精霊が切り札の世界で、俺だけ孤独に成り上がる 作:モナカパウマン
「しかしまぁ、おまえさえ良ければチルドレンに戻してやってもいい」
「はぁ?」
最初の前菜がやってくる。なんかよくわからんスープとサラダだ。
テーブルに並べられたスプーンとフォークを使って、それを優雅に食べ始める父さん。
しかし、今の俺にはとてもじゃないが食事などしていられる余裕はなかった。
「勝手にやめさせたのに今更戻れってか」
「当然だろう。精霊が使えなければ、闇のファイターとは戦えない。しかし今のおまえは違う。七曜の力を手に入れ、実力も申し分ないファイターと言える」
「断らせてもらう」
「……まぁ、そう言われるだろうと思っていたよ。何を勝手な、とな」
サラダをフォークで差し、口へと運ぶ父さん。
料理には罪などない。俺は食欲が湧かないながらもなんとか同じように食べ始めた。
うん、ストレスのせいか何の味もしない!!
「だがチルドレンに戻れば何かと有利だぞ?」
「具体的にはなんだよ」
「例えば、おまえが懸想している姫宮さんだって」
「別にしてねぇよ……!!」
仲の良い女の子には全員唾をつけてるとでも思っているのか、この父親は。
…………割とマジで有り得そうだな。
「そうか? だがあの子も20は年上の男と結婚させられそうだ」
「ふぅん……」
あいつ家のこととかぜんぜん言わないからな。
なんて考えている間に、新しい皿がやってきた。
なんなんだ、これは肉料理?
ソースの海に変な固まりが浸かってんな。
「精霊局局長の御曹司ともあらば、十分釣り合いになりそうだがな」
「チルドレンに入るなら口利きしてやってもいいって?」
「やぶさかではないな」
「もう黙ってろ」
俺はダン、と皿の中心にフォークを突き立てその塊を喰らった。
父さんはやはりなんというか人の機微がいまいちわかってない。
いや、寄り添おうとしているのはわかるがこんな出力になるのだ。
そんな俺の反抗に、父さんは肩をすくめてみせた。
「いますぐにでも、とは言わないよ。急な話だからな」
「そりゃあ、ありがたいね」
「しかしここはたしかに美味いが……今のところ、幸福度では母さんのほうが上だな。家庭料理の方が好みというか、まぁやはり愛情かな、うん。私も老いたものだ。ハハハ」
口元を拭きながら、思ってもいないような言葉を紡ぐ父さん。
そんなに家が好きならもっと帰ってきてるはずだろうが。
「メインデッシュもまだだろ」
「気に入ってくれたなら何よりだ」
……なんて言いながら、魚料理やメインデッシュ、デザートまでなんとか食べ終える。
父さんと喋ることはほとんどなかった。味も正直ぜんぜん覚えていない。
ちょっともったいないと思ったが、あの状況で料理を味わえるわけがないよな。
駐車場に戻ると、父さんが立ち止まった。
「タクシーを呼んだはずだがな……まだ来ないのか?」
「そんなすぐには来ないだろ。待たせるのも悪いし……俺は徒歩で帰るよ」
「ここからフリークスはそこそこの距離があるぞ。一旦、実家に戻るといい」
「アンタと一緒に帰りたくないね」
そんな反抗期的なことを言っていると、暗いはずの地下駐車場に突然炎のゆらめきが見えた。
その服装はモヒカンに、ドクロの黒Tシャツ……マッドヘイズの人間だ。闇の力もしっかりと感じられる。いや……なんなら珍走団してたときより、強くないか?
「くけけけーっ!! オイラは運がいいぜ。こんなところで……」
奴が、右腕にドライバーを装着すると周囲に黒い炎がほとばしった。
「精霊局の局長さんと出会えるんだからよぉー!!」
「下がってろ、父さん……!!」
そう言って、俺がドライバーを取り出そうすると、父さんが腕で静止した。そのまま詰襟を開いたかと思えば、内側に隠されていたドライバーを取り出し、右腕にセットする。
「いいや、私がやろう」
「なっ……!!」
「ちょっとぐらい格好をつけさせてもらうさ」
「「ファイト!!」」
そうして父さんと残党のファイトが始まった。
残党──マッドヘイズの扱うマッドブレイダー。
それは超速攻のデッキと言っていい。
コストをとにかく削減し、引き上げた攻撃力でぶち当たる。
反面、受けに回ると弱い。とにかくそういうデッキだ。
一方で父さんのデッキは────
「私は
6ターン目。駐車場の地面に日本刀が突き刺さる。
しかもシンプルにクリーチャーとして使った場合……
「へっ!! 攻撃力100のクリーチャー!? ただの雑魚じゃねぇか!!」
……そう、さほど脅威ではない。
さらに相手の場には既に3体のマッドブレイダー・デスリング。
「マッドブレイダー・デスリングで攻撃!!
マサムネが破壊され、貫通効果によって一気に2400のダメージが父さんを襲う。
さらに2体の追加攻撃──これが通れば、父さんの負けだ!!
「私は
「なにっ!? クリーチャーを速攻呪文扱いだと!?」
「ムラマサはこのターン破壊された
地面から生え戻ってきたマサムネが、デスリングの1体に突き刺さる。
突き刺さったデスリングは、Uターンして父さんの仲間になった。
「チッ!! それがどうした!! 残ったデスリングの効果で、そいつの攻撃力を減らし────破壊だ!! 1000のダメージを受けな!!」
それでも1000のダメージを受ける父さん。
やはりノリに乗ったマッドブレイダーは強い!!
「では、
再び地面から刃が出てきたかと思えば、追加で鎧武者まで現れた。
とは言え、内部に人は存在せず、代わりに青い炎が吹き上がっている。
「ムラマサの攻撃力は召喚したターン受けたダメージ分、上昇する」
元々の攻撃力が100だから……3500か!!
これならば、相手にターンを渡さなければやられることはない。
けれど、いったいどうやってこのターンで逆転するんだ?
「チィ……ターンエンドだぜ……!」
「私のターン、
すると、新たに現れた日本刀を鎧武者が装備した。
たしかハセベの効果は……
「そのままデスリングにアタックだ」
デスリングの効果は自分ターンにしか使えない。
今はただの2500のクリーチャーということ。
そのまま1体目のデスリングが鎧武者に真っ二つにされると、2500のダメージが相手に入る。そう、
「ハセベを装備していれば、倒した相手クリーチャーの攻撃力分、そのダメージを相手に与えられる。さらに敵を倒した時……一度だけ追加攻撃できる!!」
「合計5000のダメージだと!?」
「トドメだ」
「ひっ……か、勘弁してくれよっ……!!」
「そうしてやってもいいがね。闇のファイトというのはどちらかが負けないと終わらない」
「うわぁああああああああああああああああああああ!!」
鎧武者がそのまま2体目のデスリングを、二刀流で斬り殺す。
叫び声とともに相手は消滅し、カードが1枚だけ残った。
「グッドゲーム、とは言えないな。つまらんファイトだった」
父さんはそれを回収すると、ポケットに入れる。
何の感慨もなさそうに、それこそ流れ作業にように。
「さっきのはなんだったんだ? 闇の力だけならやたら強かったけど……」
俺が倒したマッドヘイズの連中よりも、はるかに闇の力が強かった。
もっとも使っていた戦術はさほど大したものとは言えなかったが……。
「大方、精霊局に裏切り者がいるのだろう。偶然とは思えん」
なるほど、精霊局に闇のファイターがいて、そいつが闇の力を渡した……?
それが父さんを狙っているわけだ。
「父さんも色々面倒そうだな……」
「だから信用できる部下を増やしたかったんだが」
こちらを見て父さんはふっと笑った。
そのままドライバーを再び、詰襟の内側にしまう。
「色よい返事を待っているよ」
そう言うと、タクシーも待たずに地下駐車場から歩き始めた。
この様子ではやってこないと判断したのか、それとも精霊局を呼ぶためか。
「………………………………やっぱ嫌いだな、あの人」
なんにせよ、俺は徒歩でフリークスまで帰るしかなさそうだった。
クリーチャー/速攻呪文 攻撃力100
①このクリーチャーは速攻呪文としても使える。使った場合【呪文】効果を適応する。
【呪文】
①自分クリーチャー1体に装備できる。
②
墓地の
クリーチャー/速攻呪文 攻撃力100
①このクリーチャーは速攻呪文としても使える。使った場合【呪文】効果を適応する。
②このクリーチャーの攻撃力は召喚したターン受けたダメージ分、上昇する
【呪文】
①このターン破壊された
②上の効果で
クリーチャー/速攻呪文 攻撃力100
①このクリーチャーは速攻呪文としても使える。使った場合【呪文】効果を適応する。
【呪文】
①自分クリーチャー1体に装備できる。
②破壊したクリーチャーの攻撃力分、ダメージを相手プレイヤーに与える。
③クリーチャーを破壊した時、もう一度だけ攻撃できる。