小4で一緒にお風呂は普通じゃないの!? 〜距離感バグりすぎな従姉弟の日常〜   作:間瀬凪

18 / 18
約束のしるし

 深夜一時を回り、本家全体は底知れない静寂に包まれていた。

 あれほど賑やかだった親族の宴会も完全に終わり、大人たちも子どもたちも、それぞれの部屋で深い眠りに落ちている。

 庭からは、秋の夜気を含んだ鈴虫の声だけが、澄んだ音色で響いていた。

 離れの六畳間。

 敷布団の上に仰向けになり、僕は暗がりの中で天井を見つめていた。

 昼間のはとこたちとの大騒ぎ。

 台所で耳にした、親戚のおばさんたちの言葉──『いとこ同士なら、普通に結婚できるんだからね〜』。

 そして、夜の膝の上で陽菜が囁いてくれた、『大人になったら、私をお嫁さんにしてくれる……?』という甘い約束。

 そのすべてが頭の中を駆け巡り、胸の鼓動はいつまで経っても収まりそうになかった。

 スッ──と、微かな音を立てて襖が開いた。

 廊下の月明かりの中に、小さな人影が揺れている。

「……悠真?」

 蚊の鳴くような、掠れた囁き声。

「陽菜……!?」

 僕は跳ね起きるように上半身を起こした。

 大部屋で結愛や美桜たちと一緒に寝ていたはずの陽菜が、枕を両手でしっかりと抱きかかえ、裸足で敷布団の縁に立っていたのだ。

 薄い半袖パジャマから伸びる白い手足が、月の光に照らされて淡く浮かび上がっている。

「どうしたの……? みんな、寝たんじゃ……」

「結愛ちゃんたち、すやすや寝てるよ。……でもね、私……」

 陽菜はそろりと部屋の中に入り、音を立てずに襖を閉め切ると、僕の敷布団のすぐ横へと膝をついた。

「……一人だと、寂しくて眠れないの。悠真と……一緒に寝たいよ」

 上目遣いに見上げてくる陽菜の瞳には、甘えと、どこか切実な熱が滲んでいた。

 初夏に美紀おばさんから教わったルールが、頭の隅をよぎる。

『入れるのだけは、まだ絶対にダメ』

『お互いが大好きで、お互いが嬉しいなら、触り合ったりすること自体は別にいいの』

 僕たちは服をちゃんと着ているし、入れるようなことは絶対にしない。

「……うん。おいで」

 僕が掛け布団を持ち上げると、陽菜は嬉しそうに顔を綻ばせ、するりと僕の布団の中へと滑り込んできた。

 バサリと掛け布団が頭の上まで引き上げられる。

 外の肌寒い秋の空気は完全に遮断され、布団の中は陽菜の甘いシャンプーの香りと、二人の体温で一瞬にして満たされた。

 

 ***

 

「んぅ……悠真、あったかい……」

 陽菜は迷うことなく、僕の胴体に両腕をぎゅうっと回してきた。

 それだけではない。

 陽菜は自ら腰を寄せ、その柔らかな太ももの内側を、僕の股間へと隙間なくぐっと押し当ててきたのだ。

 さらに、逃げ場をなくすように、僕の片方の太ももを自分の両脚でしっかりと挟み込んできた。

「ひっ……!?」

 息を呑む暇もなかった。

 完全相互密着──お互いの太ももと股間が、パジャマの布地を一枚隔てただけのゼロ距離で、がっちりと体圧で固定されてしまう。

 薄い布越しに、陽菜のすべすべとした太ももの柔らかな弾力と、女の子のデリケートな場所の熱い体圧が、僕の下半身にダイレクトにめり込んでくる。

 その強烈な刺激に、僕の下腹部は意志とは無関係に、一瞬で限界までカチカチに固くなって跳ね上がった。

 ドクン、ドクン、ドクン──と、僕の脈打ちが、布地を通して陽菜の太ももの内側へ直接打ち込まれていく。

「……ん……ふふ、悠真の……当たってるよ」

 陽菜は頬を桜色に染めながら、耳元で甘く吐息を漏らした。

「太ももにも……私のお股のところにも……悠真の固いの、すっごく強く当たってる……」

「は、陽菜……っ! これ、本当にまずいって……! 動けない……っ!」

「動かなくていいもん。……こうして、悠真の熱いのを感じてるのが、一番安心するんだもん」

 陽菜は僕の首筋に額をすり寄せ、逃がすまいとばかりに、さらにぎゅっと太ももを締め付けて密着を深めてきた。

 パジャマ越しに伝わる、陽菜の体温とお尻の柔らかさ。

 そして、僕の固くなったアレが、陽菜の太ももとお股に挟まれて、ドクドクと熱い脈動を繰り返す。

 頭の芯がじんわりと痺れるような、甘美で濃密な快感と緊張感。

 僕の息はすっかり荒くなり、心臓が喉から飛び出そうなくらい激しく高鳴っていた。

 

 ──その時だった。

 スッ……と、廊下の方から微かな足音が聞こえてきた。

 ピクッ──!! 

 僕と陽菜の体が、同時に跳ね上がった。

「…………っ!?」

 誰かが、この離れの部屋の前の廊下を歩いている。

 もし襖を開けられて、布団の中でこんな体勢で絡み合っているところを見られたら──一発で大惨事だ。

 二人は心臓が止まりそうになりながら、布団の中で完全に石化し、呼吸すら止めて硬直した。

 ペタ、ペタ、と廊下を歩く足音が、襖のすぐ目の前でピタリと止まる。

 生きた心地がしなかった。

 僕を抱きしめる陽菜の腕に、爪が食い込むほどぎゅっと力が込められる。

 冷や汗が背筋を伝い落ちる中、襖の向こうから、気の抜けた小さな声が漏れ聞こえてきた。

「……んあ────……アイス……チョコアイス……むにゃむにゃ……」

 結愛の寝言だった。

 どうやら寝ぼけてトイレに起きてきたらしい。

 バタン、と廊下の突き当たりでトイレのドアが閉まる音が響いた。

「…………っ、ぷはぁっ!」

「……ふぅ……っ、び、びっくりしたぁ……っ!」

 二人は同時に息を吐き出し、脱力してシーツの上に倒れ込んだ。

 心臓が破裂しそうなくらい早鐘を打っている。

 顔を見合わせると、あまりのハラハラ感に、どちらからともなく「……ふふっ」「あっは……」と声を殺して笑いが漏れた。

「もう……結愛ちゃんったら、心臓止まるかと思ったよ……」

「僕もだよ……本気で寿命が縮んだ……」

 小さく囁き合いながら、二人の間の空気は、緊張の糸が切れたことで、先ほどよりもさらに親密で甘いものへと溶けていった。

 掛け布団の中の暗闇で、陽菜は僕の首筋にぎゅっと両腕を回し直し、その柔らかな太ももを僕の足に絡めながら、上目遣いに僕を見つめてきた。

 至近距離で混ざり合う、互いの熱い吐息。

「ねえ……悠真」

 静寂の中、陽菜がとろけるように甘い声で囁いた。

「最近ね、クラスの女子たちが『付き合う』とかそういう話ばっかりしてるんだよね」

「うん……休み時間とか、誰と誰が付き合い始めたとかよく噂になってるよね」

「付き合うって……なんなんだろうね? 手を繋いで一緒に帰ったり、放課後遊んだり、お互いが一番好きって言い合ったりすること……?」

「それ……僕たち、ずっと前から普通にしてるよね」

「うん。お泊まりもしてるし、こうやってくっついて寝てるし……」

 陽菜はふっと瞳を揺らし、僕の胸元に頬をすり寄せてきた。

「昼間、おばさんたちが言ってたの……本当に嬉しかったの。私たち、いとこ同士でも、ちゃんと結婚できるんだって……離れ離れにならなくていいんだって。ずっと胸の奥がつっかえてたのが、全部すーって消えちゃった……」

「……うん。僕もだよ」

 大人になったら離れ離れになってしまうのかもしれないと、幼い胸を痛めていた日々。

 その巨大な暗雲から完全に解放された安心感が、いま、二人の全身を満たしていた。

 陽菜は僕の首筋に回した腕にきゅっと力を込めると、上目遣いに僕を見つめ、熱っぽい吐息をこぼした。

「ねえ……悠真」

「ん……?」

「クラスの女子がね、言ってたの。『付き合う』って……特別なことなんだって。誰にもしないこと、二人きりですることなんだって」

 陽菜の潤んだ瞳が、僕の唇へと向けられる。

「……キス、しよ?」

「え……っ!?」

 僕の心臓がトクンと大きく跳ね上がった。

「ほっぺとかおでこじゃなくて……お口と、お口」

 陽菜の耳たぶまでカッと赤く染まっていた。

「ずっと……してみたかったの。悠真と結婚できるって分かったら、もう我慢できなくなっちゃった……。これが……私たちの『付き合う』ってことなのかなって」

「で、でも……僕たち、お口にキスなんて……したことないよ?」

 同じアイスを分け合ったり、同じペットボトルから飲むような間接キスなら、物心ついた頃から数え切れないくらいしてきた。けれど、本当のキスなんて一度もしたことがない。

「だから、だよ。二人きりで……悠真とだから、したいの」

 陽菜のまっすぐな瞳に見つめられ、息が詰まる。断る理由なんて、どこにもなかった。

 僕だって、陽菜が世界で一番大切で、誰にも渡したくない。

 僕がごくりと唾を呑み込んで小さく頷くと、陽菜は嬉しそうに目を細め、そっと顔を近づけてきた。

 触れ合う直前、陽菜の長い睫毛が震え、まぶたが静かに閉じられる。

 そして──。

 ちゅっ、と微かな音を立てて、二人の唇が重なり合った。

「ん……っ」

 陽菜の小さな吐息が漏れる。

 信じられないくらい柔らかくて、温かくて、ほんのり甘い感触。

 唇と唇がそっと触れ合った瞬間、ビリビリッと電流が走ったように頭の芯が痺れ、それが背骨を伝って一気に下腹部へと突き抜けていった。

(っ……あ……っ!)

 重なり合う太ももの間で、僕の股間が激しくトクンと脈打ち、パジャマ越しに一段と熱く、硬く張り詰めていく。太ももを挟み込んでいる陽菜の身体へ、その熱い拍動がダイレクトに伝わってしまうのが分かる。

 一度離れて、お互いに見つめ合う。

 暗がりの中でも分かるほど真っ赤になった陽菜の顔。

「……悠真」

「陽菜……」

 どちらからともなく、引き寄せられるように再び唇を重ねた。

 今度は、ただ唇を合わせるだけでは終わらなかった。

 重なった唇が熱っぽく微かに開き、互いの熱い吐息が口の中へと漏れ出す。

 誘われるようにそっと差し入れた舌先が触れ合った瞬間、びくりと互いの身体が震えた。

 けれど、離れるどころか、もっと深く相手を求めるように、おずおずと、けれど吸い寄せられるように舌と舌が絡み合っていく。

「ん……っ、ちゅ……、んむ……っ」

 ぬるりと滑らかな舌が口内の柔らかな粘膜を撫で、互いの唾液が甘く溶け合っていく。

 小さな水音を立てながら、息が苦しくなるほど熱く深く貪るように舌を絡め合うたびに、胸の奥から甘い幸福が溢れ出すと同時に、下腹部がキュウッと甘く疼き、息ができないほどに熱がこみ上げてくる。

「ん……っ、ふは……っ、ふふ……っ、あったかいね……」

 名残惜しそうに唇を離した陽菜が、濡れた唇を蕩けるように緩めて囁いた。

「悠真、大人になったら……絶対に私をお嫁さんにしてね? 誰にも渡さないでね……?」

「ああ、約束するよ。僕のお嫁さんは、陽菜だけだ。一生、陽菜を愛して、僕が守るから」

「うん……っ!」

 陽菜は泣きそうなくらい嬉しそうに目を細めると、僕の胸元に顔を埋め、ぎゅっと腕の力を込めて抱きついてきた。

 世間の誰かが決めた形になんて、縛られる必要はない。

 この温もりと重なり合う鼓動、そして交わした初めてのキスこそが、僕たちの未来へと続く、揺るぎない約束のしるしだった。

 

(完)

 

 

【挿絵表示】

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

拾ったのは、外伝ゲームの主人公でした(作者:異星人アリエン)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

『リベリオン/戦禍の夜明け』。▼かつてダークファンタジーの先駆けとして、人気を博したアニメタイトル。ネームドでもサブキャラでもない、単なる無名の一般人としてそこへ転生したゲドウ・マルドラークは生きていく上で、仕方なく悪の帝国であるカエレスティス帝国の兵士として働いていた。▼知っている作品なのにそれを活かす頭脳がなく燻りながらも、日々を過ごすゲドウ。▼ある日、…


総合評価:10404/評価:8.22/連載:67話/更新日時:2026年08月16日(日) 20:02 小説情報

転生先のゲーム世界でアバズレヒロインが清楚堕ちしてる件(作者:図画工作で使うトイレットペーパーの芯)(オリジナル:ファンタジー/コメディ)

※なお、主人公は最早あり得ない寝取られルートにずっと怯えている模様。


総合評価:11749/評価:8.78/連載:16話/更新日時:2026年10月09日(金) 11:15 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>