温泉恐竜は家に帰る   作:ごろうまるし

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なんとなく作ってみた、映画の予告編コマーシャルみたいな
やってみて分かったけど、すでに書き終えてるから出来るんだね、これ
八王子事件本編は明日から投稿予定


予告 八王子事件

予告 八王子事件

 

 

 

「自転車で行って、大通りだけ使って、受け取ったら、まっすぐ帰る。パッと行って帰ってくれば、三十分もかからないでしょ」

 

 

 目は半分開いていた。けれど、その目は、どこも見ていなかった。

 

 

「八王子市から、緊急のお知らせです。八王子市内において、危険な中型肉食恐竜が確認されました。屋外にいる方は、ただちに近くの建物へ避難してください。繰り返します。八王子市内において――」

 

 

 視界の端が、赤く滲んだ。

 

 

「……さすが、ドラゴンバスターだな」

 

 

 背中に、ライフルの銃口が向いているのが分かった。撃つなら、撃てばいいと思った。

 

 

 怖いのだ。家族が心配なのだ。何が起きているのか、自分の目で確かめないと、気が狂いそうなのだ。

 

 

 この街の人たちが、何十年もかけて当たり前にしてきた景色だった。

 

 

 路上には、誰かが落としていったケーキの箱が潰れていて、白いクリームと苺が、アスファルトの上に飛び散っている。箱に貼られたシールには、子供の名前と、メリークリスマスの文字が印刷されていた。

 

 

「せめてやるべき事を、やる」

 

 

 段ボールの隙間から、赤いものが、ゆっくりと流れ出していた。

 

 

「救助要請! 商店街の入口、避難中に将棋倒し! 怪我人多数!」

 

 

 これも一つの人類の極致なのかもしれない

 

 

「おばあちゃんがついてるからね、あなたは絶対おばあちゃんが守るからね」

 

 

 あの向こうから、二頭の肉食恐竜が、この街へ下りてくる。

 

 

「人類は恐竜に負けて終わるんだよ。もう決まってんの 」

 

 

 逃げることを、諦めたのだと分かった。二人で、ここにいることに決めたのだと。

 

 

「それだけが、俺たちの価値の証明で、勝ちへの分水嶺だ」

 

 

「もう一頭います。黒い。四メートル超。……温泉恐竜です」

 

 

 帽子が飛んで、頭が見えた。思っていたより、白髪が多かった。

 

 

 シャッターを叩き続ける老人。開けてくれ、開けてくれ、と、同じ言葉を、壊れたように繰り返していた

 

 

「……まだ動くのかよ、カッコつかねぇな」

 

 

 もっと古い、もっと暗い場所から湧き上がってくる、獣の声だった。

 

 

 小さな身体が、アスファルトの上に横たわっていた

 

 

「順番とか、若いとか、そんなのどうでもいい! 理屈なんか、どうでもいいの! みんなで逃げるの! みんなで!」

 

 

 死は理不尽に誰にでも降りかかる、それは重ねた年月を理由にしなかった。

 

 

「あなたに、もし、言葉が分かるなら!」

 

 

(……俺は、まだ、俺なのか)

 

 

「分かっています、それでも私は賭けたんです。きっと、あの先には道が続いていると」

 

 

 

 

 十二月二十四日。

 クリスマスイブの、午後三時。

 人々が何十年もかけて創った街が、壊れていく。

 男は恐竜の身体で四か月かけて、ただいまのためここまで帰ってきた。

 家はもう、すぐそこにある。家族も、目前だ。

 

 

 

 血染めのクリスマスイブが来る。

 

 

 

 八王子事件編 開幕

予告編あったほうがいい?

  • ネタバレになりそうだからいらない
  • こういうの好きだからいる
  • どっちでもいい
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