水着やバニー服やメイド服。
明らかにおかしな服装で当番業務を行う生徒たちに、先生は遂に苦言を呈した。

生徒たちの風紀を正すため。
そして、『シャーレの先生は、生徒たちにきわどい服を着せて接待させる変態だ』という周辺住民の噂をなくすため。
先生は生徒たちに『制服以外の服装でシャーレに入ることは禁止』とのお触れを出してしまう。

果たして、先生の思惑通りに生徒たちは『普通の服装』をしてくれるのか?

※本作はpixivにも同じ内容のものを投稿しています。

1 / 1
第1話

【シャーレビル:先生の執務室】

先生「はあ......みんないい加減にしてよ! シャーレは『いかがわしいお店』じゃないんだよ!」

 

ケイ「先生の言うとおりですよ! あなたたち、そんな服装で恥ずかしくないんですか?」

 

先生はシャーレにいる生徒たちにぶち切れていた。

それもそのはず、彼女たちの服装が異常だったからだ。

 

 

ミカ(水着)「先生。シャーレのどこが『いかがわしいお店』なの?」

 

シロコ(水着)「ん、どこもおかしくない。」

 

アスナ(バニーガール)「ご主人様、どこにも問題はないよ。」

 

アリス(メイド)「アリスには先生の言葉の意味がよくわかりません。ケイは何を言っているのでしょうか?」

 

 

先生「いやおかしいでしょ。水着とかバニーとかメイド服は、事務仕事用の服装じゃないよね? 『シャーレの先生は、生徒たちにきわどい服を着せて接待させる変態だ』って噂まで流れているんだよ!」

 

先生「今日の当番はケイちゃんだよ。そもそもなんで君たちいるの?」

 

生徒たち(ケイを除く)「「先生自身が『用事がなくても来ていい』ってよく言ってますよね? それと、先生がこの服装の私たちのことをチラチラ見てるの知ってますよ。本当は喜んでいるんじゃないですか?」」

 

先生「まあ、そうだけど......いつでも来ていいって言ったし、正直眼福だとも思ってるけど......あ、そうだ! ケイちゃんなんとかしてよ~?」

 

ケイ「『ケイちゃん』って言うなと言ってますよね! まあ今回は大目に見ますよ。」

 

 

ケイは先生のからかいに反応しつつも、その場の生徒たちに告げた。

 

ケイ「いいですか皆さん。自分たちの服装に本当に疑問を持っていないんですか? さすがにその格好で電車とかには乗れないですよね?」

 

ミカ(水着)「え、何言ってるの? 今日も水着姿で電車に乗ってシャーレまで来たんだけど。」

 

シロコ(水着)「ん、私は自転車で来たから関係ない。だけど、この格好のまま電車に乗ることは可能。」

 

ケイ「ミカさん、あなた『今日も』って言いました? いつもそんなことしてるんですか?」 

 

ミカ(水着)「え、問題あった? もちろんいつもやってるよ。あと、制服も持ってきてないよ。」

 

ケイ「.........」

 

ケイ「シロコさんも本気で言ってます? ここに着いてから着替えたんですよね? 水着姿で自転車に乗ってるなんて言わないですよね?? そうだと言ってください!!」

 

シロコ(水着)「ちゃんと水着姿のまま自転車で来た。ん、そっちのピンク髪の生徒と同じく、私も着替えなんて持ってきてない。」

 

 

二人の返事を聞いてケイは絶句した。

 

ケイ「......王女は違いますよね?」

 

アリス(メイド)「これは勇者の新しいスキンです。アリスもこの服装でミレニアムから来ました。」

 

ケイ「王女......いえ、アリス。後でお説教が必要そうですね。アスナさんはどうなんですか?」

 

 

アスナ(バニーガール)「『バニー服で外を歩いてはいけない』なんて法律は無いよね?」

 

ケイ「確かにそんなこと明記されていませんが......いや、駄目でしょ! ヴァルキューレのお世話になりたいんですか!?」

 

アスナ(バニーガール)「ヴァルキューレの局長さんもたまに水着で出歩いてるよ。バニー服の方がまだましじゃない?」

 

 

ケイ「…...本気で言ってるんですか? ほんとーに、皆さんその格好で街中を出歩いているんですか?」

 

生徒たち(以下略)「「だからそうだって言ってるじゃん。」」

 

 

先生は彼女たちの会話を聞いて、何かが腑に落ちたようだ。

 

先生「シャーレに出入りしてない人も、私のことを『生徒たちにきわどい服を着せて接待させる変態だ』と噂している理由が気になってたんだ。」

 

先生「君たちが『その服装のままシャーレまで来た』のがその答えなんだね。そりゃあ変な噂が流れるわけだ。」

 

 

先生はあきれ果てた。

ケイもキヴォトスの実情を知って放心状態になっている。

少し経って、正気を取り戻したケイは四人の生徒たちに怒鳴った。

 

ケイ「あなたたち痴女なんですか!? 王女は一応服を着ているからいいとして、他の方たちは変態みたいな格好ですよね!」

 

生徒たち「「別にそんなことないよ。たまにこの服装でボス戦に呼び出されるし。」」

 

ケイ「先生、あなた何やってるんですか! 街中だけじゃなくて、戦場にまでこの服装で来させるなんて!」

 

先生「これは違くて......いや違わないけど......別衣装の方が強い生徒が多いから......」

 

ケイ「言い訳しないでください。先生!」

 

先生「ケイちゃん。かなりメタい話題だから、この話はいったん終わりにしよう。」

 

 

先生は無理矢理話題を変えた。

 

先生「とにかく、今後はシャーレには『制服』で来ること! それ以外の服装は絶対に認めないよ。」

 

生徒たち「「先生にアピールするために着てきたのに~。本当に駄目?」」

 

先生「駄目なものは駄目!」

 

 

不服そうな生徒たち。

その時、ミカが先生に問いかけた。

 

ミカ(水着)「先生、『制服の定義』って何? 生徒によってデザイン違ってない?」

 

先生「確かにキヴォトスでの『制服の定義』はよくわからないな。じゃあ、登下校の時や授業中に着ている服なら『制服』ってことでいいよ。」

 

先生(ミカの質問の意図はよくわからないが、これで服装の問題は解決だな。シャーレの外であんな格好をさせるのは大問題だ。)

 

ミカ(水着)「おっけー! 今度来るときは、ちゃんと『制服』を着てくるね☆」

 

先生「わかってくれてうれしいよ。もう一度言うけど、今後は制服を着てくること! そうしないとシャーレに入れてあげないよ。」

 

 

 

~~~~

一週間後

 

【シャーレビル:玄関】

ミカとシロコがシャーレへ遊びにやってきた。

またしても水着姿で。

さすがに規則違反を見過ごすわけにはいかないため、先生は彼女たちを玄関まで連れ戻した。

 

 

先生「ミカ、シロコ。私が先週言ったこと覚えてる?」

 

ミカ(水着)「『制服』で来ないと駄目なんだよね? これが私の『制服』だよ☆」

 

シロコ(水着)「ん、私もそう。アビドスは今クールビズ実施中。」

 

先生「『水着が制服』な訳ないでしょ!」

 

 

先生が突っ込みを入れたが、二人は全く動じない。

それどころか、無茶苦茶なことを言い出した。

 

ミカ(水着)「先生こそ自分が言ったことを忘れたの? 『登下校の時や授業中に着ている服装』が制服の定義なんだよね? 今週この服装で全部の授業受けたよ。もちろん登下校もこの格好だったよ。」

 

シロコ(水着)「ん、私だけじゃない。対策委員会のみんなもずっとこの服装で過ごしてきた。」

 

先生「二人とも嘘は良くないよ! 証拠なんてないでしょ!」

 

二人(水着)「「証拠ならあるよ。ビデオ撮ってきたし。」」

 

 

先生は水着姿の二人の言葉に言葉を失った。

まさか本当に言っているのか?

冗談だと思うが、この二人ならやりかねないとも考えてしまった。

 

ミカ(水着)「まずは私からいくね☆」

 

スマホを操作して、彼女は証拠映像を先生に突きつけた。

そこにはミカが主張したとおりの光景が広がっていた。

 

一人だけ水着で登校するミカ。

周りが冬服で授業を受ける中、寒さに震えながらノートを取る様子。

水着姿のハナコと仲良く下校していく光景。

 

それを見た先生は、ミカの言葉が本当だったことをすぐに理解した。

 

 

ミカ(水着)「他の日の映像も見る? 一週間分の映像を準備してきたよ☆」

 

先生「いや、いいよ。ミカの言ったことを信じるよ。てか、何でハナコまで水着なの?」

 

ミカ(水着)「私が『露出癖に目覚めた』って勘違いしたみたい。仲間が増えてうれしそうな顔してたよ。」

 

先生「ねえ、やっぱり君の主張無理があるよね? 露出狂と思われてるじゃん! シロコはこんなことしてないよね?」

 

シロコ(水着)「ん、こっちも証拠映像がある。」

 

先生「......シロコもか~」

 

今度はシロコが証拠映像を見せつけた。

その光景はミカのものよりもいかがわしさが増していた。

シロコだけでなく、対策委員会の全員が水着で活動していたのだ。

 

たまに映る市民たちの好奇の目が、その映像が偽物ではないことを証明していた。

 

 

先生「わかったよ。『水着も制服として扱う』ことにしてあげる。これでいいんでしょ。」

 

二人(制服?)「「やった! ありがとね、先生。」」

 

先生「最後に一つ聞きたいんだけどさ。君たちその服装で寒くないの? 今は真冬だよ。」

 

 

制服(水着)を着た二人の表情が一瞬強ばった。

だが、すぐに反論してきた。

 

ミカ(制服?)「こっちは鋼鉄大陸よりもずっと暖かいじゃん。問題ないよ。」

 

シロコ(制服?)「ん、私もみず…...いや、『新しい方の制服』で色々なところに呼び出されている。寒いのには慣れているから問題ない。」

 

先生「二人ともまたメタいこと言ってない? でもまあ、二人がいいならそれでいいよ。その格好でシャーレに入ることを許可しよう。」

 

シャーレへと入っていく彼女たち。

彼女たちの肩は震えていて、息を吹きかけて手を温めていた。

二人が寒がっているのは明白だった。

 

 

先生「その『制服』絶対寒いよね! ちゃんと冬服着てよ!」

 

 

 

 

~~~~

『水着』が『制服』として認められた日の翌日

 

【シャーレビル:玄関】

今度はバニー姿の生徒が玄関で止められていた。

先生はあきれながらもその生徒に対応していた。

 

先生「今度はアスナか......その服装で過ごした証拠は持ってきたんだよね。」

 

アスナ(バニーガール)「持ってきてないよ。ご主人様。」

 

先生「証拠がないんじゃ、バニー服を制服とは認められないな。」

 

 

今度こそ生徒たちの変な要求を断れる。

そう先生が考える中、アスナが話し出した。

 

アスナ(バニーガール)「ねえ、ご主人様。私たちC&Cがこの服装で潜入任務を完遂したこと忘れてない?」

 

先生「え?」

 

アスナ(バニーガール)「任務で使用するくらいなら、それは『制服』としても扱っても良いんじゃない?」

 

先生「いやいや、無茶苦茶だよ。」

 

アスナ(バニーガール)「それに『水着』よりは布面積多いから良いでしょ。バニー服は一応服だよ。『水着』なんて『下着』と大して変わらないじゃん。」

 

先生「いや、そう言われても。」

 

アスナ(バニーガール)「他の服装も『制服』として認めないと、みんな水着でシャーレに来るようになると思うな。その方が先生へのアピールになるし。」

 

先生「さすがにそれはないよ。ミカたち滅茶苦茶寒そうにしてたから、真似する子はいないと思うけど。」

 

アスナ(バニーガール)「ご主人さま。ミレニアムでも『自分の制服は水着だ』って主張するために、水着姿で過ごす子が出始めてるよ。このままだと、風邪を引いちゃう生徒が続出するんじゃないかな?」

 

アスナ(バニーガール)「だからさ、せめてバニー服くらいは『制服』として認めた方がいいと思うな。」

 

先生「......わかった。他の服装はいったん置いといて、『バニー服』も『制服』として認めるよ。」

 

アスナ(制服?)「ありがとうご主人様!」

 

 

 

 

~~~~

一ヶ月後

 

【シャーレビル:先生の執務室】

先生が『水着』や『バニー服』を『制服』として認めた。

そのニュースは瞬時にキヴォトス中を駆け巡った。

 

このことを知った生徒たちは、どう見ても『制服』ではない服装でシャーレへと押しかけた。

屁理屈で先生を無理矢理説得して、『制服』として定義される服装を増やしていった。

 

チーパオから始まり、ナース服や巫女服や魔法少女コス。

最終的には『私服』ですら『制服』として認める羽目になる。

こうして、シャーレにおける『制服』という言葉自体が意味をなさなくなってしまった。

 

 

生徒たちの奇行のせいで、先生の心は完全に折れてしまった。

そんな先生の元に二人の少女がやってきた。

 

ネル(メイド服)「ずいぶん疲れているな、先生。思った通りだぜ。」

 

アリス(メイド服)「パンパカパーン! 勇者アリスが先生を助けに来ました。」

 

メイド服を着た二人を見て、先生はだるそうにつぶやいた。

 

先生「今度は君たちか......メイド服も制服ってことでいいよ。」

 

 

先生の諦めの声が空しく響く。

だが、ネルたちが来た目的は先生の予想外のものだった。

 

ネル(メイド服)「先生、何か勘違いしていないか? 別に遊びに来たわけじゃないぜ。」

 

先生「当番でも遊びに来たわけでもないなら、何しに来たの?」

 

ネル(メイド服)「メイドの仕事は一つしかないだろ。『掃除』しに来たんだよ。やるぞ、ちっこいの!」

 

アリス(メイド服)「ラジャー! 出力最大、光よ!」

 

ネル(メイド服)「オラオラー! ゴミは掃除しなきゃな!」

 

生徒たち(制服?)「「ギャアー!!」」

 

 

ネル(メイド服)「コスプレみたいな服装が『制服』なわけねーだろ! 屁理屈こねて先生を困らせるんじゃねえ!!」

 

 

瞬く間に『掃除』されていく、様々な種類の『制服?』を着た生徒たち。

気がついたら、ネルとアリス以外の生徒はシャーレから放り出されていた。

 

連邦生徒会に頼んで予備の制服を分けてもらい、先生は倒れ伏した生徒たちの傍にちゃんとした制服を置いていった。

『今度からはこちらが定義した制服で来ること』とのメッセージを、全生徒に送ることも忘れなかった。

 

 

 

 

~~~~

二十分後

 

ネル(メイド服)「大丈夫か。先生。これで悩みの種は消えただろ? 次変なこと言う奴出てきたら、あたしらがぶっ潰すから安心してくれ。」

 

アリス(メイド服)「アリスも頑張りました。褒めてください、先生。」

 

先生「二人ともありがとう。でも、どうして急にこんなことを?」

 

ネル(メイド服)「決まってんだろ......言わせんなよ。恥ずかしい......」

 

アリス(メイド服)「チビメイド先輩は先生を助けてアピールしたかったんです。コスプレするよりも効果があ…...モゴモゴ」

 

ネル(メイド服)「言わせねーぞ、ちっこいの!」

 

 

生徒たちの奇行がようやく収まる。

そう思った先生は安心した。

 

だが、彼はそこでは止まらなかった。

一連の出来事による心労が、彼をおかしくしてしまったようだ。

 

先生「ネル。君はさっき『メイドの仕事は掃除だけ』って言ってたよね? 私はそうは思わないよ。」

 

ネル(メイド服)「何が言いたいんだ、先生?」

 

先生「メイドさんの仕事は『掃除』だけじゃないよ。『メイドカフェ』の店員さんも仕事のうちだよ。」

 

 

先生は、二人に新たな事業を立ち上げることを宣言した。

 

先生「君たちへの感謝の印として、今日から『連邦捜査部シャーレ』は『メイドカフェシャーレ』に変更だ!」

 

ネル・アリス「「は?」」

 

 

 

 

~~~~

三日後

 

【シャーレビル:メイドカフェ】

今度は『メイド服』が『制服』として定義されてしまった。

当番の人数も大幅に増員し、先生はメイドカフェの店員として生徒たちを働かせていた。

 

当初は周辺住民は困惑した。

だが、シャーレに来る生徒たちが全員『メイド服』を着ていたおかげで、『いかがわしいことをシャーレで行っている』という噂は完全に消滅した。

その代わり、先生の性癖が『メイド』であるとの噂が流れてしまったが。

 

そんな『メイドカフェシャーレ』に一人の生徒が来店してきた。

 

 

先生(メイド服)「お帰りなさいませ! お嬢様!」

 

リン「先生、本当に何してるんですか? なんで女装しているのですか?」

 

先生(メイド服)「店長やってるだけだよ。あと、私は女装なんかしていないよ。ただシャーレの制服を着ているだけだよ。」

 

リン「......」

 

 

リンは黙ってスマホを取り出した。

そして、電話を始めた。

 

リン「カンナ局長ですか? リンです。変態教師を矯正局送りにしていただきたくて。」

 

先生(メイド服)「キヴォトスに私以外にも先生がいたんだ。それも変態なのか。」

 

リン「あなたのことですよ。先生。少し頭を冷やしてきてください!」

 

先生(メイド服)「え、ちょっと待って!!」

 

 

 

 

~~~~

矯正局にて、強制的に健康的な生活を強いられた先生。

先生は、二週間ほどで元の理性を取り戻した。

『シャーレには制服で来なくてはいけない』との命令も撤回されて、『制服とは何か』という問題も消滅した。

こうして、長きにわたったこの騒動はようやく収束を迎えた。

 

 

だが、一つだけ大きく変化したことがある。

生徒たちによる先生へのアタックが激化していったのだ。

先生はこれまで以上に猛烈なアピールを受けることになってしまった。

 

 

アピールを受けすぎたことにより、先生の過酷欲は瞬く間に高まっていった。

またしても先生が暴走するのは、それからすぐのことだった。

 

 

 

 

おしまい


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。