入学式の日に真美がオリ主と駄弁りながら芦花彩葉と交流する話。

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第1話

 

 

 

「なんなの〜、藪から棒に。もしかして喧嘩売ってる?」

 

「いやな?今日は入学式で、俺達は二人共新一年生だろう?」

 

「...まぁ、そうだね~。」

 

「これからの新たな学校生活に胸を躍らせているであろうその新入生のうちの一人であるお前が、新規の友好関係の構築もせずに、俺みたいな底辺生徒と話をしているわけだ。」

 

「自分で言ってて悲しくならないの?」

 

「死ぬほど悲しいし心では泣いているぞ?」

 

「じゃあわざわざ言わなくてもいいのに~...。」

 

「自身の評価を客観的に受け止めるのは大事なことだからな。それがたとえマイナスなものであったとしても。」

 

「変なところでストイックだね~。」

 

「それでまぁ、底辺の俺に話しかけるくらいには友好関係に苦心しているのではないかと、断腸の思いでやむを得ず俺と会話しているのではないかと思ってな。」

 

「わぁ~..随分とネガティブで突飛な勘違い。」

 

「小学校ではいじめにいじめ抜かれ、中学校ではハブられにハブられまくったからな。小中と同じ学校だったお前ならわかるだろう。」

 

「それは確かにわかるけどね~っていうか、そもそも岩田から話しかけてきたんじゃん。」

 

「知ってる顔が自分の席の前だったからな。嬉しさのあまり身分をわきまえずに話しかけてしまった。」

 

「身分としては岩田も私も同じ筈なんだけどな~...。」

 

「だとしたら、もう少しマシな義務教育生活が送れたはずだ。少なくとも教員に無視されるようなことは無かっただろう。」

 

「おぉう思ったよりも闇が深い...まぁいいや、岩田に心配されるほど友達に困ってはいないから安心しな~。」

 

「む、そうか。」

 

「そうそう。むしろ岩田は自分の友好関係を心配したほうが良いよ。」

 

「ご忠告痛み入る...本当に......いや...ガチで...。」

 

「なんか古傷の上から刃物で刺しちゃったみたいだね~...ごめん。」

 

「いや、その発言は御もっともだ。故に俺は高校デビューに踏み切ったわけだからな。」

 

「へ~、そういえばちょっと雰囲気変わった?」

 

「体系も髪色も何もかも変わってるだろ。今まで俺の何を見てきたんだお前は。」

 

「見ていたっていうか~、興味が無いから視界に入れてはいても認識はしていないっていうか~...ね?」

 

「...そっか......そうだ、で、すよね.........調子に乗ってすみませんでした...。」

 

「い、いやぁ...だって、言うほど仲良くなかった気がするんだけど...。」

 

「まぁ...諌山からいじめられたことは無いし雑談もそれなりにはしてきたが、特段仲がいいと表現できるような関係値ではなかったかもしれないな。」

 

「そうそう、友達っていうより知り合いレベルって感じ~。」

 

「......友達じゃ...ない..?」

 

「え、そんな泣くほどガッカリするの?」

 

「あぁ、辛い。普通に泣く。受け入れられない。友達じゃないなんてそんな...そ、そうだ!今からなろう!すぐにでもなろう!言質も取りたいし物証も欲しい!この契約書にサインをしてくれ!」

 

「何でそんなものが...しかも手書きとかじゃなくて印刷されてるし~。」

 

「因みに消せるボールペンでのサインやシャチハタでの押印はNGだから気を付けてくれ。」

 

「無駄に厳密だね~...っていうかサインなんてしないよ~、面倒だし。」

 

「そん...な...明確な定義の無い不安定で吹いて飛ぶような関係なんて俺は認めないぞぉ!いつ縁を切られるかと震えて眠る羽目になるではないか!」

 

「あ~あ~うるさいな~...友達だよ友達、これでいい?」

 

「待ってくれ、スマホのカメラをこちらで用意する。音声を残したいから用意した後にもう一回頼む。」

 

「...なんか、岩田に友達いない理由がなんとなくわかったかも。」

 

「なに?それも別で事細かにヒアリングしたいから後で聞かせてくれ。」

 

「そういうところだと思うよ~?」

 

 

 


 

 

 

「さて、友達発言の証拠映像取得の件については頑なに断られたわけだが。」

 

「普通に恥ずかしいからね~。」

 

「友を友と呼ぶことに何を恥ずかしがることがある?」

 

「現状は岩田を友達と呼ぶ事自体が恥ずかしくてしょうがないかな~。」

 

「フフッ...恥じらうほど大切に思ってくれるとは、嬉しい限りだな。」

 

「無敵だな~、この人。」

 

「ところで諌山、一つ聞きたいことがあるんだが...。」

 

「なに~?合法的に友達の居場所を四六時中監視する方法とか~?」

 

「人をなんだと思っているんだお前は。あとで教えてくれ。」

 

「知りたいんだ...適当言っただけだから私も知らな~い。それで?聞きたいことって?」

 

「それなんだが、こういう時間のSNSって見てても内容が頭に入らなくないか?」

 

「う~ん...あ~なんかわかるかも。」

 

「普段は時間泥棒もいいところなのに、気まずい時とか居心地悪い時とか逃げの意志で使ってる場合に限って、数分で飽きるみたいなことあるだろ?」

 

「お~確かに...こんな正確に言語化されたの初めてかも。」

 

「今の教室の様子を見てみろ。しきりにスマホを開いては一分もしないうちにポケットにしまって周りを見渡すのを繰り返している連中ばかりだ。」

 

「皆んなものの見事に同じ動きしてるね~。」

 

「俺たちの席が一番廊下側故に見渡す必要が無いのもあるが、中々壮観な光景だ...。一部机に突っ伏してる奴もいるが、あれ等は見た感じ寝たフリだな。」

 

「見てわかるんだ...経験則ってやつ?」

 

「何度自分でやってきたと思ってる?一目見ればわかるぞ。」

 

「特技にしてはパンチが弱いしバックボーンが悲しいね~。」

 

「言ってくれるな自覚はしている。まぁ見渡す限りそんな感じだからか、教室内は凄く静かだな。」

 

「喋ってるの私と岩田だけだもんね。」

 

「うるさいと思われているかもしれんな。だがそれと同じくらい、こうも思っているんじゃないかと俺は考えている。」

 

「その心は?」

 

「『私も話したい』と!」

 

「そろそろちゃんと起きなよ~?入学式もそれで行くつもり?」

 

「両目がこれでもかと開かれている俺を寝ていると言いたのか、お前は。」

 

「だって寝言言うから。」

 

「言いすぎだろ...。え?嘘、俺だけ?入学式の日に自分以外の誰かがしゃべってると謎の疎外感と焦燥感に駆られて『あぁ俺も誰かと喋りてぇ...!』て思いながら羨ましそうに他人を眺め始めるのって。」

 

「そうじゃない?私は思ったことないな~。」

 

「いや絶対嘘だ。ギクッみたいな感じで体を跳ねさせて俺等から視線を背けた奴何人か居ただろ今。」

 

「目ざといなぁ~...で?仮に思ってたとしたら何なの?」

 

「フッ...あえて言わせてもらおう、俺もめっちゃ話したいとなぁ!!!」

 

「ふ〜ん…話に行けばいいじゃん。」

 

「それが出来たら苦労はしていない。見てみろ。緊張で足が震えている。」

 

「話しかけに行こうとすらしてないのに…。」

 

「この学校は色々理由があって倍率が高かった。故に選別は激しくなり中学の知り合いがいる奴もこの学校にはそう多くないはず。」

 

「そうだね〜、受験勉強大変だったな〜。」

 

「それ即ち、知ってる人がいない空間で孤独感を抱えながらやたらと長く感じる時間を頑張って消費している奴が、今この教室にもいるということに他ならないっ!!!」

 

「全員とはいかないけど何人かはそうかもね~。」

 

「さっきのビクついた反応を見て確信もすでに得ているし目星もつけているっ!!!」

 

「声でっか〜。」

 

「そこに抜け目なく俺が颯爽と現れ、クレバーかつスタイリッシュに声をかけるとあら不思議!声をかけられた連中は漏れなく俺に好印象を抱くではないか!」

 

「不思議なのはそう思い込んで疑わない岩田の思考回路かな〜。」

 

「後ろの席の近寄りがたいアイツも、隣の席の気になるあの子も、俺と笑顔で話すようになって、気づけば俺はクラスの人気者って寸法よぉ!!!」

 

「机上の空論だねぇ〜。」

 

「だがそこまで分かってなお!なお!声をかけるということがっ…俺には出来ないっ!!!」

 

「普通に話しかければいいのに。」

 

「普通?普通って何?何を持って普通なの?俺の普通とお前の普通って違うよね?なのに普通の顔して普通にやればって普通に言ってくるじゃん、それって普通なの本当に?普通に教えて欲しいわけそれを。」

 

「何話せばいいか分からないで伝わるよ〜、無駄に文字数使わないでね〜。」

 

「あっはいすいません...と、とにかく!話しかけるにせよ話題の選定に困ってしまってな、二の足を踏んでしまっているのが現状だ。」

 

「う~ん...深く考えずに、成り行きで話せばいいと思うんだけどなぁ~。」

 

「成り行きで天気の話をしだすのは合格ラインか?」

 

「流石に思考が足りてないね~、赤点だよ。」

 

「そら見たことか!明確に話題を決めておかないと、冷静さを欠いて何を話しだすかわかったもんじゃない。」

 

「欠いているのは経験な気もするけどね~。」

 

「うるさいな、これから増やすんだよ頑張って。ったく...人間不安になってくると、得てして明確な模範解答を寄る辺にしたくなるものだ。かく言う俺もそう。言語化が可能な正解が欲しいんだよ。」

 

「そっか~、となると...趣味の話とかは?」

 

「え~っとぉ...ご趣味は...なにを?」

 

「岩田はお見合いしに来てるの?」

 

「ちっげぇよ!頑張って趣味を聞きだそうとしてんだよ!なけなしの勇気をこれでもかと振り絞ってコミュニケーション取ろうとしてんだよ!わかれよ!」

 

「わ~ごめんごめん。それでもかなり不自然な聞き出し方だね。」

 

「しょうがないだろわからないものは...事前に話相手の趣味を推測できるわけでもあるまいし。とっかかりもないんじゃ不自然にもなる。」

 

「ん~、できないこともないんじゃないかな。お手洗いに行った帰りとかにちらっと見えたスマホの画面に映ってたものに言及してみるとかは、私もよくやるし。」

 

「今の発言でクラスの大半がスマホを見だしたな。お前に話しかけてほしいんじゃないか?」

 

「ちょっと多すぎるね~、一人じゃ無理だよ。」

 

「フッ、つまり...俺の出番ってわけだな。どれ、ちょっくら教室を限りなく自然体のまま徘徊でもしてこようか。」

 

「今の発言でクラスの大半がスマホをしまったね~。」

 

「なんでだ。話しかけてほしいんじゃないのかお前らは。漫才やってんじゃないんだぞこっちは。真剣なんだぞ。」

 

「漫才云々よりも純粋に関わりたくないんじゃない?」

 

「その抜き身の刃みたいな鋭さの発言、もう少し控えてくれないか?俺の心に飾り包丁かってくらい切り込みが入ってるんだが。」

 

「そのわりには見栄えが悪いね~。」

 

「手心を加えるという慣用句を学ぶべきだお前は。」

 

「友達だからこその気安さからくる冗談だよ~。」

 

「へへっ...よせやい、わかってらぁ!それが冗談だってことくらい!」

 

「チョロいな~。」

 

 

 


 

 

 

「とまぁ、色々と御託を並べて先延ばしにしていたが、いい加減誰かに声をかけようかと思っている。」

 

「あ、クラス大半が一斉に顔を背けた。」

 

「少しは隠そうとしてくれ頼むから。」

 

「意思表示は相手に伝わらないと意味ないからね~。」

 

「そうではあるが限度というものが...まぁいい。しかし...何故こんなに拒否されるのか。一体何が悪いというのだ俺の。」

 

「感性と言動かな~。身なりは悪くないとは思うし。」

 

「ふふん、そうであろうそうであろう!なにせこの春休みの間で苦労して改善したのだからな!」

 

「へ~、具体的に何やってたの?」

 

「諌山は知っているかはわからんが、俺には姉がいてな。色々と協力をしてもらったんだ。」

 

「あ~そういえばそんな噂聞いたことあったかも。読モやってるんだっけ?」

 

「知っていたか。一昨年からは正式なモデル兼インフルエンサーとして活動していてな。その美的センスを頼らせてもらって、身なりの改善をしていたんだ。」

 

「え~すご~い。なんて名前?調べたら出てくるかな~?」

 

「ごりっごりに本名の岩田美空で活動してる。本人曰く若者に大人気らしいし、記事の一つや二つはあるんじゃないか?俺は詳しく知らんが。」

 

「どれどれ~...待って、お姉さん凄い人気じゃない?SNSのフォロワーとか100万人超えてるじゃん。」

 

「ほぉ...普段の家でのだらしない姿をよく見る立場からすると、想像もつかん数字だな。にわかには信じがたい。」

 

「それ聞いた皆が一気に落ち着き無くなってる辺り、人気も知名度も本当みたいだね。」

 

「怨嗟の視線や殺気も感じるからな。嘘偽りではないようだ。」

 

「えぇ...何でそんなの感じ取れるの?」

 

「義務教育期間でいいだけ浴びてきたからなそういう類のものは。」

 

「そんな殺伐とした学校じゃなかったんだけどな~...というか、それこそお姉さんの話題で話を降ればいいんじゃない?皆んな興味ありそうだし。」

 

「それでできるのは友達ではなく面倒事だ。ろくなことにならん。」

 

「悟りを開いたような目だ~...それも経験則?」

 

「こちとら生まれたときから姉の付属品みたいな扱いだったからな。今更橋渡し前提で近寄られてへこむようなメンタルをしてるわけじゃないが、面倒なものは面倒だ。極力やりたくはない。」

 

「え~お姉さんのサイン欲しくて会話続けてたのに~...じゃあもう友達辞めるね~。」

 

「そ、そんなぁ...い、いやだ待ってくれ!姉のサインでどうだ!あられもない写真もつけよう!だから友達でいてくれっ…頼むぅ…!!!」

 

「ベコベコにへこんでるじゃん、冗談だよ冗談。っていうかお姉さんのことすぐ売るじゃん。」

 

「安いもんだ、姉の名誉の1つや2つくらい。喜んで捧げよう。」

 

「自己犠牲みたいに言ってるけど普通に他人のリソースだよねそれ。」

 

「ノブレスオブリージュというやつだ。高い地位には大いなる責任が伴う。」

 

「適当言ってるね~、責任の範疇に岩田を庇い立てするのは入ってないだろうに。」

 

「それが年長者というものだろう。まぁ...とはいえ恩義があることは無視できない。写真は勘弁してやろう。」

 

「名誉は守られた~...で?お姉さんに何を手伝ってもらったの?その髪のセットとか?」

 

「あぁ、それも1つだ。他にもスキンケアとかダイエット方法とか、私服選びのコツとかいろいろな。」

 

「人によっては喉から手が出るほど欲しそうな情報だね~。何なら私も知りたいかも。」

 

「ふむ、情報商材にして学校中に売りさばくのもアリかもしれんな...。」

 

「倫理観どうなってるの?」

 

「至極真っ当なものを備えているが?」

 

「にしては身内を売るのに躊躇が無さ過ぎるかな~。」

 

「ウジウジ迷ったり判断を全投げしてくる男はダメだと姉に教えられてな。即決即断を心がけている。」

 

「都合のいい様に解釈してるな~...っていうか、フフッ、確かに。」

 

「ん?何を笑っているんだ?」

 

「いや、なんか、痩せててウケるな~って...んふっ。」

 

「失礼が極まりすぎだな。痩せてるのが太ったならともかく、ダイエット成功で笑われるとは。」

 

「ごめんごめん、なんか今までの岩田からの変わり様が面白くて。」

 

「まぁ...今までだらしない体系だったのは認めるが。」

 

「すごいな~、そのダイエット方法を今度私にも教えてよ。」

 

「それは構わんが...必要か?」

 

「うわ…失礼、エッチ、変態。」

 

「どうしてそうなる。純粋な疑問をぶつけただけだろうが。」

 

「女の子のそういう話題には触れないのが正解なの。デリカシー無いな~。」

 

「とはいってもな...別段太ったわけでもないのだろう?だったらダイエットは必要ないのでは?」

 

「あ~全部言った~!!!言葉にしない様にしてたのに!」

 

「男が察しろムーブするのは女々しいから言いたいことは言葉にしろと姉に教えられてな。」

 

「姉の教えは今はいいの~!さいって~、本当に~。」

 

「ふぅむ...大方、中学の同級生の男子に言われたことを気にしているんだろうが、あれはお前の気を引きたいがための幼稚で陳腐でセンスのないイジりだ。無視してしまっても構わん。」

 

「うぐっ...べ、別に気にしてないし...。」

 

「気にしてる奴の言い方だろそれは。それに、これから食事するたびにそんなことを思い返していてはキリがないだろ。早々に忘れておけ。変にセーブして浮かべる愛想笑いより、笑顔で我慢せず好きなものを美味しそうに食べてる方が、お前にはお似合いだ。俺もそっちの方が好きだしな。」

 

「...は?何急に。口説いてるの?」

 

「友の幸せを願うことと口説くことがどうやったら同じに聞こえるんだ。随分な恋愛脳だな。」

 

「いや~、今のは完全に口説きに入ってたよ。彼女にしたいわけ?私のこと。」

 

「んなっ!!?かっかかかかかのかのか彼女ぉ!!?」

 

「うわ、テンパり過ぎ~。岩田は男として興味ないから落ち着きなよ~。」

 

「お、おう、そうか...ん?おい待てしれっと告白してないのにフラれた感じになってないか俺。」

 

「『感じ』じゃなくてちゃんとやっておく?ごめんなさい、岩田とは付き合えないです。」

 

「勝手に黒星をつけるなぁ!!そもそもまだ戦ってないだろうが!?」

 

「ごめん、無理。まず戦いたくない。」

 

「ちょっ...そ、そこ、そこまで言わなくても...よくない...か?」

 

「嘘嘘~冗談だよ。そんなヘコまないで。」

 

「お前の冗談は自尊心に著しいダメージを与えてくるから、少しは自重してほしいんだがなぁ...。」

 

「へへぇ~、ごめんごめん。」

 

「反省の意が少しも見受けられんぞ...まったく、困ったものだ。」

 

「ふふっ.........ありがとね、岩田。」

 

「...ふん、何のことだか。」

 

 

 


 

 

 

「話は逸れたが、いい加減誰かに声をかけようと思う。」

 

「クラスメイトの8割方が窓の外を見てる光景を前によく言えたね~。」

 

「俺が眩過ぎたのだろう。高校デビューさまさまだな。」

 

「恐ろしい位にポジティブだ~。」

 

「しかし…さっきも言った通りなんだがな、なんて言って声をかければいいか全く分からんのだ。」

 

「ふ〜ん、入学式緊張するね〜とかそんな感じでいいと思うけどね〜。」

 

「馬鹿言え、入学式より緊張しているわ。人と会話する時なんぞ。」

 

「筋金入りだ〜。」

 

「そんな筋金入りの人見知りでも、やっぱり友達は欲しいし青春は謳歌したいわけだ。なまじ俺には時間がないしな。」

 

「身の丈に合わない高望みは身を滅ぼすよ〜。」

 

「充実した学校生活を望むことも許されんのか俺は…?ま、まぁそんなわけだが今までの経験上な、友達作りの進め方がさっぱり分からんのだ。」

 

「さっきも何話せば〜って言ってたもんね。」

 

「これというのも、問題は『そういう経験が無い・知らない』というところにあると俺は思っている。」

 

「まぁ〜知らなきゃ出来ないっていうのはそうだね。」

 

「逆説的に言えば、経験を得るあるいは知ることができれば、自ずと良い方に進むと思うんだ。」

 

「言わんとしていることは分かるよ〜。」

 

「というわけで諌山よ、今ここで友達を作ってみせてくれ。」

 

「ごめんやっぱ分かんないかも。」

 

「いやな?早い話、手本が欲しいと思ってな。手本があればそれを真似する、即ち正解を寄る辺にして行動ができるわけだ。その手本をお前に頼みたい。進め方がわからなくても参考にできるものがあれば多少は何とかなる。普通に話せばよくな〜いきゅるる〜ん?とか言ってるお前だったらそう苦労せずに友達も作れるのだろう?」

 

「ちょっと悪意のある誇張がされてる…。」

 

「悪意はあるが誇張はしていないぞ。」

 

「だとしたらその耳は飾りだよ…っていうか、今?式終わってからでよくない?」

 

「思い立ったが吉日、何事も早い方がいいだろう。」

 

「思っても立ち上がれない岩田がそれ言うの?…まぁいいけどさ。」

 

「思っただけでも快挙だろ、俺の場合は。」

 

「ハードルひっく〜い。」

 

「適切な難易度調整というやつだ。御託はいいから早く行って手本を見せてくれ。」

 

「う~ん、そうは言っても...友達ってさ、なんか気づいたらできてるものじゃん?意識して作りに行ったことないから、どうしようかな~って。」

 

「ほう、気付けばぼっちになっていた俺への当てつけか?」

 

「ちがうよ~、岩田の当たり判定が無駄にデカいだけだよ~。」

 

「無駄に図体だけデカいウスノロって言ったか今ぁ!!?」

 

「言ってないけどムカついたから面と向かって今言ってあげようか~?」

 

「すいませんでした。」

 

「よろしい...とはいえ、どうしようかな~って言うのは実際本音なんだよね。なんか別のきっかけがあってその流れで話始めることが多いから、いざ自分から行くとなると誰に行こうかなってなる。」

 

「この教室に限っては誰に行っても同じだろ。俺の時は窓の方にそっぽ向いてた奴らがソワソワしだしているからな。非常に腹立たしいことに。」

 

「逆にこうなると...声かけづらい...ね。」

 

「そうか?ウェルカムの意志を全身で表してくれているんだ。あとは飛び込むだけだろう。」

 

「むぅ...そこまでわかってるなら岩田が自分で飛び込めばいいじゃん。」

 

「お前と違って受け止めてくれる奴がいないんだよ。強かに体を地面に打ち付ける羽目になる。」

 

「確かに...。」

 

「否定してくれてもいいんだがな...ほれ、誰でもいいから声をかけてこい。ここに30人近くのクラスメイトがおるじゃろ?好きなのを選べってやつだ。」

 

「えぇ~...もうさ、岩田が選んでよ。」

 

「ふむ、であれば...あそこで寝たフリをしながらスマホの画面で自身のSNSアカウントを表示している男はどうだ。陰気臭さと自己顕示欲が中途半端に垣間見えて見下しやすいだろ。」

 

「酷い言いぐさだね...いや確かに不自然にスマホを向けてきてるな~とは思ったけど。」

 

「あれもいいんじゃないか。おびただしい数のラノベを机に積み重ねてこっちを見ているあそこの女はどうだ。あの手のタイプは話をすることに注力するあまり話を聞くことをしない。こちらから話をする必要が無く勝手に話を進めてくれるから比較的楽な部類だぞ。」

 

「交友深めるのに楽してどうするのさ...。」

 

「あれなんかどうだ。暑くもないのに学ラン脱いでる上にワイシャツの第2ボタンまで外してるあの男。求められてもいないのに顕示してきているあたり相当自分の体に自信があるようだ。一度適当に褒めておけばその後も定期的に褒められにくるから関係維持が簡単だぞ?」

 

「もうちょっとまともな人を選んでくれない?」

 

「今進めた奴らがまともじゃないと間接的に言ってるようなものだが大丈夫か?」

 

「全部岩田のせいじゃん。最悪だ〜、岩田にはめられた〜。」

 

「人のせいにするな。ったく…お前が選べと言うから選んでやっていると言うのに、文句の多い奴だ。」

 

「だって…岩田の人を選ぶセンスと理由が終わりすぎてるから…。」

 

「効率や心理的優位性を重視した明確な理由だと思ったんだがな….何か問題でもあったか?」

 

「人間関係に効率とか心理的優位性とかの言葉は聞きたくなかったよ…て言うかそんなこと考えないよ普通。」

 

「えぇい!口答えの多い奴だな…だったら、さっきから話したそうにチラチラこっちを見てる前の席の奴はどうだ。見た感じマトモそうだし、お前も文句ないだろ。」

 

「え。」

 

「へ?…あ〜、ごめんね?うるさかったでしょ〜。岩田が。」

 

「なんで俺だけなんだ。お前も会話していただろう。」

 

「だって岩田だし。」

 

「まともな理由になってねぇ。」

 

「え、えーっ…と…。」

 

「っとっとぉ、こっちから声かけたのにほっぽり出して会話しちゃってごめんね?私は諌山真美っていうの、よろしくね〜。こっちは岩田、無視していいよ。」

 

「ごめん初対面の人にあんまり言いたくないけど本当に無視だけはしないでほしい。心が抉り取られるように痛くなるから。トラウマで。」

 

「う、うん…えと、あの…。」

 

「ほら〜、初対面の人に自虐ネタなんてするからドン引きしちゃってるじゃん。謝りなよ。」

 

「ネタ振ったのはお前だろうが。律儀に対応してやったのに何故批判されなければならんのだ俺が。」

 

「え〜っと…わ、私は綾紬芦花…って、いいます。」

 

「へ〜、1年間よろしくね芦花〜。」

 

「さっきはいきなり声かけて悪かった。おれは岩田健介。諌山とは小学校からずっと同じ学校の仲だ。気軽に健介と呼んでくれ。」

 

「うん...よろしくね。ま、真美...と、岩田君。」

 

「おかしいぞ諌山。ファーストネームと呼び捨てで指定したのに、苗字と敬称付きで呼ばれたぞ。しかもおまけみたいにとってつけて。これはいじめかもしれない。いじめ相談室に電話しなければ。」

 

「この場合、むしろいじめられてるのは芦花の方だと思うよ?あとイタ電すんのやめてね。」

 

「こうして心の傷を抱え込んでしまう児童が増えていくのか...日本の闇を垣間見てしまったようだ。」

 

「えぇっと...ご、ごめんなさい。初対面の異性をいきなり呼び捨てって言うのは...ちょっと...。」

 

「なるほど、別に恥ずかしがらなくてもいいんだがな...まぁ、俺はできる男だ。綾紬が名前で呼んでくれるようになるまでゆっくり親交を深めながら待つとしよう...。」

 

「身の毛もよだつような脅迫やめてね。」

 

「してないが!!?」

 

「岩田の言動がキモすぎて脅しみたいになってるもん。ごめんね~芦花、この人頭おかしいから。」

 

「あ、あはは...そう、だね。」

 

「そうだね!!?まさかの肯定!!?」

 

「ほら~、初対面の人から見てもアレな言動してるんだから...もっと謙虚に振舞わないと駄目だよ。」

 

「私は生きてる価値もないクソキモゴミムシです...。」

 

「卑屈になれとは言ってないじゃん、面倒くさいな~。」

 

「はは、死にてぇ。」

 

「...ふふっ、ふふふっ...二人って、仲いいんだね。」

 

「あぁ、なんてったって終生の友だからな。」

 

「その事実に不快感を催すから最も強い言葉で否定させてほしいかな~。」

 

「あははっ、やっぱり仲いいと思うよ。私は。」

 

「えぇ~心外なんだけどな~...。」

 

「目の前でそう言われるこっちの身にもなってくれないか...。そういえば話は変わるんだが、綾紬は俺らに何か用があったのか?」

 

「ふえ?そうなの?」

 

「他の奴よりもこちらを見る回数が異様に多かったからな。何か要件があるのかと思って指定したんだ。」

 

「...選ぶのが面倒になっただけじゃないの?」

 

「そうとも言えなくもないがな。半分そう思ったのは本当だ。で、実際どうなんだ?勘違いだったら申し訳ないが。」

 

「あぁ...えっと、用があるというか、気になったというか...。」

 

「え、岩田のくせにあってる。」

 

「くせには余計だろ。失礼だな。それで?気になった事というのは何だ?」

 

「えっと...私って、肌ケアとか体系維持とか、美容系のことに結構興味があって...。」

 

「へ~、でも確かに。よく見たら肌とかすっごいツヤツヤだ~。髪も綺麗~。」

 

「え!?そ、そうかな...。」

 

「既に聞いてるかもしれないが、俺の姉はモデルでな。それに年から年中付き合わされてる都合上、身なりを見る目に自信はある方なんだが。そんな俺から見てもかなり綺麗だぞ。」

 

「そ、そ、そうなん...だ...。」

 

「あぁ、肌には変な染みもニキビもないし、潤いや艶、ハリも十分。髪も枝毛やハネが無い綺麗なストレート。姉と比べても遜色ない位だ。」

 

「へぁ...う、あ...ありが、と...。」

 

「...そういうのセクハラになるから気を付けた方がいいよ?」

 

「人を褒めただけなのにお縄につかなきゃいけないこんな世の中じゃあ、俺生きていけないよ...。」

 

「ていうか、芦花のことはそれだけ褒めてるのに私には何か言うことないわけ~?」

 

「お前は中学からほとんど変わってないだろ。いつも通りかわいいだけだ。」

 

「うわっ、腹立つわ~なんか。」

 

「何でだよ、理不尽が過ぎる。...悪いな、話の腰を折ってしまった。」

 

「ううん、全然。気にしないで。」

 

「芦花はおしゃれが趣味なんだね~。すご~い。」

 

「いやそんな...えと、それでね?そういう情報ってやっぱり、モデルさんとかが詳しいからよく参考にしてるんだけど...その...。」

 

「...あぁ、なるほど。話が見えてきた。そこにいきなりモデルの弟だというやつが身なりの整え方を教えてもらったって話が聞こえてきて、気になってチラチラ視線をこちらに向けていたってわけか。」

 

「うん。その...私が参考にさせてもらってるモデルさんの中に岩田美空さんもいるから、憧れのモデルさんの名前って言うのもあって気になっちゃって...。」

 

「へ~、やっぱりすごい人気というか、有名なんだね。岩田のお姉さん。」

 

「みたいだな。今ようやく実感した。」

 

「それで、その...ええと、ごめんなさい。こういう風に近づかれるの、好きじゃないって...。」

 

「あー...あ?別に変な要求とかしないのであれば話題に挙げる分には構わんし、答えれることは答えるぞ。というか、今までのやり取りで綾紬に打算や下心が無いのは分かったからな。全然ウェルカムだぞ。」

 

「ほ、本当?良かった...。」

 

「別に岩田相手だったら配慮とか無くてもいいのに~。」

 

「よくねぇよ、何でお前が勝手に決めてんだ。」

 

「いや...つ、辛かったり、嫌だったら全然言ってくれていいからね?」

 

「構わん。友の為なら一肌も二肌も脱ぐことをためらう気はない。何が望みだ?私生活の様子か?男の好みか?スリーサイズか?」

 

「男が興味持ちそうなラインナップばっか挙げるじゃん。あとそれだと一肌脱がされてるのお姉さんの方だと思う。」

 

「あはは...教えてほしいのは、それこそさっき言ってた体を絞る方法とかかな?あとスリーサイズは後で教えて。必ず。」

 

「...ろ、芦花?」

 

「ん?どうしたの真美?」

 

「あ、いや...なんでもないです。」

 

「さて、スリーサイズはあとでチャットアプリかなんかで送り付けるとして...綾紬よ。お前は俗に言う姉のファンという認識であっているか?」

 

「うん...SNSとかツクヨミのチャンネルもフォローしてるし、美空さんが載ってる雑誌は全部買ってるし、イベントとかも行ってる。」

 

「お~、ガチのファンだね。」

 

「なるほど...であれば、俺の口から聞くより本人の口から聞けた方が嬉しいか。」

 

「それは勿論そうだけど...。」

 

「そうか。なら姉と話ができる場を俺がセッティングしてやろうか?望むのであれば今週末にでも。」

 

「.........え゛え゛え゛ぇ゛!!?」

 

「芦花から乙女らしからぬ声が...岩田、そんなことできるの?」

 

「100%とまでは言わないが、かなり高い確率でできると思うぞ。」

 

「え、や、あの、えぇ...っていうか、いいの?私ただの女子高生だよ?それが今をときめくモデルさんと話せるなんて...。」

 

「あぁ、問題ない...というより、むしろ俺から頼みたいというか...。」

 

「なんか訳ありっぽさそうだね~。」

 

「まぁな。ぶっちゃけて言うが...姉は整いすぎた顔立ち故か、友達らしい友達がいなくてな。本人もそれを結構気にしているんだ。」

 

「あ~...まぁ、岩田の立場でさえ変な奴が集まってくるんだから、本人はよりひどいだろうね~。」

 

「余計なお世話だとはわかっているが、解決できる状況にあるなら解決してやりたくてな。どうだ綾紬。姉の友達になってみる気はないか?」

 

「い、いや、でも...わ、私ファンだし、そういうのってよくない...と思う...。」

 

「インフルエンサーとそのファンがプライベートで関わり持ってるって、文章にするとまぁ問題になってるからね~。」

 

「あー、そこに関してはまぁ、俺の独断と偏見で大丈夫だと判断した。綾紬ならな、ファンであり友人という形をちゃんと作れるだろうと。」

 

「え、あ...そ、っか...。」

 

「あとな、俺からもガチで頼みたい...。休日に暇だからという理由でしょっちゅう連れまわされるんだ。それのせいで自分の時間がゴリゴリ減っていてな...それの身代わりになってほしい。」

 

「身代わりって言ったよこの人、今。」

 

「数回ならともかく、ここ数か月は毎週引っ張り出されてるんだ。友達ができたら多少なりともヘイトが分散するんじゃないかと思ってな。」

 

「ヘイトっていったよこの人、今。」

 

「隠さずに言うと相手にするのがくそ面倒くさいから綾紬に押し付けたいんだけどいい?」

 

「あもう全部言ったよこの人。」

 

「隠し事をしない素直な男なんでね。」

 

「...芦花~、岩田の中学時代の話なんだけどさ~。」

 

「いい男っていうのは秘密の1つや2つ抱えてるもんさ、ミステリアスってやつよ。分かる?そのイメージを崩さないためにも中学時代の話は封殺させてもらうぞ。」

 

「さっきと言ってること違うじゃん。」

 

「やかましい、不都合はもみ消すに限るんだよ。...それで?どうだ綾紬、頼まれてくれるか?」

 

「うー...ん...え、っと。」

 

「...綾紬の懸念はもっともだ。だが、俺はそれが全て正しいとは思ってない。ファンがどうとか世間体がどうとか、そんなこと気にしだしたらキリがないだろ。インフルエンサーは友達一人持つのも許されないのか?そんな訳あるか。大事なのは誠実さだ。その人自身をちゃんと見たいと、知りたいとおもうかどうかだ。お前にはそれができると俺は考えている。」

 

「...。」

 

「ま、まだ厳しいか?これ以上となると俺に差し出せるものは切腹か土下座しかないんだが...。」

 

「い、いや!それはいらない!大丈夫!受けるから、ちゃんと!」

 

「そうか...助かるよ、ありがとう綾紬。」

 

「何で頼む側が嫌がらせしてるわけ~?止めなよ~。」

 

「嫌がらせ!?誠心誠意頼んでいるだけなんだが!?」

 

「誠意の見せ方が幕末の侍じゃん...。」

 

「まぁ侍のように心に一本筋の通った真っ直ぐな男であることは自他ともに認めている所はあるからな。」

 

「岩田の言う『他』は幻覚だからただの自己陶酔だねそれ~。」

 

「素面でとんでもなく辛辣なことを言うなお前は。」

 

「岩田にだけの特別対応だよ~。」

 

「トゥンク...。」

 

「チョロくて助かる~。」

 

「チョロいの次元超えてるような...。そ、それでいいの?...岩田君は。」

 

「友から渡される特別...これに勝るものは無いからな...。」

 

「そ、そっか...彼、大丈夫なの?友達を盾にされたら理不尽な要求とか全部飲み込みそうだけど...。」

 

「いつもあんな感じだから大丈夫だよ~。」

 

「それは大丈夫とは言わないんじゃ...。」

 

「え~、でも幸せそうだよ?」

 

「表情はそうだけど実状は結構幸せとは程遠いと思うんだけど...。」

 

「それに気付けるような頭は岩田には無いよ~。」

 

「す、すごい辛辣...。」

 

「特別...特別かぁ...いいね、スペシャル。ふ、ふへへ...ふへへへへ...。」

 

 

 


 

 

 

「さて、はれて諌山の特別になれたわけだが。」

 

「言葉を選ばないと息の根が止まることになるよ~?」

 

「今まで幾度となく殺害予告は受けてきたが、ここまで雰囲気ゆるふわなものは初めてだな。」

 

「私も人に向かってしたのは初めてだよ〜…。」

 

「殺害予告って、普通はするも受けるも経験がないものだと思うんだけど...。」

 

「人生経験の差というものだ...さて、これによって俺は諌山の初めてにもなれたわけだが。」

 

「待って真美、本当に落ち着いて。入学式の日から暴力沙汰は本当にヤバいから。」

 

「放して芦花っ...私はこの男を亡き者にしなきゃいけないっ!!!たとえ犯罪者という誹りを受けることになるとしてもっ!!!」

 

「なぁに恥ずかしがることはないぞ諌山。俺にとっても諌山は特別で初めてだからな。」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

 

「岩田君はちょっと無敵の人過ぎるかなっ!!?状況見てほしいんだけど!!?」

 

「ふむ、照れ隠しだなこれは。」

 

「どこを見て言ってるの!!?」

 

「まぁ落ち着け諌山、駅前に新しくオープンした高そうなスイーツ店で奢ってやるから。」

 

「...岩田を処分した後に財布の中身勝手に持っていくから別にいい。」

 

「まるで山賊だな...しかもちょっと迷っただろ。」

 

「岩田うるさい。口臭い。歯並び悪い。歯黄色い。舌白い。」

 

「生涯でもう二度と口を開かないですすみません...。」

 

「悪口の火力が高い...ま、真美ー。そろそろ許してあげてー。」

 

「んもぅ...しょうがないな~。岩田、口開けていいよ。」

 

「ははぁっ!ありがたき幸せ!」

 

「くるしゅうない。それで~?岩田は何を話そうとしてたの~?」

 

「あぁそれか。まぁ、これで綾紬と無事に友達になれたわけだが。」

 

「...今ちょっとだけ後悔してるけどね。」

 

「ならそれ以上の幸せを俺が届ければいいわけだ。」

 

「どうしよう...頭が痛くなってきた。」

 

「慢性的にならないことを祈るばかりだね~。」

 

「友達を作るという目的を果たせはしたが、正直俺はまだ満足していないわけだ。」

 

「芦花じゃ足りないって言うの~?」

 

「いやそんなわけないだろ!綾紬みたいに綺麗で優しくて思いやりのあるような人と友達になれt」

 

「わかったわかったわかったから!話を先に進めて!真美も余計なこと言わないで!」

 

「へへへ~、ごめんなさ~い。」

 

「あと2時間は続けれたがまぁいい...綾紬と友達になれたのは勿論嬉しいが、俺はもっと友達が欲しい。」

 

「身の丈知ったほうが良いと思うけどね~。」

 

「これでも高身長な自覚はあるんでね。丈を考えればもっと増やせるだろ。せめてあと1人は式の前に増やしたい。」

 

「式の前って…あと5分もしないうちに先生来ると思うけど。」

 

「なぁに、5分もあれば充分だ。」

 

「どこからその自信が湧いてくるのかな〜…というか、次は自分でやりなよ〜?」

 

「無論そうさせてもらうぞ。というわけで、綾紬。」

 

「…へ!?なに!?」

 

「何をそんなに身構えているんだ…?まぁいい。次に誰に声をかけたらいいか、お前が決めてくれ。」

 

「わ、私が決めるの…?なんで?」

 

「どうせここのクラスの全員と友達になる予定だから、声をかける順番に関してはどうでもいい。それならば、折角だし仲介も兼ねてやろうかなと思ってな。」

 

「仲介?」

 

「俺が引っ張ってくれば綾紬からわざわざ声をかけに行く手間が省けるだろう?」

 

「それはまぁそうだけど〜…岩田にそんなことできるの〜?」

 

「見くびるなよ?俺を誰だと思っている。」

 

「友達0人で義務教育終えた人。」

 

「えっと…け、結構…変な人…かな。」

 

「罵倒が強すぎて普通に泣きそう。しかも綾紬まで。」

 

「泣かないでよ〜、事実じゃん。」

 

「冗談だよって言ってほしかった…俺は。」

 

「無茶言わないでよ〜。」

 

「無茶ではないだろ!?」

 

「…岩田君って、本当にその…友達いなかったの?」

 

「どうした綾紬、俺にいきなり引導を渡しに来るなんて。お陰で今にもショックで意識が飛びそうだぞ。」

 

「ご、ごめんなさい!そのっ、ただ純粋に疑問に思っただけで!」

 

「疑問〜?妥当じゃない普通に?」

 

「妥当であってたまるか。」

 

「いや…普通に側から見ててフランクだなって思ったから…あんまり友達ができないってイメージが想像できなくて。受け答えとかもハッキリしてるしレスポンスも早いのに、なんでかなーって。」

 

「綾紬…お前と俺は親友だ。魂で繋がっているソウルメイトだ。最高の友人だ。」

 

「舞い上がりすぎ〜。そうやって1人で勝手に盛り上がるから周りが引いていくのなんで分かんないかな〜。」

 

「そらお前!舞い上がるだろ!友達に褒められたんだから!明日は赤飯だな!」

 

「芦花、分かった?こういうところ。」

 

「あ、あはは…うん、身に染みて。」

 

「いやしかし確かに…何故俺には友達がいなかったんだ?綾紬に言われてより疑問が深まったぞ。」

 

「ここまで言われてなんで分かんないかな〜…。」

 

「まるで理解できん…もはや陰謀なのでは?文部科学省の。」

 

「か、考えが飛躍しすぎている…。」

 

「謀るメリットが1ミリも無いのにね〜。」

 

「というかまず勉強以前に友達の作り方を教えるべきじゃないのか?教科書に載せておいて然るべきだろ。国のトップがそんなんだからこの国からイジメは無くならんのだ。むしろ助長していると言っても過言ではない。」

 

「陰謀論者ってこういう風にできるんだね〜、芦花。」

 

「別に知りたくはなかったかな…。」

 

「まぁ文部科学省には後で10000字程度の抗議文をしたためた後に送りつけるとして…どうだ、綾紬。クラスの中で誰か気になる奴はいるか?」

 

「えぇっ…と、そうねぇ…あっ。」

 

「お〜?誰かいた〜?」

 

「うん、いた…気になる人。」

 

「ほう、どいつだ?」

 

「えっと…ほら、あそこの。目元にホクロあって、髪をお団子にしてる子。」

 

「う〜んと…あ〜、あの子か〜。」

 

「諌山の知り合いか?」

 

「違うよ〜。ただ私たちの会話を聞いても特に反応らしい反応してなかったから、なんか印象残っちゃって〜。」

 

「き、気難しい子なのかな…もしかして。」

 

「いや、気難しいというか気にしてないというか…あれ、多分そもそも聞こえてないんじゃないか?」

 

「そ、そうなの?」

 

「あれメイクで誤魔化してるが、結構クマが酷いぞ?目に覇気もないし、どこかダルそうにしている。疲労の色が濃すぎるな。まさしく目を開けたまま気絶している感じだ。」

 

「…あっ、ほんとだ。ファンデとコンシーラで上手く消せてるけど、確かにクマある。」

 

「え?2人ともなんで分かるのそんなの。」

 

「姉。」

 

「趣味。」

 

「わ〜、一言で解決〜。」

 

「ふむ…あいつも入学式で居眠りするのは本望ではないだろう。眠気覚ましにもなるだろうし…どれ、あいつに声をかけることにするか。」

 

「あ、露骨に他のクラスメイト達がホッとした。」

 

「ソノツギハオマエラダゾ…?」

 

「はいはい、脅さない脅さない〜。」

 

「あっ、ちょ…い、いいの?本当に私が決めた子で…。」

 

「いいも何もこっちから聞いたんだ、気にするな。それじゃあ行ってくる。」

 

「逝ってら〜。」

 

「なんか字が違う気がするが…まぁいいか。」

 

「…行っちゃった。大丈夫かな…岩田君。」

 

「どうだろうね〜、何せ初めてだし。なんなら連れてくることすらできない可能性だってあるよ。」

 

「…ごめん岩田君。普通に否定できないかも…。」

 

「しなくていいのに〜。そうだ、どうせなら賭けよう。ジュース一本。」

 

「両方連れて来れないに賭けることになるから、賭けとして成立しないんじゃ…。」

 

「確かに〜。…あそうだ、芦花〜。」

 

「なに?どうしたの?」

 

「あの子を選んだのになんか理由ってあったりするの?」

 

「…え゛。」

 

「おぉ…また乙女らしからぬ音が芦花の口から…。」

 

「な、な、なんでそんな…ことを???」

 

「いや、普通に意図なく話題にあげただけなんだけど…その反応は何かあるってこと〜?」

 

「うっ…ぬっ………えと、わ、笑わない?」

 

「笑わない笑わな〜い。」

 

「あ、あの…凄く…綺麗だったから…。」

 

「…へぇ〜〜〜〜〜〜。」

 

「笑わないって言った!!!笑わないって言った!!!」

 

「笑ってないよ〜、ニヤニヤしてるだけ。」

 

「………っ!!!………っ!!!」

 

「ふふっ、プリプリ怒っちゃって。可愛いな〜、芦花は。」

 

「…真美は可愛くない。」

 

「え〜、私可愛くないのか〜。残念〜。」

 

「………嘘、可愛い。」

 

「なんだコイツくっっっそ可愛いな。」

 

「へ?」

 

「あごめん、なんでもないよ〜。…それにしても綺麗か〜。言われてみれば確かに。」

 

「だ、だよね!そうだよね!」

 

「うん。なんか〜、カッコいい系の美人みたいな?芦花とは違うタイプの美人さんって感じ。」

 

「そう。クール系…マニッシュ系、かな?でも可愛いもイケそう。」

 

「だね〜。何着ても似合いそ〜。」

 

「そうだね…。色合いだけ気をつければモードもストリートもガーリーも…。スカートでもパンツでも両方似合う。ていうか似合わない服装が無いわ。恐らくこの世界には。」

 

「…ろ、芦花?」

 

「あの子に似合わない服が自動的に無くなっていってる。素体が良すぎるあまりに。着飾るっていうか服があの子に飾ってもらってるわね、もはや。」

 

「ろ、芦花〜。その辺で…。」

 

「ていうか何?あの素体のレベルは。高すぎて国宝かと思うくらいレベルが高いんだけど。まずもって顔が整いすぎてる。目鼻立ちがクッキリしててフェイスラインも綺麗。目元なんか涼しげ過ぎてもはや軽井沢よあれ。ここまでくるとアジアンビューティーってあの子の為にある言葉なんじゃないかって思えてk」

 

「本人の前で褒めるのは良いことだが程々にしといてやれ。過剰すぎて気まずくなってるぞ。」

 

「き゛ゅ゛に゛ゃ゛あ゛!!?!?!?!?」

 

「とんでもなく愉快な奇声が出てきたな。」

 

「それこそクール系かと思ってだけど結構面白い系かもね〜芦花は。てか戻ってきたんだ岩田。」

 

「あぁ、丁度さっきな。」

 

「へ〜、1人で?」

 

「本人いるって言っただろ今。お前には見えてないのか?隣にいるこの子が。」

 

「岩田が連れてこれたって事実に驚愕して視力が無くなったのかも〜。」

 

「好き放題言ってくれるっ…!」

 

「あ、あの〜…。」

 

「ん?あぁ、悪いな。自己紹介もしないまま連れてきてしまって。俺は岩田健介。健介と呼んでくれ。」

 

「あ、うん、岩田さんね。」

 

「やはりおかしいぞ真美。誰もファーストネームで呼んでくれない。」

 

「おかしいのは岩田の距離感だよ。私は諌山真美っていうの〜、よろしくね〜。」

 

「諌山さん…か。よろしくね。」

 

「あもう真美でいいよ〜全然。」

 

「え、あ…じゃあ、真美。」

 

「うん、よろしい。」

 

「俺は全くよろしくないんだが???」

 

「んでね〜、この子は綾紬芦花。綺麗でしょ〜?」

 

「綾紬さんね。…うん、凄く綺麗。」

 

「ん゛み゛ぃ゛!!!」

 

「おぉ、茹蛸みたいに真っ赤になった。」

 

「奇声も止まらないね〜。」

 

「あ、あの、えと…あ、綾紬ぃ…芦花…です。あえっと!ご、ごめんなさい!なんか…へ、変なこと言っちゃって…。」

 

「あぁいや全然!それは…大丈夫。私、嬉しかったから。」

 

「えぇ!?」

 

「私さ、地元が京都なの。そこから1人で上京してきたから、知り合いとか全然いなくて。だ、だから、友達になりたいって思ってくれたの、結構嬉しくて…。」

 

「そ、そんな……ん?友達になりたい?」

 

「え、え?岩田さんからは、お前と友達になりたいってやつがいるからちょっと時間くれないかって言われて来たんだけど…。」

 

「い、岩田君!?」

 

「気になるってことは友達になりたいってことと同義だろ?それに用件も聞かせずに呼び出すのは気が引けてな。」

 

「い、いやっ…そう、だけどさぁ!」

 

「なんだ?友達にはなりたくなかったのか?」

 

「それはないっ…けどぉ!」

 

「お前は友達になりたいで相手はその気持ちが嬉しいって言ってるんだぞ?勝ち確じゃないか、何が不満なんだ?俺なんか友達なろうって言っても罵詈雑言か冷たい態度以外返ってきたことないんだぞ。」

 

「返事があるだけまだ良いんじゃな〜い?」

 

「無視されたら返事来るまで粘着するぞ俺は。んまぁ、所謂win-winというやつだ。お互いがOK出してるようなもんだし、フワッと流れないうちにノっておけ。」

 

「…それも、そうだね。よし、改めて…えっとぉ…。」

 

「…あっ!?ごめんまだ名前すら言ってなかった!私、酒寄彩葉。よろしくね、綾紬さん。」

 

「酒寄…彩葉…。うん、よろしく。酒寄さん。」

 

「うぉっ、すご。」

 

「えっ!?なに!?」

 

「あぁごめん。握手した手が凄いスベスベだったからつい…ハンドクリーム何使ってるの?」

 

「いや、普通に市販品のやつで…これ。」

 

「えっ、嘘!?私と同じやつ…てことは普段のケアの仕方で違いが出てるのか…?」

 

「ふ、普段も特別なケアとかはしてないけど…。」

 

「マジで!?じゃあもう生まれつきってことか…。いいなぁ…私は最近手の荒れ方がひどくてひどくて…。」

 

「はいは〜い。盛り上がりそうなとこ悪いけどそろそろ時間だよ。彩葉は席戻った方が良いかもね〜。」

 

「あっ本当だ。ありがとう、真美。」

 

「岩田も突っ立ってないで座った方が…って、何その顔。」

 

「いや、さっき友達同士が仲良くしてると嬉しくなるみたいな話してただろ?今まさにその状況なんだが、嬉しさよりも羨ましさの方が勝っていてな。端的に言うとジェラってる。」

 

「え〜きも〜い。」

 

「ズルいと羨ましいが同居してる。酒寄と仲良さそうに話してる綾紬にズルいと思ってるし、綾紬と楽しそうに話してる酒寄が羨ましく感じてる。なんだよ、俺も混ぜろよ。俺とも仲良くしろよ。」

 

「待って本当に気持ち悪いかも。」

 

「口元抑えるの止めろ。本気度が増すだろ。」

 

「え、え〜と…い、岩田君と話す機会はこの後も沢山あるから!」

 

「そ、そうそう!全然明日とかもあるから!ね!?」

 

「嫌だ、足りない。今日がいい。」

 

「うわキッツ。」

 

「諌山、オブラートって知ってるか?」

 

「岩田相手に包む必要性が見出せない。」

 

「礼節があるだろ。親しき仲にもってやつが。」

 

「別に親しくない。」

 

「………ぐっ!!!ふっ……うぐぅっ!!!」

 

「ま、真美!その辺りで勘弁してあげて!」

 

「そ、そうだよ!岩田さんが目も当てられないような泣き方しちゃってるから!」

 

「…はぁ、しょうがないな〜。2人に免じて許してあげる〜。」

 

「あーもう駄目だ、立ち上がれない。これはもう入学式終わった後に駅前のスイーツ店でのお茶に付き合ってくれないとこの傷は癒えないわ。健介君かわいそー、あーあー、かわいそーだなー。」

 

「え〜…んまぁ、いいけどさ〜。さっき奢ってもらうって話してたし。」

 

「はい決まりー、もう変更は受け付けませーん。キャンセル不可でーす、絶対逃しませーん。」

 

「今日だけで岩田の財布の中身空っぽにしてやる…。」

 

「おうかかってこいよマジで。カツアゲ対策に財布の中身結構入れてきてんだよこっちは。満腹になるまで貢ぎ倒してやんよ。」

 

「いちいち反応しづらい闇の部分出してこないでよ〜…。」

 

「これもまた愛すべき俺の一部だ、受け止めたまえ…。っていうわけだから、2人も一緒にどうだ?」

 

「「…え?」」

 

「えって…いや、だから。入学式の後に暇だったらお茶しないかと誘っているんだが…。諌山、俺の誘い方なんか変だったか。」

 

「まぁ存在から既におかしいみたいなとこあるし…。」

 

「根源レベルで疑問を持たれることってあっていいのか?」

 

「…あ!ごめんごめん!ちょっと突然だったから驚いちゃって…。うん、いいよ。私も行きたい。」

 

「おぉそうか。じゃあ綾紬は参加で…酒寄はどうする?何か予定が入っているなら断腸の思いで欠席を許可するが…。」

 

「許可するって…岩田はどの立場で言ってるんだか…。」

 

「あ、あぁ…えっ、とぉ…。」

 

「…ふむ、まぁ1人暮らしだとバイトとかで忙しかったりするか。大袈裟に言ってはいたが、予定があるなら全然断ってくれて構わんぞ?」

 

「あぁいや、バイトは今日無いし…他の予定も無いんだけど…。」

 

「ん…?あ、そうか。1人暮らしだと何かと入り用になるからな。そこを気にしているのであれば心配するな。お金は全部俺持ちだ。どうせ諌山に奢るわけだし、綾紬と酒寄の分が増えようが大して変わらん。」

 

「あ、私の分も!?」

 

「そうだが?俺の甲斐性を低く見積もってもらっては困る。」

 

「こういう時の岩田はあんまり引かないから、素直に奢られときな〜。別に下心とか打算とかが無いのは、私が保証しとくよ〜?」

 

「うぅ…で、でも…やっぱり、良くないかなって…。」

 

「…それにな、酒寄。この場合は合法的にお友達料金を払えるから、むしろ俺自身が払わせてほしいと思っているんだ。ふへへ…。」

 

「良くない方向に全力で舵を切っちゃったよ岩田君が!?」

 

「重いよ岩田〜。悪癖出ちゃってるよ〜。」

 

「おっと、失礼。…どうしても気になるって言うなら、利子なし返済期限無しで貸し付けておく。余裕ができた時に返してくれればそれで構わん。」

 

「う…うぐ………。」

 

「ぶっちゃけるが、多少の散財に目を瞑ってでも酒寄や綾紬とは親交を深める価値があると俺は思っている。俺の懐を気にするくらいならいっそこの思いを汲んではくれないか?」

 

「………はぁ…ふふっ、その言い方、なんか狡くない?」

 

「む?俺は正直に自分の考えを示しただけなんだがな…。」

 

「しかも無自覚…真美、岩田さんっていつもこんな感じなの?」

 

「こんな感じではあるけど、それの12倍くらいマイナスポイントあるから気をつけな〜。」

 

「えぇ…。」

 

「なんの話かは分からんし引き留めた側が言うのもなんだが、そろそろ席に戻っておけ。ほら、先生も来たみたいだしな。」

 

「あ、うん。じゃあまた後で。」

 

「おう。」

 

「は〜い。」

 

「うん、またね。」

 

「…良かったね岩田、友達増やすの大成功じゃん。」

 

「ふん、俺が本気を出せばこの程度のこと造作もない。やはり小中学の時は文部科学省の陰謀によってだなぁ…。」

 

「はいはいそ〜ですね。ほら、先生が話し始めるから。」

 

「ならお前が前を向け。」

 

「はいは〜い。」

 

「ったく…。」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

『───ありがとうございました。続きまして─。』

 

 

 

「ふぁ…あふぅ。」

 

「ちょっと真美。まだ入学式の途中だよ?もう少しあくび抑えなよ…。」

 

「えへへ〜、ごめんごめん。」

 

「(綾紬さんと真美、なんか話してるな…楽しそう…。…あれ?岩田さんがいない…?)」

 

「んもぅ…っていうか、岩田君は?さっき先生と一緒に何処かに行ったけど…。」

 

「あ〜、岩田なら多分…あっ、丁度じゃん。前にいるよ。」

 

「…ん?前って…。」

 

 

 

『新入生代表挨拶です。』

 

『本年度首席合格、新入生代表───』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『岩田 健介。』

 

 

 

 

 

 

「「!!?!!?!!?!!?」」

 

「(岩田って勉強だけはできるんだよね〜…。)」

 

 

 

 

 

 




岩田 健介
・勉強はできるが頭は悪い、顔は良いが性格がキモい、優しさはあるがとても空気が読めない、5のプラスと10のマイナスを常に持ち合わせている男。
・1年後に控えた親の転勤によるマレーシアへの引っ越しを前に、流石に友達0人は嫌だと奮起して高校デビューした男。なんとか友達を作ろうと躍起になっている。
・姉と仲は良いが相性はすこぶる悪い。
・3人とはいつメンと言っても差し支えないくらいに仲良くしていたが、マレーシアへの引っ越しを機に若干疎遠になった。よって超かぐや姫の原作に影響はない。
・マレーシアに行ってからは18kg痩せた。友達はできなかった。

諌山 真美
・岩田とは小中が同じ。
・岩田のことは岩田と呼んでいる。名前では呼ばない。
・小学校の時に男子からいじめられていたのを岩田に庇われてから、岩田に対してはそれなりの信頼を置いている。でも性格や言動がキモすぎたから恋愛的なものには発展しなかったし、なんならちゃんと友人になったのも高校からになった。なお岩田は庇ったうんぬんの事を1ミリも覚えていない。

綾紬 芦花
・岩田の姉の美空とはこの後も10年近くは仲良くした。
・岩田のことは岩田君と呼んでおり、その後は岩田と呼ぶようになる。名前では呼ばない。
・1か月後には彩葉と名前で呼び合う事に成功した。岩田からは怒涛の抗議が飛んできたが頑なに名前では呼ばなかった。
・あけすけに自分の思った事を口に出す岩田の事を少しだけ尊敬している。

酒寄 彩葉
・原作よりも体調面も精神面も良好になっている。でも岩田がマレーシアに行ってからは原作と同じ感じに戻った。
・岩田のことは岩田さんと呼んでおり、その後は岩田と呼ぶようになる。名前では呼ばない。
・首席入学が自分じゃなかったことが若干気になっており、式の中の答え合わせで驚愕した。お前その感じで私より頭いいのおかしいだろ。
・結局岩田が転校するまでテストの順位はずっと学年2位 or 同率1位だった。勝ち逃げされたのを今でも根に持っている。

岩田 美空
・既に独り立ちできる稼ぎはあった為、マレーシアには行かなかった。
・相性故にストレスが溜まることも承知で弟に同居を提案したが、姉の活動の邪魔は絶対にしたくないと断られた。

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