これは、作者のラウラが軍隊をクビになった場合の話の三次創作です。
「ん? 起きたか……」
ソファーで目を覚ますと椅子に座ってコーヒーを飲んでいたラウラが立ち上がって貴方に近付いてきます。
その小さな手が貴方の額に触れる。
「魘されていたが大丈夫か? 今も顔色が悪いし、目が隈だらけじゃないか」
ラウラの指が心配そうに貴方の目の輪郭をなぞります。
「夕飯を用意したが食べられそうか? 食欲が無い? 訊いておいてなんだが、残してもいいから腹に入れておけ。身体を壊すぞ」
そう言ってラウラは出来上がっている夕飯を皿に盛り付けてテーブルに並べた。
「なるべく胃の負担にならないメニューにしたつもりだ。さっきも言ったが残してもいいから無理のない範囲で食べてくれ」
言われて貴方は具が柔らかく煮込まれたスープを口にします。
同じ料理を食べていたラウラが話しかけてくる。
「それでどうした? 眠っている間も魘されていたが。話して楽になるなら話くらいは聞くぞ。もちろん言いたくないならここで終わるが……」
心配そうな目で覗き込んでくるラウラ。
そんな彼女に貴方はぽつりぽつりと今の職場での事を話し始めます。
「つまり上司からは毎日理不尽に怒られ、同僚からは仕事を押し付けられて、部下はこちらの指示を聞いてくれないと……言ってはなんだが、大丈夫かその会社」
もちろん大丈夫ではないのだが、生活の為にも簡単に辞める訳にらいかず、押し黙る。
少し考えた後にラウラが手を叩きます。
「よし。明日は会社になにを言われても休め。私も休む」
突然の提案に貴方は焦ります。
そんな急に休めないと。
「なら、無断で休めばいい。とにかく明日は病院に行くぞ。これは決定事項だ」
珍しく強い口調と睨むような眼で貴方を見ています。
「お前、自分が今どんな顔色をしているか理解しているか? 放って置いたら首でも括るか建物から飛び降りそうな顔だぞ。だから病院に行こう。お前は限界だとちゃんと医者に言って貰おう。それでも会社がお前に無茶を強いるなら辞めてしまえばいい」
あっさりと言うラウラ。
彼女は貴方の後ろに回って抱きつくと、頭を撫でてきます。
「この生活を守る為にずっと気を張っていたのだろう? でももういいんだ。眉間のシワをほぐせ。自覚は無いかもしれないが、眠っている間も泣いてたんだぞ? 心が限界なんだ」
諭すように話すラウラに貴方は躊躇いがちに良いのかと訊く。
「良いに決まってるだろ。このまま放置して手遅れになられるよりはずっといい。生活のことなら私も働いてるし、しばらくは大丈夫だろう。ゆっくり疲れを癒して、心を治していけばいい。後のことはそれから考えよう。な?」
よしよしと頭を撫でられていると、貴方の目からじわりと涙が落ちていきます。
「頑張ったな。偉いぞ。でももう楽になっていいんだ。独りで背負わなくてもいい。お前が元気になるまで私が守ってやる。私にくらいは甘えてくれていいんだ」
そこで貴方の携帯から着信音が鳴ります。会社からです。
その音だけで動悸が早くなり、気持ち悪くなってきました。
震える手で携帯を手に取ろうとしますが、ラウラが先に手にして着信拒否します。
「出られる状態じゃないだろう。無視だ無視。放っておけ……これは経験則だがな。本当に上手くいかない場所に居続けても辛いだけだぞ。私の場合はあんまりにも適性が無くてクビになった訳だが……ん? その顔は信じてないな? まぁいい。とにかく今日は久々に一緒に寝よう。心配させた罰として、抱き枕にしてやる」
慣れてない、おどけた口調で言うラウラに貴方の肩の力が少しだけ抜けて、小さく笑いました。
「あぁ……やっぱり笑ってくれた方がいいな。申し訳ない? 気にするな。お前が元気になったらたくさん返して貰うさ。だから、今はゆっくりとおやすみ」
もしかしたら作者の別作品のオリ主を使ってこういうのをまた書くかもしれない。