小4で一緒にお風呂は普通じゃないの!? 〜距離感バグりすぎな従姉弟の日常〜 作:間瀬凪
五時間目の保健の授業は、教室中がそわそわとした落ち着かない空気の中で始まった。
午前中に秋の身体測定を終えたばかりの教室で、黒板に先生がチョークで『大人に近づく私たちの身体』と大きく書き出す。
「第二次性徴といってね、みんなの身体はこれから少しずつ、大人の男の人や女の人の形へと変わっていきます」
配られたプリントには、男子と女子の体つきの変化が図入りで並んでいた。声変わり、骨格の広がり、それから──女子の胸のふくらみ。
隣の列の小野直樹が、プリントで口元を隠しながら吹き出した。
「うわ……なんか照れくせえな。胸が大きくなるとか、そんなの授業でやんのかよ」
すかさず、前の席の森田紗理奈が鋭く振り返る。
「ちょっと直樹、ニヤニヤしないの。茶化すところじゃないでしょ。あんたたち男子は本当に脳みそが幼稚園児なんだから」
「な、なんだよ! 紗理奈だって顔赤いくせに!」
「赤くなってない! 真面目に聞いてるの!」
二人の小競り合いに先生から注意が飛ぶと、紗理奈は前を向き直した。けれど、ふと思い出したように斜め後ろの陽菜へ小声で囁いた。
「……ねえ、陽菜。最近、体操服とかちょっときつくなってきたりしてない?」
「えっ……?」
陽菜は机の上で両手を揃えたまま、目を丸くして自分の胸元を見下ろした。
「そ、そんなことないよ? まだ全然……」
「そう? 陽菜、夏休み前より背も伸びたし、そろそろインナーとか変えた方がいいのかなって思ってさ」
紗理奈のひそひそ声に、陽菜の耳たぶがみるみるうちに赤く染まっていく。
僕は自分の席から、そんな陽菜の横顔をじっと見つめていた。
体つきはまだ子どものままだ。けれど、机に向かう陽菜の背中は春よりわずかに大きく見え、肩の丸みもどこか柔らかい気がする。
──大人に近づく身体。
深夜に階段で耳にした、美紀おばさんの真剣な声が頭の奥で蘇る。
『本当に命に責任を持たなきゃいけない身体になってきたら、その時は親としてきつく言っておくわよ』
陽菜を傷つけてはいけない。大切にしなきゃいけない。
強く誓ったはずの言葉が、教科書の文字を見るたびに、ずしりと重みを増して心臓を揺らしていた。
***
授業が終わって放課後になると、陽菜が身体測定の結果の紙を両手に握りしめ、パタパタと足音を立てて僕の机へ駆け寄ってきた。
「悠真、見て見て! 私、春から二・三センチ伸びてた!」
陽菜は僕の机に両手をついて身を乗り出し、おでこがぶつかりそうなくらい至近距離で紙を突き出してきた。
「へえ、結構伸びたね」
「悠真は? 何センチだったの?」
「僕は二・二センチ」
「やったあ! 私の方が一ミリ勝ってる!」
陽菜が両手を上げて、まるで金メダルでも取ったかのように勝ち誇って笑った。
「たったの一ミリじゃないか。四捨五入したら二人とも二センチだよ」
「ダメ! 一ミリでも勝ちは勝ち! 私の方がお姉ちゃんなんだから当然でしょ? ほら、負けた悠真は私を褒めて、頭なでて!」
陽菜は悪戯っぽく笑いながら、僕の右手をとって自分の頭の上へちょこんと乗せてきた。
僕が苦笑いしながら柔らかい髪をくしゃっとなでてやると、陽菜は嬉しそうに目を細め、猫みたいに僕の手のひらにすり寄ってくる。
その瞬間、僕たちの机の端に、丸めたノートが「パシッ!」と乾いた音を立てて叩きつけられた。
「……ちょっと、二人とも」
振り返ると、仁王立ちした紗理奈が、半眼で僕たちを睨みつけていた。
「な、何? 紗理奈」
「何? じゃないでしょ! 教室の真ん中で新婚夫婦の健康診断ごっこやめなさい! さっきの保健の授業、一言も聞いてなかったわけ!?」
「ごっこじゃないもん! 身体測定の結果見せ合ってただけだもん!」
「普通、あんな授業の後なら、男の子相手にちょっと気まずくなって距離置くもんでしょ! なんであんたたち、男女の身体の違い習った直後に、余計におでこくっつくくらい顔近づけて頭なでさせてんのよ!?」
「えー、でも従姉弟だし……」
「従姉弟でも男と女でしょ! だいたい身体測定の結果用紙なんて、男子にホイホイ見せるもんじゃないの! 体重とか胸囲とかも書いてあるでしょ!」
「悠真に見せてるだけだもん! それに体重のところは、ほら、ちゃんと親指でぎゅって隠してるもん!」
「隠せばいいって問題じゃないの! 少しは恥ずかしがるとか、異性を意識するとかしなさい!」
紗理奈が額を押さえて叫ぶと、ランドセルを背負って通りかかった直樹が、呆れ顔で足を止めた。
「なんだよ紗理奈、また夫婦喧嘩の仲裁か?」
「直樹、あんたからも言ってやりなさいよ! この二人、たった一ミリ余計に伸びてたからって教室でイチャついて頭なでさせてんのよ!」
「うわ……」
直樹は引き気味に僕たちを見て、わざとらしく首を振った。
「いや、俺は絶対無理だわ。従姉妹の頭なんか死んでもなでねーし、自分の身体測定の紙見せるとか罰ゲームだろ。お前ら、マジで距離感バグりすぎ」
「バグってないもん! 昔からこうだもん!」
陽菜がぷくっと頬を膨らませて猛抗議した。
「直樹はともかく、悠真は特別なの! 悠真なら何見られたって恥ずかしくないもん!」
「はあ!? じゃあお前、その紙全部見せられんのかよ。体重何キロか悠真に言えんのか?」
直樹の意地悪な質問に、陽菜はぷいっと顔を背けた。
「うっ……それは、ダメ! 直樹には絶対言わない! 体重は女の子の秘密だもん!」
「ほら見ろ、やっぱり言えねえんじゃん!」
直樹が勝ち誇ったように笑うと、陽菜は「悠真には言うもん!」と言い返した。
「悠真、ちょっと耳貸して」
「えっ……」
陽菜は僕の机に両手をついてぐっと身を乗り出すと、僕の耳元に小さな手をそっと添えて、こしょこしょと囁いてきた。
甘いシャンプーの香りと、温かい吐息がくすぐったく耳たぶを撫でる。
『……にじゅうきゅう点八キロ。春より一・二キロ増えちゃったの……悠真だけの秘密ね?』
頬が触れそうなくらいの至近距離で耳打ちされ、僕の耳たぶが一気にカッと熱くなった。
「なっ……!?」
直樹と紗理奈が目を丸くして固まった。
「お前……マジで悠真に耳打ちで体重教えたのかよ!?」
「信じられない……! ちょっと陽菜、男子に体重教える女子がどこにいんのよ!?」
紗理奈が頭を抱えて叫ぶと、陽菜は僕の肩にちょこんと手を乗せて、得意げに胸を張った。
「悠真はただの男子じゃないもん! 悠真になら、体重教えたって恥ずかしくないもん!」
「恥ずかしがれよ! 少しは女子の羞恥心持てよ!」
「直樹、そんな風にいじめないでよ」
僕が陽菜をかばうように前に出ると、直樹が呆れたように眉を上げた。
「いじめてねえよ! お前らマジで距離感おかしいだろ!」
「体重は誰にも言わないよ、陽菜。ちゃんと秘密にするから」
「ほらぁ! 悠真はちゃんと秘密守ってくれるもん!」
陽菜が嬉しそうに僕の腕にぎゅっと抱きついて、紗理奈たちに満面の笑顔を向けた。
「身体は見られたって減るもんじゃないし、悠真の前ならすっぽんぽんになったって平気だもん!」
「ぶっ……!?」
直樹が吹き出し、慌てて手で口を押さえた。
「減らないとかそういう問題じゃねえだろ! おいおいおい、悠真の前ですっぽんぽんとか教室で言うなよ! 生々しすぎるだろ!」
「ちょっと陽菜! 悠真も、あんたがそうやって甘やかすから陽菜のブレーキが壊れるんでしょ! だいたいあんたたち、そりゃ一緒にお風呂に……っ、あ」
怒鳴り散らしていた紗理奈が、途中でハッと我に返ったように両手で自分の口を塞いだ。
顔から一気に血の気が引いて、紗理奈の背中をサーッと冷や汗が流れていくのが目に見えるようだ。以前、陽菜からうっかり秘密を聞き出して「絶対他の子には内緒にしなさい」と念を押した張本人が、怒りのあまり自分で直樹にバラしかけたのだ。
幸い、勢いが良すぎて言葉が途中でかき消えたため、直樹にはよく聞き取れなかったらしい。直樹は不思議そうに眉を寄せた。
「あ? なんだよ紗理奈、途中で詰まって。一緒にお……何?」
「な、なんでもないわよ! 一緒にお、おままごとしたことがあるって言おうとしたの!」
「おままごと!? お前ら四年生にもなって家でおままごとやってんのかよ!?」
「い、いいでしょ別におままごとくらい! ほら、新婚夫婦ごっこみたいなやつよ!」
「新婚夫婦ごっこですっぽんぽんとか、余計生々しくてヤバいわ!!」
「違うわよ! すっぽんぽんはおままごとじゃないの!! ……あーもう、いいのよおままごとは! それよりさっきの保健の授業よ!」
紗理奈は真っ赤な顔で額の汗を拭いながら、必死に話題を戻そうと声を張り上げた。
「これから大人になって、身体の形も変わっていくのよ! 胸だって大きくなるんだから!」
「ちゃんと聞いてたもん! 第二次性徴でしょ!?」
「だったら胸が大きくなったら、男の子に見せない特別な場所になるって分かるでしょ!」
「悠真はただの男子じゃないもん、悠真だもん! だいたい私、まだ全然大きくなってないもん!」
「なってなくてもこれからなるの! 勝手にどんどん大人の身体になっていくのよ!」
「知ってるもん! でも一人で大きくなるの寂しいから、悠真と一緒に胸を大きくしてもらうんだもん!」
「「誰に何をしてもらう気だよ!!」」
紗理奈と直樹の声が、完璧にハモって教室に響き渡った。
「悠真に何をしてもらう気なんだよ! 胸を育てる怪しい儀式でもあるのか!?」
「っていうか悠真は男の子なんだから胸なんか大きくならないでしょ! 二人で何する気なのよ!?」
二人に猛然と詰め寄られた陽菜が、助けを求めるように僕の服の裾をきゅっと引っ張った。
「悠真……っ」
涙目で縋り付いてくる陽菜を見て、僕は二人の前に立ちはだかった。
「二人とも、そんなに陽菜を責めないでよ。僕に何ができるか分からないけど……陽菜が大きくなりたいなら、牛乳買ってきたり、できることは何でも手伝うよ」
「「お前まで味方すんな!!」」
再び紗理奈と直樹の声が重なった。
「牛乳で大きくなるか! っていうか、あんたたち二人で何しようとしてんのよ!」
「悠真、お前マジで頭おかしいだろ! 従姉妹の胸の成長を手伝う小学生男子がどこにいんだよ!」
「変なことなんてしないよ。陽菜が困ったり寂しかったりするなら、僕が一緒にいてあげるのは当たり前じゃないか」
僕が真顔で言い返すと、陽菜がパッと顔を輝かせた。
「うん! 悠真、大好き!」
「あーもう……見てるこっちの心臓が持たないわ」
紗理奈は天を仰ぎ、深いため息を吐き出した。
「これ以上付き合ってたら頭おかしくなりそう。陽菜、図書委員の当番でしょ! 早く行きなさい!」
「う、うん……! 悠真、あとでね!」
陽菜は嬉しそうに手を振りながら、教室を飛び出していった。
嵐の去った教室で、直樹が同情するように僕の肩をポンと叩いた。
「……悠真、お前も大変だな。あんな暴走機関車みたいな従姉妹持って」
「そんなことないよ。可愛くて楽しいよ?」
「はあ!? そりゃ見た目が可愛いのは分かるけど……あんなに振り回されてんのに楽しいのかよ!?」
「うん。……あんな風に特別扱いされたら、普通に嬉しいし」
「マジで言ってるよこいつ……距離感バグりすぎだろ」
直樹は信じられないものを見るような目で僕を凝視したあと、「はいはい、ごちそうさまでしたー」と呆れ果ててランドセルを揺らしながら教室を出ていった。
一人残された教室で、僕は自分の右手のひらをそっと見つめた。
さっき陽菜の柔らかい髪をくしゃっとなでたときの、甘い感触がまだ皮膚に残っている。
──直樹はともかく、悠真は特別なの!
──悠真と一緒に胸を大きくしてもらうんだもん!
真っ赤になって必死に叫んでいた陽菜の顔を思い出すと、一体僕に何をしてもらう気なんだよと心の中で突っ込みつつも、口元が自然と緩んでしまいそうになるのを止められなかった。
直樹や紗理奈には呆れられたっていい。
世界中で僕だけが陽菜にとって特別で、あんなにも無防備に甘えてくれることが、くすぐったいくらいに嬉しくて、誇らしかった。
胸の奥にじんわりと広がる熱を抱えたまま、僕は昇降口で陽菜を待つため、ランドセルを背負った。
***
図書委員の当番を終えた陽菜と昇降口で合流し、校門を出ると、秋の冷たい風が一気に吹き抜けた。
「寒っ……! 急に冷えてきたね」
陽菜が身を縮こまらせ、冷え切った両手をすり合わせた。
次の瞬間、陽菜は僕の上着の右ポケットに、自分の手をためらいもなくずぼっと滑り込ませてきた。
「わっ、陽菜!?」
「手袋忘れたから、悠真の手貸して!」
狭いポケットの中で、陽菜の細く冷たい指先が、僕の手のひらにぎゅっと絡みついてくる。
「ポケット伸びちゃうよ」
「伸びない! 悠真の手、すっごくあったかい……悠真のポケットがあったかいのがいけないんだからね」
「そんな理屈あるかよ」
呆れながらも、僕は陽菜の指を手のひらですっぽり包み込んだ。
細くて柔らかい陽菜の女の子の手。ポケットの中の密着に、僕の心臓がトクンと跳ねる。
茜色の夕日が、並んで歩く僕たちの影を長く長く伸ばしていた。
ポケットの中で、陽菜の指先が僕の体温を吸って、じんわりと温まっていく。
「……お母さん、今日から研修出張なんだよね」
陽菜がぽつりと言った。
「うん。明日の夕方まで戻らないって聞いたよ」
「ちょっと寂しいけど……でも、今日は悠真の家に泊まれるから平気!」
笑ってみせる陽菜の手が、ポケットの中でぎゅっと強く握られた。
心細さを隠すための強がりだと分かっていた。父親がいなくて、母親がいない夜。陽菜は僕のそばにいることで、寂しさを必死に埋めようとしている。
さっき教室で『悠真と一緒に』と言い放った陽菜の無防備すぎる信頼が、痛いほど胸に迫ってきた。
僕は何も言わず、その小さな手を強く握り返した。
***
「ただいまー」
「香織おばさん、ありがとー!」
リビングに入ると、母さんが用意してくれたアツアツの焼き芋が湯気を立てていた。
陽菜と半分こにしてフーフー冷ましながら食べ、そのまま机で宿題を済ませる。
夕食までの少しの時間、二人で協力ゲームを起動した。
僕がソファに座ると、陽菜はすかさず僕の膝の上にすっぽりと座り込んできた。
「ちょっ……陽菜、重いよ!」
「暖房代わり! 四年生の女の子に重いって言ったら傷つくんだから!」
陽菜は僕の太ももをペシペシ叩きながら、僕の胸元にコテンと背中を預けてコントローラーを握る。
「ほら悠真、早くスタート押して! 私、右側行くから悠真は左ね!」
「わかったから……でも陽菜、それじゃ僕がコントローラー持てないんだけど」
「悠真が後ろからぎゅーって手を回して持てばいいの! ほら!」
陽菜に手を引かれ、左右から腕を伸ばして後ろからすっぽりと抱きしめるような姿勢になってしまった。
太ももに乗っかる陽菜のお尻のずっしりとした重みと、背中越しに直に伝わってくる体温。ボブヘアが揺れるたびに、鼻先をくすぐる甘いシャンプーの香り。
僕の心臓は、激しく早鐘を打ち始めた。
──悠真と一緒に胸を大きくしてもらうんだもん!
さっき教室で陽菜が叫んだとんでもない爆弾発言が、耳の奥で蘇る。
体つきはまだ子どものままだ。けれど、女の子の身体はこんなにも柔らかく、温かい。
台所から麦茶を運んできた母さんが、二人羽織みたいにくっついている僕たちを見て、ふふっと笑った。
「あらあら、ずいぶん仲良くゲームしてるわねぇ」
「香織おばさん見て! 悠真が私のこと重いって言うの!」
「陽菜ちゃんはちっとも重くないわよ。悠真、ちゃんとお姉ちゃんを温めてあげなさいね」
「母さんまで……」
苦笑いしながらも、陽菜の無邪気な温もりに包まれている時間は、息が止まりそうなくらい甘くて苦しかった。
夕食のクリームシチューを食べ終えたあと、時計は八時を回っていた。
洗い物をしていた母さんが「お風呂沸いてるわよ。陽菜ちゃん、冷えないうちに入っておいで」と声をかけてきた。
陽菜がパッと顔を輝かせる。
「はーい! ……悠真、行こ!」
陽菜が僕の手首を両手でぎゅっと掴み、脱衣所へと引っ張った。
「えっ……」
その瞬間、僕の足がぴたりと床に縫い止められた。
昼間の保健の授業。
教科書に並んでいた男女の身体の図。
紗理奈の『全部見えちゃうんだよ!?』という警告。
そして──深夜の階段で聞いた、美紀おばさんの真剣な声。
『あの子が陽菜を傷つけるようなことなんて、絶対にあり得ないわ』
一緒にお風呂に入っていいのか?
もし、僕が陽菜に対してやましい気持ちを抱いたり、男の子としての目線を向けてしまったら、美紀おばさんのあの信頼を裏切ることになるんじゃないか──。
「悠真? どうしたの? ……一人で入るの、寂しいよ……?」
母親がいない夜の、心細さに揺れる瞳。
今日一日、僕の服のポケットに手を突っ込み、膝の上に座り込んで、必死に寂しさを紛らわせようとしていた陽菜。
その瞳を見つめながら、拒絶することなんて僕にはできなかった。
「……ううん。行こっか」
「うん!」
パッと笑顔を取り戻した陽菜に手を引かれ、僕は激しく脈打つ胸の痛みを抱えたまま、脱衣所の引き戸へと向かった。