白い青春   作:がくしゃ気取り

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夢を見ていた。


file4:懐かしい、あの場所

「ん、先輩何してるの。」

 

「シっ、シロコちゃん!?」

 

「?驚きすぎだと思う。」

 

「い、いやあ……。

 そんなことないよ?」

 

「本当に?」

 

「私は嘘つかない!」

 

「……なら、いいけど……。

 それより、次はどこまで行く?」

 

「うーん……しばらくはここでいいかな。」

 

「ん、分かった。」

 

——————————

 

「シロコちゃん、怪我大丈夫?」

 

「ん……大、丈夫……じゃない。」

 

「だよね……。

 しばらくここで寝ててね。」

 

「……先輩、どこ行くの……?」

 

「見回りだよー。

 ……(それに、シロコちゃんの誕生日プレゼントも……ね。)」

 

「ん……なんて……?」

 

「!なんでもないよ。

 それじゃあまた後でね、シロコちゃん。」

 

——————————

 

「……先、輩っ……!」

 

◆◆◆◆◆◆

 

「ん……」

 

夢を見ていた気がする。

 

『おはようございます、先生!』

 

「ん、おはよう、アロナ。」

 

アロナを横目にパソコンを起動する。

シッテムの箱のモモトークやパソコンのメールソフトには多くの通知が来ていた。

 

『ここ数日間、シャーレに関する噂もたくさん広まってるみたいですし、

 他の生徒達から助けを求める手紙も届いています。』

 

「それって良い事?」

 

『良い兆候です!私たちの活動が始まるということですから!』

 

「良かった。」

 

『ですがその中に……ちょっと不穏な、こんな手紙がありまして。』

 

「ん?」

 

アロナはそう言って机の中から3枚の紙を取り出した。

 

『これは先生に一度読んでもらった方が良いかなと。』

 

アロナが広げた手紙を私は読んでみた。

[newpage]

連邦捜査部の先生へ

 

こんにちは。私はアビドス高等学校の奥空アヤネと申します。

 

今回どうしても先生にお願いしたいことがありまして、

こうしてお手紙を書きました。

単刀直入に言いますと、今、私たちの学校は追い詰められています。

 

それも、地域の暴力組織によってです。

 

——————————

 

こうなってしまった事情は、かなり複雑ですが……。

 

どうやら、私たちの学校の校舎が狙われているようです。

 

今はどうにか食い止めていますが、

 

そろそろ弾薬などの補給が底を突いてしまいます……。

 

このままでは暴力組織に学校を占領されてしまいそうな状況です。

 

——————————

 

それで、今回先生にお願いできればと思いました。

 

先生、どうか私たちの力になっていただけませんか?

 

◆◆◆◆◆◆

 

「(アビドス……)」

 

私は少し前のことを思い出した。

 

『うーん……アビドス高等学校ですか……。

 昔はとても大きい自治区でしたけど、

 気候の変化で街が厳しい状況になっていると聞きました。』

 

なるほど、やっぱり極寒の地に……。

 

『どれほど大きいかというと、

 街のど真ん中で道に迷って遭難する人がいるぐらいだそうです!』

 

「ん!?!?!?」

 

遭難!?

アビドスで!?

街のど真ん中で!?

 

『あはは、まさか、そんなことあるんでしょうか……?

 いくらなんでも街のど真ん中で遭難だなんて……。

 流石にちょっとした誇張だと思いますが……。』

 

流石に噂だよね。

良かった良かった。

 

『それより学校が暴力組織に攻撃されているなんて……

 ただ事ではなさそうですが……。

 何があったんでしょうか?』

 

「なんでだろう……。」

 

もしかしたら、私の時と同じかもしれないし、

だとしたらロクなことにならない。

 

そうでなくとも、アビドスがピンチというなら。

 

「アロナ、アビドスに出張しよう。」

 

『すぐに出発ですか!?さすが、大人の行動力!』

 

「そのためにも、まずは準備をしよう。」

 

『かしこまりました!準備が終わり次第すぐに出発しましょう!』

 

私は荷物を引っ張り出したり探したりしながら、準備を始めた。

 

リュックに色々物を詰め込んで、食事のゼリーはお忘れず。

寒いだろうしマフラーは巻いておいて、先輩からもらったニット帽もしっかりと。

 

銃も手入れをして、諸々が終わったら後は盾を持って外へ……。

 

『先生!アロナを忘れないでください〜!』

 

「ん、ごめん……。」

 

シッテムの箱を忘れるところだった。

 

完全に準備を終わらせた私は、軽い上着を着てロードバイクに跨った。

そしてアロナのカーナビに従ってアビドスへ向かった。

 

ちなみに準備中、なぜかアロナに寒がりなのか聞かれた。

なんで……?

 

◆◆◆◆◆◆

 

アビドス到着から数日後。

 

私は上着もマフラーもリュックに突っ込んで自転車を押していた。

ニット帽だけはそのまま。

 

「寒がりなのかってそういうこと……。」

 

私の記憶に反して、こっちのアビドスはバカみたいに暑かった。

噂では巨大な砂漠もあるみたい。

 

「ゼリーは……もうない……。」

 

『これは……あれですか……?』

 

「ん、あれだね。」

 

アロナと2人でため息をついた。

 

「『遭難した……。』」

 

歩きすぎて疲れたので、道端に座り込むことに。

 

「飲み物……無いか……。」

 

残念ながら飲み物も無いみたい。

 

あれ、詰んだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

(キキーッ)

 

ん?

 

誰かの声が聞こえたと同時に、自転車のブレーキ音が響いた。

妙に聞き覚えがある……。

 

「……あの……。

 ……大丈夫?」

 

「……大丈夫……じゃないかな……凄い助けてほしい。」

 

そうして顔を上げた時、そこには……。

 

「あ、生きてた。

 道の端でぐったりしてるから、死んでるのかと。」

 

「実は……。」

 

頭は納得と混乱で埋め尽くされたけど、

できるだけ落ち着いて、なんでこうなったかの説明をした。

 

「……え?空腹と疲れで動けなくなった?」

 

(こくこく)

 

「……ホームレス?」

 

「そんなことない。」

 

もう少し説明を続けた。

 

——————————

 

「……えっと……。」

 

少女は立ち上がった。

私もそれに合わせて立ち上がった。

少し休憩したらかなり楽になった。

 

「用事があって数日前この街に来たけど、

 お店が一軒もなくて脱水と空腹で力尽きたと。

 ただの遭難者だったんだね。」

 

「ん。」

(こくこく)

 

そういえば。

 

「道中で店を見かけなかったけど……。」

 

「ああ。

 ここは元々そういう所だから。

 食べ物がある店なんかとっくに無くなってるよ。」

 

「なる……ほど……。」

 

私の知ってるアビドスとは少し違うみたい。

 

「こっちじゃなくて、もっと郊外の方に行けば市街地があるけど。」

 

「そうなんだ。」

 

ダメだ、同じ名前の別の場所すぎて何もわからない。

知らない場所であることを少女に伝えた。

 

「土地勘がない?

 ……なるほど、この辺は初めてなんだね。」

 

「そうだね。」

 

実質初めてではある。

 

「……ちょっと待って。」

 

「?」

 

そう言うと、少女は自分の鞄の中を探り始めた。

 

「はい、これ。

 エナジードリンク。」

 

鞄の中からそれを出して私に差し出した。

 

「ライディング用なんだけど……今はそれぐらいしか持ってなくて。

 でも、お腹の足しにはなると思う。」

 

「ほんとにありがとう……助かったよ。」

 

「えっと、コップは……。」

 

コップを探す少女をよそに、私はそのままエナドリをごくごく飲み始めた。

 

「……!

 ……それ……。」

 

「……ん?」

 

「……ううん、何でもない。

 ……気にしないで。」

 

そのままエナドリを飲み干した後、私は少女にお礼を伝えた。

 

「飲み物、ありがとう。」

 

「うん。」

 

すると、少女は私をまじまじと見つめ始めた。

 

「見た感じ、連邦生徒会から来た大人の人みたいだけど……お疲れ様。

 学校に用があって来たの?

 この近くだと、うちの学校しかないけど……もしかして……。」

 

少女はその名を口にした。

 

「”アビドス”に行くの?」

 

「……うん。」

 

私は頷いた。

 

「……そっか。

 久しぶりのお客様だ。」

 

「それじゃあ、私が案内してあげる。

 すぐそこだから。」

 

「ん、分かった。」

 

私は、少女と一緒に自転車に跨ると、そのままアビドスに向けて漕ぎ出した。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「あ、くれたエナジードリンクのペットボトル、私が始末しておくよ。」

 

「ん、ありがとう。」

 

因みにこの後、新鮮なアビドスの景色に見とれていたら思いっきり横転して、

少女におんぶで連れて行ってもらうことになったのは別の話。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「ただいま。」

 

「おかえり、シロコせんぱ……い?」

 

少しだけ沈黙。

 

「うわっ!?何っ!?そのおんぶしてるの誰!?」

 

「わあ、シロコちゃんが大人を拉致してきました!」

 

拉致じゃない。

 

「拉致!?もしかして死体!?

 シロコ先輩がついに犯罪に手を……!!」

 

死体じゃない。

 

「みんな落ち着いて、速やかに死体を隠す場所を探すわよ!

 体育倉庫にシャベルとツルハシがあるから、それを……。」

 

「「……。」」

 

私と少女……シロコは目を合わせた後、シロコは私を地面に落とした。

 

「いや……普通に生きてる大人だから。

 うちの学校に用があるんだって。」

 

「えっ?死体じゃ、なかったんですか……?」

 

「拉致したんじゃなくて、お客さん?」

 

「そうみたい……。」

 

じゃあ挨拶を……あ、でも私がシロコって知れたら困惑するか……。

アビドスではニット帽外さないようにしよう。

 

幸い、私は髪真っ白だし、少し長いし、耳が見えなければ大丈夫……だよね。

 

「えっと……どうも。」

 

「わぁ、びっくりしました。

 お客様がいらっしゃるなんて、とっても久しぶりですね。」

 

「そ、それもそうですね……でも来客の予定ってありましたっけ……。」

 

「連邦捜査部”シャーレ”担当顧問の先生、よろしく。」

 

その瞬間、教室に衝撃が走った……気がする。

 

「……え、ええっ!?まさか!?」

 

「連邦捜査部”シャーレ”の先生!?」

 

「わあ⭐︎支援要請が受理されたのですね!

 良かったですね、アヤネちゃん!」

 

「はい!これで……弾薬や補給品の援助が受けられます。」

 

良かった……で良いんだよねこれは。

私の時は支援が受けられなかったから……あ、そうか。

 

私の世界には”先生”が———

 

「あ、早く”ホシノ”先輩にも知らせてあげないと……あれ?ホシノ先輩は?」

 

……。

 

「ん、先生どうかした?」

 

「……あっ。

 いや、なんでもない。」

 

「?」

 

「委員長は隣の部屋で寝てるよ。

 私、起こしてくる。」

 

……まだ、生きてる。

 

分かってる。

私の知ってる先輩とは違う人だって。

 

でも……まだ生きてるんだ……良かった。

 

(ダダダダダダダダッ!)

 

「っ!」

 

「じゅ、銃声!?」

 

「!!」

 

お陰で現実に意識が戻ってきた。

 

「わわっ!?武装集団が学校に接近しています!

 カタカタヘルメット団のようです!」

 

これが噂の暴力団……の内の1つかな。

 

窓の外を見ると、かなり多くの数いるのが見えた。

 

「……学校の占領……。」

 

外で騒いでる声を聞く感じ、ここ、アビドスを占領しようとしているみたい。

 

考えてる間にも銃声が鳴り響く。

 

「あいつら……!!性懲りも無く!」

 

さてどうしたものかと考えていた……その時だった。

 

「ホシノ先輩を連れてきたよ!先輩!寝ぼけてないで、起きて!」

 

「むにゃ……まだ起きる時間じゃないよー。」

 

「(……ん?)」

 

「ホシノ先輩!ヘルメット団が再び襲撃を!こちらの方はシャーレの先生です。」

 

「ありゃ〜そりゃ大変だね……あ、先生?よろしくー、むにゃ。」

 

「よ……よろしく……。」

 

なんか……私の知ってる先輩というより、先輩の先輩に似てる……。

 

「先輩、しっかりして!出動だよ!装備持って!学校を守らないと!」

 

「ふぁあー……むにゃ。

 おちおち昼寝もできないじゃないかー、ヘルメット団めー。」

 

「すぐに出るよ。

 先生のおかげで、弾薬と補給品は十分。」

 

「はーい、みんなで出撃です⭐︎」

 

「私がオペレーターを担当します。

 先生はこちらでサポートをお願いします!」

 

「……あ、うん。

 分かった。」

 

「……。」

 

先輩が自分を見つめていたことに、私は気づいていなかった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「先輩、この人たち誰?」

 

「うん?

 ああ……、前の卒業アルバムね。

 ノノミ先輩たちは私が1年生の頃の卒業生なんだ。」

 

「そうなんだ。」

 

「……その後、すぐにあの襲撃が起きたんだけどね。」

 

「……そっか。」




シロ先世界の一部ネームドキャラの情報はどっかで出します。
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