GATE×PEACE GEAR―門の向こうの観測者―   作:最上 イズモ

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第6話 殺さずに、龍を止める

 

地面が揺れた。

 

炎龍が翼を打つたび、岩場の砂埃が跳ね上がる。

 

距離。

 

高度。

 

速度。

 

熱源。

 

翼面積。

 

鱗の配置。

 

イズモの視界を、観測情報が埋めていく。

 

だが。

 

数字が増えるほど、一つだけはっきりした。

 

イズモ「……これ、正面から止める相手じゃないな」

 

伊丹『今さらか!』

 

無線の向こう。

 

車両のエンジン音。

 

まだ距離がある。

 

イズモ「サイズ比較終わったので」

 

伊丹『比較してから怖がるな!』

 

炎龍が口を開く。

 

喉。

 

光。

 

内部温度が急上昇。

 

イズモ「来る」

 

横。

 

走る。

 

一瞬後。

 

炎。

 

地面を舐めた。

 

岩が赤くなる。

 

草。

 

消える。

 

燃える、ではない。

 

一部は。

 

炭化する前に黒く崩れた。

 

イズモ「……直撃は無理」

 

伊丹『分かってるなら離れろ!』

 

イズモ「でも」

 

炎龍を見る。

 

二撃目。

 

まだ。

 

口。

 

開いていない。

 

イズモ「連射はできない」

 

伊丹『何?』

 

イズモ「放射後に温度下がってる」

 

呼吸。

 

喉。

 

胸部。

 

何かを溜めている。

 

生物学的な炎なのか。

 

魔術なのか。

 

両方なのか。

 

まだ分からない。

 

ただ。

 

間隔はある。

 

イズモ「なら」

 

足元。

 

岩。

 

風。

 

空気。

 

イズモ「その間だけ使える」

 

炎龍が降りる。

 

爪。

 

地面。

 

轟音。

 

イズモは。

 

真正面から退く。

 

横へ。

 

斜め。

 

龍の首が追う。

 

イズモ「視線追従」

 

目。

 

二つ。

 

瞳孔。

 

頭部。

 

イズモ「視覚依存、高め」

 

炎龍の尾が振られる。

 

イズモ「っ!」

 

空気圧。

 

壁。

 

形成。

 

直撃。

 

見えない障壁ごと。

 

イズモの身体が吹き飛ぶ。

 

地面。

 

二度。

 

転がる。

 

伊丹『イズモ!』

 

イズモ「生きてる!」

 

起きる。

 

左肩。

 

痛い。

 

動く。

 

折れてはいない。

 

イズモ「障壁一枚じゃ足りないな」

 

伊丹『一枚とかそういう問題か!?』

 

イズモ「次から二枚」

 

伊丹『増やせばいいって話じゃない!』

 

炎龍。

 

咆哮。

 

鼓膜。

 

圧。

 

イズモは。

 

片耳を押さえた。

 

イズモ「うるさ……」

 

その瞬間。

 

音。

 

別方向。

 

エンジン。

 

車両。

 

伊丹たち。

 

岩場へ到着。

 

隊員たちが展開する。

 

銃口。

 

火器。

 

炎龍へ。

 

伊丹「イズモ!」

 

イズモ「こっち!」

 

伊丹「怪我は!」

 

イズモ「左肩たぶん打撲!」

 

伊丹「十分怪我してるだろ!」

 

自衛隊員が射撃姿勢。

 

イズモが振り返る。

 

イズモ「目と翼の付け根は狙える!」

 

隊員「鱗は!?」

 

イズモ「小銃だと効果薄い!」

 

伊丹「対戦車火器準備!」

 

イズモ「待って!」

 

伊丹「何だ!」

 

イズモ「胴体中央は避けて!」

 

伊丹「理由!」

 

イズモ「心臓とか内臓位置が分からない!」

 

伊丹「殺すなって?」

 

イズモ「違う!」

 

炎龍を見る。

 

イズモ「殺したら何が起きるか分からない!」

 

伊丹「……」

 

イズモ「この個体が縄張りの頂点なら」

 

息。

 

整える。

 

イズモ「いなくなった後に別の何かが入るかもしれない」

 

伊丹の目が変わる。

 

イズモ「それに」

 

村。

 

方向。

 

イズモ「向こうの人から情報取りたい」

 

伊丹「追い払う」

 

イズモ「できるなら」

 

伊丹「できなかったら」

 

一瞬。

 

イズモが黙る。

 

炎龍。

 

再び喉が光る。

 

イズモ「生存優先」

 

伊丹「了解」

 

短い。

 

それだけで。

 

条件が揃った。

 

伊丹「全員聞いたな!」

 

隊員「了解!」

 

炎龍。

 

炎。

 

イズモ「散開!」

 

火炎。

 

横。

 

風。

 

イズモが押す。

 

だが。

 

完全には逸れない。

 

炎の端。

 

岩場を走る。

 

隊員たち。

 

伏せる。

 

熱。

 

顔。

 

焼ける。

 

イズモ「射撃!」

 

銃声。

 

集中。

 

目ではない。

 

頭部周辺。

 

翼の付け根。

 

関節。

 

鱗と鱗の境目。

 

炎龍が。

 

首を振る。

 

明らかに。

 

嫌がっている。

 

イズモ「効いてる!」

 

伊丹「対戦車!」

 

発射。

 

轟音。

 

弾頭。

 

炎龍の肩近くへ。

 

衝撃。

 

爆発。

 

赤い鱗。

 

破片。

 

炎龍が大きく姿勢を崩す。

 

イズモ「……!」

 

倒れる。

 

いや。

 

翼。

 

開く。

 

耐える。

 

イズモ「硬い」

 

伊丹「龍だからな!」

 

イズモ「そういう雑な説明嫌い!」

 

炎龍が。

 

怒った。

 

明らかに。

 

さっきまでと違う。

 

首。

 

低い。

 

翼。

 

広がる。

 

イズモ「まずい」

 

伊丹「何が」

 

イズモ「攻撃対象変わった」

 

炎龍の目。

 

自衛隊。

 

火器。

 

さっきの爆発。

 

イズモ「こっちじゃない!」

 

伊丹「来るぞ!」

 

突進。

 

巨大な体。

 

地面が。

 

振動する。

 

イズモ「止める!」

 

両手。

 

前。

 

空気。

 

圧縮。

 

一枚。

 

二枚。

 

三枚。

 

炎龍が突っ込む。

 

一枚。

 

破壊。

 

二枚目。

 

揺れる。

 

三枚目。

 

減速。

 

それでも。

 

止まらない。

 

イズモ「重っ……!」

 

足元。

 

滑る。

 

靴。

 

土。

 

削れる。

 

腕。

 

震える。

 

伊丹「無理するな!」

 

イズモ「無理してる!」

 

伊丹「分かってるならやめろ!」

 

イズモ「でも今やめたら車両まで行く!」

 

隊員たちが左右へ展開。

 

射線。

 

確保。

 

イズモの額。

 

汗。

 

炎龍。

 

あと。

 

数メートル。

 

イズモ「……地面」

 

下。

 

見る。

 

岩盤。

 

割れ目。

 

砂。

 

斜面。

 

イズモ「これ使える」

 

伊丹「何を!」

 

イズモ「足元崩す!」

 

伊丹「やれ!」

 

地面。

 

炎龍の前脚。

 

その直下。

 

岩を砕く。

 

大きくではない。

 

表層だけ。

 

支持力を落とす。

 

前脚。

 

沈む。

 

炎龍の巨体。

 

傾く。

 

イズモ「今!」

 

障壁。

 

横方向。

 

押す。

 

炎龍。

 

バランスを崩す。

 

翼。

 

広げる。

 

だが。

 

地上。

 

使い切れない。

 

巨体が。

 

岩場へ滑る。

 

轟音。

 

砂煙。

 

イズモ「下がって!」

 

全員。

 

距離を取る。

 

炎龍が。

 

起きる。

 

傷。

 

致命傷ではない。

 

だが。

 

右の翼。

 

さっきの爆発。

 

膜の一部。

 

損傷。

 

イズモ「飛べる?」

 

伊丹「敵に聞くな!」

 

イズモ「いや観測!」

 

炎龍。

 

翼。

 

動かす。

 

一度。

 

二度。

 

イズモ「……飛べる」

 

伊丹「じゃあまた来るぞ」

 

イズモ「それでいい」

 

伊丹「何?」

 

イズモ「飛べるなら」

 

炎龍を見る。

 

イズモ「逃げられる」

 

伊丹「……」

 

イズモ「逃げ道なくしたら」

 

イズモ「こいつ、最後まで戦う」

 

伊丹が。

 

一瞬。

 

炎龍を見る。

 

確かに。

 

周囲。

 

自衛隊。

 

車両。

 

岩壁。

 

村方向。

 

イズモ「北西側」

 

伊丹「全員北西を空けろ!」

 

隊員たち。

 

動く。

 

包囲。

 

解除。

 

一本。

 

空間。

 

開く。

 

炎龍。

 

立ち上がる。

 

低い。

 

咆哮。

 

イズモ「……来る?」

 

炎龍の目。

 

こちら。

 

イズモ。

 

自衛隊。

 

空いた方向。

 

何度も。

 

視線が動く。

 

イズモ「選べ」

 

小さく。

 

呟く。

 

イズモ「もう来なくていい」

 

炎龍が。

 

大きく翼を広げる。

 

風圧。

 

砂。

 

舞う。

 

全員。

 

姿勢を落とす。

 

一度。

 

地面を蹴る。

 

二度。

 

巨大な身体。

 

浮く。

 

イズモ「……!」

 

高度。

 

低い。

 

右翼。

 

少し。

 

傾く。

 

だが。

 

飛べる。

 

炎龍が。

 

北西。

 

山の向こうへ。

 

離れていく。

 

誰も。

 

撃たなかった。

 

最後の一発を。

 

撃てる状況ではあった。

 

それでも。

 

伊丹は命じなかった。

 

イズモも。

 

追わなかった。

 

空。

 

赤い影。

 

小さくなる。

 

やがて。

 

山の向こうへ。

 

消えた。

 

静かになる。

 

イズモ「……」

 

その場に。

 

座る。

 

伊丹「おい」

 

イズモ「大丈夫」

 

伊丹「大丈夫なやつは座り込まん」

 

イズモ「足に力入んない」

 

伊丹「それを大丈夫じゃないって言うんだ」

 

イズモ「……はい」

 

伊丹が。

 

隣。

 

しゃがむ。

 

左肩。

 

見る。

 

伊丹「痛むか」

 

イズモ「結構」

 

伊丹「衛生隊」

 

イズモ「後で」

 

伊丹「今だ」

 

イズモ「村――」

 

伊丹「村には隊員が残ってる」

 

イズモ「でも」

 

伊丹「一人で全部やるなって言ったよな」

 

イズモ「……」

 

伊丹「聞いてたか?」

 

イズモ「聞いてた」

 

伊丹「なら」

 

手。

 

肩。

 

触れない。

 

ただ。

 

指す。

 

伊丹「診てもらえ」

 

イズモ「了解」

 

立つ。

 

少し。

 

ふらつく。

 

伊丹「ほら」

 

イズモ「自分で歩ける」

 

伊丹「知ってる」

 

伊丹が。

 

横につく。

 

支えはしない。

 

転びそうなら。

 

手を出せる距離。

 

それだけ。

 

イズモ「……伊丹さん」

 

伊丹「何」

 

イズモ「撃たなかったね」

 

伊丹「最後か」

 

イズモ「うん」

 

伊丹「逃げる相手に撃つ理由がなかった」

 

イズモ「……」

 

伊丹「お前の専売特許じゃないぞ」

 

イズモ。

 

少し。

 

笑う。

 

イズモ「そっか」

 

***

 

村へ戻った頃。

 

空は。

 

夕方に近づいていた。

 

煙。

 

かなり減った。

 

負傷者。

 

並ぶ。

 

自衛隊員。

 

住民。

 

同じ場所。

 

言葉。

 

まだ通じない。

 

それでも。

 

水。

 

包帯。

 

食料。

 

少しずつ。

 

やり取りが始まっている。

 

救護所。

 

先ほどの少女。

 

まだ眠っている。

 

イズモは。

 

入口。

 

止まる。

 

伊丹「知り合いか?」

 

イズモ「今日初めて」

 

伊丹「気になる?」

 

イズモ「この村の人じゃない気がする」

 

伊丹「何で」

 

イズモ「服装」

 

イズモ「弓」

 

イズモ「あと」

 

耳。

 

見る。

 

イズモ「村の人より少し違う」

 

伊丹「エルフだから?」

 

イズモ「それもある」

 

伊丹「それもって何だ」

 

イズモ「まだ分かんない」

 

伊丹「便利な言葉だな」

 

イズモ「大事な言葉です」

 

少女が。

 

少し。

 

動く。

 

瞼。

 

開く。

 

ぼんやり。

 

周囲。

 

見る。

 

知らない天井。

 

知らない人。

 

そして。

 

入口。

 

イズモ。

 

目。

 

合う。

 

少女「……」

 

身体を。

 

起こそうとする。

 

イズモ「待って」

 

通じない。

 

でも。

 

手。

 

止める。

 

身振り。

 

横になる。

 

少女。

 

警戒。

 

呼吸。

 

速い。

 

イズモは。

 

近づかない。

 

距離。

 

残す。

 

伊丹「言葉は?」

 

イズモ「まだ」

 

少女。

 

小さく。

 

何かを言う。

 

イズモ「……トゥカ?」

 

少女。

 

反応。

 

伊丹「名前?」

 

イズモ「たぶん」

 

自分。

 

胸。

 

指す。

 

イズモ「イズモ」

 

ゆっくり。

 

もう一度。

 

イズモ「イ・ズ・モ」

 

少女「……イズ……モ」

 

イズモ「うん」

 

伊丹「通じてるじゃん」

 

イズモ「名前だけ」

 

少女。

 

今度は。

 

伊丹を見る。

 

伊丹。

 

自分を指す。

 

伊丹「伊丹」

 

少女「……イタミ」

 

伊丹「お」

 

イズモ「覚えた」

 

伊丹「最初の会話が自己紹介か」

 

イズモ「基本でしょ」

 

少女。

 

再び。

 

何か。

 

言う。

 

速い。

 

聞き取れない。

 

途中。

 

一つ。

 

何度も。

 

同じ音。

 

イズモ「……父?」

 

少女「!」

 

イズモ「父親?」

 

少女。

 

反応。

 

目。

 

見開く。

 

イズモ「……」

 

伊丹も。

 

分かった。

 

少女が。

 

誰かを探している。

 

イズモ「村?」

 

指。

 

外。

 

少女。

 

首を振る。

 

森。

 

方向。

 

何か。

 

必死に。

 

話す。

 

火。

 

龍。

 

逃げる。

 

誰か。

 

離れる。

 

イズモ「……」

 

伊丹「分かるか」

 

イズモ「まだ断片」

 

少女。

 

涙。

 

落ちる。

 

イズモは。

 

何も言えなかった。

 

大丈夫。

 

とも。

 

きっと生きてる。

 

とも。

 

言えない。

 

知らないから。

 

ただ。

 

少し。

 

床へ座る。

 

少女と。

 

同じ高さ。

 

イズモ「……探す」

 

言葉。

 

通じるか分からない。

 

でも。

 

森を指す。

 

自分を指す。

 

目。

 

探す動作。

 

イズモ「探す」

 

少女。

 

呼吸。

 

止まる。

 

それから。

 

ほんの少し。

 

頷いた。

 

***

 

夜。

 

村。

 

簡易野営。

 

焚き火。

 

自衛隊員。

 

住民。

 

距離。

 

まだある。

 

だが。

 

昼よりは。

 

少しだけ。

 

近い。

 

イズモは。

 

包帯を巻かれた左肩を動かす。

 

イズモ「いて」

 

伊丹「動かすな」

 

イズモ「可動域確認」

 

伊丹「明日やれ」

 

イズモ「はい」

 

伊丹。

 

隣。

 

座る。

 

伊丹「炎龍」

 

イズモ「うん」

 

伊丹「追い払っただけだ」

 

イズモ「うん」

 

伊丹「また来るかもしれない」

 

イズモ「来ると思う」

 

伊丹「思うのかよ」

 

イズモ「縄張りなら」

 

火。

 

ぱち。

 

弾ける。

 

イズモ「人間に追い払われた程度で完全に諦めるかは分からない」

 

伊丹「次は?」

 

イズモ「もっと準備する」

 

伊丹「殺さない?」

 

イズモは。

 

すぐに答えなかった。

 

焚き火。

 

見る。

 

イズモ「今日みたいに」

 

少し。

 

間。

 

イズモ「逃がせるなら」

 

伊丹「逃がす」

 

イズモ「うん」

 

伊丹「無理なら」

 

イズモ「……」

 

村。

 

見る。

 

眠る負傷者。

 

子供。

 

焼けた家。

 

伊丹「イズモ」

 

イズモ「村を守る」

 

静かに。

 

答える。

 

イズモ「そのために必要なら」

 

伊丹は。

 

それ以上。

 

聞かなかった。

 

遠く。

 

山。

 

炎龍が消えた方向。

 

暗い。

 

何も見えない。

 

でも。

 

そこにいる。

 

この世界。

 

最初の大きな脅威。

 

そして。

 

イズモには。

 

もう一つ。

 

気になるものがあった。

 

炎龍が。

 

火を吐く直前。

 

周囲に集まった。

 

未知のエネルギー。

 

空気中に。

 

常に存在している。

 

あれ。

 

単なる。

 

燃料ではない。

 

イズモ「……」

 

指。

 

少し。

 

動かす。

 

空気。

 

見る。

 

微弱な反応。

 

流れ。

 

揺らぎ。

 

炎龍。

 

門。

 

銀座の火球。

 

全部。

 

どこか。

 

同じものに触れている。

 

イズモ「伊丹さん」

 

伊丹「ん?」

 

イズモ「この世界」

 

イズモは。

 

暗い空を見上げる。

 

星。

 

地球とは。

 

少し違う。

 

イズモ「思ったより」

 

風。

 

吹く。

 

焚き火。

 

揺れる。

 

イズモ「面倒かもしれない」

 

伊丹「今さら?」

 

イズモ「……それもそう」

 

少し。

 

笑う。

 

その夜。

 

最上イズモは。

 

まだ知らない。

 

自分が今日逃がした炎龍と。

 

再び。

 

対峙する日が来ることを。

 

そして。

 

その時。

 

今日と同じ条件では。

 

済まないことを。

 

炎龍もまた。

 

山の向こう。

 

傷ついた翼を抱えながら。

 

覚えていた。

 

小さな存在。

 

炎を逸らし。

 

地面を崩し。

 

それでも。

 

最後まで。

 

殺そうとはしなかった。

 

あの。

 

奇妙な。

 

人間を。

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