IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~ IFルート(リメイク版)   作:ピーナ

50 / 51
本編が行き詰っていたので咄嗟に思いついたネタを書いてみました。


特別編 IFルートのIFルート 

さて、学園的には臨海学校のメインイベント(生徒的には初日の自由時間がメインイベントだろう)、一日通しての装備のテスト、先輩方曰く『デスレース』の始まりだ。

『デスレース』の所以はこのテスト朝の9時に始まり、日が沈んで夜の8時までほぼノンストップで行われる。全員が休憩するのはお昼ご飯の為の30分ほど。後は分かれた班ごとに休憩を合間合間に取る。大体9時間は動かないといけない。

専用機持ちは機体、というよりその国家事の開発事情によるらしいけど、今年は多いので、その分他の企業から送られてきたものも多いらしく、そっちのもしないといけないから、例年より大変だろうと予測していたのは虚さん。

まあ、管理局の装備のテストをやった事も一応あるし、長時間の休みなし労働も得意ではあるから、そこまで問題も無いだろう。

ちなみに、労働の方は言われたからでなく、自主的にだ。

生き方を切り替える事を選んでから、とりあえず、連絡だけでなのはやフェイト、ユーノやクロノなど魔法関係の友人や知人には連絡をしておいた。その時、リンディ提督に「貴方を連れてきたのは私だったから、『有給を取るように』ってせっつかれたわよ。合計で250日くらいは取ってないもの」と小言を頂いた。

普通の休日すら満足には取ってなかったし、色々迷惑かけて居たんだなあと再認識した。今度、士郎さんと桃子さんにお酒を見繕ってもらおう。お詫びの品として。

 

 

 

 

なんかよく分からないけど、緊急事態が起こったので、装備のテストは中止になった。

専用機持ち―僕、織斑君、オルコットさん、凰さん、デュノアさん、ボーデヴィッヒさんについさっきISの生みの親篠ノ之束博士に専用機を貰った篠ノ之さん―と先生方のサポートとして生徒会役員の本音と代表候補生の簪は昨日の夕食の場所になった大宴会場に他の教師陣と共に集まり説明を受ける事になった。

纏めると、数時間前ハワイ沖で稼働試験をしていたアメリカ・イスラエル共同開発の軍用IS『銀の福音』が暴走。監視衛星などを駆使して航路を予測、残り一時間ほどでこの付近の海上を通過するらしい。

僕達にはそれの捕獲、もしくは撃墜が命じられた。

……いくつか言いたい事があるんだけど。まず、これを収集するのは在日アメリカ軍だろ。次点は自衛隊。少なくとも学生である僕等のやる事じゃ無い。しかも、日本には被害が無いのに、それをわざわざやらせるなんて意味が分からない。どんだけ、自分のメンツが大事なんだよ。

それと、今の作戦会議。これは必要なのか? やらないといけないのは捕獲か撃墜。時間は一時間も無い。そんな中で悠長に話している暇があるのか甚だ疑問だ。

僕がそんな事を思っている間にも、出撃メンバーやら何やらが決まっていく。

作戦は超高速下での一撃必殺を当てる、一撃離脱。メンバーは……どうやら、織斑君になりそうだ。

ただ、福音は超音速飛行中。織斑君の足になるものが必要だ。

大体のISの最高速度は所謂遷音速、旅客機の飛行速度位の速さで飛行する。音速に少し届かない程度だ。僕達の専用機もそうなっている。

対する福音は現在マッハ2に近い速度で飛行中。単純に倍以上の速度で飛んでいる。この速度差を埋めるのはかなり難しい。

僕はやろうと思えばできるけど、出撃するのは織斑君で、彼は素人だから、無理だろう。

 

「万全を期すためだ、霧島、お前も普通の速度で良い。付いて行け」

「了解」

 

もし、第一陣で出るんだったら確実に断っていた。だって、何の利もないのにケンカ売りに行くなんて、絶対に嫌だし、しかも命の危険もあるんだから、断るに決まってる。たとえなんと言われようとも今の僕は理由がない限り命を賭けるつもりは無い。

後詰を引き受けたのは、ここで断って、何かがあると寝覚めが悪いから。ただそれだけだ。

 

 

 

海岸を出発してすぐ、篠ノ之さんは一気に加速して空域に急行した。なんていうか……浮かれてる? 継戦時間を考えなければ速度をあげられるんだけど、それをやると戦えないから、このままで行くしかない。

僕が現場に到着すると、負傷して意識を失ってる織斑君がいた。……ていうか、篠ノ之さんはまだ福音が健在で何をしてるんだよ!

 

『織斑先生、織斑君が負傷していて、篠ノ之さんも戦意喪失。誰か回収に回してください。福音は僕が引き付けます』

『分かった。残った専用機持ちに出撃させる』

『お願いします』

『この時点で作戦は失敗だ。織斑、篠ノ之両名の退却完了後、頃合いを見て退却しろ』

『了解です。あ、でも倒しちゃっても良いんですよね? では』

 

って、そんな間にも攻撃されそうだし。通信を切って福音に目を向ける。

 

「カートリッジロード。Nバレット、ファイア」

 

誘導弾を今僕が扱えるギリギリの数出して福音の攻撃を迎撃する。

福音の攻撃をしのいだら、そのまま一気に加速して、押し込み二人から福音を引き離す。

 

「さて、僕に付き合ってもらおうかな」

「La……♪」

 

僕の言葉の返事のように甲高いマシンボイスとともに福音が攻撃を開始する。

確かに全範囲攻撃は脅威だ。機体性能だって高い。だけど、

 

「僕の相手じゃないね!」

 

性能だけで勝てるなら魔力の高い僕はあの時、負けはしなかったはずだ。

むしろ、経験の方が大切だと思う。それは、この前山田先生が専用機二機を相手に勝った事で分かる。

さて、暴走している福音には恐らく制作されてからの経験値しかない。このコアは何年も前からあるけど、コアは新しい機体に乗せ換えるときに初期化をしてしまうから、経験値は福音になってからの期間だけという事になる。それは100時間にも満たないと思う。

乗り手の人がいたら話は別だけど、暴走中で性能で力押しするしかできない相手には負ける気がしない。

 

「さって、行きますか!」

 

右手の彩雲を瑞雲に変えて、接近戦に切り替える。

 

『マスター、搭乗者がいるので、早めの決着を』

「これで決めるさ! 叢雲、出力を上げろ!」

『了解!』

 

一気に加速して四方八方から移動しながら切りかかる。

 

「奥義、ライトニング・モーメントってね」

 

一応警戒しつつ、福音の落ちた地点に近付いていく。

 

『マスター、高エネルギー反応! 恐らく、二次移行です!』

「面倒な事になったなあ。叢雲エネルギーは?」

『被弾もなかったですし、7割あります』

「なら、行けるだろ。叢雲、いつでも切り札切れるように頼むよ」

『お任せを』

 

福音は攻撃を再開し、僕はそれを避ける。かなりの広範囲に光弾がばら撒かれるけど、僕はそれをすべて回避して、海が爆ぜるだけ。

二次移行の福音は攻撃性能、機動力が強化されてた。正直、厄介なレベルである。普通なら長期戦は覚悟しないといけない。だけど、一戦やった後という事と帰りの事も考えるとそんな余裕はない。となると、短期決戦で決めたい。矛盾はあるけど戦術的には変わりないから、二次移行分の差を埋めれば行ける。そのために、

 

「叢雲、切り札使うよ」

『了解。コアリンクシステム起動』

 

切り札の発動と共に、機体のあちこちから白銀の粒子が溢れ出す。

これは出雲の切り札であり、ある意味ワンオフアビリティでもあるコアリンクシステム。

僕の魔力を使うことで機体性能そのものを上げることのできる機構。元々かなりの高性能機体である出雲がさらにの性能が上がるから、並みの機体だと一瞬で決着がつく。

ただ、膨大な僕の魔力でも20分程度しか持たないし、そこまで使ったら魔力の使い過ぎで多分気を失うから、実際は15分ほどが限界だと思う。

これで、福音とほぼ互角。その速度を活かし、光弾の雨を最高速でよけながら、懐に潜り込む。

 

「影すら踏ませない! 奥義」

 

その速度のまま福音の胴体に一撃を叩き込む。魔力も込めているから一撃の威力も高い。

 

「シャドウモーメント! 決まったね」

 

自分の持ち技の中から機体の性能から選んだIS戦における近接戦の大技『ライトニングモーメント』と『シャドウモーメント』。どちらも速度を活かした技だけど、連続攻撃の『ライトニングモーメント』と一撃必殺の『シャドウモーメント』と正反対の技になっている。

 

「さて、乗り手の人を助け出して帰りますか」

 

ただ、どうやらこの言葉がフラグだったらしく、

 

『マスター、高魔力反応! 福音の落ちた地点からです!』

『まさか、この前の学年別トーナメントみたいな事!? 乗ってる人を引っ張り出さないと!』

 

一気に近付いて操縦者を拾い上げる。その後すぐ、福音が異形体に飲まれたから、ギリギリだったね。

しかし、この人を抱えながら戦うのは無理だし……

 

『マスター、後ろからISが来ます』

 

ハイパーセンサーで後ろを確認したら凰さん、デュノアさん、ボーデヴィッヒさんの三人が来ていた。

 

「霧島、この前のタッグトーナメントの奴をデカくしたあれ、何よ!?」

「とりあえず、この人の事よろしく」

 

一番近くに来た凰さんに福音の操縦者を渡す。

 

「待って。霧島君だけで相手をするの?」

「それは無茶だ」

 

二人のこの反応が普通だよね。だけど、相手はこの世界の人間だと相手にならない。……それなら、

 

「炎よ、聖なる獣となりて敵を喰らい尽くせ!」

「なによいった……」

「フレイムドラゴン!」

 

詠唱の終わりとともに龍の形となった炎が異形体を喰らう。質量の差で全部とはいかなかったけど、少しは削れたな。

 

「とまあ、ああいうのは僕の管轄だからさ。だから、ここは任せて」

「……詳しい事は後でじっくり聞かせてもらうわよ」

「気が向いたらね」

 

僕の返答に納得いったかどうかはわからないけど、三人は退いてくれた。

 

「さてと、ここから先で暴走させるわけにはいかないよなあ」

 

この先には本音や簪を始めとした無関係な同級生たちが居る。なら、僕は持てるすべてを使って、守り抜こう。それが僕の選択だ。

 

「叢雲、オーバーリミッツで片を付ける」

「マスター、体の負担が大きすぎますし、隙も生まれます。今の状態ではあまりにも危険です」

 

相棒である叢雲の僕の体を慮った忠告。それは嬉しい。だけど魔力的にも長期戦は出来ない。それなら、自分の持ち技の中で一番信頼できる技に賭ける。

 

「んなもん、知ってるけど知った事か。僕がやらないで、誰がやるっていうのさ。僕の魔と剣を以って人々を守る。これが今の僕の選択だ」

「……了解」

「ゴメンね、叢雲。こんな無茶しいのマスターでさ。……カートリッジフルロード。オーバーリミッツ強制解放!」

「Mode Release Over Limit」

 

オーバーリミッツの強制解放で、体が悲鳴を上げる。でも、この程度で!

 

「天光満ところに我はあり」

 

膨大な魔力を感知したのか、暴走体は僕に向けて攻撃を激しくする。隙だらけの僕はそれを受けるしかない。体中が傷だらけになり、そこからかなりの出血。だけど、詠唱だけは止めない。止めるもんか

 

「黄泉の門開くところに汝あり」

 

正直、血の流し過ぎで意識が朦朧とするけど、それを意地と気合で堪える。

 

「出でよ神の雷! ……この勝負、僕の勝ちだ! インディグネイション!」

 

僕の最大級の魔法を発射する。絶対的な自信を持つ切り札。これで、沈んでくれよ!

 

「魔力反応なし。封印を確認」

 

よ……かった……。叢雲の報告を耳にして一安心する僕。やば……安心したら張り詰めてた気が……。

 

「叢雲、後はま…かせ……」

 

最後まで言い終わらず、僕は意識を失った。

 

 




というわけでVS福音戦、八雲の無双をお送りしました。
原作を読んでいて気になっていた「性能的には恐らくダントツの福音がなぜ負けたのか?」というのを自分なりに推察していて生まれたのがこの特別篇でした。
その結果「福音のコアに貯められた経験値は試作段階という事を鑑みて、圧倒的な性能で押しただけ」という事にしました。二次移行前に専用機持ち達の奇襲で撃墜まで行けたのも奇襲を学習していなかったからではと思います。
福音は性能的には恐らく作中最強だと思います。はっきりと軍用機と明記されている唯一の機体なので。
しかし、そんな福音に勝った原作ではその後専用機持ち達は色々な相手に複数人で挑んで勝てていません。
福音とそれ以外の敵の差は何か? と考えたとき暴走しているかどうか、ひいては経験値の差が出てきました。福音は福音にある経験値だけ、それ以外の敵は機体の経験値+操縦者の経験値がありますから。恐らくナターシャが操縦していたら専用機持ち達の圧敗だったでしょう。
さて、このお話では八雲は勝利しています。これは、出雲の長所である機動性が福音と同等近かった事と八雲の膨大な経験値で性能差をひっくり返したという訳です。


ちなみに、セシリアが居なかったのは、一夏と箒を一刻も早く旅館に運ぶためです。決して一夏の体調を心配してではありません。


今後も、本編が思いつかなかったらこのような形で単発ネタを書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。