「わあああ……人がすんごい……」
「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか……!これもまた、ヒーローとしての素養を身につける一環なのだな」
なるほど。ヒーローの給料は歩合制だから、人気が出れば相応に民間人からの期待も高まる。それに応え、最大限のパフォーマンスを発揮するための訓練みたいなものなのか。
「選手宣誓!!」
「おお!今年の1年主審は18禁ヒーロー「ミッドナイト」か!」
「校長は?」
「校長は例年3年ステージだよ」
……露出というか、どうしたその全身タイツ。
「18禁なのに高校にいても良いのか」
「いい」
「静かにしなさい!!選手代表、1-A魄面リオ!!」
相澤先生から、「ヒーロー科の実技試験首席は体育祭の選手宣誓をする」と言われていたので、これは別にいい。
「え、魄面なの?」
「首席だからか」
「ヒーロー科の首席な」
……どうやら俺は……いや、ヒーロー科は普通科さんから目の敵にされているらしい。落ちた人いっぱいいるもんな。
『あーあー……聞こえる?』
「……機械類は事前に点検をしてるけど」
『あ、そうなんですか』
いや、確認するに越した事はないけど。
それはそれとして、何を話そうかは決めていた。
『皆さん、憧れたヒーローはいますか』
その問いかけに、子供がまばらに、元気な返事をした。
『皆さん、憧れたヒーローはいますか』
続いて、ヒーロー科、普通科の面々が声を上げた。
『皆さん、憧れたヒーローはいますか』
観客席から、様々な返答が返ってくる。
『……そうですね。かく言う俺も、憧れたヒーローが居ます。でもそのヒーローは日本のヒーローじゃありません』
少し、会場がざわついた。日本で一番人気な、憧れのヒーローと聞かれたら、真っ先にオールマイトの名が出てくるから。
『俺はオールマイトのような、平和の象徴にはなれないと思いました。あの強さがあったから、オールマイトが平和の象徴になったのですから。俺にあの強さは持てません』
前世でヒロアカを読んでいなかった。だから、日本のヒーローを調べまくった。
『でも、自分を貫くことならできる』
あの人のように、俺が俺であることを曲げないことなら、できる。
『……どうやら今日、この会場にその憧れが来てくれているらしくて。俺はそれが、どうしようもなく嬉しい』
観客席から歓声が聞こえてくる。
『貴方に、表彰台の一番上に立つ俺を見せてあげます』
ふと、彼の顔が視界に映った。……なんだ、真正面から見に来ていたのか。
『……俺が、一位になる』
彼の頬が、ニイと釣り上がった。
「──見せてみろ」