GATE×PEACE GEAR―門の向こうの観測者―   作:最上 イズモ

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第8話 エムロイの使徒

朝。

 

焼けた村には、まだ煙の匂いが残っていた。

 

夜の間に消し切れなかった火種。

 

濡れた木材。

 

土。

 

簡易救護所。

 

そして。

 

その入口。

 

イズモ「……」

 

ロゥリィ「♪」

 

イズモ「……」

 

ロゥリィ「♪」

 

イズモ「伊丹さん」

 

伊丹「何だ」

 

イズモ「まだいる」

 

伊丹「見れば分かる」

 

ロゥリィは。

 

昨日から。

 

ほぼずっと。

 

イズモの近くにいた。

 

少し離れて。

 

ついてくる。

 

座れば。

 

隣。

 

立てば。

 

見る。

 

何か作業を始めれば。

 

覗く。

 

イズモ「監視されてる気分」

 

伊丹「お互い様だろ」

 

イズモ「私はもう少し距離取る」

 

伊丹「知らん」

 

ロゥリィ「?」

 

イズモ。

 

横を見る。

 

ロゥリィ。

 

笑う。

 

イズモ「絶対楽しんでる」

 

伊丹「言葉通じてないだろ」

 

イズモ「それでも分かる」

 

その時。

 

救護所の中。

 

物音。

 

イズモの顔が変わる。

 

イズモ「起きた?」

 

伊丹「誰が」

 

イズモ「昨日の子」

 

二人。

 

入口へ。

 

ロゥリィも。

 

当然のようについてくる。

 

***

 

少女。

 

テュカは。

 

ゆっくり。

 

目を開けた。

 

知らない天井。

 

布。

 

薬草ではない。

 

変な匂い。

 

消毒。

 

それすら。

 

彼女には分からない。

 

テュカ「……」

 

身体を起こす。

 

痛い。

 

特に。

 

左腕。

 

脇腹。

 

でも。

 

動く。

 

死んではいない。

 

その事実。

 

少し遅れて。

 

昨日。

 

思い出す。

 

森。

 

炎。

 

父。

 

叫び声。

 

赤い翼。

 

テュカ「……お父さん」

 

息。

 

浅くなる。

 

入口。

 

足音。

 

振り返る。

 

昨日の男。

 

イズモ。

 

その後ろ。

 

伊丹。

 

そして。

 

さらに後ろ。

 

黒。

 

赤。

 

巨大なハルバート。

 

テュカ「……」

 

目。

 

止まる。

 

瞬間。

 

顔色が変わった。

 

テュカ「え」

 

イズモ「?」

 

テュカ「え……?」

 

ロゥリィ「おはよう」

 

テュカ「なんで」

 

身体。

 

一気に起こす。

 

イズモ「待って!」

 

テュカ「なんでエムロイの使徒がいるの!?」

 

救護所。

 

一瞬。

 

静か。

 

イズモ「……」

 

伊丹「……」

 

ロゥリィ「ふふっ」

 

イズモ。

 

ゆっくり。

 

伊丹を見る。

 

イズモ「今」

 

伊丹「分からん」

 

イズモ「でも」

 

ロゥリィを見る。

 

イズモ「なんか重要なこと言われた気がする」

 

テュカ。

 

指。

 

ロゥリィ。

 

テュカ「ロゥリィ・マーキュリー!」

 

伊丹「名前は分かるな」

 

イズモ「うん」

 

テュカ「エムロイの使徒!」

 

イズモ「……エムロイ?」

 

伊丹「そこも拾ったのか」

 

イズモ「単語だから」

 

ロゥリィ。

 

楽しそう。

 

ロゥリィ「そうよぉ」

 

テュカ「なんでここにいるの!?」

 

ロゥリィ「面白い子を見つけたから」

 

視線。

 

イズモ。

 

テュカ。

 

その動きを追う。

 

ロゥリィ。

 

イズモ。

 

また。

 

ロゥリィ。

 

テュカ「……」

 

理解。

 

したくない。

 

でも。

 

分かる。

 

テュカ「あなた」

 

イズモを指す。

 

イズモ「私?」

 

テュカ「何したの」

 

イズモ「……」

 

言葉。

 

まだ全部は分からない。

 

でも。

 

雰囲気。

 

責められている。

 

イズモ「なんか怒られてる?」

 

伊丹「多分」

 

ロゥリィ「怒ってはいないと思うわよ?」

 

イズモ「あなたは分かってるでしょ」

 

ロゥリィ「もちろん」

 

イズモ「通訳」

 

ロゥリィ「やぁよ」

 

イズモ「なんで」

 

ロゥリィ「面白いもの」

 

イズモ「絶対そう言ってる」

 

伊丹「もう通じてるだろ、それ」

 

***

 

少しして。

 

村の住民。

 

それと。

 

テュカ。

 

自衛隊員。

 

身振り。

 

単語。

 

少しずつ。

 

情報整理。

 

その中。

 

イズモは。

 

昨日から集めた音声を。

 

頭の中で。

 

何度も。

 

分類していた。

 

人称。

 

動詞。

 

指示語。

 

地名。

 

固有名詞。

 

まだ。

 

会話と呼べるほどではない。

 

でも。

 

断片。

 

繋がってきた。

 

イズモ「……」

 

ロゥリィ。

 

見る。

 

イズモ「ロゥリィ」

 

ロゥリィ「なぁに?」

 

イズモ「エムロイ」

 

指。

 

ロゥリィ。

 

イズモ「使徒?」

 

ロゥリィ「そう」

 

頷く。

 

イズモ「使徒……」

 

伊丹「分かったのか?」

 

イズモ「多分」

 

少し。

 

考える。

 

イズモ「神様の直属?」

 

ロゥリィ「?」

 

伊丹「雑だな」

 

イズモ「概念合わせだから」

 

テュカ「そう」

 

日本語ではない。

 

だが。

 

短い。

 

イズモ。

 

そちらを見る。

 

テュカ。

 

ロゥリィを指す。

 

胸。

 

祈るような仕草。

 

次。

 

空。

 

イズモ「神」

 

テュカ「エムロイ」

 

イズモ「エムロイ、神」

 

テュカ「そう」

 

イズモ「……」

 

ロゥリィを見る。

 

ロゥリィ「?」

 

イズモ「神様の部下?」

 

ロゥリィ「まあ、そんな感じねぇ」

 

イズモ「やっぱ普通の人じゃなかったんだ」

 

伊丹「そこで納得するのか」

 

イズモ「でかい斧持って一人で森歩いてる時点で普通ではない」

 

伊丹「斧じゃない」

 

イズモ「ハルバート」

 

伊丹「そこは知ってるのか」

 

ロゥリィ「それだけ?」

 

イズモ「?」

 

ロゥリィ。

 

自分。

 

胸。

 

年齢。

 

指で。

 

何か。

 

イズモ「……数字?」

 

ロゥリィ「九百六十一」

 

イズモ「?」

 

ロゥリィ「歳」

 

イズモ「……」

 

静止。

 

伊丹「どうした」

 

イズモ「今」

 

ロゥリィ。

 

指。

 

自分。

 

数字。

 

繰り返す。

 

イズモ「九百……?」

 

ロゥリィ「九百六十一」

 

イズモ「……」

 

伊丹「おい」

 

イズモ「伊丹さん」

 

伊丹「何だ」

 

イズモ「たぶんこの人」

 

間。

 

イズモ「九百歳超えてる」

 

伊丹「……は?」

 

テュカ。

 

頷く。

 

伊丹「いやいや」

 

ロゥリィ。

 

楽しそうに。

 

笑う。

 

イズモ「……」

 

ロゥリィを。

 

じっと見る。

 

ロゥリィ「何?」

 

イズモ「生体年齢と外見年齢合わない」

 

伊丹「感想そこか?」

 

イズモ「気になるでしょ」

 

伊丹「もっと驚けよ」

 

イズモ「もう炎龍見た後だから」

 

伊丹「慣れるの早すぎるだろ」

 

***

 

情報整理。

 

少しずつ。

 

進む。

 

ロゥリィ。

 

エムロイ。

 

死と戦争を司る神。

 

その使徒。

 

人間ではない。

 

あるいは。

 

もう。

 

人間という分類だけでは足りない。

 

長寿。

 

超人的身体能力。

 

神に近い存在。

 

伊丹「……死神みたいなもんか?」

 

イズモ「本人の前で言わない方がいいんじゃ」

 

ロゥリィ「死神?」

 

イズモ「聞き取った」

 

伊丹「まずい?」

 

ロゥリィ「別に」

 

イズモ「大丈夫らしい」

 

伊丹「便利になってきたな」

 

イズモ「単語だけだけど」

 

ロゥリィ「それにしても」

 

イズモ「?」

 

ロゥリィ。

 

近づく。

 

イズモ「近い」

 

ロゥリィ「あなた」

 

指。

 

イズモ。

 

次。

 

胸。

 

耳。

 

目。

 

何か。

 

探る。

 

イズモ「……また観察」

 

ロゥリィ「あなたの方が変よ」

 

イズモ「変?」

 

ロゥリィ「ええ」

 

イズモ「何が」

 

ロゥリィ「分からない」

 

イズモ「そっちも分からないんじゃん」

 

伊丹「何話してる?」

 

イズモ「お互いに分類不能」

 

伊丹「似た者同士じゃないか」

 

イズモ「違います」

 

ロゥリィ「似てるかも?」

 

イズモ「言葉分かってないのに便乗しない」

 

ロゥリィ「ふふっ」

 

テュカは。

 

少し離れて。

 

そのやり取りを見ていた。

 

不思議。

 

だった。

 

ロゥリィ・マーキュリー。

 

その名は。

 

この世界で。

 

知らない者の方が少ない。

 

畏れ。

 

敬意。

 

警戒。

 

どれも。

 

向けられる。

 

当たり前。

 

なのに。

 

目の前の男。

 

イズモは。

 

その全てが。

 

薄い。

 

怖がらない。

 

崇めない。

 

媚びない。

 

だからといって。

 

侮ってもいない。

 

ただ。

 

分からないから。

 

観測する。

 

それだけ。

 

テュカ「……」

 

少し。

 

変。

 

確かに。

 

変だ。

 

***

 

昼。

 

村の外れ。

 

イズモは。

 

壊れた矢を。

 

拾っていた。

 

ロゥリィ。

 

後ろ。

 

イズモ「……」

 

ロゥリィ「……」

 

イズモ「まだついてくる?」

 

ロゥリィ「ええ」

 

イズモ「理由」

 

ロゥリィ「あなたが面白いから」

 

イズモ「面白い」

 

単語。

 

少し。

 

理解。

 

イズモ「……私?」

 

ロゥリィ「そう」

 

イズモ「なんで」

 

ロゥリィ「戦い方」

 

イズモ「戦い?」

 

ロゥリィ。

 

地面。

 

指す。

 

炎龍。

 

翼。

 

ジェスチャー。

 

次。

 

殺す。

 

首。

 

切る。

 

その動き。

 

イズモ「……」

 

ロゥリィ。

 

首。

 

横。

 

逃がす。

 

イズモ「炎龍殺さなかったこと?」

 

ロゥリィ「そう」

 

イズモ「それが?」

 

ロゥリィ「珍しい」

 

イズモ「珍しい」

 

ロゥリィ「強い人は」

 

拳。

 

力。

 

示す。

 

次。

 

敵。

 

叩く。

 

倒す。

 

イズモ「……強い人は倒す?」

 

ロゥリィ「倒したがる」

 

イズモ「全部?」

 

ロゥリィ「多いわね」

 

イズモ「……」

 

少し。

 

考える。

 

イズモ「私は」

 

指。

 

自分。

 

イズモ「強さ」

 

手。

 

高く。

 

低く。

 

イズモ「どうでもいい」

 

ロゥリィ「本当に?」

 

イズモ「うん」

 

ロゥリィ「勝つことも?」

 

イズモ「勝つ」

 

言葉。

 

分かる。

 

イズモ「目的による」

 

ロゥリィ「目的?」

 

イズモ「昨日」

 

村。

 

指す。

 

イズモ「目的」

 

村人。

 

指す。

 

イズモ「守る」

 

次。

 

炎龍。

 

イズモ「炎龍」

 

手。

 

外へ。

 

追い払う。

 

イズモ「いなくなる」

 

そして。

 

手を。

 

開く。

 

イズモ「達成」

 

ロゥリィ「殺す必要はない」

 

イズモ「そう」

 

ロゥリィ。

 

少し。

 

黙る。

 

イズモ「?」

 

ロゥリィ「でも」

 

ハルバート。

 

柄。

 

握る。

 

ロゥリィ「もし」

 

村。

 

炎龍。

 

戻る。

 

攻撃。

 

もっと。

 

激しく。

 

イズモ。

 

選択。

 

ロゥリィ「殺さないと守れなかったら?」

 

イズモ「……」

 

意味。

 

ほぼ。

 

分かった。

 

イズモ。

 

村を見る。

 

救護所。

 

テュカ。

 

子供。

 

兵士。

 

昨日。

 

炎。

 

イズモ「殺す」

 

ロゥリィの目が。

 

少し。

 

細くなる。

 

イズモ「必要なら」

 

ロゥリィ「ためらわない?」

 

イズモ「……」

 

ためらう。

 

その単語。

 

まだ。

 

分からない。

 

ロゥリィ。

 

手。

 

震える。

 

迷う。

 

そして。

 

殺す。

 

イズモ「迷う?」

 

ロゥリィ「そう」

 

イズモ「迷う」

 

即答。

 

ロゥリィ「……」

 

イズモ「でも」

 

村。

 

指す。

 

イズモ「守る」

 

ロゥリィ「殺す」

 

イズモ「必要なら」

 

少し。

 

間。

 

イズモ「する」

 

ロゥリィは。

 

笑わなかった。

 

初めて。

 

少し。

 

真面目な顔。

 

その答え。

 

気に入った。

 

殺さないと。

 

宣言する者はいる。

 

命は。

 

何より尊いと。

 

言う者もいる。

 

けれど。

 

死を拒むあまり。

 

誰かに。

 

その代償を払わせる者も。

 

いる。

 

この男は。

 

少なくとも。

 

そこからは。

 

逃げない。

 

ロゥリィ「やっぱり」

 

イズモ「?」

 

ロゥリィ「面白いわね」

 

イズモ「また?」

 

ロゥリィ「ええ」

 

イズモ「……」

 

ため息。

 

イズモ「褒められてる気がしない」

 

ロゥリィ「褒めてるわよ?」

 

イズモ「分からない」

 

***

 

夕方。

 

テュカ。

 

少し。

 

歩ける。

 

イズモと。

 

伊丹。

 

村外れ。

 

地図。

 

現地住民から。

 

集めた情報。

 

その横。

 

ロゥリィ。

 

普通にいる。

 

伊丹「で」

 

イズモ「うん」

 

伊丹「結局」

 

ロゥリィを見る。

 

伊丹「こいつ何でいるんだ?」

 

イズモ「私に興味あるらしい」

 

伊丹「嫌な言い方するな」

 

イズモ「他に説明できない」

 

伊丹「同行するのか?」

 

イズモ「たぶん」

 

伊丹「誰が許可するんだ」

 

イズモ「聞いて」

 

ロゥリィ「?」

 

イズモ「一緒」

 

手。

 

歩く。

 

自衛隊。

 

指す。

 

ロゥリィ「ええ」

 

頷く。

 

イズモ「来るって」

 

伊丹「そうじゃない」

 

イズモ「じゃあ止める?」

 

伊丹「……」

 

二人。

 

ロゥリィを見る。

 

ハルバート。

 

笑顔。

 

九百六十一歳。

 

神の使徒。

 

炎龍の痕跡を。

 

一人で追って。

 

森を歩いてきた。

 

伊丹「……無理に止める方が面倒か」

 

イズモ「同意」

 

ロゥリィ「?」

 

伊丹「ただし」

 

指。

 

イズモ。

 

伊丹「お前が面倒見ろ」

 

イズモ「なんで!?」

 

伊丹「お前目当てなんだろ」

 

イズモ「私何もしてない!」

 

伊丹「炎龍と戦った」

 

イズモ「それだけ!」

 

伊丹「十分だ!」

 

ロゥリィ。

 

二人。

 

見比べる。

 

楽しそう。

 

テュカ「……」

 

その少し後ろ。

 

テュカ。

 

ぽつり。

 

テュカ「変な人たち」

 

イズモ「……」

 

振り返る。

 

イズモ「今」

 

伊丹「何だ」

 

イズモ「たぶん変な人って言われた」

 

伊丹「正解だろ」

 

イズモ「なんで私まで」

 

テュカ。

 

少し。

 

笑う。

 

ほんの。

 

少しだけ。

 

昨日から。

 

初めて。

 

***

 

その夜。

 

アルヌスへ戻る準備。

 

負傷者。

 

移送。

 

住民。

 

希望する者。

 

同行。

 

テュカも。

 

行く。

 

父。

 

探すため。

 

そして。

 

ロゥリィ。

 

当然のように。

 

車両の横。

 

立っている。

 

イズモ「……乗るの?」

 

ロゥリィ「乗るわよ?」

 

イズモ「これ」

 

車両。

 

指す。

 

ロゥリィ「?」

 

イズモ「怖くない?」

 

ロゥリィ「全然」

 

イズモ「そう」

 

ロゥリィ。

 

荷台。

 

軽く。

 

飛び乗る。

 

動き。

 

人間ではない。

 

イズモ「……」

 

伊丹「どうした」

 

イズモ「普通にジャンプ力おかしい」

 

伊丹「今さら?」

 

イズモ「観測値取りたい」

 

伊丹「本人に許可取れ」

 

イズモ「そうする」

 

ロゥリィ「?」

 

イズモ。

 

ロゥリィを見る。

 

ロゥリィ。

 

笑う。

 

イズモ「……」

 

少し。

 

嫌な予感。

 

イズモ「伊丹さん」

 

伊丹「何だ」

 

イズモ「この人」

 

ロゥリィが。

 

イズモの隣。

 

ぽん。

 

座る。

 

近い。

 

イズモ「たぶん」

 

少し。

 

横へ。

 

ずれる。

 

ロゥリィ。

 

詰める。

 

イズモ「しばらく離れない」

 

伊丹「ご愁傷様」

 

イズモ「助けて」

 

伊丹「嫌だ」

 

車両。

 

動く。

 

焼けた村。

 

少しずつ。

 

遠ざかる。

 

テュカ。

 

後ろを見る。

 

森。

 

家。

 

父。

 

まだ。

 

何も。

 

終わっていない。

 

ロゥリィは。

 

前を見る。

 

新しい。

 

興味。

 

イズモは。

 

周囲を見る。

 

世界。

 

まだ。

 

分からないことだらけ。

 

伊丹は。

 

そんな三人を見る。

 

そして。

 

小さく。

 

ため息。

 

伊丹「……嫌な予感しかしない」

 

イズモ「同意」

 

ロゥリィ「?」

 

テュカ「?」

 

車列は。

 

アルヌスへ。

 

向かう。

 

その日。

 

自衛隊の報告書には。

 

新たに。

 

二名。

 

重要人物として。

 

記録された。

 

《テュカ・ルナ・マルソー》

 

エルフ。

 

炎龍被災者。

 

そして。

 

《ロゥリィ・マーキュリー》

 

エムロイ神の使徒。

 

年齢。

 

九百六十一歳。

 

戦闘能力。

 

不明。

 

危険度。

 

評価不能。

 

備考。

 

最上イズモへ強い関心を示す。

 

その一文を見た担当者が。

 

後に。

 

赤字で。

 

こう書き足すことになる。

 

《本人同士を不用意に戦闘させないこと》

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