ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~ 作:閃幽零
15話 ジョカのスキルがえぐすぎる。
キヨが、僕の腕に回復魔法をかけながら、
「正確には、回復系スキルというより、『幅広く魔法を覚えられるスキル』なんですが、その中でも回復系の魔法が得意……という感じなんです」
獲得したスキルについて教えてくれている。
「それは素晴らしいじゃないか」
「光栄です」
僕は、切り落とされた腕の断面を、肩の断面へと押しあてる。
キヨの手のひらから、淡い光がにじみ出した。
その光が、傷口の輪郭をなぞるように這い、断面と断面の間に、じわりと染みこんでいく。
骨が、肉が、血管が――バラバラだったものが、引き寄せられるように繋がっていく感覚。
やがて、継ぎ目のあたりが、かすかに熱をもって疼《うず》いた。
……くっついた。
僕は、恐る恐る指を動かしてみる。
ぴくり、ぴくりと、指先が応えた。
「褒めてやるぞ、キヨ。さすがは僕の所有物だ」
「ありがとうございます」
キヨは、比較的従順だから助かる。
なにかとおびえまくって使い物にならないスルメや、
サイコすぎてキモいジョカとは大違いだ。
キヨの話によると、
スルメの方は『解析系スキル』を獲得したらしい。
実にハッカーらしい。
なんでも、相手の弱点や能力がわかるようになるとのこと。
まあ、悪くないだろう。
キヨもスルメも、僕の配下としてギリギリ合格といったところ。
そこで、僕は、ジョカに、
「ジョカのも聞いておきたい。君のスキルはなんなんだ?」
「わちのは『日によって変わる』というスキルですねぇ」
「…………なんだって? 日によって……かわる?」
「毎日0時に、メインスキルがランダムな別のスキルに変わるんですよぉ」
「ジョカらしい、厄介なスキル……と言えるが……よく、そんなギャンブル性の強いスキルで、S級まで上り詰めることができたな。ランダムとはいっても、超越的なパワーをもったスキルばかりになるのか?」
「ゴミみたいなのも結構でますよぉ。『汗が出なくなる』とか『速読できる』とか」
「……本当にゴミだな。速読は悪くないが……戦闘ではクソの役にも立たない」
と、そこで、綾大路が、
「ジョカのスキルは二つまでストックすることができる。要するに、彼女は、一日に、最大で3つのスキルを活用できるということだ」
「……ほう。それはすごい。仮に、メインスキルがゴミでも、ストックスキルでカバーできるし……メインスキルが大当たりの日は、とんでもないスペックになるということか」
綾大路はうなずいて、
「その通り。彼女のスキルは破格……破格……なのだが……」
そこで、彼女は頭を抱えてしんどそうな顔をした。
なんだ?
なぜ、そんな苦々しい顔を……
もしかして、と思い、
僕は、ジョカに、
「君が今ストックしている二つのスキルを教えてくれ」
「一つは『比類なきパワーとスピード』ですねぇ。文字通り、身体スペックが爆発的に向上する汎用性抜群のスキルですぅ」
「シンプルだが、結局、そういうのが一番強いな。……もう一つは?」
「もう一つは『名字が田中になる』ですねぇ」
「……はい? 名字が……田中……」
そこで、綾大路が、ため息をついて、
「文字通り、スキルを使用すると、名字が一時的に田中になるというものだ」
「だ、だから何だというんだ……」
綾大路が、頭をかきながら、ため息交じりに、
「お察しの通り、意味はない。一応『スキル使用中、近くに田中姓の人間がいると、少しだけ元気を分けてもらえる』という効果はあるが……上昇効果は微々たるものだ。体力が、近くにいる田中一人につき1パーセント上がるとか、その程度」
「な、なぜ……そんなゴミみたいなスキルを……」
僕の問いに、ジョカは満面の笑みで、
「だって、面白いじゃないですかぁ。絶対に笑いをとれますよねぇ。今まで、山ほどゴミスキルを見てきましたけど、ぶっちぎりで一番ひどいですよねぇ、これぇ、ふふふぅ」
な、なるほど……
綾大路が頭を抱えていた理由はこれか。
そこで、綾大路が、
「彼女のランダムチートは、『有益なスキルが選ばれること』も多いから、そんなゴミみたいなスキルは捨てて、もっといいものをストックしてくれ……と、再三、注意をしてきたが……」
「言うことを聞くようなやつじゃない……と。本当に変な女だ」
「ごしゅと比べたら、わちなんてまだまだ青いひよっ子ですよぉ」