し楽しみそうね」
隣を歩くテレジアが、掲示板を覗き込んで微笑んだ。
「分かるか?人に教えるのは得意じゃないと思ってたんだけど、こういう仕事なら少しくらい役に立てるかなってさ」
「あなたがこれまで経験してきたことを、誰かに伝えるのでしょう?きっと聞きたい人は多いと思うわ」
「そうだといいけど。新人たちを怖がらせないようにしないとな」
「ふふ。あなたより、少し心配な人がいるんじゃないかしら」
「……心配な人?」
テレジアが演習室の方へ視線を向けた、その時だった。
「セラースティアー!こっちこっち!」
扉の向こうから聞こえてきた大声に、俺は思わず足を止めた。
「……なるほど」
テレジアは何も言わず、ただ楽しそうに笑っていた。
◇
第二演習室には、簡易の壁と資材箱が並べられていた。普段は隊列訓練に使う広い部屋だが、今日は床に色の違うテープが何本も貼られ、いくつかの通路がわざと狭くされている。奥には搬送用の担架が二台、医療班が用意した訓練用の人形も置かれていた。
入口の近くで手を振っていたのはブレイズだった。片手には資料の束、もう片方にはいつの間に調達したのか、紙のカップが三つもある。フロストノヴァとの戦いのあとに見た時より顔色はよくなっていたが、彼女もまだ戦いの疲れが完全に抜けたわけではないらしい。
「おはよう。……というか、何でブレイズがいるんだ?」
「何でって、私も担当だからに決まってるでしょ。新人たちに戦場の歩き方を教えるんだって聞いてね。面白そうじゃん!」
「面白そうで引き受けていい仕事なのか、それ」
「失礼だなあ。私だってちゃんと考えて来たんだから。ほら、これが今日の予定!」
渡された資料には、避難経路の確認、負傷者の搬送、通信途絶時の対応といった項目が並んでいた。内容はまともだったが、最後の欄だけ大きな字で『特別実演』と書かれている。嫌な予感がして顔を上げると、ブレイズは得意げに笑った。
「実演って、具体的には何をするんだ?」
「それは始まってからのお楽しみ。あ、危険なことはしないよ?医療班にも怒られない程度にね」
「その言い方だと、怒られる可能性はあるんだな……」
「二人とも、声が大きいよ」
背後から小さな声がした。振り向くと、ロスモンティスが何冊かの薄い冊子を抱えて立っていた。
「おはよう、セラスティア。こっち、参加する人たちに渡す資料。あと、ブレイズが勝手に増やした項目は消していいって、担当の人が言ってた」
「ええっ!?ちょっと待って、誰がそんなこと言ったの!」
「さっき、運営の人。『特別実演は内容を確認してからにしてください』って」
ロスモンティスは淡々と答え、冊子を机に置いた。ブレイズは不満そうに唇を尖らせたものの、反論する前に俺と目が合うと肩をすくめる。
「分かった分かった。ちゃんと説明するって。そんなに私のこと信用ない?」
「あるよ。だから余計に、何をやろうとしてるのか気になるんだって」
「……あれ、今の褒められてる?」
「半分くらいは」
「残り半分は?」
「実演が終わってから考える」
ロスモンティスが俺の言葉を聞いて、ほんの少し笑った。ブレイズはそれを見逃さず、今度は彼女の頭へ手を伸ばす。
「もう!二人して私をからかうんだから。ロスモンティスまで笑ってるし!」
「だって、ブレイズの顔、面白かった」
「そっかあ。そんなに面白かったなら、今日の片づけは二人に任せようかなあ?」
「それ、職権乱用だろ」
言い返しながら、俺は冊子を手に取った。中身を開くと、緊急時の集合地点や誘導時に確認する項目が簡潔にまとめられている。自分がチェルノボーグの整備区画で何度も確かめたことと、ほとんど同じ内容だった。
「……これ、ロスモンティスが作ったのか?」
「ううん、医療班と訓練担当の人が作った。私は見やすい順番に並べるのを手伝っただけ」
「その『だけ』が結構大事なんだよ。迷ってる時に読むものだからさ」
彼女は冊子へ目を落とし、それから少しだけ嬉しそうに頷いた。ブレイズも横から覗き込み、わざとらしく大きな声を上げる。
「はいはい、うちの小猫ちゃんは優秀ですよーっと。さて、褒めるのはそこまでにして、そろそろ始めようか!」
「あんたが一番褒めてるだろ……」
◇
開始時刻になると、六人の新人オペレーターが演習室に集まってきた。
大半はまだ現場での任務経験が浅いらしく、並んだエリートオペレーターを前にして緊張した顔をしている。特にブレイズの持つ大型の武器を見た青年は、俺たちに挨拶する途中で一度言葉を噛んだ。
「そんなに固くならなくていいって。今日は戦い方を教える日じゃないし、私たちも別に怖い教官じゃないからさ」
「ブレイズ、それを言うなら武器は置いてきた方がよかったんじゃないか?」
「だって、この後点検に出す予定だったんだもん。持ってきた方が手間が省けるでしょ」
「ほら、やっぱり怖がってる」
俺が指差すと、例の青年は慌てて首を横に振った。ブレイズは大笑いしながら武器を壁際の指定場所へ置き、改めて参加者たちと向き合った。
「じゃ、今日の目的ね。みんなが帰ってこられる道を探すこと。自分たちだけじゃなくて、歩けない人がいた時にどう動くかも考えてもらうよ」
軽い調子だった声が、最後だけ少し落ち着いた。新人たちも背筋を伸ばす。隣に立ったロスモンティスは、その様子を確かめてから口を開いた。
「私からも一つ。分からないことがあったら、ちゃんと言ってね。黙ってると、ほかの人には分からないから」
「そういうこと。間違えたって、今日はやり直せるんだからさ」
ブレイズが頷いたところで、俺も机の上に広げていた図面を持ち上げた。
「今回の演習室は、仮の建物だと思ってくれ。青い線が通っていい道、赤い線が通行禁止の場所。途中には怪我人役もいる。みんなには六人で相談して、決められた時間内に指定の場所まで避難してもらう」
「教官、質問してもいいですか?」
さっきの青年が手を上げた。教官と呼ばれるのに少し居心地の悪さを覚えたが、頷いて先を促す。
「負傷者を助けるのは、誰の役目なんでしょうか。もし自分の方が力があるなら、ほかの人を待たずに運んだ方が早いですか?」
「状況によるな。持ち上げるだけなら一人でできるかもしれないけど、怪我の場所によっては動かさない方がいいこともある。まず医療班に確認できるなら確認する。それから、運べるようになっても、一人で通れる道と担架を通せる道は違うんだ」
説明しながら、壁際の担架を指した。青年は自分の腕を見下ろしてから、少し考えるように眉を寄せた。
「……じゃあ、運ぶ人だけじゃ足りないんですね」
「ああ。道を調べる人も、ほかの人に連絡する人も必要だよ。俺が実際にやったのも、そういう仕事だった」
「おっ、いい説明じゃん」
横からブレイズが声をかける。まだ研修の途中なのだから余計な茶々は入れないでほしいが、彼女が楽しそうに笑っているおかげで、新人たちの肩から少し力が抜けたようだった。
「じゃあ、始めようか。私たちは手を出さないから、自分たちでやってみて!」
◇
演習は、思ったより順調に進んだ。
六人は二組に分かれ、一組が先に経路を確認し、もう一組が担架の準備をする。最初こそ確認の声が小さかったが、互いに役割を伝え合ううちに落ち着いてきた。途中で一つ間違った角へ進みかけたものの、図面を持っていた隊員が気づいて引き返した。
ただ、負傷者役の人形を担架で運び出そうとしたところで問題が起きた。
「……あれ?通れない」
先頭を歩いていた隊員が立ち止まった。さっき人が通った時には余裕のあった通路が、担架を横にすると狭すぎるのだ。二人が角度を変えてみても、担架の端が壁に当たって先へ進めない。
「持ち上げれば、通れるんじゃないですか?」
青年が提案した。腕を回し、持ち上げる位置を探り始める。けれど、その隣で別の隊員が人形につけられた札を読み上げた。
「待って。この人、背中を強く打ってる想定だって。勝手に動かしていいんですか?」
二人が互いの顔を見た。周囲の隊員たちも足を止める。ブレイズは少し離れた場所で腕を組み、口を挟みたそうにしていたが、ロスモンティスが袖を引っ張ると、しぶしぶ黙った。
「……医療班へ確認しよう」
図面を持つ隊員がようやく言った。通信係が演習用の端末へ連絡を入れると、見学していた医療オペレーターから返事が返ってくる。無理に姿勢を変えず、別の経路を探すように、という指示だった。
「でも、別の道だとかなり遠回りになるぞ」
「いい。まだ時間はある。……先に通れるか見てくるから、そっちはここで待ってて」
隊員の一人が走り出そうとしたところで、俺は手を上げた。
「一人で行くのか?」
「え……あ、はい。早いかなと思って」
「急ぐ気持ちは分かるよ。でも、向こうで何かあった時、こっちはお前の状況を把握できないだろ。せめて連絡方法と戻る時間は決めていこう」
青年ははっとして、すぐに仲間へ向き直った。相談の末、二人で経路を確認しに行き、一定時間ごとに連絡を入れることになったらしい。待つ側も、担架を壁際へ寄せて通路を塞がないようにしている。
「……ねえ、セラスティア」
ブレイズが小声で呼んだ。
「今の、手を出さない約束じゃなかったっけ?」
「……あ」
言われて気づく。確かに、俺たちは自分たちで考えてもらうことになっていた。
「やっぱり我慢できなかったかあ。まあ、私もさっきから三回くらい口出ししかけたんだけどね」
「三回で済んでたか?」
「四回かも」
「五回だったよ」
ロスモンティスが横から告げると、ブレイズが驚いたように振り返った。
「数えてたの!?」
「うん。指を折ってた」
そう言って片手を見せるロスモンティスに、俺は思わず笑ってしまった。ブレイズも何か言い返そうとしたが、結局こらえきれずに笑い出す。演習中の新人たちがこちらを見たので、三人揃って慌てて口を閉じた。少し離れたところで見ていたテレジアも、肩を震わせて笑っている。
「……教える人たちも、練習が必要みたいね」
「否定できないな……」
そう返した瞬間、ブレイズが俺の方を見た。
「ん?どうしたの?」
「いや、こっちの話。ほら、向こうが戻ってきたぞ」
図面を持った隊員たちが戻り、別の経路が使えることを報告する。残りの四人もそれを聞いて動き始めた。最初の予定より時間はかかったが、結局、六人全員と負傷者役の人形が無事にゴールへ辿り着いた。
終了の合図が鳴ると、ブレイズが真っ先に拍手した。
「お疲れ!最後までちゃんと運べたじゃん。途中、ちょっと危なっかしかったけどね!」
その言葉に新人たちは照れたように笑った。俺は回収された図面を受け取りながら、通路の手前に残っていたテープを確かめる。人数も道具も揃っている。誰かが置いてきぼりになったり、連絡が途切れたままになったりすることもなかった。
「セラスティアさん」
青年が声をかけてきた。
「途中で声をかけてもらわなかったら、たぶん一人で走ってました。実際の現場でも、ああいうことはあるんでしょうか」
「あるよ。俺も、急いでると周りが見えなくなることはある。だから、誰かが止めてくれると助かるんだ」
「……エリートオペレーターでも?」
「ああ。むしろ、何でも一人でできるつもりになったら危ないと思う」
答えてから、チェルノボーグの狭い整備区画を思い出した。あの時、担架を支える医療班がいなければ、俺は負傷した男を外へ連れ出せなかった。自分が通路を見つけても、誰かが患者を運んでくれなければ意味がない。そのことを知っているから、今日の演習にも参加したかったのだ。
「次はもう少し上手くやってみます」
「ああ。俺も、次は余計な口出ししないように頑張るよ」
その返事に、青年はきょとんとしたあと、笑いながら敬礼した。
◇
全員が帰ったところで、ブレイズが資料を机へ放り出し、大きく伸びをした。
「いやあ、終わった終わった!けっこう疲れるもんだね、人に教えるって」
「お前、最初からずっと楽しそうだったけどな」
「楽しかったよ?でも、黙って見てるのがこんなに大変だとは思わなかった」
「ブレイズは、自分で動いた方が早いって思うことが多いから」
ロスモンティスが冊子を揃えながら言った。ブレイズは一度だけ彼女を見たが、怒る代わりに笑って頭をかく。
「まあね。昔から、じっとしてるのは苦手なんだよ。……でも、あの子たちが自分で考えて動けたなら、それでいいか」
「うん。最後、ちゃんと全員で戻ってきた」
俺は片づけの手を止めないまま、小さく頷いた。机の上に広げられた資料を集め、名前を書いた札を回収し、演習用の端末をケースへ戻す。ロスモンティスは俺の横で同じ作業をしていたが、ふと何かを思い出したように顔を上げた。
「……ねえ、セラスティア。さっき、エリートオペレーターも一人じゃできないって言ってたでしょ」
「ああ」
「私も、そう思う。ブレイズがいないと困ること、いっぱいあるから」
ブレイズがちょうど振り返った。
「えっ、何?小猫ちゃん、急にそんな可愛いこと言うの?」
「……可愛い話じゃないよ」
ロスモンティスは不思議そうに首を傾げた。
「チェルノボーグのことだけじゃなくて、普段もそう。分からないことがあったら聞けるし、何か決める時に一緒に考えてくれる。私が忘れても、もう一度教えてくれるから」
ブレイズは一瞬、言葉を失ったようだった。次いで大きく息を吸い込み、勢いよく彼女を抱きしめようとする。
「もう!そんなこと言われたら抱きしめたくなるじゃん!」
「わっ……ブレイズ、ちょっと待って。資料が落ちる」
「いいよいいよ、あとで拾えば!」
「よくないよ。まだ順番に並べてる途中なのに」
ロスモンティスは本気で困った顔をした。俺が笑いながら落ちかけた冊子を受け取ると、ブレイズはようやく腕を解き、今度は俺の方へ向き直った。
「はい、セラスティアも。今日の指導、よく頑張りました!」
「俺は別に褒められるようなこと……って、ちょっと待て!」
こちらが逃げるより早く、怪我のない左肩に腕を回された。勢いで身体が傾き、持っていた資料が一枚だけ床へ落ちる。ブレイズは気にする様子もなく、俺の顔を覗き込んで笑った。
「そんなに遠慮しなくていいのに。私たち、同じエリートオペレーターでしょ?今日だって、あんたがいて助かったんだから」
「……それはこっちの台詞だよ。二人がいたから、俺もああいうふうに教えられたんだと思う」
「お、言うねえ!だったら今度の研修も三人でやる?」
「次は特別実演の内容を先に見せてくれたらな」
「まだ言う!?」
ロスモンティスがとうとう声を出して笑った。
◇
片づけを終えて食堂へ向かう頃には、ちょうど昼の混雑が引き始めていた。
ブレイズは入口に並んだ献立を見てすぐに一品追加し、ロスモンティスはしばらく悩んだ末、温かいスープのついた定食を選んだ。俺も同じものを注文すると、ブレイズが皿を持ちながらこちらへ顔を寄せてくる。
「ねえ、さっきの青年、セラスティアに憧れちゃったんじゃない?何か、すごい真剣に話聞いてたじゃん」
「別に、普通に質問されただけだろ。ブレイズだって何人にも囲まれてたじゃないか」
「私は慣れてるからね。それよりあんた、教える時に思ったより優しい顔するんだなあって」
「……普段、どんな顔してると思われてるんだよ」
「そりゃあ、ケルシーに呼ばれた時の顔とか?」
横でロスモンティスが小さく頷いた。
「うん。あれはちょっと困ってる顔」
「何で二人とも知ってるんだ……」
「見てれば分かるよ」
ロスモンティスは平然と答え、トレーを持って空いた席へ向かった。ブレイズは笑いながらその後を追い、俺も肩をすくめてついていく。テレジアは少し離れたところを歩いていたが、二人が席に着くのを見て、どこか嬉しそうに微笑んでいた。俺の隣へ来ると、彼女は小さく言った。
「……賑やかなお昼になりそうね」
「ああ。少なくとも、静かには食べられなさそうだ」
返事をしてから、向かいのブレイズがこちらを見ていることに気づいた。
「何、セラスティア。何か言った?」
「……いや、あんたが騒がしいって話」
「はあ!?本人の目の前で堂々と言うねえ!」
「だって本当だろ」
言い返すと、ブレイズは一瞬だけ目を丸くし、それから大きく笑った。ロスモンティスもスプーンを置き、俺たちのやり取りを見て楽しそうにしている。
やがてブレイズが、自分の皿に残っていた最後の一口を食べ終えた。
「そうだ。さっきの研修さ、来週も続けてほしいって担当の人が言ってたよ。今度は実際の避難通路を歩いて確認するらしいから、今日より少し人数が増えるって」
「……もう次の話が来てるのか?」
「そりゃそうでしょ。ロドスには、覚えなきゃいけないことが山ほどある新人が毎日いるんだから」
「私も手伝う」
ロスモンティスがすぐに言った。ブレイズは嬉しそうに頷いたあと、俺を見る。
「で、セラスティアは?」
「もちろん、俺もやるよ。今日、上手くできなかったところもあるし、次はもう少しまともな教官になりたいからな」
「決まり!じゃあ、ちゃんと予定空けといてね!」
ブレイズは満足そうに笑って席を立った。ロスモンティスも食器を持って後に続こうとしたが、少しだけ足を止めた。
「セラスティア。さっきの人たち、次も来てくれるかな」
「来てくれると思うよ。最後に、次はもっと上手くやりたいって言ってたし」
「……そっか。だったら、私も次はもっと分かりやすく教えたい」
そう言って彼女は微笑み、今度こそブレイズを追いかけていった。
二人の背中を見送ってから、俺も空になった食器を手に取った。訓練は終わったばかりなのに、もう次の予定の話をしている。少し前なら忙しくなることを面倒に思ったかもしれないが、今日は不思議と悪い気がしなかった。
「……いい一日だったわね」
テレジアが隣で微笑んだ。
「うん。あいつらと仕事すると、静かには終わらない気がするけどな」
「ふふ。でも、楽しそうだったわ。あなたも、二人も」
食堂の向こうでは、ブレイズがロスモンティスに何か話しかけている。返ってきた言葉に大げさに驚き、すぐに二人で笑い出す。その声を聞きながら、俺は食器を返却口へ運んだ。
次の研修までには、今日の資料を少し直しておこう。そんなことを考えながら廊下へ出ると、テレジアもいつもどおり隣についてきた。