最愛のあなた
1999年7月19日、あの日から2年ほどが経った…
俺はベッドから起き上がり静かな部屋を見渡す。
「……。」
目覚めるたびに現実を突きつけられる…くれあはいないのだと。
くれあといっしょにいられない日など想像したことなどなかったが、予想以上に辛いものだ。
死にたいと思うことも何度かあった…それでも俺はくれあが戻って来る日がいつか来ることを信じてずっと待ち続ける。
適当にテレビをつけると丁度ニュース番組がやっていた。
「……恐怖の大王…ね」
最近ニュースやらで取り沙汰されている恐怖の大王とやらが現れる日が今日らしい。
俺からしたらそんなこと、どうだっていいのだが…
「……行くか。」
特にこれといってすることもないので、外へ出ることにした。
適当にその辺を歩き回り、公園のベンチに腰を掛けた。
「……大丈夫だろうか…」
俺は今るるかがどうしているのか考えていた。
時はあの日まで遡る……
『私がエクレールの……くれあのマコトジュエルを取り返す…』
ウソノワールを退けた後、るるかは一人でくれあのマコトジュエルを取り返しに行こうとしていた。
『るるか……』
俺はるるかに何かを言おうとしたが途中で口を閉ざす。
今となっては何を言おうとしたのかは自分でも分からない……
(あの日からもう2年か……)
あの日からるるかにマシュタン、シュシュタンとは一度も会っていない。
探偵事務所やパティスリーチュチュにもあれから一度も訪れたことは無い。
行けばくれあがいないという現実をより一層突きつけられる気がして怖いからだ…
(るるか……大丈夫だろうか……)
俺は心の中でそう考える。
だけど、るるかは賢いしそれにとびきり強い。
きっと今もどこかで戦い続けているのだろう……そう信じたい……
「……くれあ…」
そう呟くと俺は無意識のうちに涙を流していた。
その時だった…
『グオアアァァァァァァ!!!』
突然巨大な咆哮が聞こえてきたのだ。
咄嗟に立ち上がりその咆哮が聞こえた方向を向くとそこには巨大な黒い怪物がいた。
「あれは…!」
何が何だか分からないが普通は逃げるべきところなのだろう。
だが……
「……行かないと…」
それだけ言うと俺はその怪物の方へと走って行った。
くれあがもしここにいたら絶対に同じことをする…それだけ俺は考えていた。
向かっていった時前方から小さい何かが飛んできているのに気づいた。
「えくれーる~~!!」
(……今のは…まさか妖精!?)
ピンクのぬいぐるみのようなものが空を飛んで俺の横を通り過ぎていった。
俺は何となくそのぬいぐるみのようなものの正体に気づく。
(あの妖精一体どこへ…それに今エクレールって……)
あの怪物のことも気になるが通り過ぎて行った妖精が発していた『エクレール』という単語のほうが重要だ…。
その名を知っているのは2年前の時点では俺やるるかたちだけなはずなのだから……
「……。」
俺は何も言わずにあの妖精のあとを追いかけた。
しばらく走り続けていた時突風が吹き荒れた。
その直後に周囲はドーム状のフィールドに包まれた。
「これは……」
謎のフィールドに包まれたことに驚きはしたが構わず走り出す。
そしてたどり着いた場所にいたのは……
「まさか……」
2年もの間、ずっと待ち続けていた人だった。
何があったのかは分からないがどうやら泣いているみたいだった。
「ごめんね…名探偵を…プリキュアを……見つけることが出来なかった…」
「ポチ……」
「……プリ…キュア……?」
その時、くれあはハッとしたように顔を上げる。
「私……」
「くれあ…?」
思わず彼女の名前を漏らした。
その声に気づいたくれあは俺の方を見た。
そして……
「…そら…くん……?」
「くれあ…」
お互いにそう言うとくれあは大粒の涙を流し俺のほうへ向かってくる。
そして…
「そらくん…!」
くれあはそう言うと思いっきり抱き着いてきた。
俺も優しく抱き返す。
「くれあぁ……うぅっ………」
「そらくん……」
俺も無意識のうちに大粒の涙をボロボロとこぼしていた。
その時、くれあの髪を留めていたシュシュが光を発し勝手に取れる宙を舞う。
「やっと思い出せたでシュ…」
その声を聞いて俺とくれあはシュシュのほうを見た。
光に包まれるとシュシュは妖精の姿に変わる。
「ずっと帰って来るって信じてたでシュ…くれあ…!」
「シュシュタン…!」
「シュシュタン…君はずっと……」
「そうでシュ…シュシュタンはずっと…くれあの傍にいたでシュ…!」
シュシュタンの姿を見たくれあは思わず抱き着いた。
「この日のためにずっと、預かってたでシュ」
そう言うとシュシュタンはあの日、くれあが変身するのに使った香水状のアイテム、トップオブリリーフレグランスを出した。
「くれあ、みんなを助けるでシュ!嘘を止めるでシュ!」
くれあはトップオブリリーフレグランスを受け取ると怪物の方へ視線を向ける。
「くれあ…」
俺は小さく頷いた。
それを見たくれあは口を開く。
「行ってくる!」
そう言うとくれあは怪物の元へ全速力で走って行った。
「シュシュタンたちも急ぐでシュ!」
「ああ!」
そう言うと俺たちも怪物の元へと向かっていった。
と、思ったのだが……
「ぜぇ…ぜぇ……もう走れん……!」
「遅いでシュ。」
「うぐっ……」
ここに来るまで大分体力を消費したのもあるが、長い間運動していないせいなのか2年前と比べて体力が落ちている…気がする
「シュシュタンは先に行くでシュよ!」
「ああ…後から追いかける…!」
ある程度休んで体力を回復させた後に俺は再び走り出した。
そしてたどり着いた頃にはくれあはキュアエクレールとなって怪物と戦っていた。
「…きらめきタイム!!」
エクレールはそう言うとジェット機のようなスピードで怪物の攻撃を躱し、怪物の顔面に蹴りを食らわせた。
「かっこいい……」
俺は自然と言葉を漏らしていた。
その時、エクレールが地面に倒れてしまった。
「せ……世界が回ってますぅぅぅ……」
「「「ええええぇぇぇぇぇ!?」」」
エクレールは目をぐるぐると回していたのだ。
その場にいた2人のプリキュアと黄色い妖精が驚きの声を上げる。
「自分の速さについていけてないでシュ…」
「シュシュタン!」
とりあえず、俺はシュシュタンの元へ駆け寄る。
「そら!ちょうどいいところに来たでシュ!エクレールを運ぶの手伝って欲しいでシュ!」
「OK!」
そう言うと俺はエクレールの元へ駆け寄りお姫様だっこで安全な場所まで運んでいく。
「え、誰!?」
「説明は後でするでシュ!今はエクレールが回復するまで頼んだでシュ!」
紫のプリキュアが驚いているがシュシュタンがそう言った後に3人のプリキュアは戦闘態勢に戻る。
「回ってますぅぅぅ……」
「エクレール!早く起きるでシュ~!」
「…あ、そうだ…!」
シュシュタンは尻尾をうちわのようにして扇いでいるが回復する気配は見えない。
その時、俺は一つのアイデアを思いつく。
「おい、何する気なんだ…?」
「俺に任せてくれ…」
黄色の妖精がそう聞いてくるが俺はとりあえずそう返答する。
そして、俺はエクレールの体を起こすと……
ズキュウウウン!!
「なななななにやってるんだァァァァ///!?」
「さ、流石でシュ…!シュシュタンたちには出来ないことを平然とやってのけたでシュ…!!」
俺は思いっきりキスをした。
なんだか周りの作画がちょっと変わってる気もするが……
「…!ありがとう、元気戻ったわ!」
「嘘だろ!?」
「この2人に常識は通じないでシュ。」
さっきまでのエクレールが嘘であったかのような回復具合に黄色の妖精は驚き、シュシュタンはそう呟いていた。
そして、エクレールは戦いに復帰し再び怪物の前に立ちはだかる。
「私に任せて…みんなを困らせる嘘なんて、私が終わらせる!」
「オープン!プリキットミラールーペ!」
そう言うとキーホルダーサイズから大きいサイズへと変化する。
「シュシュタン!」
「シュシュ~!」
エクレールはそう言うとシュシュタンは黄色のマコトジュエルを出した。
そして、エクレールはそれをプリキットミラールーペにセットする。
「キュアエクレールが解決!」
「優雅に…!はばたき…!謎を解く…!これが私のアンサーよ…!」
「プリキュア!フライング・インフィニティ!」
エクレールは巨大な蝶の姿となって怪物の体を貫いた。
「キュアット解決」
怪物は浄化され、先ほどまで怪物がいたところには小さな妖精が倒れていた。
その妖精と共に仲間の3人はどこかへとワープし消えて行った。
そして、破壊されていた建物は全て元通りになり俺たちは見つからないようにランドまことみらいタワーの屋上に来ていた。
「「アルカナ…!」」
俺とエクレールは声を揃えてアルカナの名を呼んだ。
「キュアアルカナ・シャドウ…あなたたちの知っている名探偵は……もういない。」
それだけ言うと、アルカナはタワーから飛び降りた。
俺とエクレールはすぐにタワーの下を見るが既にどこにもいなかった。
「アルカナ……」
「……いつか…一緒にいられる日が来るよ…絶対に……」
エクレールの悲しそうな表情を見た俺はそう口にする。
「そらくん……」
「あのー……」
そんな時、後ろにいた紫のプリキュアから声をかけられる。
「ずーっと気になっていたんですけど……」
「2人はどういう関係で……?」
2人のプリキュアからそう聞かれた。
エクレールはクスッと笑い俺と腕を組んで口を開く。
「彼は立神そら…私の最愛の彼氏くんよ♡」
「「………。」」
エクレールの言葉を聞いて2人はフリーズしてしまった。
ちょっと経って正気を取り戻したのか2人は口を開く。
「「ええええぇぇぇぇぇ!?!?!?」」
大気圏を突き抜けそうな勢いで叫んだのだった。
基本的にはイチャラブエピソードがメインですがたまに戦闘もあります