ジョジョの二次創作が書きたくなったので、勢いで始めました。
なお作者、ジョジョに関しては普通ににわかです。
「そこ原作と違くね?」
「その時点でその設定まだ出てなくね?」
「さてはお前、ジョジョを雰囲気で理解しているな?」
などが発生する可能性があります。
はい、たぶんします。
できる限り調べながら書きますので、間違いがあったら優しく教えてください。
また、本作にはオリ主・オリジナルスタンド・原作改変などの要素があります。
生成AIも設定・プロット・本文作成の補助として使用しています。
「その辺はちょっと苦手だな……」という方は、ここでそっとブラウザバックを。
「問題ない! 読んでやるぜ!」という方は――
奇妙な冒険にオリ主を放り込む『覚悟』はできているッ!
作者はたぶんできてます!
香港――。
DIOの刺客『灰の塔』の襲撃によって飛行機を失った空条承太郎たちは、予定外の形でこの地へ降り立っていた。
エジプトへの旅は、始まったばかりだというのに早くも予定通りとはいかない。
「まったく……先が思いやられるわい」
ジョセフ・ジョースターがぼやく。
「飛行機が駄目なら、次の移動手段を考えればいいだけです」
花京院典明が冷静に返した。
「簡単に言ってくれるのう」
「少なくとも、もう飛行機に乗る必要はないでしょう」
「……わしのせいみたいに言うな」
少し離れたところを歩いていた空条承太郎が、帽子のつばを下げる。
「やれやれだぜ」
アヴドゥルはそんな三人を見ながら、わずかに苦笑した。
――その時だった。
「待て」
承太郎が足を止めた。
他の三人も止まる。
「どうした、承太郎?」
「……見られてる」
承太郎の視線が、人の行き交う通りの先へ向く。
だが、そこに怪しい人影はない。
観光客。
地元の住人。
商売人。
雑多な人間が行き交う、ごく普通の香港の街並み。
アヴドゥルの表情が険しくなる。
「DIOの刺客か?」
「分からねえ」
承太郎は短く答えた。
そして――。
「一人じゃねえな」
◆
同じ頃。
金髪の少年が一人、路地の角から男を眺めていた。
年齢は十七歳ほど。
細身ではあるが、華奢ではない。
少年の視線の先にいる男は、何度も周囲を確認しながら歩いている。
明らかに何かを警戒していた。
「……怪しい」
少年は呟いた。
数十分前。
偶然、見た。
男が指先で弾いた硬貨が、あり得ない速度で壁へ突き刺さるところを。
少年には、それが何なのか分からなかった。
ただ一つ分かったことがある。
――普通ではない。
本来なら関わる理由などない。
危険である可能性も高い。
放っておけばいい。
「…………」
少年は男の後を追った。
理由は単純だった。
「気になる」
好奇心が勝った。
◆
男が路地へ入った。
少年も続く。
だが、角を曲がった瞬間。
「――!」
少年は反射的に頭を傾けた。
頬の横を何かが通過する。
直後。
背後の壁に硬貨が突き刺さった。
「……危な」
「やはり追っていたか」
男が振り返る。
その手には数枚の硬貨。
「何者だ?」
「それ、こっちの台詞なんだけど」
少年は頬を指でなぞった。
薄く血が付く。
「いきなり人の顔を狙う?」
「質問に答えろ」
「嫌だと言ったら?」
男の指が動く。
三枚の硬貨が放たれた。
速い。
銃弾に近い速度。
だが――。
少年の背後に、黒い人影が現れた。
人型。
黒曜石を思わせる身体。
所々に、深い青の輝き。
それが片手を前へ出す。
硬貨が――止まった。
いや。
正確には、少年の手前で勢いを完全に失った。
三枚の硬貨が地面へ落ちる。
カラン。
カラン。
カラン。
男の顔色が変わった。
「スタンド使い……!」
「……スタンド?」
少年が眉をひそめた。
「何それ」
「何?」
「今の。スタンドって言った?」
男が少年を見る。
冗談を言っているようには見えない。
「貴様……自分のスタンドを知らないのか?」
少年は隣に浮かぶ黒い人影を見る。
「こいつのこと?」
「…………」
「そういう名前なの、これ」
男の表情が明らかに困惑した。
少年は少し考える。
「俺はブラックサファイアって呼んでるけど」
「名前まで付けておいてスタンドを知らんだと……?」
「知らないものは知らない」
少年は平然と答えた。
次の瞬間。
路地の入口から声が飛んだ。
「おい」
二人が振り返る。
承太郎たち四人が立っていた。
承太郎は少年と男を交互に見る。
そして、少年に言った。
「てめー、DIOの手下か」
「…………」
少年が承太郎を見る。
「ディオ?」
首を傾げた。
「誰だ、それ」
ジョセフとアヴドゥルが視線を交わした。
「知らない……?」
「嘘をついているようには見えんが……」
男が舌打ちする。
「余計な連中まで……!」
男が地面を蹴った。
小石。
ガラス片。
金属片。
それらが一斉に宙へ浮き上がる。
「死ねッ!」
無数の物体が加速した。
「スタープラチナ!」
承太郎の背後にスタープラチナが現れる。
飛来する物体を拳で叩き落とす。
一方、少年の前ではブラックサファイアが両腕を広げた。
飛来した物体が次々と速度を失う。
地面へ落ちる。
花京院が目を細めた。
「物体を止めている……?」
「違う」
少年が答える。
「動く力を取ってる」
「力を?」
「運動エネルギー」
男がさらに攻撃を続ける。
硬貨。
石。
ガラス。
釘。
次々と加速して飛んでくる。
ブラックサファイアがそれらの運動エネルギーを奪っていく。
「なるほど」
少年が小さく呟いた。
「このくらいなら、まだいける」
承太郎が横目で少年を見る。
「……何を試してやがる」
「どこまで一度に処理できるか」
「今やることか?」
「今だからできる」
「馬鹿か、てめーは」
「よく言われる」
「嘘つけ」
「初めて言われた」
「……やれやれだぜ」
男の攻撃量がさらに増した。
ブラックサファイアが受け止める。
一つ。
二つ。
十。
二十。
少年の表情から、わずかに余裕が消える。
「……へえ」
一本の釘がブラックサファイアの防御を抜けた。
少年の肩を掠める。
血が飛ぶ。
「処理速度には限界があるのか」
花京院が即座に見抜いた。
「みたいだね」
少年は傷を確認する。
妙に楽しそうだった。
アヴドゥルが眉を寄せる。
「君、自分の能力を試すためにわざと攻撃を受けているのか?」
「全部受けてはいない」
「そういう問題ではない!」
「でも分かった」
少年は男を見る。
「これ以上増えると、普通に当たる」
「十分な収穫みたいに言うな!」
ジョセフが怒鳴った。
その横で、承太郎だけは敵を見ていた。
「……そこか」
スタープラチナが路地の上方へ視線を向ける。
男が一瞬、顔を強張らせた。
「てめー自身は、そこから動いてねえ」
承太郎が言った。
「物を加速させるには、視界に入れる必要があるんだろ」
「!」
「図星か」
男が逃げようとする。
だが。
「逃がすと思う?」
少年が右手を上げた。
ブラックサファイアの掌が男へ向く。
ジョセフが目を見開く。
「何をする気じゃ?」
「さっき取った分」
黒いスタンドの腕に、青い光が集まっていく。
少年は男を見る。
「返すよ」
轟音。
蓄積されていた運動エネルギーが、一方向へ解放された。
衝撃が路地を走る。
「ぐあッ!?」
男の身体が吹き飛び、窓を突き破る。
「おい!」
ジョセフが叫ぶ。
男の身体が建物の外へ投げ出された。
地面へ落下――。
する直前。
ブラックサファイアが男を受け止めた。
「…………」
少年が男を見る。
「死んだら聞けないし」
男は気絶していた。
◆
数分後。
男を調べたアヴドゥルの表情が険しくなった。
「間違いない」
「DIOの手下か?」
「ああ」
ジョセフが腕を組む。
「香港に着いた直後からこれとはのう……」
少年が口を挟む。
「そのDIOって奴、そんなに部下がいるの?」
四人の視線が少年へ向く。
「……本当に知らんのか?」
「だから知らないって」
「では、なぜこいつを追っていた?」
「変な能力を使ってたから」
「それだけ?」
「それだけ」
ジョセフが頭を抱えた。
「危険だとは思わんかったのか!」
「思った」
「ならなぜ追う!」
「気になったから」
「十七歳というのは皆こうなのか!?」
承太郎がジョセフを見る。
「俺を見るな」
花京院が小さく笑った。
少年は気絶した男を見下ろす。
「で」
「ん?」
「DIOって誰?」
ジョセフたちの表情から笑いが消えた。
「……わしらの敵じゃ」
「へえ」
「わしらは今、その男を追ってエジプトへ向かっている」
「エジプト」
少年は少し考えた。
「強い?」
承太郎が答える。
「少なくとも、こんな雑魚とは比べ物にならねえ」
「ふうん」
少年の目に興味が浮かんだ。
それを見たアヴドゥルが嫌な予感を覚えた。
「まさかとは思うが……」
「そのDIOって奴に会ってみたい」
「やっぱりか!」
ジョセフが叫んだ。
「お前さん、自分から危険に首を突っ込む癖でもあるのか!?」
「別に」
「今まさに突っ込んどるじゃろうが!」
少年は気にした様子もない。
ジョセフは大きくため息を吐いた。
そして、ふと気付く。
「そういえば」
「?」
「お前さん、名前は?」
少年がジョセフを見る。
少し間を置いて答えた。
「リオ」
「リオ?」
「ああ」
「姓は?」
少年が一瞬だけ黙る。
そして。
「ブランドー」
空気が止まった。
ジョセフの表情が変わる。
アヴドゥルも目を見開いた。
花京院は二人の反応に気付き、少年――リオを見る。
承太郎だけが静かに眉を寄せた。
「……今、何と言った?」
ジョセフが低い声で尋ねる。
「ブランドー」
リオは怪訝そうに答えた。
「リオ・ブランドー。それが俺の名前だけど」
「…………」
「何、その顔」
ジョセフはしばらく言葉を失っていた。
「お前さん……両親は?」
「知らない」
「生まれは?」
「知らない」
「祖父母は?」
「知らない」
「……何なら知っとるんじゃ」
「名前」
即答だった。
「気付いた時には一人だった。昔のこともほとんど覚えてない」
「では、そのブランドーという姓がどこから来たのかも……」
「知らない」
リオは肩をすくめる。
「分かったところで、俺が別人になるわけじゃないだろ」
ジョセフは黙った。
やがて、ゆっくり口を開く。
「……リオ」
「何」
「DIOという男の本当の名は――」
一拍。
「ディオ・ブランドー」
「…………」
今度はリオが黙る番だった。
「ブランドー」
小さく呟く。
「俺と同じ」
「ああ」
沈黙。
数秒。
そしてリオは顔を上げた。
「エジプトだっけ」
「……まさか」
「行く」
「即決するな!」
「だって聞きたいこと増えたし」
「だからといってじゃな!」
「止める?」
ジョセフが言葉に詰まる。
承太郎が帽子のつばに手をかけた。
「好きにしろ」
「承太郎!?」
「止めても来るんだろ」
リオが頷く。
「うん」
「なら勝手にしろ」
アヴドゥルがリオを見る。
「一つ確認しておく」
「何?」
「我々と行動するということは、DIOの刺客との戦いに巻き込まれるということだ」
「だろうね」
「その時、我々に協力するつもりは?」
リオは少し考えた。
「必要なら」
「必要なら、か」
「勘違いしないで」
リオは四人を見る。
「俺はお前たちの仲間になるとは言ってない」
「…………」
ジョセフが額を押さえる。
「面倒なのが増えた……」
「聞こえてるよ」
「聞こえるように言ったんじゃ!」
承太郎が歩き出す。
「行くぞ」
花京院もその後を追う。
アヴドゥル、ジョセフ。
そして少し遅れて、リオも歩き出した。
まだ誰も知らない。
彼自身さえ知らない。
彼がどこで生まれたのか。
なぜ『ブランドー』の名を持つのか。
その血に何が流れているのか。
この日、彼が初めて知ったのは。
DIOという男の存在。
そして――その男が、自分と同じ姓を持つという事実だけだった。
彼が自ら名乗った、その名は――
リオ・ブランドー。
彼の傍らに立つ黒き人型の名は、
ブラックサファイア。
そして――
この時点ではまだ、それだけだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
というわけで第一話でした。
主人公の名前は――
リオ・ブランドー。
……ブランドー?
ブランドー!?
よりにもよってその名字です。
しかも本人、
「DIO? 誰だ、それ」
なんでお前が一番知らないんだよ。
自分の出自も知りません。
DIOとの関係も知りません。
なのに名字だけはブランドー。
情報量が多いようで何も分からない。
そんな何も知らないブランドーが、星屑の旅路に混ざりました。
なお本人は、
「仲間になった覚えはない」
とのこと。
じゃあなんでついて来てるんだよ。
それでは次回もよろしくお願いします!