魔人ホーネットが率いるホーネット派の居城、出撃している魔人を除いた面子での幹部会というかお茶会が開かれていた。
「はあ…旦那様はいつ帰ってくるのでしょうか」
ホーネットが憂鬱そうに呟く。
「報告書ならセレス製のがたんまり送られてきているでしょう、ルリ様のも有りましたが」
ハウゼルがうんざりしたかのように応える。それらを読み上げるのは自分やシルキィなのだ。「彼」が居ないとホーネットは結構ポンコツ化してしまう。
結ばれた頃からずっと共に居たから表面化していなかった欠点だったが。そしてツッコミは主にシルキィとハウゼルが担うのだ。
「もう既にこちらでは10日経過しています…『むこう』では10年以上も経過しているということです…!」
「順調に使徒増やしているみたいですしね、あの方の特性を考えれば今までが少なすぎたんですよね」
「写真*1も有ったけど美女ばっかりだったな」
サテラが繋ぐ。
「いや、1人だけ歴戦の男戦士みたいなの居ましたよね」
「子供まで作っていたわ。かなりの美少女、お相手も当然美女で、『どちらも魔人に推薦したい』と」
「アルフィアさんとアリスィアさんでしたっけ、実際に技能レベルぶっ飛んでいましたよね」
「働き者のルリまで連れ回してホーネット様を放置して自分は異世界で女とよろしくやっているなんて良い度胸だ…!それで私達が負けたらどう責任取るつもりだ…!」
「アゼルとアイリス様も前線に出るようになったから普通に優勢ですけどね」
「ルリ様もとうとう新しい使徒を作ったらしいです、しかも槍戦闘Lv.3持ち、軍師Lv.2も持っている、と…」
「技能Lv.3ってそんなにうじゃうじゃ居るものなの?恐ろしいわね、異世界」
「なんでも今拠点にしている場所が『英雄の都』と呼ばれる場所らしいから、特異な者達がよく集まるのでしょう」
「そこで鍛冶の神とも仲良くなり結構順調だ、とも」
「そもそもクロノは適当な業物握らせておけばそれだけで最強だ。魔法使いとしても。わざわざ新しい武器を探す必要がどこにあるの?」
「『格闘Lv.2』も持っているって言ってましたよね、昔カイトと立ち合ってほぼ一方的にボコっていたの見ました。」
「『自分に相応しい得物が有れば
スケールの違う話だ。魔王は
「
というか自分勝手な者が多い魔人としてはかなり誠実な対応でもあるだろう。ホーネットと隠れて付き合い続ければいいだけの話だったのに。
それほどの実力を持つ「良い男」が自分のためにそこまでしてくれたのだ。元々子供の頃から好きだったとはいえ、切っ掛けはズルズルと初めてしまった関係だが今は「彼以外の男」など考えられない。
「最悪の場合この世界から逃げて共に暮らそう」という誘いに頷いてしまうほどには。「魔王なんて代替わりするんだから忠誠捧げるだけ無駄」が彼の言い草だが。
「魔王の性格次第ではどんなに誠実に対応しても殺される場合もある」とも。自身を気に入っていた
まあそんな言葉を幼い頃から聞かされていれば「自分達は特権階級」などと粋がるのも無理だ。絶対的支配者の気分次第では容易く崩れる中間管理職、かなり薄氷の上での階級だろう。「1000年限定の神の箱庭の中での天下など要らない」とも。
実際に異世界まで行くことが出来て2000年以上生きているからこその言葉だろう。
この派閥戦争を無駄に長引かせているようなマネをしているのも神の一部に「出来るだけ長引かせて楽しませろ」という注文を受けているから、らしい。
長くを生きるメガラスからも「神はかなり理不尽だからそういうこともあるだろう」と肯定された。
実際に彼やルリ達が全力を出せばこの派閥戦争もあっさり勝てる。多くを知らないホーネット以外の魔人達も薄々勘付いてはいるが口にはしない。
彼らが抜けた瞬間ほぼ確実に負けるからだ。サイゼルとハウゼルの仲を取り持ち、前者をこちらに引き込んだのも彼だし、ルリが居る理由も明白だ。
サイゼルの息子や自身の娘の存在も有る、使徒達も非常に優秀だし、ゲスな話をすれば本来は生殖能力の低い魔人の
女と子供を作ってそれを戦場に送り込むだけでも勝てるのだ。本人の気質的に無理だろうが。というかそんな男なら自分まで惚れていない。
アゼルや
「どんなに遅れてもこちらの1か月後くらいまでしかズレない、と仰ってましたから今は信じて待ちましょう」
と、ホーネットが纏める。そろそろ