東京・銀座。

突如として現れた巨大な『門』から、剣と鎧で武装した軍勢と異形の生物が押し寄せた。

後に『銀座事件』と呼ばれる惨劇。

現代日本と『特地』――二つの世界が初めて接触した、その日。

記録に存在しない一人の人物が現場にいた。

最上イズモ。

人間ではある。

だが、生物学的な意味で、ただの人間ではない。

Astra Integral Humanoid――AIH。

国家に所属しない。

製造番号も、所有者も存在しない。

そして彼が所属する《ピースギア》もまた、領土を求める国家ではなかった。

その目的は、侵略でも征服でもない。

観測。

調停。

被害の抑制。

そして――可能な限り、誰も殺さないこと。

帝国。

日本国。

亜神。

諸外国。

やがて『門』を巡って交錯する、国家と軍隊と神々の思惑。

その中央で、どの陣営にも属さないイズモは、一つだけ問い続ける。

「それ、本当に殺さないと解決できない?」

これは、圧倒的な力を持ちながら、力そのものを答えにしなかった観測者が、

『門』によってつながった二つの世界を歩く物語。