福島の市街地で赤い大型肉食恐竜と戦ってから、およそ三週間が過ぎていた。
季節はすでに十一月下旬へ入り、山の色は福島で戦ったころからさらに変わっていた。葉を落とした木々が増え、朝晩の冷え込みは強くなり、日が沈む時間もずいぶん早い。青森の山奥で目を覚ましてから季節一つ分ほどを歩き続けてきたことになるが、人間の姿で暮らしていたころなら、これほど季節の変化を身体で意識することはなかっただろう。
右肩の傷は、ほとんど塞がっていた。赤い恐竜に噛まれた場所には大きな傷痕が残り、身体を大きく捻ればまだわずかな違和感があるものの、走ることに支障はなく、尾で姿勢を変えても肋骨はもう痛まない。温泉に浸かり、食べ、眠り、無理をせずに過ごした三週間は、身体を戻すには十分だったらしい。
体格も、福島にいたころよりわずかに増している。正確に測る方法はないが、四メートルを超えた身体はさらに厚みを増し、特に後肢と尾の付け根には目に見えて筋肉がついていた。まだ成長が止まった感じはなく、この身体が最終的にどこまで大きくなるのか、男自身にも分からない。
そして隣には、相変わらず小さいのがいた。
男が歩けばついてきて、止まれば止まり、食事を探せば一緒に探す。休めば近くで丸くなり、温泉を見つければ今では男より先に入ろうとすることすらある。最初に出会ったころは一時的についてきているだけだと思っていたが、どうやらその見立ては外れたらしい。
男は、一メートルほどの小型恐竜を見下ろした。相手も首を上げ、何か用でもあるのかという顔で見返してくる。
(お前、いつまでついてくるつもりなんだ)
当然、返事はなかった。
小型恐竜は少しだけ首を傾けると、何事もなかったように歩き始めた。男もその後ろ姿を眺め、まあいいか、と考えて歩き出す。追い払う理由も、今のところなかった。
二頭がたどり着いたのは、猪苗代湖の周辺だった。
◇
初めて湖面を見たとき、男は林の中でしばらく動かなかった。
(でかいな)
山々の間に巨大な水面が広がっている。海とは違って向こう側には陸地が見えるものの、これまで途中で見てきた川や池とは比較にならない。冬を目前にした空の下で水面は鈍い光を返し、風が吹くたびに細かな波が岸へ寄せていた。
湖上には鳥の姿も多かった。白い身体がまとまって水面に浮かび、ときおり羽ばたいて場所を変えている。何という鳥だったか記憶を探り、しばらくして白鳥だったと思い出した。
人間だったころにも、猪苗代湖という名前くらいは知っていた。
まさか恐竜になってから来るとは思わなかった。
しかも観光ではない。
男は湖を見下ろせる林の中で伏せ、しばらく周囲を観察した。寒い時期になっても人間の姿はあり、道路には車が走っている。湖岸の施設にも出入りがあるが、夏場ほど人が多いわけではなく、場所を選べば人目を避けて水辺へ出ることはできそうだった。
そして男には、この巨大な水を前にして確かめておきたいことがあった。
(俺、この身体で泳げるのか?)
人間だったころは泳げた。学校の授業で習った程度ではあるが、水へ入った途端に沈むようなことはなかった。
だが今の身体は、人間とは何もかも違う。前肢も後肢も形が違い、全長のかなりの部分を占める長い尾までついている。四メートルを超える肉食恐竜の身体で人間と同じ泳ぎ方が通用するとは思えなかった。
それでも、泳げるかどうかは確かめておきたかった。
ここから先も川を越える機会はある。橋を使えば当然、人間と遭遇する可能性が高くなる。水を自力で渡れるなら、それだけで移動経路の選択肢は大きく増える。
男は水面を見た。
風が冷たい。
見るからに水も冷たい。
(……もうちょっと早く試しておけばよかったな)
季節選びだけは、完全に失敗していた。
◇
湖へ入ったのは、翌日の昼前だった。
少しでも気温が上がる時間を選び、人の気配がほとんどない湖岸まで移動する。荷物と青い防水シートは林の奥へ隠し、小型恐竜も最初は岸に残した。
前肢を水へ入れた瞬間、男は止まった。
(冷たっ)
予想はしていた。
予想はしていたが、冷たいものは冷たい。
それでも今日は水遊びをしに来たわけではない。泳げるかを確認するだけなら、長時間入る必要はなかった。
男は少しずつ深い場所へ進んだ。腹が水へ浸かり、胸まで来たところで、冷たさが身体全体へまとわりつく。人間だったころなら、この時点で引き返したくなっていただろう。
さらに一歩進む。
足元が急に深くなった。
後肢が底から離れ、身体が沈む。
反射的に四肢を動かした。沈みきらなかった。もう一度動かす。
前へ進んだ。
(お、意外といけそう)
男は慎重に身体を動かした。
予想していたより、ずっと自然だった。四肢を使えば身体は前へ進み、長い尾は邪魔になるどころか、向きを変えるときの補助になる。頭部の位置も人間とは違うため、無理に首を持ち上げなくても鼻先を水面へ出していられた。
試しに尾を少し強く動かす。
身体が滑らかに曲がった。
(便利だな、これ。人間にもあればいいのに)
恐竜になって便利だと思えることが増えている事実については、今は考えないことにした。
湖岸と平行に短い距離を泳ぎ、すぐに戻る。速さも悪くない。少なくとも流れの穏やかな川を横断する程度なら十分に使えそうだった。
ただし、冷たい。
これはどうにもならない。
岸へ上がった男は身体についた水を振り落とした。すぐ近くで待っていた小型恐竜が、何をしているのか分からないという様子でこちらを見ている。
男はそちらへ視線を向けた。
小型恐竜が一歩下がった。
(逃げるな、お前も泳げるのか確認するぞ)
もう一歩下がった。
(温泉には自分から入るくせに)
男が近づくと、小型恐竜は水際から離れた。
無理やり深い場所へ押し込むわけにはいかない。泳げなければ溺れるし、今の水温では小さな身体のほうが冷えるのも早いだろう。
そこで男は浅瀬へ戻り、自分だけ足首ほどの深さを歩いた。
小型恐竜がついてくる。
少し深くする。
止まる。
男が戻る。
またついてくる。
何度か繰り返しているうちに、小型恐竜も腹が水へ浸かるところまで来るようになった。そこから一歩進んだ瞬間、前肢が底から離れた。
盛大に水しぶきが上がった。
小型恐竜は慌てて四肢を動かし、ほとんど水面を殴るような泳ぎ方で男のところまで来た。
(なんだ、泳げるじゃん)
感心した直後、小型恐竜が男の身体へ前肢を掛けようとした。
(待て待て。自分で泳げ、俺につかまるな)
身体をずらす。小型恐竜が追ってくる。
もう一度ずらすと、また追ってきた。
それを何度か繰り返すうち、自分で浮いていられることに気づいたらしい。やがて男へしがみつこうとするのをやめ、ぎこちないながらも自力で岸へ向かい始めた。
それで十分だった。
二頭とも泳げる。今後の移動手段として使える。
小型恐竜が岸へ上がると、男はすぐに身体を寄せた。濡れた一メートルほどの身体が小さく震えている。
(そりゃ寒いよな。悪かったよ)
小型恐竜は抗議するように鼻先を男の胸へ押しつけてきた。
男はしばらく風上へ身体を置いてやった。
水泳教室の二時間目は、春まで必要なさそうだった。
◇
猪苗代湖へ寄った理由は、泳ぐためだけではない。
男には人間の情報が必要だった。
湖岸の観光施設から少し離れたところに、林越しでもテレビの画面が見える休憩所があった。昼間に近づくことはできないため、男は人が減る時間を待ち、建物から十分に距離を取った茂みの奥に伏せた。
小型恐竜は隣で身体を丸めている。
テレビにはまず天気予報が映った。山間部では朝晩の路面凍結に注意が必要だという。続いて地域の交通情報、野生恐竜の目撃情報が流れ、男は使えそうな内容だけを覚えていった。
やがて全国ニュースへ切り替わる。
『続いて、世界各地で相次いでいる恐竜の異常行動についてです』
男は画面へ意識を向けた。
海外で撮影された映像が流れる。小型の肉食恐竜が車両を追い続け、別の映像では数頭の恐竜が柵へ何度も身体をぶつけている。
『国内でも複数の事例が確認されており、専門家は、通常の捕食や防衛行動とは異なる可能性があるとして――』
山形で襲ってきた五頭が、男の頭に浮かんだ。仲間を一頭倒しても、残りは退かなかった。
あれも同じなのだろうか。
画面には御門優子が映った。福島で初めて顔と名前を一致させた研究者である。
『現在のところ、原因は分かっていません。また、恐竜による人身事故をすべて異常行動として扱うべきではありません。通常の恐竜も大型野生動物であり、状況によっては人間を攻撃します』
相変わらず慎重だった。
男には、その慎重さが少しありがたかった。
(赤いやつまで一緒にされたら、やるせないよな)
あれは異常だったから強かったわけではない。
普通に怖くて、普通に判断ができて、普通に強かった。なにより最後、倒れたまま自分を見上げる目が、今思えばどうも優し気で、心が痛んだ。
できればあんなのとは危険度と心情的に二度と戦いたくない。
ニュースは次の話題へ移るかと思われたが、画面に見覚えのありすぎる黒い身体が映った。
『なお、福島県内で大型肉食恐竜の討伐に加わった、通称「温泉恐竜」と呼ばれる黒い個体については、事件から三週間が経過した現在も所在が確認されていません』
(出たよ、いいよ別に)
福島で母親からその呼び名を聞いて以来、もしかしてとは思っていた。
傷を癒やしていた洞窟で改めて考えたときにも、もっと他になかったのかと思った。
全国ニュースで実際に聞くと、やはりひどい。
しかも映像つきだった。
赤い恐竜へ突っ込む自分。
噛まれる自分。
ハンターと戦う自分。
最後に頭を下げる自分。
警察官たちが敬礼する。
(やめろ)
今さら映像を止められるはずもない。
敬礼の場面が別角度からもう一度流れた。
(そこ二回やる必要ある?)
小型恐竜が顔を上げた。
男は何となく目を逸らした。
『インターネット上では、再び温泉へ現れるのではないかとの声も――』
画面が山形の映像へ変わった。
湯に浸かっている。
気持ちよさそうだった。
自分で見ても分かるくらい、完全にくつろいでいた。
(そっちまで出す必要ある?)
隣の小型恐竜が、今度は明らかに男の顔を見ていた。
(なんだよ、見るなよ)
もちろん、何を恥ずかしがっているのか理解しているはずもない。
情報収集は必要だった。
必要なのだが、自分についての情報まで毎回ついてくるとは思わなかった。
それでも、笑ってばかりはいられない。
男は画面を見ながら、人間側の反応を整理した。
自分は追跡されている。
所在も確認しようとしている。
しかし少なくとも、福島で人間を襲わず、赤い恐竜との戦闘に加わったことは知られている。画面の中でも「危険個体として討伐中」とは報じられていない。
それは大きかった。
町へ入っていいという意味ではない。
人間へ近づいていいという意味でもない。
それでも、見つかった瞬間に銃を向けられる可能性が以前より下がっているなら、これから人間の生活圏へ近づいていくうえでは重要な変化だった。
男は最後までニュースを見届けてから、林の奥へ戻った。
隣を歩く小型恐竜が、少し前を歩いている。
その後ろ姿を見ながら、ふと思う。
(こいつまで見つかったら、何て呼ばれるんだろうな。温泉恐竜二号は安直すぎか? 小さな温泉だから沐浴恐竜とか……)
ろくな名前にはならない気がした。
◇
同じころ、長野県南部。
山間部の県道からさらに外れた場所に、地図には資材倉庫としか記載されていない施設があった。
周囲は高い塀と樹木に囲まれ、外から内部を見ることは難しい。表向きは廃業した会社の保管施設であり、出入りするトラックにも別会社の名前が使われている。
ここを使っているのは、以前、東北で摘発されたブローカーたちとは別の筋だった。
恐竜の密輸に関わる人間が、一つの組織だけで動いているわけではない。正規の繁殖施設からの横流し、違法な孵化、国外からの持ち込み、書類上は死亡したことになっている個体の転売。需要がある以上、それを扱う人間も複数いる。
この施設も、その一つだった。
半地下式の収容区画には、五頭の中型肉食恐竜がいた。
全長は三メートル前後。映画などにもよく出ている群れで行動する肉食恐竜として、有名かつ人気のある恐竜だった。
人間が素手でどうにかできる大きさではないが、設備と薬剤があれば扱える。少なくとも、施設の人間たちはそう考えていた。
「また餌、残してるぞ」
監視員の一人が言った。
隣に座る監視員は、モニターから目を離さなかった。
A区画の恐竜が、金属柵の前を往復している。
右へ。
左へ。
また右へ。
餌として与えられた肉には、ほとんど口をつけていなかった。
「腹減ってねえだけだろ」
「昨日もだ」
「味付け変えてみたらいいんじゃね」
監視員の声には、苛立ちより不安が混じっていた。
ここへ運び込まれた直後、五頭はもっと扱いやすかった。警戒心は強く、人間が近づけば威嚇もしたが、一定の距離を保てば自分から離れた。餌を入れれば人間がいなくなるまで待ち、清掃のために仕切りを動かせば奥の区画へ移る。
危険ではある。
それでも、行動は理解できた。
少なくとも二週間ほど前までは。
「C区画、また始めたぞ」
別の監視員が言った。
モニターの中で、一頭が柵へ身体をぶつけた。
金属音が響く。
後退する。またぶつかる。これまでには行っていなかった自傷行動だった。
「怖えよ、やめろって……」
監視員が思わず呟いた。
鼻先から血が出ている。
まるで痛みを感じないか、それすらも凌駕する狂暴性の発露か、それでも止めない。
何度も同じ場所へ身体を当てていた。
「どうする鎮静剤、増やすか?」
「この前増やしたばっかりだぞ」
「じゃあどうすんだよ」
「俺に聞くな」
監視室の空気が悪くなる。
彼らは研究者ではない。
恐竜を密輸し、買い手へ流す人間だった。
危険な商売だからこそ、動物の扱い方については素人ではない。恐竜は怪物ではなく動物であり、腹が減れば食べ、脅威を感じれば距離を取り、追い詰めれば攻撃する。薬を使えば眠り、設備が十分なら人間のほうが制御できる。
最近、その原則が通用しなくなっていた。
「Dも餌食ってない」
「水は?」
「飲んでる」
「病気じゃねえのか、人間も風邪ひいたら食欲へるだろ」
「五頭も同時に?」
誰も答えなかった。
五頭は同じ種類で、同じ時期に孵化し、同じ施設からまとめて運ばれてきた。最近になって体格が大きくなり、取引先からも「そろそろ引き渡せる」と言われていた。
異変が始まったのも、そのころだった。
最初は一頭だけだった。
清掃担当者が柵へ近づいたとき、それまでなら奥へ下がっていた個体が、自分から柵へ寄ってきた。
威嚇だと思った。
ところが人間が離れても追った。
柵越しに端までついてきた。
人間の姿が見えなくなるまで。
数日後には別の個体も同じことを始め、その翌日にはさらに一頭が加わった。
今では五頭すべてが、人間の動きを目で追っている。
「ニュースのやつじゃねえだろうな」
若い監視員が言った。
誰も反応しなかった。
「ほら。最近やってるだろ。凶暴化とかいう――」
「黙れ」
施設の責任者が口を開いた。
五十代ほどの責任者は、少し離れた席から五つのモニターを見ていた。
「余計なこと言うな」
「でも」
「ニュースとこれが同じだって証拠あんのか?」
「ないですけど」
「だったら黙ってろ」
若い監視員は口を閉じた。
責任者はモニターを見たまま、煙草を指先で弄んでいた。
困っている、それが本音だった。
売り物なので殺したくない。獣医へ見せるわけにもいかず、行政へ相談するなど論外だった。正規の施設なら異常があれば専門家を呼び、隔離し、検査し、必要なら処分できる。
ここでは、その全部ができない。
「買い手に連絡は?」
「した。予定どおり来週引き取りたいって」
「この状態で渡すのか?」
「渡さないでどうする」
責任者は即答した。
「ここで飼い続けるつもりか?」
監視員は黙った。
そのとき、金属音がした。
全員がモニターを見る。
先ほどとは別のB区画で、恐竜が仕切りの扉へ身体をぶつけていた。
一度離れる。またぶつかる。
その音に反応し、隣の区画の個体が動いた。
さらに別の個体も。
A区画の個体が柵へぶつかり、B区画では扉へ牙を立てる。C区画の個体は壁際を往復し、D区画の個体は監視カメラを見上げていた。
E区画だけが、静かだった。
部屋の奥から動かない。
四つの区画から響く金属音の中で、その一頭だけが伏せていた。
やがて、ゆっくり頭を上げた。
「……こいつら、こんなんだったか?」
監視員の一人が呟いた。
責任者は答えなかった。
恐竜を扱って十年以上になる。
噛まれた人間も見た。逃走事故も経験した。輸送中に暴れた大型種を、薬が効くまで檻ごとトラックへ固定したこともある。
怖い動物には慣れている。
だからこそ分かる。
怖いことと、おかしいことは違う。
「はぁ、仕方ない、鎮静剤を準備しろ」
責任者が言った。
「五頭分ですか?」
「ああ、全頭だ」
「引き渡しまで一週間ありますよ。毎日打つ気ですか?」
責任者は答えなかった。
答えを持っていなかった。
五頭を殺せば大損になる。外へ逃がせば自分たちの商売そのものが終わる。買い手へ渡せば金にはなるが、この状態の五頭を輸送車へ移すには、人間が収容区画の近くまで行かなければならない。
また金属音が響いた。
先ほどより大きかった。
責任者は煙草を灰皿へ押しつけた。
「とにかく、逃がすな。引き渡しまで持たせろ」
それだけは全員が同意できた。
今のところ柵は壊れていない。仕切りの扉も閉じている。監視カメラも動いている。
五頭は、まだ施設の中にいる。
その事実だけが、監視室にいる人間たちに残された唯一の安心材料だった。
◇
日が沈むと、猪苗代湖の冷え込みは一段と強くなった。
昼間に泳いだ場所へ戻る気にはならず、男は風を避けられる林の奥で身体を伏せていた。小型恐竜は当然のようにその横へ潜り込み、男の身体を風除けにして丸くなっている。
(ちゃっかりしてるな)
小型恐竜は目を閉じたまま動かない。
湖の向こうには、人間の町の灯りが見えた。
ここまで来た。
地図を広げる必要もなく、次に進む大まかな方向はもう決めている。焦って人間の多い場所を抜ける必要はない。泳げることも分かった。身体も戻った。人間側が自分を即座に討伐するつもりではないことも、今日のニュースで確認できた。
分からないことは、相変わらず多い。
隣の小型恐竜をどうするのか。
八王子まで連れていくのか。
自分が家へ着いたあと、どうすればいいのか。そもそも家族は、自分を見て何と思うのか。
考え始めれば、答えのないことばかりだった。
小型恐竜が寝返りを打つように身体を動かし、さらに男の腹側へ潜り込んだ。
(……寒いなら最初からそこにいろよ)
男は追い出さなかった。
冷たい風が木々の間を抜けていく。
南へ行けば、八王子がある。
今は、それだけ分かっていればよかった。
第19章 およげきょうりゅうくん 了
読みたい話の方向性(本編は完成済みなので、断章で追加する話の確認)
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主人公視点のコミカルな話
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主人公視点のシリアスな話
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人間視点のコミカルな話
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人間視点のシリアスな話
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その他、感想でそれとなく記載するよ