魔王は異世界を楽しみたい   作:第48魔王

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集まった人類

飛行していると、いろんな目新しい物が目につく。

どれも気になるけど…一旦目的を絞ろう。

未知の生態系や地形は後回しにして、魔族の脅威になりそうなものから優先的に調査していく。

 

「お?何あれ、魔族の肉塊?」

 

早速見つけた。

叩き潰され、ミンチになったどこかの師団の魔族兵が山のように積まれていた。

 

周囲には大きな足跡。

十中八九、巨人族だね。

この肉塊の山はマーキングで、縄張りを主張しているらしい。

 

ここ魔族の土地ね?いい度胸じゃん。

 

足跡を追っていくと、10分とせずに20体くらいの巨人と遭遇した。

小さいのでも10m近く、大きいのは20mはあるな。

 

「おぉ?ニンゲンかぁ?」

 

「うまそう」

 

「女だぁ」

 

私に不躾な視線を向けてくる巨人達。

腰巻きだけ身につけた、蛮族って感じだね。

まあ確かにその辺の魔族より強いのかもだけど、もうちょい理性的でないとねぇ。

 

「ハロー巨人さん達!あなた達は何か私に献上できるものはあるかな?それ次第で、見逃してあげてもいいよ!」

 

私が最大限の温情を持ってそう告げると、巨人達はバカにしたように笑い始めた。

 

「ゲははッ、コイツ馬コリュゲッ⁉︎」

 

デコピン一発で消し飛ぶ雑魚の分際で、私を貶すなんていい度胸だ。

嫌いじゃないよ。こういう馬鹿。

 

「コイツ…!敵だ!」

 

「敵だ!」

 

「敵だァ!」

 

ドラミングをして、筋肉を膨張させた巨人が一斉に襲いかかる。

 

よりも早く。

 

超高速で私は巨人の群れの間を駆け、その心臓を抜き取った。

 

「手先の器用さには自信があるんだよね。人間が使う超強壮剤の材料が巨人の心臓だっていうから、気になってたんだ〜」

 

「アれ、アイツどこ──────」

 

糸が切れたかのように倒れ伏す巨人達を見て、何かに使えないかと思案する。

とりあえず、今回ゲットした心臓は丸薬にでもして手頃な魔族にでも飲ませてみよう。

ちょっとでも強くなったら御の字だよね!

 

残りは…骨とか何かに使えないかねぇ?詳しく調べてみないとわからないな。

こういう時は、ほい!

 

『大転移魔法』!

 

行き先は、先ほど作った保管庫だ。

行き先自由な転移とか、便利がすぎるよね。私の魔力ならポンポン使っても問題ないし、大転移魔法は必需品だ。

 

さて、不届きものを滅したことだし、人間を探さなきゃ。

いくら目が良くても、遮蔽物があると見えない。

小さい人間はそれだけで見つけにくいのだ。

 

大きな動物とか怪物はすぐ見つかるんだけどなぁ。

 

ん?

 

何かを追ってるデカい植物がいる。

追われているのは……人間だ!

 

そっか。人間はどこの世界でも追われる立場だし、人間を追う人間の天敵を見つければ人間も見つかるってわけだね!

 

んじゃ早速。

 

人間達を追っている巨大な植物を手から出した鋭い糸で細切れにして、人間の前に回り込みゆっくりと地に降り立つ。

 

魔力を抑えるのも忘れない。

私クラスになると、身に纏う魔力で人が死ぬからね。

半径10mくらいは普通の人間なら確殺圏内だ。

 

「やあやあこんにちは!私は第8魔王タランガだよ!ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいよね?」

 

人間は数名の集団だった。

私の城に招いたパワードスーツを着た人たちと似た人が二人、見慣れた魔術師然としたのが三人。

 

魔術師達が私の姿を見て騒ぐ。

 

「魔王……!?」

 

「貴様らに聞かせることなどない!」

 

その反応で全員が私のことを敵と認識したのか、一斉に警戒態勢になってしまった。

 

「うーん…ちょっと技術提供してほしいだけなんだけどなー」

 

銃から放たれた光線を指でペチペチ払いつつ、魔術師が放ってくる魔法に対して適切な妨害を加え術式を破壊していく。

 

「ダメだ!皆魔法陣へ!」

 

攻撃が無意味だと悟ると、一人が殿として私を足止めし、残りが少し遠くに見える転移用の魔法陣へと駆け出した。

 

あ、ちょっとタンマ。

私のことが集まってる人類に共有されるのはまずいわ。

警戒されると情報を取るのが難しいし。

 

「魔王め…!お前たピギャッ!?」

 

速攻で殿の頭をもぎ取ると、残りの全員の前に回り込んで魔法陣に封を施す。

これを使えば人間達の拠点に行けるなら、ここの数名にこだわる必要はないけど…元人間のよしみとして、チャンスはあげよう。

 

「君たちの持つ、知識と情報の全て。それと引き換えに、君達の命だけは助けてあげるけど…どうする?」

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

取れるものは取って、死体を魔法で焼却する。

 

「結局、何も喋らなかったなー」

 

無駄なことだとは思うけど、その覚悟は賞賛に値するだろう。

どれだけ痛めつけても、目の前で仲間を殺しても、最後の一人まで抵抗をやめなかった。

 

「ま、どーでもいいんだけどさ」

 

取り敢えず、技術を盗むなら対話をしたい。

けど、私が魔王だとそれは無理っぽいので…人間に変装することにした。

こういうことしてると他の魔王から変なやつだと思われちゃうけど、私は成り上がりなのでそこまで気にしていない。

根が小市民なんだよねー。

 

設定はどうしようかな。

やっぱりよく知ってる魔法を使う世界の住民で、取り入り易くするために魔族の奴隷ってことにしようかな?

 

うん、そうしよう。

人間相手なら可哀想な人を演じて同情を誘うのが効果的でしょ。

 

取り敢えず腕は背中にしまう。

目も一対以外閉じちゃって…その上で、『上級魔法ハイ・デコレーション』を使って見た目や服装、傷や匂いを偽装する。

 

魔法で水を生み出し、水鏡を作って自分の姿を確認。

 

荒れた茶髪。

ボロボロの服。

所々に見える傷口。

 

おお、可哀想。

 

これで、この魔法陣から人が出てくるのを待つか。

いやもう行っちゃうか。

ある程度魔法が使えるって設定にしたら、転移魔法陣を使えたことも言い訳できるでしょ。

そもそもそんなムズイ術式じゃないし…。

 

というわけで、転移魔法陣、起動!

 

 

パッと景色が変わり、出てきたのはお城の中だ。

数名が驚いたようにこちらを見る。

 

「君は……!?」

 

「大丈夫か!?」

 

「また避難者パネ〜〜!?」

 

水色の髪の青年がこちらに問いかけ、それより深い水色の髪を持つ隻腕の青年がこちらを見るなり駆け寄ってきた。ついでにブサイクな妖精もいる。

人間の二人は兄弟かな?魔力の波長が似てるし。

うーん、両方とも人間にしては上出来な魔力を持ってるな。

隻腕の方は、普通の戦闘幹部とも戦えるかも…?

キヴィラちゃんやムカディラは強いから無理だと思うけど。

 

にしても、どう答えるのが正解だろう。

追い詰められた人間が一体どんな反応を示すのか。

今まで蹂躙してきた人間たちを思い出す。

 

「え…えっと、あなたたちは…?」

 

びくびくしながら、相手の顔色を伺うように聞き返す。

こんな感じかな?

 

「俺はハロゥ。こっちは補助妖精のパネパネだ。もう安心しろ、ここは安全だから」

 

「俺はゼイビィだ。ハロゥの兄だな。見たとこ、魔勢界の人間かな?何があったか聞かせてくれるか?」

 

魔勢界…私たちの世界のことかな?

あ、名前どうしよ。

タランガって名乗ったら流石にまずいよね。

 

「私、ランっていうの。第8魔王タランガ様の元で奴隷として働かされてて…でも、空が光ったと思ったら牢屋がなくなってたから逃げてきて…魔族じゃない化け物に襲われたところを、助けてもらったんだ…けど、その代わり助けてくれた人たちが…」

 

即席にしてはいいストーリーが出来たんじゃなかろうか。

第8魔王タランガの領地のことは、私が一番よく知ってるしね。

 

ゼイビィと名乗った魔術師が再び聞いてくる。

 

「そっか…辛いことを聞いたな。救助に出た班かもしれない。場所は後で教えてくれ。確認に人を出す。もう一ついいか?転移魔法陣を使ったみたいだけど、誰かが送り出してくれたのか?」

 

確認…あー、死体焼いといて良かった。転移魔法陣については、事前に考えていた言い訳がある。

 

「いや、私が使ったよ。ちょっとだけ魔法が使えるんだ。魔王タランガ様は多芸な人間を奴隷にするから…」

 

これは本当だ。

手先が器用な人間とか、魔力が多い人間だけは生かして、大雑把な魔族には出来ないような作業に関わらせている。

 

「そうか…分かった。怪我の手当てをして休んでいてくれ。魔法が使えるなら、何か頼むこともあるかもしれない」

 

「わかった!何か手伝えることはある?」

 

じっとしているだけなんて耐えられないので、何かやりたい。

 

「今から、融合した各世界の代表が集まって話し合いをするんだ。それが終わったら…」

 

「何それ!?世界融合の話は助けてくれた人たちにちょっと聞いたよ。私も行きたい!私、魔王の情報結構持ってるから役に立つよ!タランガ様の元には時々他の魔王も来るから…」

 

早速キャラが崩壊してる気がするが、もういいや。

バレたらそん時はそん時。

今はいろいろ見たいのだ。

 

「分かった。じゃあついてきてくれ。無理はするなよ」

 

 

ゼイビィについていくと、そこは広めの会議室のような場所だった。

人間の、だけどね。

魔王の会議室は絶妙に変でやりづらいので、こういうスタイルの方が私は好きだな。

まあ、魔王は体の大きさがまちまちだから、仕方ない面もあるけど。

 

そこには、見たことない格好をした人たちが集っている。

私の興味がそそられるのは…。

 

やっぱりロボット相手に戦ってる人たちと、妙なスーツを着た人たちだ。それと、真っ黒な衣装でガスマスクをつけた人が持つ道具も不思議だな。

 

ま、大人しく話を聞こうか。

 

大体はニュドーから聞いた通り。

ただ、各世界に名前がついてわかりやすくなった。

人類達の脅威を総じて『天敵』と呼称することにしたようだ。

 

私たち魔族が天敵の『魔勢界』。

暴走したロボットが、人類を根絶しようとしている『機律界』。

巨大で凶暴な動植物が、人間の住処を奪っている『暴緑界』。

寄生生物のパラサイトが、人間の身体を乗っ取る『寄生界』。

強靭な肉体を持つ巨人族が、人間を奴隷や玩具として扱う『巨人界』。

一体の大怪獣が、世界中を踏み荒らしている『大凶界』。

高度な技術を持つ宇宙人に侵略されている『天鬼界』。

知能も身体能力も優れた新人類が、普通の人間を支配している『新虐界』。

人間が信仰していた神そのものが、天敵になっている『怒神界』。

呪いによって大地も海も蝕まれ、世界が滅びつつある『呪滅界』。

ゲームが人間を縛り、逃れることも許されないらしい『遊獄界』。

文明も秩序も崩壊し、同じ人間である無法者が天敵になっている『無法界』。

巨大な世界樹が星の命を吸い上げ、世界を枯らしている『大樹界』。

 

まあそこそこいいネーミングじゃないかな?

わかりやすいよ。

 

人類の天敵が13倍に増えてるのも面白い。

この状況を打開するための意見をゼイビィが求めて、しばらく全員が沈黙していた。

 

暇なので、隣で黙っているハロゥに話しかける。

 

「ねぇねぇハロゥ、君って勇者なんでしょ?相手は誰だったの?」

 

ハロゥの持つ折れた剣はなかなかいい業物だ。

私が本腰を入れて作る魔道具の10分の1くらいの性能はありそうだ。

人類の叡智を結集して作ったのだろうし、それを持つということは人類の期待を一身に浴びる勇者なのではないか、と推測したわけだ。

 

「俺は第11魔王ジャチの担当だったけど…負けたよ。戦いにすらならなかった。勝てなくてごめんな…」

 

「え?ジャチとやったの?」

 

「ジャチ?いや、まあそうだけど…」

 

ジャチはめちゃんこ強い魔王代表みたいなやつだし、生き残っただけでもよくやった方でしょ。

私も全開放(バースト)したジャチ相手だと完全にパワー負けするし。

まあ、スピードとか魔法とかで勝ってる部分はあるし、全力で殺し合ったら勝てないこともないと思うけど。

それでも、人間が到達しうる領域にはない。

 

恐らく見逃された形ではあると思うが、ハロゥがジャチと一戦交えて生き延びたのは十分すごい。

 

「謝ることないよ。ジャチ相手に生きて帰っただけ上出来でしょ」

 

「ああ、ありがとう…?…“ジャチ相手に”?ジャチを知ってるのか?」

 

あ、ジャチとはそこそこ仲良いから思わず呼び捨てしちゃった。

まあいいや。

別にそこまで疑われはしないでしょ。

 

「ああ、タランガ様とジャチは仲がいいからね。よくタランガ様の城で戦ってたから覚えてるよ。あれは人間の敵う相手じゃないね」

 

ジャチとは喧嘩友達だ。

私が魔王になった時にキヴィラちゃんを紹介してくれたのも、仲良かったジャチの配下キヴァ君だしね。

 

まあそんな繋がりもあるので、47魔王の中では仲良い方だよ。

強いしね。

 

「そうなのか…やっぱり魔王は、俺たち人間が敵う相手じゃなかったんだな」

 

それはそう。

今の状況じゃ、人間はただ息を殺して身を潜めるしかないと思うけどね。

 

ハロゥは俯くと、何かを決心したように顔を上げた。

 

「天敵同士を…互いに争わせるのはどうだろう?」

 

その呟きは、静まり返った室内によく通った。

 

は?

 

黙り込んでいた人間達も、一斉にハロゥの方を見る。

各世界の人類達が、その発言に反発する。

あんな強敵達を相手に、そんなことが出来るわけないと。

 

それを横目に、私は思い出す。

巨人界の大男パッキァの言う、脅威的な巨人族の群れ。

 

私、さっき二十匹くらい皆殺しにしたな。

 

暴緑界の植物っぽいやつも、ロボットも破壊した。

 

私の圧勝ではあるけれど、確かに人類の天敵が死んでいる。

それは確かに、有効な戦法かもね。

 

「いいんじゃない?巨人とか暴獣とか、普通に魔族にとっても邪魔だろうし。魔王たちが他の天敵はやってくれるかも」

 

そう言うと、巨人界のパッキャと天鬼界のスーアが反論してくる。

 

「馬鹿言ってんじゃねぇぞ!巨人族がどんな化け物か知らねぇからそんなことが言えるんだ!」

 

「我々の天敵、マダラー星人を甘く見るなよ。我々地球防衛軍が最善手を打ち続けてなお敵わぬ相手だぞ!どう争わせると言うんだ!」

 

他にも数名が言葉を発する。

 

「大怪獣は人の手でどうこう出来るもんじゃないっしょ」

 

大凶界の…マサヨシだっけ?何か諦めたようにそう言う。

 

各世界の人類が、ハロゥの案と私の発言に対して呆れるような、蔑むような空気が生まれ始めている。

 

だが、そこに一石を投じる人間がいた。

 

「そうだぞハロゥ!ラン!天敵同士を争わせるなんて無理に決まってるだろう!?魔族こそがあらゆる世界で最強の天敵!!この人らはわかってないんだよ!そういう真の脅威に晒されずに生きてこられたんだからさ〜〜!」

 

やたら煽り口調なあたりわざとだろう。

説得するのに、わざと各世界の人類を争わせようって魂胆かな?

けど、魔族を褒められて気分がいいね。

 

「そうだよねー!わかってるじゃんゼイビィ!魔王が最強だよ!」

 

だが、煽られた他の世界の人類たちは黙ってられない。

 

「ふざけんじゃねぇぞガキィ!最強の巨人ギンバックの恐ろしさを知ったら、そんなこと言ってられないぜ!?」

 

「ギンバック?それは普通の巨人と比べてどれくらい強いの?」

 

「百倍は強ぇよ!」

 

ギンバックねぇ。

そんなら是非とも一戦交えたいところだ。

ギンバックがそんな怪物なら、人間が遭遇して生きていられるとは思えないけど…。

 

「魔王がどれほど強いか知らないが…そこのハロゥは戦って実際に生き延びているじゃないか。マダラー星人は、そういうレベルの相手ではない!肉体、技術、知能!全てにおいて地球上の生物を凌駕している!魔王をぶつければ互角に戦うなどと、期待はしない方がいい」

 

「それ見逃された可能性を考慮してないよね。魔王からすれば人間なんてホコリ同然だよ。ハロゥだってジャチにゴミ同然に払われたに決まってる。魔王が人間一人に大きな力を使うわけないし」

 

「なら魔王をマダラー星人にぶつければわかる!その結果に期待できないという話をしているんだ!」

 

むぅ。見てもいないくせに。

いや、それはこっちも同じか。

だったら、楽しみにしてるよ。マダラー星人が私の前に現れるのを。

蹂躙して、技術を根こそぎ奪ってやる。

 

「大怪獣は敵とか狙うとかそんな次元じゃないよ。歩いてるだけで街が消えるんだから!他の天敵もゴミみたいに踏み潰されて終わりさ」

 

「世界樹は この星を 食べる」

 

「どんなに肉体が強くとも、パラサイトに寄生されてはおしまいですよ」

 

机の向こうでも、誰かが反論する。

みんな一気に元気になったな。

 

でもコイツら、自分たちを滅ぼしかけた天敵を自慢してるんだよね。

私は魔族だからわかるけど、君たちは何に張り合ってるのかな?

やっぱり人間って愚かだ。

 

言い争いが殴り合いの喧嘩に発展しそうになったタイミングで、ゼイビィが水を差し争いを止めた。

敵と敵を争わせるとは、つまりこういうことだろう、と。

 

まあ言えてるね。

魔王の一部も、短気なやつはこんな陳腐な仕掛けで動きそうだし。

 

じゃ、人間たちがどう動くのか楽しみにしてようかな?

どんな天敵が来るか楽しみだ。

 

ドンとこいだよ。

 

笑みを浮かべて考えていると、ハロゥが話しかけてきた。

 

「ラン、魔王の自慢ばっかりしてたけど、怖いのか?」

 

「は?何が?」

 

「魔王より強い敵がいるかもしれないって」

 

あー、そういうことにもできるのか。

 

「んー、負けるところが想像できなくてね」

 

私が負けるのが、ね。

 

 

会議後、勇者のアリオってやつがやってきた。

 

「君はどの魔王担当だったの?」

 

「第19魔王さ。負けちゃったけどね」

 

「ニュドーね。ふーん?」

 

ニュドーか。ニュドーが人間を逃すとは思えないし、多分戦ってすらないな。

ニュドーと戦うことに怖気付いて、逃げてきたんだろう。

 

まあどうでもいいけど。

 

拠点に持ち込まれた未知の道具を漁っているうちに一晩が経ち、アリオが人間たちにとっての爆弾発言をした。

 

巨人族の群れが拠点に迫っている、と。

 

そこで練られた作戦は、巨人の進路を誘導して、付近にある新人類の居住区にぶつけるというもの。

 

さっそく人類のお手並み拝見ができそうだね。

 

「私も行くよ!魔法使えるし、足速いし、役に立つよ!」

 

あと新人類の拠点はすごく興味があるからね。

 

ふふ、楽しみだ!

 

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