ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~ 作:閃幽零
16話 レベルが足りない。
キヨの回復が終わったところで、僕は、右手を握ったり開いたりしてみる。
「一応、動くが……」
握った拳に、鈍い痺れが残っている。
指先も、思うように曲がらない。
薬指に関しては完全に無反応。
「申し訳ありません……私のレベルだと、これが限界で……」
キヨが、申し訳なさそうに、うつむいた。
そこで、僕は、綾大路に、
「この不完全な治療は、キヨのレベルが低すぎるからと考えていいんですか?」
「ああ、その通りだ。彼女のレベルは現状だと5。レベル5程度の魔力では、治療できる範囲にも限界がある」
「レベルが上がれば、回復力も上がる……そう考えていいですね」
「ああ」
完璧な治療とは言えないが、ひとまず、腕は使える状態になった。
キヨ自身のレベルを上げれば、この後遺症もいずれ消えるだろう。
もともとそのつもりだったが、
今後、キヨには、ダンジョンで、
馬車馬《ばしゃうま》のようにモンスターを殺してもらう。
そうすれば、僕のギルティレベルが上がるし、
腕も完治できる。
★
その後、綾大路から、探索者としての仕事内容について、説明を受けた。
職務は極めてシンプルだった。
「基本的な目的は、ダンジョンを探索し、最下層を目指すことだ。現在、我々が把握しているのは、地下5階まで」
「最下層は地下何階?」
「一切不明。正直、何も分かっていないのが現状だ」
「ちなみに、最下層を目指す理由は?」
綾大路は、手元の資料に視線を落としながら、
「はるか太古に発見された、『予言の書』というものがある。それによれば、最下層にたどり着かなかった場合、人類は死滅するとされている」
「……死滅? 具体的にどうなって?」
「わからない」
「期限は?」
「それも、記されていない」
「……めちゃくちゃアバウトな終末予言ですね。ノストラダムスでも、さすがにもう少し具体的だったんじゃないかな?」
僕は、思わず、あきれてしまう。
こんな曖昧な予言のために、女子大生を使い捨てながら、地下に潜っているというのか。
まったく、愚かしいこと極まりないな。
どこかで必ず粛正してやる。
そのためにも、地位と力を手に入れないと……
★
綾大路から説明を受けている途中で、ネクラロリコンから、新たな情報が告げられた。
「購入した女子大生だけではなく、ゼンドウトクシン自身がモンスターを殺すことでも、ギルティレベルを上げることができます」
「……ほう」
王自身が自ら死地におもむくのは愚の骨頂。
しかし、前線に立つことで味方の士気を上げるというのも王ならではの仕事。
最終的に、僕自身の力をナンバーワンの領域までもっていって……
この手で直接、夜城院を殺すというのもありか。
というよりも、それこそが最も美しい。
天に選ばれた僕なら、すぐに最強になれるだろうし。
最悪、ケガをしても、キヨに治してもらえるし、
パーティにはS級のジョカもいるから、深部に潜らない限り、
そうそう死ぬことはないだろう。
色々と考えた結果、
「よし……一度、試しに、ダンジョンに入ってみるか」
「……お、やる気ですねぇ、ごしゅぅ。がんばってくださいねぇ」
どこか他人事《ひとごと》のような返事に、僕は、少しだけムッとしながら、
「君も来るに決まっているだろう」
そこで、僕は、キヨとスルメにも、視線を向ける。
「キヨ、スルメ。君たちにも当然同行してもらう」
「……は、はい」
「わ、私も……ですか……あの……まだ、心の準備が……」
「もしついてこないのであれば、僕はもう二度と、ジョカから君を守らない」
「え……えぇ……わ、わかりました……いきます……」
スルメが、ぶるぶると震えながら小さく頷いた。
こうして、僕、キヨ、スルメ、ジョカの四人で、ダンジョンへ向かうことになった。
初めてのダンジョン探索。
……少しだけわくわくしている自分がいる。
僕も、まだまだ若いな。