雷鳴に刻まれし運命を背負う少女の深い闇―The Black Lightning Destiny― 作:管理局事案編纂室
フェイト・T・ハラオウンは自室の姿見の前に立っていた。
左目をアイパッチで隠し、黒を基調としたよくわからない英語とドラゴンっぽい何かがプリントされたシャツ。同じく黒をベースに赤いチェック柄の入ったスカート。無駄に太い通し穴だらけの白いベルトを巻いていた。腰には意味のない装飾のチェーンが無駄に3重。ソックスは右が太ももまで、左が膝下までのアシンメトリー。
首から下げたバルディッシュは安っぽい金メッキのチェーンに通され、これまた無駄にチェーンが巻き付けられていた。主に忠実なデバイスは何も言わなかった。ただ、無断で録画はしていた。
左腕に巻きつけられた包帯を撫で、胸元に手をやる。鏡の中の自分を睨んだ。
「……まだ」
一呼吸置く。
「まだ、足りない。この程度じゃ、封じられた力の百万分の一にも満たない……!」
左腕を掲げる。
「左腕に封じられし大いなる闇を開放する。それが私、フェイト・T・ハラオウン・ザ・ダークナイト・ライトニング・ディスティニーの使命ッ!!!」
―――決まった。
三日三晩寝る間も惜しんで考えた最高にかっこいい口上。それが今、完璧な形で再現された。
腕を下ろし、満足げに振り返る。
扉を開けた状態で固まっている
フェイトの時間が止まった。
「……………………………………………………」
「……………………………………………………」
部屋に静寂が訪れる。フェイトもリンディも動かない。動けない。しかし、司令官として多くの現場を経験してきたからか、やがてリンディが復帰した。
「………………」
リンディは、なんとも言い難い微笑みを浮かべながら、そっと、扉を閉める。
――カチャ
その音が、やけに大きく聞こえた。
フェイトはもう一度、鏡を振り返る。そこに、先ほどまで自分に酔いしれていた少女の面影はなかった。代わりに、羞恥で耳まで真っ赤に染まった少女が写っていた。
フラフラとベッドへと近づき、倒れこむ。
「………………死にたい」
フェイト・T・ハラオウン・ザ・ダークナイト・ライトニング・ディスティニー。彼女は現在、そういうお年頃真っ只中であった。
『――それが私、フェイト・T・ハラオウン・ザ・ダークナイト・ライトニング・ディスティニーの使命ッ!!!』
「バルディッシュッ!!?消して!!!今すぐ消してぇっ!!!!!?????」
クロノが帰宅した時、
「母さん?どうしたんだ?」
「………………クロノ。年頃の娘を持つって、大変なのね」
「いったい何の話をしてるんだ?フェイトがどうかしたのか?」
「いいえ、なんでもないのよ。そう、なんでも……」
「とてもそうは見えないんだが……」
「本当に何でもないの……。ただ、あなたはフェイトの部屋に入るとき、ちゃんとノックするのよ。お母さんとの約束」
「本当に何があったんだ!?」