ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~ 作:閃幽零
18話 僕の内臓が炸裂したぁああああ!
――ガキィン!
衝撃音が響いて、剣が弾き返された。
この鬼の体……ムチャクチャ硬いぃ!
腕が痺れて動かなくなる。
「い、痛ぇ……」
その隙をつかれて、
「キギャァ!」
鬼に腹部を蹴飛ばされた。
メキメキブチィ! という、とんでもない音がする。
小柄な見た目に反して、腕力はゴリラなみだった。
僕の身体は、あっさりと地面に転がる。
「ぎゃああああああ!! キヨ! 回復だ! 回復しろぉ! はやくしろぉおお! 僕が死んだらどうするぅううう!」
キヨが慌てて駆け寄り、
「治癒ランク1」
回復魔法をかけてくれる。
「ぐぅう……痛みが、引かないぃ……痛いぃいいい……」
燃えるような激痛は鎮まったが、
強い筋肉痛のような、じんわりとした痛みが残る。
「脾臓と、肝臓……両方、傷ついてる感じがします……お腹の張りと、内出血の反応があるので……肋骨も折れてるかと……切れた腕をくっつけるよりも、これを治す方が難しいです」
「ど、どうでもいい解説はいらないから……とにかく、な、なんとかしろ、キヨ……」
「すみません……今の私だと、これが限界で……」
僕がのたうち回っている間に、
ジョカが、腰のホルスターからナイフを抜き、
サッと一撃で、鬼の首を刈った。
鬼は、声も上げずに崩れ落ちる。
「くくくぅ、大丈夫ですかぁ、ごしゅぅ、くくく……くくくぅ」
何が面白いんだ、このサイコめ。
その『おかしくてたまらない』みたいな笑い声は、どういうことだ。
ブチ殺してやろうか、と思ったものの……
……まあ、でも、ジョカの強さは正直助かる。
僕は極めて合理的な男だから、
屈辱よりも利益と向き合うことができるのだ。
ジョカも、いずれ殺すが、
今のところは便利な道具として使いつぶさせてもらう。
「……ふ、ふん。まあまあの強さだな。やはり、ずっと戦い続けてレベルが上がっている女は強いということか。僕もレベルを上げれば――」
「あの程度の鬼は、初めてダンジョンに潜った時から、一撃で殺せましたよぉ」
「……」
ま、まあ、僕は頭脳担当の指揮官だからな。
脳筋サイコとは初期ステータスからして方向性が違うというだけ。
僕が優れているという『絶対的な事実』はわずかも揺るがない。
などと思っていると、
背後で、スルメが、小さく震える声で、
「……あ、相手の実力……見誤ってました……ごめんなさい……」
「見誤った? レベル3ではなかったのか?」
「あ、いえ……レベルは3でしたけど……ふぃ、フィジカルの基礎ステータスが……人間より高いみたいなので……もっと……あの……その……警戒するように言っておくべきだったと……反省したというか……」
「じゃあ、見誤ったというのは言葉として全く不適切だろうが。頭が悪いな。……あと、イラつくから、その喋り方、どうにかしてくれないか。それでも僕の所有物か、まったく」
「す……すいません」
「僕の所有物なら、高貴さと優雅さを兼ね備えてもらいたいものだな!」
「す、すいません、すいません……っ」
と、ひたすらに謝り続ける無様な彼女に辟易《へきえき》する。
なぜ、僕の周りにいる女は、欠陥品ばかりなんだ。
頭おかしいサイコに、
低レベルなヒーラーに、
おどおどしたバカ……
僕は、なんでこんなにも不幸なんだ。
高潔な善行しか積んでいないのに。
なぜ、世界は、もっと僕を愛してくれないんだ……
★
その後も、ダンジョンを進んでいく。
腹部の痛みが、じくじくと続いている。
歩くたびに、内側から何かがきしむような、嫌な感覚があった。
深く息を吸うと、余計に痛む。
だから、僕は、脂汗にまみれ、浅い呼吸を繰り返しながら、みんなの後ろをついていく。
「……くっ……」
時折、思わず声が漏れる。
キヨが何度も回復魔法をかけ直してくれているが、痛みは、ほんのちょっと薄れていくだけだった。
治癒ランク1の魔法では、どれだけかけ続けても、完治はできないっぽい。
「痛いぃ……くそぉ……なんで、この世で最も偉大な僕が、こんな目に……」
……鬼に腹を蹴られて以降、僕は一度も戦闘には参加していない。
そもそも、僕は指揮官だから、剣を振るのは間違っている。
王たる者が、いちいち前線に出て戦っていては、示しがつかない。
僕が戦わなくても、問題は何もなかった。
順調に、探索は進んでいる。
いくつかの部屋を抜け、何度か、鬼型とか虫型とか魔獣型のモンスターと遭遇したが、
その度に、ジョカとキヨとスルメが、うまく処理していく。
彼女たちが一定数のモンスターを倒すたび、
ネクラロリコンが、
「ギルティレベルが上がった」
と報告してくる。
ギルティレベル0からはじまって、すでに7回ほどこの報告を聞いているから、今、僕のギルティレベルは7ということになる。
何レベルから、女子大生と『神聖な儀式』を行えるようになるのか、早く知りたいところ。
ちなみに『普通のレベル』は5のまま。
こっちも上げたいところだけど……今日のところは勘弁してやろうと思う。