ゼンドウ~鬼畜スキル『女子大生を安く買える』が最低過ぎて尊い。30円で購入したチート女子大生軍団でダンジョンを蹂躙する勘違いピカレスク~ 作:閃幽零
3話 犯罪王に僕はなる!
「春風キヨ……きみは、今日から死ぬ気でハッキング技術を磨け。犯罪していくなら、IT技術は必須だ。僕は理数系が少しだけ苦手だから、ネットスキルは得意な人間にまかせる」
「私も、とくにネット方面が得意というわけでは――」
「僕は、いずれこの世界に王になる、絶対正義の神。僕に必要なのは帝王学であって、クラックの技術じゃない」
「……はぁ」
「御子《みこ》を創造できないのであれば、君と一緒にいても意味はない。さっさと帰って、僕の役に立つための勉強を開始したまえ」
「……」
「何をしている。はやく――」
「おそらく、パソコンの勉強というのは……止められるかと」
「とめられる? 誰に?」
「……母に……」
そこで、僕は彼女の家の事情を聴いた。
いわゆる毒親で、子供の全てを管理したがるモンスターとのこと。
「私は……物心ついた時から、何かを自由にできたことはありません。100点をとっても……当たり前だと。褒めてもらえたことは一度もありませんでした。……私はずっと……母に……褒めてもらいたかった……」
彼女の身の上話など、心底どうでもよかった。
そんなことより、くだらないモンペの自己愛なんかで、僕の覇道を邪魔されるのが我慢できない。
「殺すか? そうすれば、ギルティレベルも上がるだろう。……だが、完全犯罪でなければつかまってしまう……日本で殺人の完全犯罪は……さすがに厳しいか……」
僕は、その場でうろうろしながら、色々と考えた。
「キヨ……お前の母親、なにか弱みとかないのか?」
「実は……お母さんは不倫しています」
「ほう。それはいい情報だ。詳しく話してもらおう」
「3年ぐらい前から様子がおかしくて……一度、あとをつけたことがあるんです。そしたら、私の家庭教師の先生と……」
「いい情報じゃないか」
そこで、僕は少しだけ考える。
「素晴らしい名案が浮かんだ。やはり僕はとてつもない天才だ」
ニタリと笑ってから、
「家に案内しろ。僕が、君の母親と話をつける」
「母は……人の話になど耳を傾けません。今までも、ずっと……担任とか、ほかの家庭教師とか……色々な人が母と――」
「うるさい。王の言葉に耳を傾けないゴミは粛正《しゅくせい》するだけのこと。さっさと案内しろ」
★
ついたのは、そこそこのマンションだった。
大金持ちってほどじゃないが、決して貧乏人ではない。
僕がチャイムを鳴らすと、
ケバい女が出てきた。
僕の嫌いなタイプの香水をつけている。
これだけでも、斬首してやろうかと思ったが、グっとこらえる。
「あなた、誰?」
ゴキブリを見るような目だった。
今の僕と同じ目をしている。
「そんなことはどうでもいい。それより、あんたが不倫していることを、この場で大声で叫ばれたくなければ、僕とキヨを中にいれて、話し合いに応じろ」
「……きもちのわるい……」
キヨの母親は、おぞましいものを見るような目でそうつぶやいた。
気持ち悪いのはそっちだろう。
不倫をしているクズが。
ババアは、キっと僕をにらみ、
「警察を呼ぶわよ」
「呼べばいい。警察がくるまでに、近隣《きんりん》住民全員が、あんたの痴態《ちたい》を知ることになるだろう。明日からスター扱いされることだろうよ。よかったじゃないか。承認欲求をこの上なく満たせる」
「……」
「話し合いに応じろ。金を出せとは言っていない」
「……面倒ね……」
★
リビングのテーブルを挟んで、僕はキヨと並んで腰を掛けた。
対面には、彼女の母親。
お茶は出てこない。
別に構わない。
この女の淹《い》れた茶などゲロ以下だから。
「単刀直入に言う。今後、彼女の身柄は僕が引き取る。あんたがどこの男に股を広げていようと興味ないが、キヨと僕の邪魔だけはするな」
「あなたは……キヨのなに? まさか彼氏だなんて言わないでよ、きもちわるい」
「彼氏なんかではなく、僕はもっと高次の存在なんだが……不倫をしているような下劣な罪人では理解できないだろう。言っておくが、僕は、犯罪者が嫌いだ。できることなら、すべての犯罪者を滅殺《めっさつ》してやりたいと思っている。倫理に反した咎人《とがびと》であるあんたを前にして、僕が殺意を抑えていられるこの状況を奇跡と思え」
「……なに、この男……本当に気持ち悪い……うぇ」
ハンカチで口元を抑えて、吐きそうな顔をするババア。
罪人である彼女は、まぶしいばかりに正義の光を放つ僕のオーラに耐えられない模様。
「端的に言おう。……彼女にはこれからハッカーになってもらう。それ以外の勉強は必要ない」
「あなた、頭おかしいんじゃない? なによ、ハッカーって……バカみたいなこと。……ほんとうに、なんで、そんなに気持ち悪いの。今まで見てきた人間の中で一番醜悪だわ」
「いい歳こいて、不倫している毒親モンペババアよりはマシだ」
「あなたね! いい加減にしたらどう! 最初からずっと、あまりにも無礼だわ!」
僕の言葉に、ババアは顔を真っ赤にして震えた。
醜《みにく》いザマだ。
汚らわしい。
なぜ、世界の王になるべき僕が、こんな妖怪と言葉を交わさなければいけない。
「事実を言われてキレるとは、これだから倫理観が足りないメス豚はいやなんだ。おぞましい」
僕は、心底からのため息をついて、
「パソコン関連の知識もあった方が、キヨの未来のためにはなるだろう。今の世の中、ITに乗り遅れたやつから損をする」
「……ぁ、あなたのやっていることは脅しよ。このあと、正式に弁護士と相談して、法的に対処させてもらうからそのつもりで!」
「脅し? あんたはアホか? 僕は、キヨの所有者として、『キヨがパソコンの勉強をするのを邪魔するな』と言っているだけだ」
「……」
「気に入らない目だ。ずっと。僕をそんな目で見てタダで済むと思うな」
そこで、僕はキヨに、
「春風キヨ……命令だ。母親を殴れ。今までの人生の恨みを拳に込めろ」