読まなくても支障は無いので、読みたい方だけ読んで下さい。
「じゃあ行くよ!!」
右手を挙げて前方数十mの五条に合図を送る時量。
その様子を見て五条も返事を返した。
「いつでもかかって来なさい」
余裕綽々といった様子の五条へ不敵な笑みを浮かべた時量が地面を蹴る。
僅かコンマ数秒、その極短時間で時量は五条の胸元へと入り込んでいた。
「おっと…!」
振り抜かれる腕、その腕を上半身を仰け反らせる事で回避した五条は時量の後方へ二つ、『蒼』の力場を作り出し時量を遠ざける。
((やっぱり無下限が機能しなかった…いや、無限の距離を強制的に書き換えられた感覚だな…))
「へへんだ!!」
時量は自身を吸い込む『蒼』に結界の座標を設定。吸い込まれながら正確な座標を設定する事は一流の術師であっても出来る人間はほんの一握りだが、空間そのものを掌握する時量には関係ない。
「時空間操術…乖離!『輪廻』!!」
『蒼』を囲んだ結界を消去、その存在を抹消した。
時空間操術の拡張術式『乖離』、その力は三通りに別れる。
設定した座標の空間に存在するものを一切合切消去する力…『輪廻』
相手の結界に作用し掌握する力…『簒奪』
自身の体内を一つの結界として増強する力…『拡充』
「やるね!優!!」
五条は消去された『蒼』とは別に複数『赫』を発動、時量の周りの地面を削り砂埃によって目眩ましを作り出した。
「ちょっと!?おにーさん目眩ましとかズルい!!…でも空間を把握する僕には関係ないもんねっ!!」
時量は自身の周りの空間に『歪み』を作り出し、砂埃による目眩ましを透過した。
「えっ…!?おにーさんが…居ないっ!?」
しかし目眩ましを無効化した時量の視界内には五条の姿は無く、辺りを見回す時量。
「ここだよ」
その声に時量は気づく、周りに潜んでいたのではない、自身の上に
五条は無下限により時量と自身の距離を離し、空中で佇んでいた。
「うわぁ!?いつの間に!?」
目を剥く時量。
「はい、油断大敵ぃ!!」
五条は驚く時量を気にせず『蒼』の加速を乗せた廻し蹴りを食らわせる。
「ぅぐっ!?」
モロに食らって飛んでいく時量のスピードに全く同じ速度で追いつき攻撃を仕掛ける五条。
「赫!!」
無限の反発、その奔流が複数、時量を襲った。
「全く!せっかちさんめ!!」
時量は自身に迫る『赫』の光弾を強固な掌握結界で閉じ込め、消滅させた。その様子に五条は又もや『蒼』を時量の後方に作り出す。
「何度やっても無駄だよ!おにーさん!!」
やはり『蒼』を消去して無効化した時量であったが…
「残念っ!!そっちはブラフだよ!!」
その言葉に時量は咄嗟に上を向く。そこには煌々と輝く『蒼』の光。
「くっ!!」
((でも蒼なら周囲の歪みで防ぎきれる…!!))
そんな思考を強制的に断つように、五条は時量の気づいてない事実を伝える。
「『赫』はまだ残ってる」
「!?」
突如時量の真下、校庭の地面を突き破って『赫』が空へと飛び上がる。
「まさか…!?」
時量が気づくがもう遅い、空中の『蒼』それにぶつかる『赫』2色が混ざり合う…
虚式『茈』
茈色の閃光が校庭を覆う。
巻き込まれた時量は茈が存在する空間を破壊して無効化しようとしたが、仮想の質量との衝突故か、収まることは無く、更に威力の高い光弾となって時量を襲った。
「おーい、生きてる?」
軽くそう問いかける五条に息も絶え絶えになりながら時量は応えを返す。
「生きてる……ギリギリ……」
時量の片腕が欠損していた。その様子を見た五条は珍しく慌てて時量へ駆け寄る。
「優!?大丈夫!!?ごめん!そこまでする気は無かったんだけど!!」
五条の慌てようを見て何をそんなに焦っているのか全く分からないといった表情をしながら時量は片腕を一瞬で治した。
「…え!?優反転使えたの!?」
五条の問いに時量は首を横に振りながら答えた。
「違うよ、これは僕の術式で肉体の時間を巻き戻してるだけ」
「…なるほど?それって他人にかけたりも出来る?」
「出来るけど…死者蘇生とかは無理だよ?まぁ虎杖君の話で出てきた『魂』を感知する方法があればもしかしたら出来るかもだけど…」
そこまで話して五条は忠告した。
「その話ぜぇーったいに!僕以外にしちゃダメね!!上層部に知られたら体の良い道具として使おうとちょっかい掛けてくること間違いなしだ」
五条の忠告に頷く時量。
「わかった!おにーさん以外には話さない!!にしても……」
そこまで言って時量はとうとう叫んだ。
「また負けたぁ~!!!」
優君意外と強いよね。