ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~   作:閃幽零

12 / 25
12話 腕を切られ、暴言を吐かれ、つばまで吐かれた。

 

 12話 腕を切られ、暴言を吐かれ、つばまで吐かれた。

 

 鍔迫《つばぜ》り合いの体勢のまま、

 夜城院は、ジョカに、

 

「どくんだ、ジョカ。その男は目が危ない。危険思想を抱いているようにしか思えない。この場で殺しておいたほうがいい」

 

「一般目線なら、その意見に賛成すべきなんでしょうけどぉ……わちは一般人じゃないですからねぇ」

 

 そう言いながら、ジョカは、力を込めるどころか、むしろ楽しむように、刃の角度を変え、夜城院の剣を受け続ける。

 金属の擦れる音が、何度も、何度も響いた。

 

 その間、僕は、右腕の激痛に涙を流しながら、

 どうにか上着を脱ぎ、歯を食いしばって、斬られた断面に、ぐるぐると、力任せに巻きつけていく。

 布地に、じわじわと赤い染みが広がっていくのを見つめながら、

 

「殺せぇえ! ジョカぁ! そのクソをどうにかして殺せぇ!」

 

 と、痛みに掠《かす》れた声で叫んだ。

 

 そこで、綾大路が、

 

「二人とも、じゃれ合いはそこまで。それ以上暴れるようだと、本格的に査問会にかける」

 

 と、鋭い声を上げた。

 

 その両手には、いつの間にか、黒光りする拳銃が握られている。

 二つの銃口は、まっすぐに、夜城院とジョカ、二人の眉間に向けられていた。

 手ブレの一つもない、慣れた二丁拳銃の構え方。

 この女、口だけの人間ではないらしい。

 

 夢中で鍔迫《つばぜ》り合いを続けていた二人が、ようやく、剣とナイフを引いた。

 

 夜城院は、小さく息を吐き、

 

「……ジョカに本気で邪魔をされたんじゃあ、そこの男を殺すことはできない。仕方ない。今日のところは引かせてもらう」

 

 と、あっさりと剣を鞘《さや》に収める。

 

 去り際、夜城院は、ゴミでも見るような目を僕に向けて、

 

「どうやってジョカを口説き落としたか知らないが……どうせ、よからぬ手でも使ったんだろう。催眠術でも使えるのか、いにしえの呪いか、それとも媚薬《びやく》でも使ったのか……わからないが、お前が女にモテるとは到底思えない」

 

「……ぼ……僕の腕を切り落として、その上で、侮辱《ぶべつ》する暴言の数々……こ、こんなことが許されると思うなよ」

 

 激痛に震えながらも、僕は、正義を叫ぶ。

 絶対正義である僕の腕を斬り飛ばした……

 夜城院優聖のギルティは、とてつもなく重い。

 

 そこで、夜城院は、心底うんざりしたような目のまま、僕を見下し、

 

「許されるさ。なぜなら、俺は夜城院優聖だから。お前とは違い、この世界で最高クラスの価値がある男だから」

 

「……ふ、ふふ……」

 

「何を笑っている。気でも触《ふ》れたか?」

 

 綾大路なんかどうでもいい……

 こいつだ……

 こいつは絶対に殺す。

 何が何でも、絶対に……。

 すべてを奪いとり、惨殺《ざんさつ》する。

 夜城院のような腐った悪を放置するのは、僕の正義が絶対に許さない。

 

 そこで、僕は、足元に落ちているネクラロリコンに、

 

「夜城院の取り巻きをしている女二人……購入だ」

 

 そう言いながら、斬られていない方の手で、ポケットに忍ばせている小銭をとろうとする。

 

 が、そこで、ネクラロリコンが、

 

「彼女たちは女子大生ではないので購入できません」

 

「……なっ」

 

「おいキショ男《お》……何を一人でぶつぶつ言っている」

 

 ネクラロリコンの声は、僕にしか聞こえない。

 選ばれた僕だけに届く神託《しんたく》。

 そう、僕は選ばれている。

 なのに……そんな僕に向かって……

 

「キショ……男……ふ、ふふ……ふふふふ……くくくく」

 

 本当に気が触《ふ》れるかと思った。

 ここまでの怒りを覚えたのは初めてだ。

 入試に失敗した時ですら、これほどの怒りは覚えなかった。

 

「ゆるさない……ゆるさない……ゆるさない……」

 

 心が沸騰する。

 生まれて初めての勢いで、激しく、強く、猛々しく。

 

「本当に、一挙手一投足が気持ち悪い男だな……絶対に殺しておくべきなんだが……」

 

 そこで夜城院は、あろうことか、

 僕の顔にペっと、ツバをはきかけてきた。

 

 頬を伝う、生温かい感触。

 

「なん……だと……」

 

 僕は、理解しきれず、固まってしまった。

 あまりの衝撃に、腕の痛みを忘れるほど。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。