連邦軍が宇宙でワークホースとして運用したパブリク突撃艇。
チェンバロ作戦ではビーム攪乱弾を抱えファーストストライクを担った。
パブリク突撃艇隊の方針は
「ソロモン防御エリアのいかなる位置、時間においても生存性を高める手段を施す」
であった。
突撃艇隊が生還するためにとった手段についての設定です。
要塞の地勢を利用した長大な基線長のセンシング、観測機器は、艦艇に装備されたFCSをはるかに凌駕する精度を持っている。
要塞砲と艦砲が長距離砲撃戦をした場合、艦艇には機動性の優位があるものの、そのシミュレーション結果は想定を裏付けるものになる。
この要塞砲の無効化の任務は突撃艇隊が担っていた。
※本篇は、『[ミリタリーSF]ビーム攪乱幕の原理、および対要塞戦における戦術使用』の連載としていたものを独立短編としたものです。
「ガンバスター」パブリク突撃艇
パブリク突撃艇は、艦隊内、拠点間の人員、物資の移送から艦隊進路の啓開、長距離哨戒をするマルチロール的な運用をしていた。
しかし、本来の任務は、高相対速度を維持し目標へ接近、艇体下部に搭載された各種のコンテナ弾を投射するものでる。
ソロモン戦においてもビーム砲塔を目標とし、砲塔を直撃、または周囲の岩盤ごと粉砕する硬目標貫通弾を搭載、高相対速度でソロモン防御エリアを突進する攻撃プロファイルを策定、準備を進めていた。
しかし、連邦軍艦隊参謀本部が突撃艇隊に渡したものは、ビーム攪乱弾※2であった。
※2.硬目標貫通弾の弾体質量はパブリク突撃艇の機動性を低下させ、貫通弾の運動エネルギーを砲塔へ指向させるには、突撃艇の経路を砲塔の射界内に収める必要がある。
これはソロモン防御射撃の射界の中を直線で進行することになる。
連邦軍はパブリク突撃艇への任務としてビーム攪乱弾を採用した。
ビーム攪乱弾
メガ粒子ビーム攪乱の研究は順調であった。
しかし、兵装としてのビーム攪乱弾※3の開発はそうではなかった。
不安定なバランスに立脚する原理を発生させ、保管、輸送、搭載、投射、形成、戦闘間の維持をさせる目途がたったのはジャブローに狼煙が上がる直前だった。
コンテナの仕様も、荷物の仕様が二転三転するため混乱、製造開始の決定も見切り発車だった。
開発初期段階での投射点距離は(当然ながら)スタンドオフ距離、投射時の相対速度も(当然ながら)高いものであったが、荷物は際限なく増大し、投射点距離、投射速度は削り取られていった。
ジャブロー工廠へリリースされた設計は、簡素なセンサー、ミノフスキー粒子を詰め込んで膨らんだタンクと維持装置、補器、そして位置、速度を最終調整する申し訳程度のスラスターを繋ぎ合わせたものだった。
モックアップを見た突撃艇クルーは「試験管とマッチ」と評した。
※3.非格子化ミノフスキー粒子を保存、状態を維持、自律誘導、推進機能を有するコンテナ
近接同速度投射
突撃艇隊へ指示されたビーム攪乱弾の投射点位置、投射速度を基に突撃艇隊本部は攻撃プロファイルの策定を行った。
投射点位置、投射速度は変えようがない、しかし、そこに至るそこから去る過程は突撃艇隊の裁量に任されている。
方針は「ソロモン防御エリアのいかなる位置、時間においても生存性を高める手段を施す」だった。
ソロモンへのファーストストライクは要塞の全ての防御火網と迎撃隊が指向させられる。
生き残るためには可能なあるゆるものを使う。
推進剤の使用は投射の瞬間を起点とし、ソロモンと同速度への減速、相対速度0からの加速も含めて常に回避となる機動をし続ける。
艦隊との相互補完を提示し参謀本部は可能な限り受け入れた。
パブリク突撃艇の改修も要求した。
「パブリクの損失はソロモン戦に齟齬をきたす」
ソロモン防御エリアにおけるパブリク突撃艇小隊の防護措置
パブリク突撃艇は4機の小隊(フライト)を行動単位としソロモンのビーム砲塔1基を指定される。
ソロモン防御エリアへの突入から防御エリアの離脱までに行う突撃艇小隊の行動要領は、投射以外、すべてが生存するための手段であった。
フェイズ-1.防御エリアへの進入
従来の高相対速度より低い相対速度にし推進剤をフェイズ2,3,4での回避機動へ振り分ける。
目標の防御エリアへ入る前に4機の内1機のビーム攪乱弾を使用して編隊の前方に自己防衛用のビーム攪乱幕を形成、小隊は密集編隊で攪乱幕の有効範囲に収まり「盾」と共に防御エリアへ進入。
投射した突撃艇は小隊の援護機となり周囲を警戒。
作戦へ投入されるビーム攪乱弾の25%を使用しソロモンの長距離ビーム砲火の中を突撃艇は進攻する。
フェイズ-2.回避機動による接近
自己防衛用ビーム攪乱幕が無効化されるとパブリク突撃艇の防御手段は機動のみになる。
相対速度0に持っていく減速もタイミング、Gを変動させ、突撃艇隊へ指向される射線と邂逅しないよう回避機動を継続する。
フェイス-3.投射
回避機動を途切れることなく続け、指定されたビーム砲塔との距離、相対速度が規定に納まった瞬間、ビーム攪乱弾を投射。
突撃艇からのリリースアシストを受けビーム攪乱弾はビーム砲塔へ向かう。
ビーム攪乱幕が目標のビーム砲塔へ最適となる位置、限りなく0に近い相対速度で被さるようスラスターを噴射。
そして、非格子化ミノフスキー粒子の幕を展開。
フェイズ-4.回避機動による離脱
投射後、攪乱弾は艇体後部のガンカメラでモニターし、突撃艇隊は帰投フェイズへ移行。
回避機動をし帰投エリアへ向け加速、ソロモンとの距離、相対速度を増大させる。
フェイズ-5.帰投
ソロモンへ進攻するMS隊と調整したルートで突撃艇隊は帰投。
MS隊からの直接の援護を受けることはできないが、MS隊は周囲を警戒しジオン軍のMS部隊、戦闘艇隊の接近を阻止する。
ソロモンへ向かうMS隊の隊列はソロモンから戻る突撃艇隊の帰投回廊を形づくる。
ビーム攪乱弾の投射は突撃艇隊の任務であるが、ソロモン至近へのビーム攪乱幕の敷設はチェンバロ作戦における第三艦隊の任務であった。
宇宙世紀0079年12月24日 18時10分
連邦軍の宇宙艦隊は再びジオン宇宙軍との戦闘を開始する。
生還
「俺たちの小隊は、情報士官が指定したソロモンの住所へ荷物をきっちり配達した」
配達後、ガトルがやって来た。
スープのようなミノフスキー粒子、自分達が配った荷物の影響もあったかもしれない。
小隊は奇襲を許してしまった。
艇長は操縦の覚束ないパブリクを戦闘域から脱出させた。
それが7日前、艇体は半壊したが改修工事で強化したダメージコントロール機能、ライフスペースへ分厚く吹き付けた耐弾コーティングは役目を果たした。
かろうじて作動するスラスターを使ってなんとかソロモンとの相対速度を無くすことまでは出来た。
そう、再びソロモンとの速度0、しかし、今度はずいぶんと遠くになってしまった。
センサー、通信機能は沈黙、唯一ブラックボックスに組み込まれている短距離通信のみが可能。
そのため、ソロモン戦がどうなったかは分からない。連邦とジオンも話のネタに存在するものになった。
7日間を過ぎるとあまり良い評判を聞かない極低代謝導入剤を使用しなければならない。
「さて、どうしたものか」サバイバル訓練で教えられたフラットメンタルで思案している時、短距離通信が開いた。
「貴艇の所属は何か」「またせたな、英雄さん」
パブリク突撃艇の帰還率は高いものではなかった。
しかし、乗組員の生還率はそれと同じではなかった。
以下の概念図
図4.硬目標貫通弾投射を任務とするパブリク突撃艇の「高速パス投射」プロファイル
図5.ビーム攪乱弾投射を任務とするパブリク突撃艇の「近接同速度投射」プロファイル
図6.ソロモン防御エリアにおけるパブリク突撃艇小隊の防護措置
イメージ画像
画像1.チェンバロ作戦開始9分前の第三艦隊所属パブリク突撃艇
サイド4の残骸を脱し発進線へ向かう第三艦隊所属のパブリク突撃艇の小隊群
この後、一斉回頭をし突撃横隊を組む。
ソロモンはグレー色で浮かび上がり、艦艇ゲート、砲塔はカモフラージュされこの画像では確認できない。
第二連合艦隊本隊はソロモン左後方に位置し、第二連合艦隊本隊-ソロモン-太陽は一直線に並ぶ。
ティアンム艦隊は太陽光を正面から受ける。
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