メンヘラかも…!?
「それでおにーさん、初任務ってどんなの?」
時量の質問に人差し指を立てて誇らしげにしながら五条は答える。
「よくぞ聞いてくれました!!本日向かう任務はね、廃ホテルの推定1〜特級の呪霊を祓うこと!!窓の報告だと特級寄りの1級の可能性が高いらしいよ」
五条の発言に目を輝かせて跳ねる時量。
「おおっ!!強い呪霊と戦えるんだね!!おにーさんは手出し無用だからね!」
五条は時量の頭を撫でる。撫でられた時量は目を細めてされるがままになっていた。体の力が抜けている。
「わかってるよ、てかそのつもりだったし。君の実力を見極めさせてもらうからね」
そうして二人は任務地へ出発した。
ーーーーー
廃ホテル前に二人は佇んでいた。
「おおっ!雰囲気あるね!おにーさんもよくこういう所来るの?」
「うん、まぁ僕くらいになるとしょっちゅうだね!でも怖がってないみたいで良かったよ!」
少し馬鹿にしたような言い方で時量にそう笑いかける五条。
「むぅ…!僕だってこういう所は慣れっこなんだから!!甘く見ないでよねっ!」
その発言にどこか納得いったような表情をする五条。
「ああ、そういえば僕と出会う前にも優は等級の高い呪霊祓いまくってたんだっけ?そりゃ慣れてるよねえ」
「まあ僕が住んでた所も廃教会だから、こういう暗い雰囲気には慣れてるんだよね」
「なるほどねぇ…まあお話はそこそこに、優…いってらっしゃい」
五条は軽く右手を振り時量を送り出す。そんな五条に時量も手を振り廃ホテルへと入って行った。
ーーーーー
「暗っ!見えにくいなぁ…」
時量は床に散乱したゴミを軽快なステップで躱しながら奥へと向かう。
すると陰に潜んでいた低級呪霊の群れが時量へと飛び掛ってきた。
「おっと駄目だよ」
時量がフィンガースナップをすると飛び掛ってきた呪霊の群れはスローモーション再生の様に空中で低速に落下する。
「はい、おしまい」
時量が右手を振ると全ての呪霊が正方形の結界で包まれ、その手を握ると包まれた呪霊が跡形もなく消滅した。
「張り合いがないなぁ…やっぱり僕を楽しませてくれるのはおにーさんだけだね!」
機嫌の良い顔をしながら更に奥へと進んで行く…
ーーーーー
「多分…ここだよね?なんか空間の歪みを感じるし…」
時量はホテルの最上階、恐らく一番グレードが高かったであろう部屋の扉の前で呟く。
「失礼しまあ〜す…」
時量はゆっくりと扉を開ける。ドアノブを完全に回しきったその時、触れていた扉ごと壁が爆発した。
『ナニモノ…ダ』
ドガンッ!という音と同時に壁へ吹き飛んだ時量を見据えて、呪霊はそう問いかける。会話を可能とする知能、窓の報告通り特級に近い呪霊のようだ。
「ちょっと!急に爆発させないでよね!!びっくりしたじゃんか!!」
時量は自身の周囲の空間を不定形に歪ませながら、頬を膨らませて抗議する。
『シルカ……ニンゲン……キサマヲコロス』
呪霊はその言葉を最後に周囲の道具や家具を投げつけてくる。
「…?なんで家具なんて投げつけて………!!」
時量が飛んできた家具を手で薙ぎ払おうとした時、先ほどの壁と同様に空中で家具と道具が大爆発を起こす。
『キヒヒ……ユダンシタナァ…』
爆発によって生じた黒煙を眺めて、醜悪な笑みを浮かべる呪霊。
「だぁぁかぁらぁ!!その爆発止めてって!!うるさいの!!」
笑みを浮かべていた呪霊に黒煙から飛び出してきた時量は飛び蹴りをかます。そのスピードはおよそ人間が出すスピードではなく、音が後から聞こえてきた。
『グゲボォッ!?』
まともに飛び蹴りを食らった呪霊が部屋の中へ飛んでいき、部屋の中を滅茶苦茶にした。
「おおっ!時を加速させた飛び蹴りなのに形保ってる!!凄いね〜!!」
ニコニコと無邪気な笑い方をして呪霊へと歩み寄る時量を見て、呪霊は顔を引き攣らせた。
『マ…マテ!!ワ、ワルカッタ!!モウコウゲキシナイカラユルシテクレェ!!』
その呪霊の行動を目にした時量は途端に顔を歪ませて塵を見るような目をした。
「は?……つまんない、もういいよ、死ね」
時量が呪霊に手を翳して握った瞬間、呪霊がメキョメキョと音を立てて、使い終わったティッシュの様に潰れていく。
『ゴッ!?ガァァァァァァッ!!!』
その叫びを最期に、呪霊は完全に消滅した。
「……つまんない」
ーーーーー
「オッツカレー!!」
五条はホテルから出てきた時量に満面の笑みでそう労いの言葉をかける。
「おにーさんっ!!」
五条に気づいた時量は一直線に走っていき抱きついた。
「おっ?どしたん?」
「やっぱり僕を楽しませてくれるのはおにーさんだけだよ!!呪霊なんてつまんないや!!」
五条は頭を撫でる。
「そっか、やっぱ呪霊相手は余裕だったみたいだね。不完全燃焼なら付き合うよ?」
「ホント!?じゃあ高専で戦おうよ!!」
「オッケー!」
二人はそんな会話をしながら、高専へと帰って行った。
帰りに五条が奢ってくれたケーキが美味しかったらしい。
ーーーーー
「また負けたぁーー!!今日は空間支配も使ったのにぃ!!」
そんな叫びを上げて時量は校庭に倒れ込む。
「いやぁ…やっぱり僕の無下限突破できるんだねぇ…しかも黒閃2発出した時は流石に驚いたよ」
五条は拳を開け締めして自身の無下限を確認しながら、正直な感想を呟く。
「でもおにーさん僕の空間破壊にも簡単に対応してたじゃん…何?破壊された空間に茈ぶつけて空間のバグ起こして僕を巻き込んで自爆って……よくそんなこと思いついたね?」
そう言って五条を睨みつける。
「いやぁ…空間を破壊するなら仮想の質量である茈をぶつけたらどうなるかなって…まさかあんな反応するとは思わなかったけどね!」
そんな二人に近づいてくる人物達がいた。
「おいバカ目隠し、昼間から暴れんなよ」
「悟がここまで戦うのは珍しいな、相手は誰だ?」
「しゃけ」
東京校2年生達である。
「おお!皆、皆には紹介はまだだったよね?コチラ先日から1年に入りました!!時量優君でぇっす!仲良くね!!」
その言葉を聞いた2年達は各々反応をする。
「ああ?1年…?おいオマエ、等級は?」
「おい真希…!威圧すんなよ…!」
「おかか…!」
真希の質問の意図が分からないのか首を傾げて一応といった様子で答える時量。
「えっと?特級ですけど…」
時量の言葉に固まり、口を開けて驚く三人。
「はぁ!?特級!?!?」
「高菜!?」
「憂太と同じ感じか!?」
「あはは、驚いてる〜」
三人の様子を見て面白がって手を叩く五条。
「おにーさん、特級ってそんなに少ないの?」
「うん、今日本には2年生の乙骨憂太、フリーの九十九由基、そして優と僕しかいないよ。昔もう一人いたんだけどね…まぁそれは追々学べばいいよ」
「そっかぁ…」
ほのぼのした雰囲気で話す二人に突っ込む真希。
「バカ目隠し!!なんでそんな大事なこと初日に説明しねぇんだ!!」
「えぇ…?面倒くさいじゃん」
「こっ…の!!!」
キレている真希、その光景を見て特にリアクションしないあたり、2年生はよく訓練されているみたいだ。
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「困ったね…」
東京のあるカフェで
「何が困ったの?夏油?」
周りから見れば一人のはずの男、夏油に話しかける呪霊…真人。
「いや、計画目前でイレギュラーが現れてね…新しい特級術師さ」
その言葉に疑問を呈する火山頭の呪霊『漏瑚』
「特級術師?だがソイツの実力はオマエや我々に迫るのか…?」
「正直未知数だが…まぁ漏瑚と良い勝負をする位には強いと思うよ?」
「フン…どんな術師だろうと焼き切るまでだ」
そんな会話が繰り広げられたカフェは、後日火事によって全国ニュースになった。
今回お亡くなりになった推定1級呪霊君の術式は『爆発』でした。触れたものを爆発させる術式ですね。
……何処かで見たことがある様な能力ですな?
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