ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~ 作:閃幽零
14話 僕の気高いエピソードを傾聴《けいちょう》せよ。
「ギルティレベルを注ぐことで強化できる」
「……ちっ。つまり、下手に強化しまくれば、いつまでたっても御子《みこ》を創れないということか……あちらを立てれば、こちらが立たず。厄介なスキルだ」
僕が、そんなことを考えていると、
黒服に連れられた二人がやってきた。
春風キヨと、賢崎スルメ。
どちらも、僕の所有物。
「え、その腕……いったい……」
キヨが、僕の右肩――包帯の下から、じわじわと血がにじんでいる箇所を見て、顔を青くする。
声が、わずかに震えていた。
「腕を切られたぐらいで、ごたごた言わなくていい。心配は不要。僕は、痛みには多少強いんだ。昔、トラックにはねられて死にかけたこともあるが、それでも、僕は泣かなかった」
と、僕が高潔で気高いエピソードを口にしている間、
スルメの方は、ジョカの姿を見つけて、ぶるぶると震えている。
ビビっている余裕があるなら、僕の腕を心配しろ。
君は僕の所有物だろうが。
何よりも僕を優先する義務があるだろうに。
まったく……
ため息をつきながら、僕は、スルメに、
「ジョカは僕の命令に絶対服従だ、無駄な心配はしなくていい」
その言葉に、スルメは、
「……う、は、はい……いや……でも……」
と、視線をジョカから離せないまま、上ずった声で答えた。
そこで、ジョカが、スルメの方に歩いていって、
「そんなにおびえなくていいですよぉ。ごしゅに命令されているから、手は出しませぇん。もっとも、あんたにはもともと興味ないですけどねぇ」
「ど、ど……」
「ん?」
「どうして……私の親を……殺したの……ずっと……ずっと、聞きたかった……」
声は震えていたが、目だけは、まっすぐにジョカを見つめていた。
「もしかして、何か理由があるとでも思っているんですかぁ? ないですよぉ」
「……」
「有名なセリフで、『今まで食べたパンの枚数を覚えているのか』というのがありますけどぉ……今のわちの心境は、その質問をされた時と同じですねぇ。意味わかりますかぁ? 別にわからなくてもいいですけどぉ」
と、そんなどうでもいいやり取りをしている二人に、
僕は、
「くだらないおしゃべりはその辺にして……スルメとキヨは、水晶の部屋にいってくれ。そこでスキルが手に入るらしいから」
僕のその言葉に、ジョカが、けらけらと笑って、
「やっぱ、ごしゅは最高ですねぇ。今のスルメちゃんは、かなりの決心をして、わちに質問したと思うんですけどねぇ。スルメちゃんの決死の問いをあしらうわちより、興味ゼロで切り捨てるごしゅのほうがやばいですよねぇ、ふふふぅ」
★
その後、二人は綾大路に連れられて、水晶の部屋にむかった。
その間、僕は、壁に背をもたれさせ、床に座り込んだまま待った。
止血はしているものの、出血自体は完全には止まっていない。
包帯の外側にまで、じわりと血の色がにじんでくる。
全身から、いやな脂汗が滲み、視界が、時折、ぼやけて二重になった。
「はやくしろ、グズでノロマなバカ女ども……死ぬだろうが……僕の命は、この世界全てより重いんだぞ……」
それから数分後。
通路の向こうから、足音が近づいてくる。
綾大路を先頭に、キヨとスルメが、こっちの部屋に帰ってきた。
腕の痛みと出血で、だいぶ朦朧としていた。
まともに顔を上げるのも億劫なほどだったが、それでも、綾大路の声だけは、はっきりと耳に届いた。
「信じられないが……本当に、春風キヨに、回復系のスキルが顕現《けんげん》し――」
「うるさい。そんなことはわかっている。それより、キヨ……さっさと回復してくれ……僕は痛みに強いが、痛みが好きなわけじゃない……」