救護騎士団副団長ですが、幼馴染に性教育ビデオの教材にされた挙句、責任を取ることになりました。 作:オーバジン
チュン!チュン!
「ジン、起きてください、朝ですよ。」
「……おはようミネ……起きようにも起きれないんだよ……。」
朝起きたらミネの声で起こされ、目を開け横を見るとめちゃめちゃ近い距離で俺を覗き込んできていた。うおっ、顔面強っ見惚れちゃうね。
「激しすぎんだろ……容赦なく攻めてきやがって……」
「その話は服を着てからにしましょう、このままでは風邪をひいてしまいます。それともこのままお互いの体温を感じたままも一睡と行きますか?」
「普段なら二度寝は身体に悪いっていうのに今日は言わないんだな。」
「……今日はもう少し、あなたを感じていたいんです。」
俺とミネはお互い下着も何も着用していない状態で同じ布団で抱き合うように寝っ転がっている。それとその顔を少し赤くして目をそらしている表情は卑怯だと思うんだよね、うん。
「あー……ならこのままでいいんだが、この後セイア……様の所に面倒見に…いや看病しに行かんといかんだろ。」
「それもそうでしたね……ですがまだ時間がありますよね?」
「まぁそうだな。」
そのままジンジンと痛む重い腰をさらに酷使して、身体を持ち上げ近くに丁寧に畳まれていた自分の下着に手を伸ばすが、この後セイアに会うことを思い出す。
「あー、人と会うし風呂に入った方が良いだろうな。」
「……その必要はありません。」
「ふむ……理由は?」
いくら相手がセイアだと言え、さすがに気にするべきだと俺は思うのだが?
「マーキングの意です。」
「マーキングねぇ、必要かねぇ……?」
俺はマーキングするほどの人間でもないと思うのだが、俺を狙う奴なんて飛んだ変わり者だろう。
「私が変わり者だと言いたいのですか?」
「いや、そういう訳じゃ……というかシンプルに心を読まないでもらえるか?」
「今まで、ずっと一緒に居たのでジンの考えていることなんてお見通しですよ。」
「さいですか……」
まぁ、俺も時々ミネの考えてることが分かるときがあるしお互い様か……でもどうしても分からないことがあるな。
「なぁミネ、なんでこんなことをしたんだ?」
「……」
風呂に入ることを諦め、パンツを履きながら俺と同様に下着を着ようとしているミネにそう質問する。すると口を閉じてしまう。
「俺もミネと同じように、顔見りゃ分かるんだよ。嘘なんだろ?あの性教育ビデオとかいうやつ。」
「あの時の俺は、焦り過ぎて正常な判断ができていなかったからな、今思い返すと全くの嘘だって気づいたんだよ。」
「……そうですよね、ジンには分かりますよね。」
ミネが俺のことが分かるように、俺もミネのことなら分かる。あの表情とか声色からしてあの会話のことは全部嘘だということが分かった。この時点で俺はパンツ一丁、ミネはブラとパンツのみ。
ベッドの上、薄着で隣同士で座っている。
「不安になってしまったんです。」
「不安?」
「昨日、見たんです。サクラコさんとあなたが話している所を。」
「俺とサクラコさんの会話?……あぁ、ミネが救護しに行ってる時のか……何で知ってるんだ?」
「……早めに救護が終わったので……扉から覗いていました。」
「別に会話に入ってきても良かったのに。」
覗いてたのか、全く気付かなかったぞ?あー、まさか会話が楽しかったから気づかなかったのか?いやそれでも俺がミネが居ることに気づかないことは無いと思うんだが……ミネが気配を消してない限りは。
「それで?それが俺を襲うことにどうつながるんだ?」
「……サクラコさんがあなたと話している時の表情を見たのです、あの時のサクラコさんの表情、あれは雌の顔をしていました。」
「……雌の顔て……」
「それによって危機感を覚えたのです。」
「危機感?」
「貴方が、他の誰かの……いえ、サクラコさんのものになってしまうのではないかと……」
「…………???」
うん?ホンマにちょっと待ってくれ何を言ってるのか、ちょっと分からない。
「貴方は前に言いましたよね、今のところは好きな人は居ないが、告白されれば試しに付き合って相性を確かめると……。」
「確かにそんなことも言った気がするな……だがそれと何の関係が?」
「……私は……貴方が毎朝私に向けてくれるようなあの優しい表情を、私以外に向けるんじゃないかって……それが嫌で……」
「…………」
ミネの声が震えている、表情は俯いているため見えてはいないが、なんとなく悲しそうな、寂しそうな表情をしているんだと分かった。
「……この際はっきり言います、私はあなたのことが……小さい頃から、今でも……大好きなんです……」
「幼馴染としてではなく、異性として……」
「毎朝、一緒に起きる時も、ご飯を食べている時も、何気ない話をしている時も、寝る前のおやすみを交わすその瞬間が、全部愛おしく感じて、それを私以外の誰かに奪われてしまうのが嫌で……」
「だから……あなたを誰にも奪わせないために……」
「それで俺を襲ったって訳か……」
「はい……」
二人しかいない寝室に静かな時間が流れる。
「……最低、ですよね。自分の欲望のためにあなたを襲って、それも有無を言わさず無理やり……」
「こんな欲望に流されてしまう私は……貴方と一緒に居るのは相応しくな……むぐっ!?」
ドサッ!
ミネがその言葉を言おうとしたときジンがミネの口を自分の口で塞ぎベッドに押し倒す。
「んー!?んー!?」
「……」
あまりの突然のことにミネは困惑して動けずにいる。
「「プハッ!」」
そうして10秒ほどそのままでいると、ジンが口を離す。
「良かった……」
「良かった?」
目の前のジンがそう言って至近距離でミネを見つめる。
「ミネも、俺と同じ気持ちでさ。」
「同じ気持ち……っ!?」
俺のその言葉にミネもその言葉の意図に気付いたようだ。
「俺も、ミネのことが好きだよ。昔から今も。」
「二人で一緒に居る時も、いつもミネのことを考えてた。」
俺は押し倒しているミネに向かってそう言う、心からの本心を。今まで秘めていた心の声を。
「ミネ、少し早いかもしれないが……俺と結婚してくれませんか?」
「……はいっ!」
俺がそう言うと、ミネは少し顔を赤くして涙を流しながら返事をしてくれた。
その日俺たちは夫婦となった。
「……それでさミネ。」
「なんですか……っ!?」
ミネの視線が俺の下半身に移る。
そこには俺の息子が元気いっぱいに起っきしていた。
「今度はさ……お互い愛しあいながらやろうぜ?」
「……時間にまだ余裕はあるので……やりましょうか……ゴムは……」
「すまんミネ……今は買いに行ってる時間は無いぞ?」
「……責任は取ってくれるんですよね?」
「もちろん、ミネに誓って。」
「もう……んっ♡」
そうして俺は優しくミネに口づけをするのだった。
「という訳でセイア様、俺の名字は『相沢』から『蒼森』に変わりましたので。」
「は?……ちょっと待ってくれたまえ。」
「はい?」
「つまりどういうことだい?」
「だから言ったじゃないですか、俺とミネは書類上は夫婦となったので名字を統一しただけです。」
「あ、その時に撮った性教育ビデオもあるけど見ます?」
「……これが脳破壊というものか……。」
なんか、爆速で結婚したんですが……。