Q.超かぐや姫に男主を突っ込んだ罪の数を証明しましょう。 作:夢城
スマコンを取り外し、現実に戻ってきた。
2人は先に戻ってきており、彩葉さんはまだ余韻に浸っていて、かぐやはなぜかツクヨミ内と同じで金髪だった。
「あれ、髪色金髪だったっけか」
「え?船も気に入らない??彩葉に言われて色々変えたんだけど!わたし的にも金髪がいいかなって!」
僕に見せるように、えいっ、えいっ、えいっ、と言いながら髪色が緑、赤、白 、ストライプという多彩な色に変身した。
ここでもキャラメイクできるってどういうことだ、羨ましい。
今日はもう疲れたので寝ることにした。かぐやと彩葉は同じ布団で寝ており、僕は部屋の隅で自分のパーカーを枕替わりにして眠りについた、そして翌日。
「.....ん、ふぁ〜...」
どれくらい眠っていたんだろうか、目を覚めた時には彩葉さんの姿はなく、四畳半の一角を埋め尽くす、キャラクターのぬいぐるみ、訳が分かりそうもない玩具。物、もの、もの
「な、なんじゃこりゃ」
「あ、起きたぁ〜!!おっはよーう!!」
ぶへっ、起きた瞬間に飛びついてくるのはやめて欲しい。
大体予想はつくがこの大量な物たちはかぐやが買った物だろう。
「配信する為に買ったの?こんなに沢山....また、彩葉さんに怒られない?」
「そうだよ!!ぜんぶ百均だから安心だよ!」
「ただいま。」
ガチャと扉が開き、アルバイトから帰還してきた彩葉さんは並々ならぬ気合いを込めるように自分で仕上げた予定表を壁に貼り付けた。
「な、なにこれ〜〜!!」
「これはまた...ギチギチな予定表...で」
勉強の赤文字とアルバイトの青文字がパズルのようにマスを埋めている。
....こいつ、寝る時間も割いて勉強するつもりかよ、倒れるぞいつか。
「夏休みの予定表だけど。別にこれでも抑えた方なんだからね?だから、1日も無駄にできないから邪魔禁止ね」
「やだー!かぐやと遊んでーーー!!」」
「無理。私はいいから船と遊んでて、どうせ暇なんだから」
「おい、泣いていいか」
「船とも遊ぶのも楽しいけど、彩葉とも遊びたいぃぃぃぃー!!!」
なんだろう。飴と鞭をもらった感覚だ。
これ以上僕の感情を揺らすのはやめてもらっていいですか?
「追い出すよ.....?」
鬼のような眼光でかぐやを見る彩葉さん。
「てか、あんた本気でライバーになる気?」
「もっちろん!ヤチヨカップで優勝するには、まずはライバーにならないと。ねぇ、見て。もう配信も始めたんだ〜〜?どう?」
自信満々にPCの画面を開いて動画の内容を見せるかぐや、.....恐らく自分で描いたイラストがカクカク動いていた。
『かぐやっほー!月からやって来た、かぐやだよー。今日はやること思いつかないからこれでも終わり!じゃあーねー、.....ん、船、これで切れてる?あ、まだ寝てるし』
おい、ちょっと待て!!!色々ツッコミどころがありすぎるが、待ってくれ、気の所為だと信じたいが....僕が寝ている間に顔晒されるし、バリバリ本名言われねぇか!?!?!?
「おいおいおいおい。最後インカメになってんじゃん、かぐやと船の顔映ってるって!」
「消して!!今すぐ消して!!」
かぐやからPCを奪い取り、消そうとしたが、再生回数が意外と回ってることに気づき、コメントもついていた。
『インカメw』
『お兄さんの寝顔可愛いやん』
『ヤチヨのライブにいた子?』
『兄妹揃って実写?w』
.......パタンと閉じて、かぐやにPCを渡した。
これ、もう消しても遅いわ。誰かしらに切り抜かれて永遠に消えないやつだ。
「あ、...あんたも気の毒ね?」
やめて、無理に慰めないで。
「てか、気になったんだけど動画に流れてる不協和音」
「ジングルだよ」
ジングルって、配信の最初や途中なんかに流す短いメロディのことだ。
リスナーに印象を残すためのものらしい。
これはこれでインパクト残せてるし、前半の黒歴史に確実になる内容の動画、ある意味面白いのか、どうにでもなれ。
「ジングル、彩葉さんが作ってあげなよ。キーボード引けたでしょ確か。前聞いた時にすごい上手だったし」
こうなったら彩葉さんも巻き込んでやる。
「はあ?なんでわたしがそんなこと」
「え!?彩葉引けるの!!いっちょお願いしますよ、先生!!」
慣れたように彩葉さんに甘えるかぐや。諦めたように鍵盤に指を伸ばして、旋律を作り出そうとしたが、一瞬止まった気がした。
「あ.....」
が、一度白鍵に触れた指先は、踊るように鍵盤を叩いていく。心の底から楽しんでいる、そう聞いている僕にも伝わるほど響いた。
かぐやにそれが伝わったのか、即座にリズムを掴み、メロディを感じて即興で歌詞をだした。
彩葉さんとかぐやのセッションがアパートの個室に響き渡った。
演奏が終わると、息が荒く、やりきったという表情の彩葉さんがいた。
「やっばー!これ彩葉が作ったの?スゴすぎ!」
興奮に目を輝かせながら、跳ね回るかぐや。
「彩葉、プロデューサーになって!!」
「は?プロデューサー?何で?」
「だってだって!今、ヤチヨカップ暫定一位の黒鬼って三人組なんだよ、ズルくない?かぐやなんて一人で頑張って八千位なのに」
かぐやが素早くノートPCを開き、ヤチヨカップの暫定順位を示して見せるかぐや。
順位は現在、八千九百十位。まぁ、厳しいものはあるよね。
「だからさ、一緒にやろ?彩葉の曲を私が唱えば大バズ確定じゃん!このボロアパートから始まる!!」
「ボロアパート言うな」
「いいじゃん、作ってあげなよ〜。さっきの彩葉さん楽しそうで仕方なさそうだったよ?」
僕がそう言うと、珍しく図星を突かれて動揺する彩葉さん。
「なら....あんたも手伝いなさいよ。」
ニヤリ、と不敵に彩葉さんが笑った。おい、なんだその顔は、余裕に満ちた顔は
「残念。僕は音楽の才能なんて微塵もありませ────」
1年前彩葉さんに送り付けた、僕がエレキギターを演奏している動画を突き出された。
.....おい、ちょっと待って!!!彩葉さんのスマホを取ろうとしたが、ヒョイ、と回避されてしまった。
「.....無いとは言わせないからね?」
「すげぇーー!!船、これ引いてるの!?」
やめてくれ。一時期、棒ロックのアニメにどハマりしてエレキギターを買ってまでその曲を引くといった黒歴史だ。
なんで、彩葉さんに送ってんだ。過去の僕馬鹿野郎!!!
「だったら3人でセッションしようよ!!一位の黒鬼も3人だし、こっちも3人で!!決まり!!」
「無理です。夏休みなんだから時間なんてな────」
「お願い、彩葉。このまま終わりたくない、ハッピーエンドにしたい....な?」
涙を浮かべ、鼻を啜りながら両手を握り締め超必殺のおねだり顔を決めてきた。
こうなったらもう、止めれない。
「ちょっとだけなら、いいけど...」
「ちょろ葉やんけ」
「なに?、今からKASSENで殺る?ちょうどストレス溜まってたのよねー。」
「いいえ....遠慮させていただきます。」
今なんてやり始めたりしたら、リスキルされまくって精神的にトラウマを植え付けられるに違いない。
☆
そこから、かぐやの快進撃が始まった。
思いついたことは片っ端からやっていく、スタイルで動画を投稿していた。
「この動画のダンス可愛い〜〜。かぐやもやるから船もやってぇー?」
3...2...1と撮影を回されて、覚えた所は何とか踊るが、もう分からないところはぐちゃぐちゃにそれはむちゃくちゃに踊った。
「.....ちょ、これどうやるるるる!!」
「あはっ!!なに、そのダンスどうなってんの〜!!」
無理難題なダンスを30分で暗記しろとか言ってきて、結局分からず無理やり踊ったら、関節という関節がぐちゃぐちゃになったりとか、....まぁ、それは嘘だけど。
「うひょ〜、芦花の言う通りにメイクしたら自撮り爆盛できちゃった。はい、これもアップ!ついでに全然盛れなかったNGバージョンもアップ〜〜!」
凄いな。なんか、もうかぐやライバーやってる気がするわ。順調に同接の視聴者も増えてって、ライブ以外の動画も再生回数が伸びていた。
やりたいことに躊躇しない、そこにハマる視聴者が沢山いるってことだった。
「ねー、ねー、彩葉も歌枠しよ。一緒に潜って伴奏して〜〜、船も一緒にやってくれてるんだよー?」
......かぐやの熱に負けて結局、僕は配信でエレキを弾いている。まぁ最初は抵抗もあったが、一度成功を経験すると、もう辞められない止まらない。
ちょろいのはぼくだったかもしれない。
「やだよ、しないよ。勉強するよ」
「えーー!!!」
それでもめげない、かぐやがいた。意地でも彩葉さんと配信をしたいらしい。
次の日にも────。
「見て、彩葉。バトルと演奏が同時に出来るキーボード作ったの!これで歌枠の演奏しながらゲーム配信見できるよ。一緒にやろ」
次の日にも────。
「彩葉、彩葉!今日はお料理動画作るんだ。ガパオライスだよ。食べるだけでいいからコラボライブしてよ〜!」
次の日にも────
「いーろはっ、一緒にダンスのショートどうが撮ろっ」
「しないしないしない。勉強する、バイト行く。」
「ねーねー、やろうよ。一分で済むよ。芦花も船もやるって言ってくれてるよ?ねぇ、芦花?船?」
「.....大丈夫。大丈夫。今度は自主練してきたもん、しくじらないようにやってきたうんうん!!」
「うん、面白そうじゃん。船さんに関しては考えすぎだから、落ち着いていきましょうね?」
「私もやるよー、彩葉はどーするー?」
露骨に嫌な顔をする、彩葉さん。いつかは断りきれなくなることが分かってたという表情。
かぐやは周りを巻き込む力はブラックホールを超える。僕はそれに巻き込まれた。
「撮れたー!見てみて、彩葉めちゃ可愛い。はい、これもすぐにアッ────」
「はい、ストップ。これは絶対にアップ禁止だから。」
『かぐや・いろP』の配信活動は、日に追うごとにリスナーの耳目を集めていき、夏休みも中盤を迎えるころには、順位を二百八十位までに上げるという、大健闘であった。
「ねぇ〜、チャンネル名に船の名前追加していいかなぁー??」
「いや....いいよ。リスナーが求めてるのはかぐやといろPなんだし、今更名前変えちゃったら変になっちゃうからやめときな?」
「えぇ....、でもshipファンも所々いるけどなぁ...。」
それは、すっごくありがたいけど....流石に名前を変える必要性はないと僕はないと思います。なんなら、僕はリスナーと同じでかぐいろを見ていた今でもある。
「てか、船はこんな所までパーカー服着てて暑くないの?海なんだよ?ずーっと地面見てるけどさ、何してるわけ?」
「うるさい、彩葉さん。なんでもないから海に今すぐ入ってきて」
「ふーん、私に口答えねぇ、、!?今すぐ、海に落としてあげるから、こっちに来なさい!」
無理やり僕の手を引っ張り、ズブ濡れにするつもりだこの人!!!うわぁ!!離しやがれ!!!!
「あの二人、仲良しだねぇ〜」
「なんか、腐れ縁みたいな感じねぇー」
バシャンっ!!と彩葉さんに叩きつけられた僕はあえなくズブ濡れ。
つ、冷たいッッッー!!!!
「感想、聞かしてもらってもいい??ずーっと熱い場所にいたから気持ちいいでしょ?」
「あ、あくまっ....。」
そのまま抵抗できず、僕は15分ぐらい彩葉さんの玩具にされていた。
.....うー、着替え持ってきてないのに、
「乾くでしょ、これくらい。我慢して」
「....はい。」
満足したのか、そのまま3人の元に戻るとかぐやが頭を抱えて何やら悩んでいる様子だった。
「まだまだ足りない!どうすればいいのだー」
どうやら、欲張りな月から来たお姫さまは納得いっていないようだ。
砂浜に広げたレジャーシートの上で、ゴロゴロと転げ回って不満を出していた。
「.......ほら、お姫さまがお待ちだよ」
はっ、と笑いながらこっちを見てきた。
「アンタもその一員だけどね」
なんで、美少女たちと海に行けるねん!!!
こいつは責任もって僕が潰します