ヤンデレ逆行プレナパテス(女)に愛されて夜も眠れない! 作:nalnalnalnal
「スゥーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「……あ、あの、先生?」
「スンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスン」
「せ、先生せめて一回息吐かないと……」
「あ"ぁ〜……生き返るぅ……」
「先生と言うか女の人がしちゃダメな顔してますよ!?」
「トリップしてる……」
「目が凄いことになってるわよ……」
「せ、先生。仮にも会議なのですから少しは真面目にですね……」
「大丈夫私はとても真面目だよ」
「だったらその肌着をとりあえずしまって下さい……誰のなんですかそれは」
「彼のだよ」
「うわぁ急に落ち着いた!」
うぅ……彼の成分が著しく不足している……くそぅ……もう丸三日会っていないではないか。
うぅ……ヘルメット団以外の不良生徒達もシャーレ所属にして衣食住を与えるという計画を立案したのは私だが、呼び掛ける担当として彼を推薦したのは間違いだった。
いや間違いではないんだけど……ぅぁあ〜っ!! 足りない!! 毎日一緒にお互いに身体を温め合いながら寝ていたというのにこの三日間は一人寂しく布団にくるまる日々……布団なんて彼と比べたらただの布だ。
全く心が温まらないぃ……仕事にも支障が出てる……こっそり持ち出した彼の使用済み肌着で何とか成分を一時的に補給できているものの、やはり数分間に一回は補給しないと足りない。彼自身がいないと私は最早先生ではなくなる……
「か、帰ってきたら彼のパジャマに潜り込んで一緒に寝よう……」
「ねぇこれ先生がしていい発言じゃないよね?? 相手生徒なんだよね??」
「モモカの言う通りですよ。先生は先生としての線引きをですね……」
「無理」
「出会ってまだ間もないんですよね……?」
「アユム。そんなものは関係ないんだよ」
「流石にあると思いますよ!?」
流石に時間遡行をしているとは言えないからね……でも今はそんなものどうでもいい。
彼に会いたい。会いたいぃ……!
「相手側のその彼とやらも中々に曲者なんだけどねぇ……一体どうやって懐柔したのさ」
「曲者? そんな情報知らないんだけど」
「いやまぁ曲者っていうか……ヘルメット団の首領でキヴォトスでも屈指の実力者だよ? 本人自身は悪人ではないのは知ってたけど、そう一朝一夕で懐柔できるものなの?」
「"災厄の狐"とも交戦した経験のある危険人物……と、名目上はされてるわね」
「──はっ! まさか一目惚れ……!?」
「いや多分違うよ」
「話聞いてるの? 曲がりなりにも悪名高いヘルメット団の首領なのだから少しは危惧を──」
「アオイ。お口チャック……」
「……ムカつくわね」
危険人物? 何を言うか彼は澄み切った青空のような子だ。一体誰なのか私の彼をそんな風に揶揄するお馬鹿さんは。
連邦生徒会の子達にも彼の魅力というものを伝え──いやでもそうなればライバルが増える可能性がある。やめておこう。
──……も、もしかすると本当に私に一目惚れして信頼してくれた可能性が……ない……か。
く、くそぅ……すぐに人を信用してしまう世間知らずな子が私なんかに一目惚れする訳がない……添い寝しても全く動揺しないのだから。
大体ね、少しは動揺ぐらいしてくれてもいいんじゃないのかな!?
彼と寝る時は毎回勝負下着をつけているというのにそんなものどうでもいいと言わんばかりにすぐに眠りにつく姿には流石に腹が立つ。
以前の世界でもそうだったのだけれど……わ、私は仮にも大人の女性なんだよ!? 少しは魔性の女っぽさはないのかな!?
うぅ……彼を振り向かせる為に様々な策を弄したが、未だに成果なし。早いところ性の知識も教え込んで私のことを意識してもらわなくてはならない。ヘルメット団の子達も彼に好意を抱いているのだから。
……思い返してみれば、以前の世界では私ばかりが彼に与えてもらってばかりだった。
相談に乗ってもらったり、愚痴を吐き出したり……彼自身が弱音を吐き出したことなんて、一度たりともなかった。
……もう一度私に与えられたこの世界を──必ず守り切る。
だから──もう、先生と生徒の関係なんて、やめにしよう。
以前の世界では生徒という範疇を超えていた彼だったけれど……結局、最期まで彼は私の生徒だったんだ。
『先生の……生徒で……良かった……です……』
彼目線では、私との関係はあくまで線引きを超えなかった先生と生徒──そういう関係だったみたいだ。
だけど今度はもう間違えない。彼を喪ったのは彼が私の生徒であったから。
ならば、何としてでも彼自身が、私の為に命を捨てるような子じゃなく──私の為に死んでも生き抜いてくれる子になってくれるように、私の為に生きてくれるような子になってくれるようにしなければ。
だから私はどんな手を使ってでも、カレヲテニイレル。
「ふ、ふふふ……」
「とてもヘルメット団を統括した人とは思えないね……」
「これでビジネスの才能もあるの……?」
「だからこんなに土地の購入履歴があるんですね……だとしても限度があると思うんですが……」
「これが大人の力だよ」
「大人って凄いんだね〜……」
「また別ベクトルの話だと思うのだけれど……」
色々と尽力してくれている
「先生……先程の質問に答えられていませんよ。アオイの言う通りです。ヘルメット団をシャーレに登録したとしても、そう簡単に信用してくれるものですか? 今までだって様々な場所で問題を起こしてきている集団です。シャーレの権限を利用される可能性もあるのでは?」
「大丈夫だよ。彼がいる限りそんなことはしないよ。現に彼の寝室問題で論争になるくらい平和だから」
「先生の家に住んでるんだっけ?」
「相手の人もよく許してくれましたね……」
連邦生徒会の会議──議題は当然ヘルメット団や現在進行中の不良生徒達をシャーレに引き入れる計画。
予算問題は私個人のポケットマネーから出せるので問題はないとされたが、やはり今までのヘルメット団の行動からして中々疑いを向けられているようだ。
本当に大丈夫なんだけどなぁ……前にも言ったけど彼がいるのだから。
彼らだって望んで行動してる訳でもないだろうに。然るべき居住区と然るべき教育を施せばきっと更生してくれる。
彼には個人的に色々な教育が必要だけども。
「──ん?」
そんなことを考えていると、突然スマホから電話の着信音が流れ始める。
「先生……会議中なのですからせめてマナーモードにして下さい」
「ご、ごめんごめん。えっと──!!!!」
「せ、先生? 何だか目が凄いことになってますよ!?」
「ごめんちょっとトイレ!!」
スマホの画面に表示されたのは、愛しの彼のユーザー名……これはワンコールで出ないとダメだね!!
うん!! 会議は一旦一時停止だ!!
「あっ、もしもしっ? どうしたの? 私の声が恋しくなっちゃったの? それなら毎日モーニングコールとおやすみコールを……」
『隠す気ゼロ……』
「ほんと出会って数日でなんでああなるのかな〜……」
「何故先生があんなにも彼に愛情を向けているのかは分かりませんね……」
「愛情の数段階上に行ってませんか……?」
「余程の聖人君子だったのかしら? いやでも数日でああなるとは思えないわね……」
***
「……」
「……」
「……?」
「♪」
「……あ、あの、あなた様。差し出がましい真似だということは重々承知しているのですが……ひ、一つ、言わせてもらっても……?」
「あ、じゃあうちも……」
「どうしたの? ワカモ、ラブ?」
「な、何故──」
「何故その男の膝に心地良さそうな顔で寝転がっていらっしゃるのですか!?」
「そこ変わってくれる!? うちだって寝たことないんだけど!?」
「ふふふ……無理」
「……?」
今日は特別な日。何故ならやっと遠征から彼が帰って来たのだから……その分の成分を補給しているまでの話。
例え生徒達から非難されようとも私は彼の成分を補給しなければシャーレの仕事にも支障が出る。悪く思わないで欲しい。
因みに今はこの四人で近況報告も兼ねて昼食をとっている。
メンバーは私と彼、そしてジャブジャブヘルメット団の隊長である『
ワカモはまだ百鬼夜行の生徒でもあるけれど、彼女からの強い要望もあり彼やラブ同様にシャーレ所属の生徒という称号を持つようになった。
ワカモは"災厄の狐"なんていう異名を持ち、七囚人という中々手強い生徒達の中の一人とされているから、リンちゃん達に途轍もなく凄まれた。
だけどワカモはこの世界でも依然変わりなく私のことをとても慕ってくれている。彼女の思いを無碍にすることはできない。
必死の説得を経て何とか功を奏した訳なんだけども。
「と、というか距離が近すぎるんじゃないの!? 仮にもあんたは先生でしょうが!」
「ラブ。No Problem……」
「問題あるわよ! う、うちだって何度そのポジションを獲得しようと奮闘したことか……!」
「こういうのは早いもの勝ちなんだよ」
「ず、狡いわよ! うちらを拾ってくれたのはありがたいけど、それ以上にリーダーには皆世話なってるのよ!」
「大丈夫。文句が出ない程おもてなしするから」
「そーいうことじゃなくて! ってか大体文句出まくってるわよ! リーダーのこと独り占めしてるんだから……」
やはりヘルメット団の子達は殆ど──いや、全員が彼のことを好いているみたいだ。だけどそれが私が一線を引く理由にはならない。
戸惑いながらも膝枕してくれる彼の愛らしさは私だけが独り占めするんだ。何が何でもするんだ。
以前じゃ過激な行動はできなかったけれど、今の立場ならあんなことやこんなことも好き放題できる。
ヘルメット団の子達を蔑ろにする訳ではないけれど、私の中の愛が抑えられないのだ。
この愛の深さだけは誰にも負ける気はしない。
それで、ラブはいいとして対照的にワカモは──
「……まさか、あなたと手を組むことになるとは思っていませんでした──"無名の怪物"」
「いや、俺はそもそも敵対してたつもりは……元々は依頼でしたし」
「……以前の戦闘に関しては目を瞑りますが──何故先生をこんなにも早く信用したのです? 先生を利用するつもりじゃありませんよね?」
「衣食住を与えてくれたんだし、信用するしかできませんよ」
やっぱりしかし敵対心というか、対抗心を燃やしているみたいだ。以前でもワカモと彼は交戦経験があったのだから、多少のいざこざがあるのは仕方がないことだろう。
聞くところによれば決着はつくことがなくお互いに引いたのだとか……いやはや、あのワカモと真正面からやり合える彼も中々の化け物っぷりを発揮しているね。
だからヘルメット団も中々悪評が広まることになって……スケバンや不良生徒達も彼の名前を聞くだけで逃げ帰ってしまう程だからね。
"無名の怪物"だなんて異名もつけられて……こんなにも可愛らしくて愛おしいのに。
そんな異名をつけた子は一体どこにいるのかな。
オシオキガヒツヨウダネ……
「……あなた様」
「ん?」
「この男を手を組むことに異議はありません。ですが──」
「わ、私にも少しだけでもいいので構ってください!」
「すごい可愛いこと言うじゃん」
すごい可愛らしい顔ですごい可愛いことを言うワカモに思わず彼とはまた別ベクトルの愛らしさが芽生える。
……いつの日か、彼もこんな風に甘えてくれたらいいんだけどな〜。以前じゃ甘えるということを知らなかったからなのか、私に気を遣ってばかりだったからね。
とりあえずワカモ撫でとこ……さっきも言ったけど、彼以外の生徒を蔑ろにすることはあり得ないからね。
「あっ、ん……」
「お〜よ〜しよし……」
「……リーダー」
「どうしたの?」
「た、たまにでいいからさ、う、うちにも膝枕を「あ、ダメ」うぉぉい!? あんた毎日添い寝してんだから少しぐらい譲りなさいよ!?」
だからと言って彼を譲るということなんて──
──アリエナイ。
この世界では先生、彼、ワカモ、ラブの四人組が主要人物になってますね!