ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~ 作:閃幽零
10話 超イケメンで序列1位のダンジョン探索者、夜城院優聖。
応接室を出て、綾大路の後についていく。
通路は、どこまでいっても、無駄な装飾を排したシンプルな造りだったが、床にも壁にも、安っぽさは一切なかった。
いくつかの扉を通り過ぎて、たどり着いたのは、他の部屋よりもひとまわり厳重な、分厚い扉の前だった。
綾大路がカードをかざすと、重い音を立てて扉が開く。
中は、静謐《せいひつ》な空間だった。
部屋の中央に、台座に乗った『人の頭ほどの大きさの水晶』が置かれている。
水晶自体は透明に近いが、内側で、淡い光が生き物のようにゆっくりと揺れていた。
「さあ、さわってみてくれ」
綾大路に促《うなが》され、僕は水晶に手をかざした。
――うんともすんとも言わない。
「ご苦労。もういい。君はスキルを持っていない」
「……」
「恥じることはない。男の場合はだいたいそうだ。スキルを持っている方が珍しい」
綾大路のズレた発言を聞き流しながら、僕は思う。
僕はすでに『女子大生を安く買える』という至高のスキルをもっている。
だから水晶は無反応だっただけ。
……できれば、自衛用に『戦闘用のスキル』でも発現してほしかったが……
まあ、それは贅沢というものだろう。
僕は30円でいくらでも『優秀な傭兵(女子大生)』を雇えるという力をもっている。
それは間違いなく最強の力。
『この世で最も尊い僕』にふさわしい力だ。
★
その後、綾大路の案内で、僕とジョカは、ダンジョンの入り口へと向かった。
そこは、明らかに空気が違った。
物々しい装備に身を包んだ警備員が、廊下の左右に等間隔で立ち並び、
天井には、無数のセンサーらしき機器が仕込まれている。
ちょっとしたテロ対策施設よりも厳重な警戒。
その先に、両開きの、分厚い扉があった。
鈍い光沢を放つ金属製で、表面には、見たことのない紋様が刻まれている。
「あの扉から、ダンジョンに入ることができる。扉の向こうはモンスターの巣だ。化け物どもの中には、おぞましい魔法を使ってくるものもいる。スキルも武器も持たない者が、あの中に入るのは自殺行為」
「へぇ」
と、相槌を打ったところで、
その扉が、ゆっくりと開いた。
中から出てきたのは、一人の気色悪い男。
その両脇には、美少女と呼んで差し支えないだろう女が二人、まるで護衛のように寄り添っていた。
一人は、癖のある赤髪をハーフアップにまとめた、勝ち気そうな目つきの女。
もう一人は、対照的に、線の細い、儚げな茶髪ロングの女。
2人の美少女にはさまれた『キモい顔をした男』を指さして、綾大路が、
「あの美青年が、夜城院優聖《やじょういんゆうせい》。東大理三の首席という極めて優れた頭脳を持ち、肉体的にも身長180センチを超えていて強靭《きょうじん》、運動神経も抜群という、スペック的に完璧な男だ」
何が美青年だ。
アイドルによくいる整形ヅラだが、それ以上でもそれ以下でもない。
僕が、そんな風に夜城院へ『倫理的に正当な評価』を下していると、
夜城院が、まっすぐこちらに近づいてきて、
僕の隣にいるジョカに、
「ジョカ、考えてくれたか」
と、なれなれしく声をかけてきた。
僕の所有物であるジョカに、気安く話しかけないでほしいね。
ジョカは、ダルそうにあくびをしながら、
「バディを組む申し出なら、とっくの昔に断ったはずですけどぉ」
「序列1位の俺と、2位のお前がチームを組むことは、攻略の上でも、生存率を上げる上でも大きなメリットがある。危ない一匹狼はやめて、俺に背中を預けてくれ」