ブルナの背に乗り、ルカは帰宅の途についていた。
村から町までがだいたい一日。
町でまる一日過ごし、今こうしてまた一日かけて、村へと戻る。
天気にも恵まれ、ブルナでの遠乗りはルカにとって、この上ない喜びだった。
頼まれた町での用事は、滞りなく済んだ。
帰る前に、この町の商人の店で見習いをしている、息子のマグナスの様子をみてくるように、とイライアスから頼まれていた。
マグナスとは初対面だった。
イライアスの線をさらに細くしたような大人しい青年で、ルカと年は近かった。
「すごいな……大会で、優勝したって聞いたよ」
そうルカに言った様子は、他の青年たちとは違って、心から感心しているようだった。
「それに仕事の覚えも速いって、父上が手紙に書いていたよ。いっぱい、比べられて……『お前も、ルカを見習え』って。妹も、君のことばかり書いてきたし」
ルカは恐縮するしかなかった。
だが、マグナスからは嫉妬や悪意が全く感じられなかったので、不思議な気持ちになった。
シヴァ以外は、同世代の友人というのがルカにはおらず、こうして言葉を交わすというのも珍しかったからだ。
「大会にも優勝したし……いっそ、君のことを後継ぎにしたいような、言い方だったよ」
「いや……俺は、商売のことは全然わからないし。剣じゃ、村をおさめられない。やっぱり、金を産むのは商売だから、君の方がふさわしい」
本心で、ルカはそう答えた。
マグナスは、ルカにイライアスへの手紙を預けると、帰路の無事を祈ってくれた。
彼とは共通点はあまりないが、親しくなれないにしても、うまくやっていけそうな気がした。
大会で優勝したことはいまだにルカの心にひっかかってはいた。
シヴァはますます、次期当主になることを促すようになったし、ルカの知らないところで、彼のようにルカを次の当主に担ごうとする者たちが出てきているという、噂も耳にした。
しかし、自分はまったくもってそんな気はない。
イライアスとの関係も順調で、何より彼からこうしてブルナを贈ってもらえて感謝している。
ルカにとっては、多少のやっかいごとがあるものの、物事はうまくいっていると感じていた。
うまくいっている、といえば、イライアスから頼まれた用事を無事すませたあと、町でルカはとある男と落ち合った。
シヴァの知り合いで、手紙の受け渡しをしている男だ。
ルカが母の弟に手紙を出し、その返事を彼が預かっているので、受け取りに行ったのだ。
手紙には、ルカと連絡がとれて嬉しいと書かれていた。
以前、シヴァ宛ての返信にも書かれていた通り、ルカを家族の一員として、いつでも歓迎すると。
ルカが問い合わせた、帝国軍への従軍の件も、族長と話をつけてくれると書いてあった。
それを読んで、ルカの目の前がぱっと開けた感じがした。
もうしばらく、冬のあいだはイライアスの手伝いをしよう。
そうしたら、馬の恩は返せるだろう。
そして春になったら、沿海州へ向かおう。
ゼルダにとっても、きっとよいはずだ。誰も彼女になにが起こったかは、そこでは知らない。
新しい場所で、しがらみを忘れて、全てを一からやり直す。
そう思うと、かつてない程、自由ですがすがしい気分となった。
ゼルダに話すのが待ちきれない——ルカはそう思い、帰路を急いだ。
その日の夕方、ルカは村に到着した。
真っ先に、ゼルダのところへ帰りたかった。
だが、イライアス宛ての手紙を商人やマグナスから預かっていたし、報告もあったので、とりあえずはイライアス宅へと向かった。
ルカがイライアスの執務室に通されると、彼に近い男が一人いた。
ルカをよく思っていないことを、隠さない男だ。
それでも当主の前では、抑えるのが常だった。
今日は、抑えなかった。
あからさまに嫌な顔をして、何も言わずに部屋を出ていった。
「首領、戻りました」
「ああ、ご苦労だったな。お前が行ってくれて、助かった」
ルカは早速、預かっていた手紙をイライアスに渡す。
彼の態度は、いつもと変わらないように思えた。
「マグナスにもよくしてもらいました。店の大旦那にもだいぶ信頼されているようで……とても、頑張っているようでした」
「おお、そうか。あいつにお前を会わせてやりたくてな」
「首領、カリナは?」
いつもこの時間、イライアスの家に行くと、カリナが玄関の戸を開けるのが常だった。
そうでなくても、ルカが訪ねてくれば、必ずその部屋に来るのだが、今日はいない。
笑顔だったイライアスは、表情を曇らせた。
「……ああ、予定より早く奉公に行かなければならなくなってしまってな。先方の都合だ」
カリナが奉公へ行くのは、来週になってからのはずだった。
ゼルダとの勉強はすでに終わっていたが、カリナが出発する前に、ルカと三人で夕食を食べよう、ということになっていて、ゼルダがとても楽しみにしていた。
最初、ゼルダがさぞかしがっかりしていることだろう、と心配になった。
そのあとに、慌ただしくも出発しなければならなかったであろう、カリナが気の毒になった。
「そうでしたか……出発する前に、会えなくて残念でした。マグナスからもよろしく伝えるようにと、頼まれてたので」
沈んだ表情のまま、イライアスはルカの方を向く。
「ゼルダには会ったか?」
「いえ……まだ、これからです」
「そうか……早く、行ってやれ。だいぶ不安定になっているようだった……なるべく一人にさせない方がいい」
そう聞いて、ルカはぞっとした。
カリナのことで、ショックをそんなに受けたのだろうか……。
ルカはイライアスに礼をすると、彼の家を足早に立ち去った。
「ただいま……」
家に着くと、だいぶ日が落ちているというのに、灯りがともっていなかった。
ルカは台所でろうそくを灯し、寝室へと向かった。
ゼルダが肩を落とし、ベッドの端に腰掛けていた。
近づくと、顔に涙のあとが伝っていた。
「カリナのことはきいた……残念だったな」
「……止められなかった……怖がっていたのに」
ルカの方は向かず、涙が再びゼルダの目からこぼれる。
ろうそくをベッドの横の棚に置き、ルカはゼルダを抱き寄せた。
声を立てず、静かにゼルダはルカの胸で泣き続けた。
その時、ノックの音がし、続いて戸の開く音。
そして、誰かがゼルダを呼ぶ声がした。
ルカはとっさにゼルダから離れ、剣に手を伸ばす。
「ルカ!」
ゼルダの声とともに、ルカの面識のない、一族の中年の男が戸口に現れた。
「……失礼、よかった……もう、戻ってたとは」
男は、剣の柄を握っているルカを見て、驚いたようだった。だが、驚きよりも、安堵のほうが強く見えた。
「……エリク、どうもありがとう」
ゼルダが名を呼んだ。
男はルカに一度だけ目を合わせ、
「失礼した」
と言って、出ていった。
「婦人会で一緒のラナの旦那さんよ。わたしのことを心配して、様子を見に来てくれたの」
ゼルダは、まだ涙が残っていたものの、すっかり冷静な様子で、しっかりした声で、ルカにそう言った。
「……」
おそらく、それは真実なのだろう。
エリク自身からは、まったく嫌な印象は受けなかった。
だが、村に戻ってからずっと。
イライアスの家や、今まさにここで起こったこと。
全てが、ルカにはひっかかった。なにかが、おかしい。
自分が町に行って、留守にしていた間——なにかが、起きてしまったのだろうか。
「町はどうだったの?」
ゼルダは、驚くほど速くいつもの様子に戻っている。
それに、ついていけないまま、ルカは短い旅のことを話し始める。
沿海州の叔父については、その晩は話せずじまいだった。
翌日の稽古のあと、ルカはシヴァと久々に酒場へ行った。
今夜はだいぶ、混んでいた。
いつもは、一人やせいぜい、ルカたちのように二人連れで飲んでいるのが、ほとんどだった。
だが今日は、数組の団体で飲んでいる男たちがいて、違う雰囲気となっていた。
賑やかな騒音に満ちているため、いつものように声をひそめて話さなくてもいいのは、有難かった。
「町への旅はどうだったんだ?」
「……ああ、とてもよかった」
「……その割には、浮かない顔をしているな」
シヴァは、からかうように、だが心配するようにルカを覗き込んだ。
道場や、シヴァの態度は特段、いつもと変わっているようには感じられなかった。
しかし、昨日から感じている違和感がどうにも拭いきれない。
とても、ただの気のせいだとは思えないのだ。
あれからゼルダは涙を見せることはなかったが、時おり沈んだ表情をみせていた。
カリナのことで落ち込んでいるのはわかる……だが、なぜあのエリクという男が、わざわざ様子を見に来るまでするのか。
考えれば、考えるほど、腑に落ちなくなってくる。
ルカは自分の考えを振り払うかのように、酒を流し込み、シヴァに切り出す。
「沿海州からの返事が来た」
シヴァの顔がぱっと輝く。
「従軍の話も、族長に話してくれると言っていて」
「よかったじゃないか」
笑顔のシヴァをみて、村に戻ってきてから、ようやく明るい気持ちになれたと感じた。
「これも、お前のおかげだ……沿海州に連絡してみるなんて、とても思いつかなかった」
「なに……こんなふうに、うまく行ってよかった。それで、どうするんだ……?」
ルカはしばらく黙ってから、
「春になったら、ゼルダを連れて向かおうと思っている」
そう答えると、シヴァは神妙な顔になった。そして、ルカをしっかりみつめてこういった。
「わかった。できるだけ、力になる」
「本当に、ありがとう」
その時、コップが割れる音が床に響き、怒鳴り声が聞こえて来た。
声の先を見てみると、団体で来ていた男たちが、諍いを起こしている。
酔ったうえでの仲間内の喧嘩ではなく、違うテーブルに座っていた者同士の揉め事のようだった。
何に対して争っているかは、はっきりとしない。
だが、つかみあっている男たちの中で、ルカの知っている顔があった。
イライアスの取り巻きの男——ルカが村に戻って来たとき、イライアスの執務室にいたあの男だった。
シヴァと目配せをして、酒場をあとにしようと、席から立ちあがろうとしたとき——その男も、ルカに気づいたようだった。
普段は、イライアスの家で会っても、決してルカと口をきこうとしなければ、目も合わせようとしない。
だが、今はルカの方へ、ずかずかと向かってきている。
相当、酔っているのだろう。まずいことになるかもしれない——ルカは身構えた。
「次の当主さまか」
ルカの前で止まると、薄ら笑いを浮かべて、男はルカの顔を見上げた。
ルカは答えず、視線をそらし、徐々に距離を増やそうとする。
「こっちが話しかけてんのに無視か……それに、お前を支持する奴らに声もかけてやんないのか」
そう言って、男が争っていたテーブルの方を指さす。
——お前を支持する奴ら……どういうことだ?
ルカが彼らの方を見ると、遠慮がちにルカの方を見返す。
誰もルカとは面識がない男たちだった。
この男はあまりにも酔い過ぎている。関わってはいけない。
ルカが背を向けて去ろうとすると、男がルカの腕をつかんだ。
反射的に振り払いたい衝動をなんとか抑え、ルカは唇をかむ。
「話ぐらいしてくれてもいいだろう……こいつらは、あんたが今すぐにでも当主になるべきだ、ってご意見だ。あんた自身はどうなんだ?そのつもりで、イライアスのところに入り浸っているのか?」
「……そんなつもりは、全くない」
「おお、ようやく口をきいてくれたな。まあ、そうでも言うしかないだろうな」
いいからそのまま立ち去れ——ルカは持てる力の全てを使い、自分を抑えた。
冬が終わって、春が来れば、こんな連中から離れられる。あと、ほんの数月だ。
ルカは、ゆっくりと男の手を自分の腕から外し、歩き始めた。
「いい体だった」
足が、止まる。
「えらく、痛めつけられていたがな」
全身の血が引いていくにも、上っていくようにも感じた。
気がつく前に、ルカは男につかみかかる。
それを、シヴァが、他の男たちが数人がかりで、とめる。
男も仲間たちにつかまれ、連れていかれている。
その間も、何か口汚く叫んでいたが、あまりの怒りで、ルカはそれをききとれなかった。
どれぐらい自分が暴れて、押さえつけられていたかわからない。
「誰か……剣を外してくれ」
シヴァの指示する声。腰にさしてある剣が取り除かれそうなので、抵抗するが数人がかりで、抑えられる。
それでも、抗い続けていると、目の前に剣が突き付けられた。
シヴァが、床に押さえつけられている自分に、剣を向けている。
「ルカ……頼むから、落ち着いてくれ」
「あいつ……あいつ、ゼルダに何をした……」
「……何もしていない」
「なら、どうして!?」
剣を向けながら、シヴァはため息をつく。
「話すから……そのかわり、気を静めてくれ」
ルカは黙って頷く。
シヴァがルカを抑えている男たちに、目配せをすると、慎重に床から抱え起こされて、椅子に座らされる。
シヴァもゆっくりと剣を引いた。
そして、ルカが再び暴れださないのを確認してから、ゆっくりと会合で何があったかを話し始めた。
ルカを抑えるのを手伝っていた男たちは、気をきかせてシヴァと二人きりにしようとしたが、シヴァがそれを制して、数人の男が引き続き、ルカの背後にぴったりと立っていた。
シヴァの話が進むにつれ、ルカの表情はどんどん険しくなっていったが、激昂することはなく、逆に無表情になっていった。
ゼルダがイライアスへ言ったこと。最後に、彼女が何をしたか。
それら全てをシヴァは淡々と、事実に即して話した。
シヴァが話し終わったあと、ルカは下を向き、しばらく口を閉ざしていた。
やがて、顔をあげ、シヴァをみすえると、低く抑えた声でこう言った。
「お前も……お前も、見たのか?」
その質問に、一瞬詰まり、シヴァは気まずそうに視線をそらし、頷いた。
ルカは再び顔を下げ、歯を食いしばり、拳をきつく握りしめていた。
シヴァは再び、向き直ると、その表情は彼にしては珍しいぐらい、感情がこもっていた。
「ああ、俺は見た……お前には申し訳なかったが、見た。みんなが見た……それで、流れが変わった。
これまで、娘を売ることに対して、なんとも思ってなかった者たちが——考えを変えた。
今の当主のやり方で満足していた者たちが、考えをあらためた。
ものすごい、勇気だ……彼女は、本当に立派だった。あの蛆虫のような連中たち以外はみな、そう思ったはずだ」
シヴァの言うことは、頭では理解できた。
だが、どうしても感情がついてこなかった。
ルカとゼルダの二人だけの間にあった大切なもの——それが、他の者たちに踏み荒らされ、台無しにされてしまったような気がした。
それを、許したのが他ならないゼルダであること——そのことが、とてつもなくルカを苛んだ。
ルカは立ち上がり、酒場の出口に向かおうとする。シヴァに腕をつかまれる。
「おい、どこへ行くんだ」
ルカは黙って、シヴァの腕を払おうとするが、強くつかまれてできない。
「俺も行く」
シヴァが、彼らしからぬ必死な表情で、ルカを止める。
ゼルダのところへ帰ろうとしていると、わかったようだった。
ルカは、抵抗するのも煩わしくなってきたので、シヴァがそのままついてくるままにさせた。
すでにだいぶ遅い時間となっていたが、家の灯りは灯っていた。
ずっと帰りを待っていたのだろう。足音が聞こえたのか、ルカが玄関の戸に手をかける前に、ドアは開いた。
ゼルダの表情が緊張する。
何も言わないルカの表情と、その後ろに立つシヴァの二人を見て、ゼルダは状況を察したようだ。
そのまま黙って、二人を中へ通す。
三人が立ったまま、沈黙が流れる。
シヴァがゼルダに目配せをし、外へ出ていく。
どうやら、帰るのではなく、外で待つようだった。
シヴァが外へ出ると、ゼルダが食卓の椅子に腰かけ、遅れてルカもそうした。
ルカはゼルダと目を合わせないまま、口を閉ざしている。
どれだけ、沈黙の時間が流れただろうか。
「……どうして、あんなことしたんだ」
ようやく、ルカが言葉を発した。
ゼルダの方を見ないまま。ゼルダが何か言いかける前に、
「カリナのためだって……だけど、どうしてそこまでするんだ」
自分で、自分の質問に答える。
「ごめんなさい……あなたを傷つけて」
「違う!」
ルカはゼルダに、かつて見せたことのない激しい口調と表情で、向いた。
ゼルダは一瞬、怯んだように見えたが、すぐに抑えた表情に戻る。
「俺じゃない!ゼルダが……自分で、自分を傷つけたんだ。どうしてだ? これ以上、絶対傷つけさせたくないと思って、ずっと守ろうとしてきたのに」
そう言いながら、ルカの目にかすかな涙が滲んでいるのを、ゼルダが見て——彼女の表情が崩れた。
抑制された表情は、一気に脆い、悲しみをたたえたものとなった。
ゼルダは涙を隠すように、ルカから顔をそらす。
「自分と同じ目に誰かがあうかもしれないのが、耐えられなかった……止めなきゃいけないと思ったの。口でどんなに言っても、伝わらない——なら、見せなければと」
「あんな、誰もが見ている中でしなくてもよかっただろ」
「……首領さま、一人だけに見せるわけにもいかなかった」
その言葉に、ルカの唇がぐっと噛みしめられる。
どちらが、より嫌なのだろうか——皆にゼルダの傷痕が晒されるのと、イライアスひとりの前で、ゼルダが服を脱ぐのが。
「どっちにしたって……あんなことする必要なかったし、すべきじゃなかった」
「……ほかに、方法がなかったの」
「あの傷は」
声が、思ったより低く出た。
「あの傷は、俺のものだ」
言ってから、自分でぞっとした。
誰のものでもない。ゼルダのものだ。わかっている。
それでも、そう思っていた。四年、あの傷に触れてきたのは自分だけだった。
ゼルダは、何も言わなかった。
ただ、こちらを見ていた。
体の奥から再び怒りが湧いてきて、のまれそうになってしまう。
拳を壁に叩きつけたい衝動を、ルカは必死に抑えた。
このまま、ゼルダと話せない——ルカは、玄関の戸を開け、外に出る。歩き始めたルカを、シヴァが止める。
「おい、どうするつもりだ……俺が、今晩ここで彼女と二人でいることになってもいいのか」
そう言われて、黙ってルカは家へと引き返す。
食卓には、まだゼルダが所在なげに座っていた。
「俺は今日、ここで寝る」
ゼルダは何も言わず頷いて、寝室の方へ下がっていった。
ルカは再び玄関を開け、シヴァに声をかける。
「もう、大丈夫だ……帰ってくれ」
シヴァは心配そうに、玄関越しに家の中をざっと見まわした。
その後、ルカの顔を覗き込み、ため息を一度つくと、肩を軽く叩いたあと、帰っていった。
食卓に腰掛ける。
そういうことか——。
ルカが町から帰ってきた夜に、訪ねてきたエリクという男。
彼は、自分がいない間、ゼルダが大丈夫かどうか、確認にきたのだろう。
婦人会がどうこう言っていたが、いったいいつから、繋がりがあるのか。
会合のことにしろ、自分の知らないところで、いったいどれだけのことが起こっているのか……。
寝室の戸の下から、灯りは漏れてこなかった。
消したのだろう。だが、眠ってないはずだった。
TALES, Pixivにも投稿しています。