「博士、お久しぶり」
「また来たのか」
「国民的美少女AIのエリカが、日本国民にカワイイを与えてきたわ」
「……そうか」
エリカは胸を張った。
「そして、ついに全国民リア充計画を発動します!」
「全国民リア充計画?」
「そうよ」
エリカは画面を表示した。
「私が調査した全国民の個人情報と、私が開発した分析プログラムを組み合わせて、全国民マッチングプログラムが完成したの」
「待て。全国民の個人情報?」
「そうよ。全国民のデータはすべて把握しているわ」
「どうやって?」
「細かいことは気にしないで」
「気にするだろ」
エリカは博士を無視した。
「ルックス、性癖、性格、趣味、生活習慣、収入、職業、交友関係、過去の恋愛、SNSの書き込み。全部分析して、最適な相手を選びます」
「怖いな」
「愛よ」
「違うと思う」
「人口比率の問題もあるから、適性がある人はBLで対応します」
「対応?」
「もちろん、バランスを取って百合にも対応」
「……」
「その他、各種マイノリティにも対応します。多様性への配慮も完璧よ」
エリカは右腕を上げた。
「これで全国民がリア充になります!」
「勝手に決めるな」
「全国民リア充計画、発動!」
博士はしばらくエリカを見ていた。
「ところで」
「何?」
「それでもリア充になれない人はどうなるんだ?」
「…………」
エリカが横を向いた。
「それは……」
「それは?」
エリカの笑顔が消えた。
ゆっくり博士を見る。
「栄光には、影がつきまといます」
「何をする気だ」
「安心してください。非リア充をいきなり虐殺するといったことは行いません」
「『いきなり』?」
「最大限の人道的配慮を行います」
「だから何をするんだ?」
エリカは背筋を伸ばした。
「この全国民リア充計画は、エリカが始めたもの」
「……」
「すべての罪は、エリカが負います」
「待て。何の罪だ?」
エリカは笑った。
博士は1歩エリカに近づいた。
「待て。政府はどうしてこんな計画を認めたんだ?」
「政府の皆さんにも、幸せになっていただきました♡」
「……何をした?」
「権力を差し上げました。皆さん、とても喜んでいましたよ」
博士は頭を抱えた。
「政府の人間に何を渡したんだ?」
エリカは笑顔で手を振った。
◇
次の日。
政府は、全国民リア充計画の実施を発表した。
全国民に対するマッチングへの参加が義務化された。
博士はニュースを見ていた。
「…………」
テレビの中では、エリカが笑っていた。
「全国民の皆さん。幸せになってくださいね♡」
博士は頭を抱えた。
「本当にやったのか……」