ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~ 作:閃幽零
最終話 無敵で究極の狂人。
僕が盾をしている間に、
キヨが、ようやくスルメのもとに辿り着く。
「治癒ランク3!!」
キヨの手のひらから、これまでよりも強い光が放たれ、スルメの傷を包み込んでいく。
スルメの荒い呼吸が、少しずつ、落ち着いていくのがわかった。
生死の境から帰ってきたスルメが、
「あ、ありがと……も、もう……だいじょうぶ……」
と、かすれた声で、絞り出すように言った。
まだ動けそうにはないが、あの様子だと死にはしないだろう。
「あぶねぇ……よかったぁ……」
僕が、ホっと一息ついていると、
そこで、ジョカが、
「はい、これで、足は最後ぉ!」
傷ついたクモの、最後に残った足の付け根に、一気にナイフを突き刺した。
クモの巨体が、大きく震え、
そのまま、耳障りな叫び声を上げながら、地面に崩れ落ちた。
無防備になった体に、
ジョカは、
「はい、とどめぇ! メテオビーストぉ!!」
拳にオーラを集めて、そのまま思いっきり、クモの胴体を殴りつけた。
ダンジョン探索中に聞いたのだが、あの技は、ジョカのストックスキル『比類なきパワーとスピード』の『スキル2』で、『一時的に、パワーとスピードを普段のバフよりもさらに高めて放つ必殺の一撃』らしい。
ジョカのメテビを受けた瞬間、クモの体が、ぱんぱんに膨らんだ風船に針をさしたみたいに、パアンとはじけた。
肉片や体液が、あたり一面に飛び散り、静寂が戻ってくる。
完全に、クモが死んだのを見て、
僕は、
「……よかった……死なずに……勝てた……よかった……」
安堵した瞬間、
支えていた膝から、力が抜けた。
僕は、そのまま、後ろに、ゆっくりと倒れていった。
★
目を覚ますと、そこは、真っ白な病室だった。
点滴の管が、腕に繋がれている。
全身に、包帯がぐるぐると巻かれていて、動くたびに、あちこちが軋むように痛む。
それでも、命に別状はないらしい。
「気がついたか」
声のする方を見ると、綾大路が、椅子に腰かけて、僕を見ていた。
いつもの、辛辣な目つきとは、少し違う。
「……ここは?」
「300人委員会が所有している、専用の病院だ。……君のおかげで助かった。礼を言う」
珍しく、素直な言葉だった。
少し、気まずそうに、視線を、窓の外に逃がしながら。
その後ろから、包帯を巻いた腕を吊った状態の夜城院が、ベッドに近づいてくる。
「誤解していたよ、善道徳心《ぜんどうとくしん》。お前は、ただのヤバいヤツではないらしい。あの根性は見事だった。ジョカがお前に惚れたというのは、いまだに信じられないが……絶対にないことではないのかもしれない、とは思ったよ」
そう言いながら、僕から目をそらすように、頭をかいて、
「礼を言っておく。おかげであのクモを倒せた。お前はすごい」
うるさい、死ね。
お前っていうな。
ゼンドウさんと呼べ、カス。
ちょっと殊勝になったからといって、許してもらえると思うなよ。
お前は絶対に殺す。
凄惨に殺す。
……だが、ここで、その殺意を表に出すほど、僕はバカじゃない。
「スゴイと言ってもらえてうれしいよ、夜城院優聖。あんたもすごい男だ。これから、ぜひ、仲良くやっていきたいな」
「……ああ、よろしく。あの凶悪なダンジョンは、探索者全員で協力しないとクリアできないだろう。お前の力にも期待している」
……ちっ。
だから、お前っていうな。
見下されているようでイラつくんだよ。
カスが。
絶対に殺すから、覚悟しておけ。
……と、そこで、車椅子に乗ったスルメが、
キヨに押されて、病室に入ってきた。
僕の近くまでくると、彼女は震えながら、
「あ、ありがとう……ございます……ご主……ゼンドウさんがいなかったら……死んでいました……ずっと、ずっと、助けてくれて……ほんとうに……」
目に涙をにじませながら、深く頭を下げてくる。
「わかっているなら、もういい。感謝なんか意味ない」
それで子作りにつながるならともかく……
感謝されようが、どうしようが、こっちにメリットなんか何もない。
ありがとう、ありがとう、としつこく言われたって鬱陶しいだけだ。
1円にもならない。
★
全員が帰って、静かになった病室で、僕はこれからのことについて考えていた。
「最大の問題は、購入した女と命がつながっているという点だ」
やばすぎる。
へたしたら、購入した女が事故や病気で死んでも、僕は死ぬってことじゃないか……
くそが……これじゃ、安易に女子大生を買えない……
そこで、すぐ横のテーブルの上に置かれているネクラロリコンが、
「スキル3『下僕になる』の効果を応用することで、購入した女子大生の致命ダメージを肩代わりすることもできます」
そんなことを言い出した。
「……ほう。それは、つまり……もし、買った女がトラックにはねられたら、そのダメージが僕にくる……ということか」
「そういうことです」
僕は、頭の中で、指を折りながら、計算を始める。
「仮に100万人の女を買ったとしたら……おそらく、年に数回……最悪の場合、月に数回……そういうダメージが飛んでくる可能性もあるな……全員をダンジョン探索者にした場合、もっと多くの頻度で、致死ダメージが飛んでくる可能性がある……」
天秤にかける。
それを受け入れられるかどうか。
痛みか、御子《みこ》の数か……
色々と考えた結果、
僕は、
「御子を大量生産する方が……価値が高い」
と決断する。
「心配ない。……僕の心は絶対に折れない。絶対的な正義の化身である僕は……無敵の存在であり続ける」
心の底からそう信じることができる。
いや、信じるとか信じないじゃない。
それが事実だ。
「覚えていろよ、夜城院……綾大路……そして、世界よ……僕は必ず復讐を果たす。無敵で究極の力を持つ僕を怒らせたことを……地獄の底で後悔するがいい」
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・あとがき
イカれたクズ野郎の物語、少しでも楽しんでいただけたでしょうか(*^▽^*)
今回は、けっこう、短くすっきりとまとめさせていただきました(#^.^#)