どうも、社畜から無職へです。

 今回はカモフとザニーです。

 この話は自分とAIの妄想と自己満足の代物です。

 細かい設定の食い違いや間違いはお許しを。

 ダメな人はプラウザバック推奨。

 寛大なお心でお話を読んでいただけると幸いです。



1 / 1
友軍誤射は勘弁だ! ゲム・カモフとザニー、 殴り合い宇宙

 

 

 

 

 『待て! 撃つな! 味方だ! 私は地球連邦軍の――』

 

 『嘘を言うなジオンの迷彩兵器が! その歪なモノアイを叩き潰してやる!』

 

 

 

 

宇宙世紀0079、一年戦争末期。 戦場には、生きて還るため、あるいは敵を欺くために、歪な姿で生まれ落ちた「偽装」のモビルスーツたちが歴史の陰で戦っていた。

 

ジオン公国軍が連邦軍の主力機ジムに偽装すべく、鹵獲データとザクのパーツを切り張りして造り上げた、欺瞞の象徴――ゲム・カモフ。

 

地球連邦軍がジオン軍のザクを鹵獲・解析し、自軍の技術と混血させて急造した、MS技術のモザイク機体――ザニー。

 

これは、正規のカタログスペックや栄光あるエースの歴史からは完全に黙殺された、極限の戦場における「友軍誤射(フレンドリー・ファイア)」と「アイデンティティの崩壊」を巡る、哀しき泥仕合の記録である。

 

 

 

 

 

第一章:混沌の宙域

 

 

宇宙世紀0079年12月。ア・バオア・クー攻防戦を目前に控え、地球連邦軍とジオン公国軍の戦線は完全にモザイク状に入り乱れていた。 哨戒任務、あるいは残存部隊の掃討。小規模な衝突が全宇宙で無数に発生する中、ある暗礁宙域において、その「最悪の邂逅」は果たされた。

 

ジオン公国軍の少尉、ヘンリ・シュミットが駆る機体は、遠目から見れば完全に地球連邦軍の「RGM-79 ジム」だった。 直線的な装甲、頭部のバイザー。しかし、近づいてよく観察すれば、その関節部はザクのそれであり、背面のランドセルからはジオン系特有の推進炎が吹き出している。これこそが、敵を惑わすために作られた偽装MS、ゲム・カモフであった。

 

「……フン、薄汚い連邦の看板を背負わされての戦いか。だが、艦隊司令の直命とあらば逆らえば抗命罪、下手をすれば敵前逃亡か、くそっ!」

 

これもあの腐った上官と厄女のせいだ。

一方的に言い寄って来たあの女、興味が無かった私は手を出す事もなくあっさりと袖にしたのだが、あの女は自分の叔父、(艦隊司令)に在ること無いこと吹き込んだのだ。

その結果がこの様だ。

 

「なにが、『優秀な貴官ならこの任務に耐えうると信じている』だ!」

 

何度目になるかも判らぬ愚痴を口にして、ヘンリは不快げに舌を打った。ジオンの矜持を持つ彼にとって、この「ジムの皮を被ったザク」は屈辱の象徴でしかない。しかも、この機体には致命的な欠陥があった。

 

「ジオンの味方からは連邦軍に見え、連邦軍からはジオンの偽装だと見破られる」

 

通信コードや識別信号(IFF)が生きているうちはまだいい。だが、ミノフスキー粒子が濃密に散布された戦場では、目視とアクティブ・レーザーによる識別がすべてとなる。つまり、この機体は戦場に出た瞬間から、あらゆる方向から撃たれるリスクを背負うのだ。

 

一方、その数キロメートル先。 暗礁宙域の残骸に身を潜めていたのは、地球連邦軍の(元)エリート兵、レオン・ライザ中尉だった。彼の駆る機体もまた、極めて奇妙な姿をしていた。 頭部はザク、胴体や脚部もザクに酷似しているが、胸部には連邦系のコックピットハッチが無理やり溶接され、右腕にはジムの先行試作型のような120mm低反動キャノンを装備している。

 

地球連邦軍極初期の試作機であり、鹵獲したザクをベースに造られた「ザニー」である。

 

「ったく、なんで俺がこんな骨董品に乗らなきゃならないんだ。ジムを艦橋にぶつけたからって、ザクの出来損ないみたいな機体を押し付けやがって……」

 

レオンは愚痴をこぼした。ザニーは、連邦軍がモビルスーツの運用データを収集するために作った「間に合わせ」だ。性能はザクⅠや初期型ザクⅡにも劣る。しかも彼の機体は作戦に合わせて頭部とカラーリングをザクに寄せられた(改修機)だ。連邦のパイロットにとって、ジオンの象徴である「モノアイ」の機体に乗ること自体が、恐怖と嫌悪の対象だった。

 

そして、この二つの「まがい物」が、ミノフスキー粒子濃度「極大」の暗礁宙域で、最悪の形で視線を交錯させた。

 

 

 

 

 

第二章:誤認の連鎖

 

 

「――熱源接近! モビルスーツ1! 距離2300!」

 

ザニーの旧式なセンサーがアラートを鳴らす。レオンは慌ててメイン・カメラを最大倍率にズームした。暗闇の向こうから、デブリを蹴って接近してくる機体のシルエットが浮かび上がる。

 

「あれは……ジム? 味方か!?」

 

レオンの胸に安堵が広がった。過酷なソロモン攻略戦を生き延びた、頼もしい連邦の主力機。赤と白のカラーリング。見間違えるはずがない。レオンは通信を開いた。

 

「こちら連邦軍第4哨戒班のザニー! そこのジム、識別信号を送れ! ミノフスキー粒子でIFFが機能していない!」

 

しかし、返ってきたのはノイズだけだった。

 

その頃、ゲム・カモフのコックピットにいるヘンリもまた、正面のデブリの影に「ザク」の頭部を発見していた。

 

「ザクだと? 我が軍の残存部隊か。……いや、待て。あの武装は何だ。あんなキャノン、ザクの制式兵器にはない。それにあの機体各部の直線的な形状……頭部とカラーリングで誤魔化しているが連邦の鹵獲機(ザニー)か!」

 

ヘンリの脳裏に電流が走る。連邦軍はジオンのザクを鹵獲して使っているという噂は聞いていた。 「ジオンの皮を被った連邦の蝙蝠」が、そこにいる。

 

「姑息な連邦め、ザクの姿で我が軍を油断させる気か! させるか!」

 

ヘンリはゲム・カモフの出力を上げた。手にするのは、ジムのビーム・スプレーガンに似せて作られた、中身は実弾の「ザクマシンガン」である。

 

一方のレオンは、近づいてくる「ジム(カモフ)」の動きに違和感を覚えた。 味方であれば、こちらの呼びかけに対して何らかの発光信号や、速度を落とすなどの意思表示があるはずだ。しかし、あのジムは、こちらに銃口を真っ直ぐに向けて突っ込んでくる。

 

「おい、冗談だろ……? まさか、俺のこの姿を見て、ジオンのザクだと思って襲ってきてるのか!?」

 

レオンは青ざめた。自分が乗っているのはザニーだ。しかも顔は改修されて完全にザクである。 「味方のジムが、自分を敵と誤認して撃ち殺しにくる」 それは、この混血機に乗る者が最も恐れていた悪夢だった。

 

「待て! 撃つな! 俺は連邦だ! 機体はザクだが中身は連邦なんだよ!」

 

レオンは必死に外部発光シグナルをパッシングさせた。 しかし、それがヘンリの警戒をさらに跳ね上げた。

 

「発光信号? ジオンのコードではないな。やはり連邦の偽装兵器め、ジムの姿をした私を騙そうとしても無駄だ!」

 

ヘンリは引き金を引いた。 ゲム・カモフの銃口から放たれた120mm実弾が、ザニーの足元のデブリを粉砕した。

 

 

 

 

 

第三章:尊厳無き泥仕合

 

 

「ちくしょう! 本当に撃ちやがった! あの分からず屋のジムめ!」

 

レオンは怒髪天を突いた。味方に殺されてたまるか。生き残るためには、あの「狂った味方」を無力化するしかない。 ザニーは右腕の低反動キャノンを構え、迫り来るジム(カモフ)に向けて発射した。

 

ズガァン!

 

鈍い衝撃波が暗礁宙域を震わせる。しかし、ザニーの旧式なセンサーと駆動系では、機動性の高いジムの動きを捉えきれない。カモフは鋭いステップで砲弾を回避し、さらに距離を詰めてくる。

 

「動きが変だぞ? いや、あれはジムの動きじゃない、あのスラスターの使い方は……ザクだ!?」

 

レオンは目を見開いた。ジムにしては不自然なほど、ジオン系特有の曲線的な軌道を描いている。

 

対するヘンリもまた、ザニーの反撃を見て確信していた。 「やはりな! 連邦のパイロットめ、ザクの機体を全く使いこなせていない。あんな不格好な射撃姿勢、我が公国軍の戦士であるはずがない!」

 

お互いが「相手は偽装した敵だ」と確信し、同時に「自分こそが本物(あるいは正当な軍人)だ」とプライドを懸けて激突する。しかし、その実態は、「ジムの偽物を操るジオン兵」と「ザクの偽物を操る連邦兵」の、世にも奇妙な同類殺しの構図であった。

 

カモフは突撃銃を撃ち尽くすと、それを放り投げ、背中から「ビーム・サーベル」を抜いた――ように見えた。 しかし、その刃から吹き出したのは、ピンク色のプラズマではない。白熱した、文字通りの「高熱」だった。 カモフのサーベルは、ビーム・サーベルに偽装した「格闘用ヒート・ホーク」だったのである。

 

「死ねッ! 連邦のまがい物が!」

 

ヘンリは偽装サーベルを振り下ろす。 レオンはザニーの左腕に装備された小型シールド(これもザクのショルダーアーマーの流用)でそれを受け止めた。

 

ギチギチギチと、金属が焼け付く嫌な音がコックピットに響く。

 

「クソッ!? なんだこのサーベル、ビームじゃない、物理兵器(ヒート系)か!? お前、本当に連邦のジムなのか!?」

 

レオンの叫びは、無線を通じてヘンリには届かない。しかし、至近距離で組み合ったことで、お互いのメイン・カメラが、相手の最も隠したい「歪な部分」を克明に映し出した。

 

レオンは見た。ジムの顔をした頭部の奥で、バイザーの向こうから、ジオン系特有の「モノアイ」の赤光が怪しく明滅しているのを。

 

「あ、あの野郎……ジムの面の下にモノアイが隠れてやがる! ジオンの偽装機か!」

 

ヘンリもまた見た。ザクの顔をした敵の頭部、モノアイに偽装した遠距離スコープとセンサー類を。

 

「確定だ! ザクの頭を持っていながら、センサーは連邦の規格……。やはり卑劣な連邦の機体か!」

 

ここにきて、二人はやっと正しく(相互理解)した。 目の前にいる相手は、単なる「鹵獲機」や「一般的な敵」ではない。自分と同じように、戦場の都合によって生み出された、歪な「怪物」なのだと。

 

 

 

 

 

第四章:アイデンティティの崩壊

 

 

「ふざけるなッ! ジオンの栄光あるザクの姿を、そんな醜悪な姿に貶めおって!」

 

ヘンリの怒りは頂点に達した。ザクはジオンの魂だ。それを連邦のパーツで切り張りし、あまつさえ連邦の兵器として運用するなど、耐え難い侮辱だった。

 

「お前らに言われたくないよ! こっちだって好きでこんなツギハギに乗ってるわけじゃないんだ! ジムの姿をしてジオンの弾を撃ってきやがって、どの面下げて言ってんだ!」

 

レオンもまた、日頃の不満をぶつけるように叫んだ。

 

互いに回線は開いていない。だが、だからこそ分かる、分かってしまう。

 

ザニーはカモフを突き放すと、腰に装備していた旧式の105mmザク・マシンガン(連邦が解析用に改造したもの)を掃射した。

 

ガガガガガガッ!

 

実弾がゲム・カモフの胸部装甲を叩く。カモフの装甲は、ジムに似せるために無理な軽量化が施されており、ザクⅡよりも脆弱だった。

 

「ぐっ……装甲が保たんか! だが、その程度の旧式兵器で、このカモフを落とせると思うな!」

 

ヘンリはカモフを反転させ、デブリの影へと滑り込んだ。 お互いに決定打を欠く泥仕合。兵器としての完成度が低い二機による戦闘は、泥沼の消耗戦へと突入していく。

 

ザニーのキャノン砲は、発射の反動で無理が掛かりフレームがきしみ、アラートが鳴り止まない。 ゲム・カモフのスラスターは、外見をジムに似せたせいで推進剤の配置に無理があり、激しい機動のたびに燃料を異常消費していく。

 

「ハァ、ハァ……なんて効率の悪い機体だ。ジオンの技術陣は何を考えてこんなゴミを作った!」 「クソッ、関節が痛ぇ! 連邦のメカニックめ、もっとマシな整備をしやがれ!」

 

二人のパイロットは、敵に対する憎しみよりも、自分が乗っている「尊厳無き機体」への怒りと絶望で満たされていた。 戦場における最強の兵器であるはずのモビルスーツが、ここではただの「不細工なブリキ人形」として、互いの命を削り合っている。

 

 

 

 

 

第五章:戦場に響く笑い声

 

 

戦闘開始から数分。すでに二機の姿はボロボロだった。 ゲム・カモフは左腕の偽装装甲が剥がれ落ち、中からむき出しのザクの骨格が露出していた。もはやジムの面影は半分もない。 ザニーは低反動キャノンが過熱して爆発し、右腕を失っていた。胸部は変形し、火花を散らしている。

 

二機は、暗礁宙域の中心にある、巨大な戦艦の残骸の上で、互いに武器を失った状態で対峙していた。

 

 

 ((やっぱり最後は殴り合いだな!))

 

 

連邦とジオン、立場は違えど同じ結論に至る。

 

ヘンリはカモフの右拳を握りしめ、レオンはザニーの左拳を構える。 もはやモビルスーツの戦闘ではない。ただの不格好な殴り合いだった。

 

カモフの拳がザニーの顔面を殴り飛ばす。ザニーのモノアイ・シールドが砕け散る。 ザニーの蹴りがカモフの腰を捉える。ジムの皮を被ったスカート装甲が弾け飛ぶ。

 

「オラァッ! 偽物野郎!」 「貴様こそ、落ちぶれた連邦の犬が!」

 

その時だった。 二機の背後の宙域から、新たな熱源が急速に接近してきた。

 

ピピピピピピピピピ!

 

両者のコックピットに、今までとは比較にならないほどの激しいアラート音が響き渡る。 メイン・カメラが捉えたのは、その宙域に突入してきた、本当の「地球連邦軍の主力部隊」だった。 先頭を走るのは、数機の本物の「RGM-79 ジム」。そしてその反対からは、本物の「MS-06F ザクⅡ」を交えたジオンの部隊も現れた。

 

大部隊同士の衝突。その中心に、ボロボロのゲム・カモフとザニーが取り残されていた。

 

ヘンリとレオンは、同時に息を呑んだ。 そして、それぞれの無線レシーバーに、自軍の通信が入ってきた。

 

『――おい、見ろ! 前方にジオンのザクだ! ……いや、待て、なんだあの不格好な機体は? ジオンの観測機?』 『こちらジオン公国軍第21大隊! 前方にジムを発見! ……待て、あのジム、装甲の中からザクの腕が出ているぞ!? 連邦の偽装機体か!?』

 

次の瞬間、連邦軍のジム部隊からも、ジオン軍のザク部隊からも、その場にいた「カモフ」と「ザニー」に向けて、一斉に砲門が向けられた。

 

連邦軍から見れば、ザニーは「怪しいザク」であり、カモフは「ジオンの偽装ジム」である。 ジオン軍から見れば、カモフは「連邦の偽装ジム」であり、ザニーは「連邦に寝返ったザク」である。

 

つまり、どちらの軍にとっても、この二機は「真っ先に撃破すべき、わけのわからない不審物」でしかなかったのだ。

 

「あ……あははは……」

 

レオンの口から、乾いた笑いが漏れた。 本物のジムと本物のザクが、自分たちを殺すために一斉にビームと実弾を放とうとしている。

 

「おい、ジオンの偽装野郎」

 

「……何だ、連邦のまがい物」 ヘンリの声が返ってくる。そこには先ほどまでの敵意はなく、ただ深い諦念だけがあった。

 

「俺たちの戦いって、一体何だったんだろうな」 「さあな。だが一つだけ確かなことは、私たちは最初から、この戦場に居場所などなかったということだ」

 

無数の光条が、暗礁宙域を照らし出す。 連邦のビーム・ライフルと、ジオンのザク・マシンガン。その集中砲火が、二機の「偽物」を目がけて殺到した。

 

「友軍誤射は勘弁って……最初に言ったはずなんだけどな……」

 

レオンが最後にそう呟いた瞬間、ザニーとゲム・カモフは、無慈悲な光の渦の中に呑み込まれていった。

 

二機の爆発は、激しい大戦の火花の中に一瞬で掻き消され、どちらの軍の撃破スコアに記録されることもなく、ただの「戦場のゴミ」として宇宙の塵となった。

 

後に残されたのは、どちらの陣営からも拒絶され、尊厳を剥奪されたまま、ただ戦い、消えていった二人のパイロットの、哀しい歴史の1ページだけだった。

 

 

 (終わり)

 

 

 





 どうも、無職です。

 自分は結構好きです、カモフとザニー。

 読んでくれた人が、カモフとザニーを好きになってくれると嬉しいてす。

 では、またの機会があれば。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。