掲示板にいたヤチヨを偽物だと思って煽り倒したら本物にリア凸されるバカ 作:きゅうりにや
今回のテーマは「ヤチヨが文化祭にやってきた!」になります。前回の続きです。
「いらっしゃい!いらっしゃ〜い!今なら揚げたてだよ〜!美味しい美味しいチュロス!食べ歩きしやすい一口サイズだよ〜!チーズ揚げもあるよー!ぜひ買ってて〜!」
文化祭2日目、昨日に引き続きフライヤー前で調理担当として働いていた。去年も参加すれば良かったなってくらいには楽しい。
あの後、紆余曲折はあんまり無くて無事文化祭当日を迎えた。
…そう、紆余曲折は無かったのである。クラスメイトが優しい良い子多すぎるってか全員良い子。翌日のHRで担任から事情の説明して、委員長からも協力をお願いしていた。若者だし反発があるかと思ったが、学校への不満はあったものの、メニュー等の決め直し自体には非常に協力的だった。なんなら、委員長を気遣う言葉も飛んでた。メニュー決めはもらった授業時間の最初の10分程度で終わった。残りの時間で準備と当日それぞれの役割分担まで終わったし、なんなら試食する日時とメーカーの候補とか機材レンタル先まで決まってた。その翌日には企画書の提出完了。結果としてあの日に委員長と話し合った内容は8割いらなかった。爆速で進んだからね。
つまり俺はいてもいなくても同じだったのである。まぁ、いつも通りですね。なんなら無駄に委員長に恩を売った形になった気がして若干気まずかった。
「天野!ドリンク適当に買ってあるから好きなの取ってくれ!フライヤーの前ずっと居るとあっついだろ!」
「後でお昼ご飯も買ってくるからね〜」
「サンキュー!あとで払うわ!」
「いいっていいって。昨日だってほとんどずっと調理入ってくれてるんだから。これくらい奢らせてよ」
「やりたくてやってるから別に…でもそう言ってくれるならお言葉に甘えていただきやす!」
まぁ、委員長がポロッと俺が手伝ったことを言ったから、気まずいとかなかったわけだけど。おかげでクラスメイトとの交流も増えた。あんまり話したことなかったが、この1ヶ月で随分と仲良くなれた気がする。いい奴しかいねぇ…(2回目)
「じゃあ休憩いただきます!」
「おー!いってらっしゃい!」
「さっきみんなが差し入れ買ってきてくれたから好きなの選んで食べて!」
「ゆっくり休んでね!」
昼のピークも終わった13時過ぎ。お客さんがようやく途切れたタイミングで休憩に入る。とは言っても一緒に回る相手もいないので裏でお昼ご飯。自由時間の人たちもちらほら戻ってきており、適当に雑談に混ざりながら差し入れを食べる。それにしても、さっきの調理中に店先で転んでお菓子ぶちまけてた幼女、あれ諌山真実だよな。褐色系の髪だったしお母さんからまみって呼ばれてたし。チュロスを持って行かせたクラスメイトが「あのお兄さんの奢りだよ〜」って伝えるとこっちに満面の笑顔で「ありがと!」って言ってくれた。可愛さで死ぬかと思ったわ。
「こんにちは。チーズ揚げを1つ。それと、ミスターセイジ、いやアマノはいるかな?」
「ありがとうございます!天野君ならそこでお昼食べてますけど…」
表からふと聞き覚えのある声が聞こえて思わず立ち上がる。店先を覗くと行けたら行くと言っていたカーター氏が来てくれていた。言い方的に8割来れないと思っていたからめちゃめちゃ嬉しい。
「カーター氏!来てくれたんですね!」
「あぁ、妻も楽しみにしていたからね。どうにか時間を取れたよ。学生生活、楽しんでいるようで何よりだ。ヤチヨも来てる。記念写真をご所望だよ。せっかくだ。写真を撮らせてもらっても良いかな?」
『ヤッホー!セイジ!遊びに来ちゃった!』
「!はい!撮りましょ!記念にカーター氏も一緒に撮ってください!」
耳打ちでヤチヨが来てることも教えてながら、自然な動作で付けられたワイヤレスイヤホンからヤチヨの声が聞こえてきた。俺のスマホで一緒に来るか聞いた時は行かないと言っていたけど、来てくれたんだ。ちょっと嬉しい。
店前でピースする俺で1枚。カーター氏と自撮り2ショで1枚。その場にいたクラスメイトも一緒に撮ってくれて1枚。合計3枚撮った。2ショ以外は仕事で来れなくて残念がっていた両親にも送っておこう。
写真を撮った後にスマホも渡される。これにヤチヨがいるらしい。後で文化祭を案内してあげてくれとのことだ。
「せっかくだ。少し一緒に歩けるかい?妻も紹介したい」
「良いですよ!ただ後10分で休憩終わるんで、それまでになっちゃいますけど…」
「天野くん!行ってきて良いよ!もうそこまで忙しくならないと思うから!あとは任せて!」
「昨日もほとんど丸1日入ってくれたんだし、知り合いの人が来てくれたなら行ってきなよ!」
クラスメイトたちが口々に送り出してくれる。いい奴しかいねぇ…(3回目)
お礼を言って店舗を離れた後、喫茶店をやっているクラスで奥さんも含めて3人で少しの間雑談。カーター氏が俺の話をたまにしていたことやお土産で渡した日本茶に奥さんもハマったこと、俺の学校生活の話など色々な話をしていたら30分弱が経っていた。
「ごめんなさい。夫の新しい友人と話せるの楽しみにしてたから、ついつい話し込んでしまったわ」
「いえいえ!いろんなお話ができて楽しかったです!今度、お茶に合うお菓子もお土産に入れておきますね!」
「ふふふ。楽しみにしていますが、あまり無理をしないでね」
「それじゃ私たちはこれで帰るよ。渡したものは次来た時にでも返してくれ。元気で、セイジ」
「はい!カーター氏もお元気で!」
そうして2人を見送った。次はヤチヨとの時間である。
「おまたせ」
『ぜんぜんだよー。楽しい学校生活を送れてるみたいで何よりだよ。よよよ、ちゃんとお友達作れてたのね…』
「母さんじゃないんだから……それで?何か見たいものとかはある?」
『んー。何があるか分からないしセイジのエスコートに任せるよ』
「了解しましたお姫様。あ、妹と通話してることにするから合わせてね」
『うんうん!わかったよ、お兄ちゃん!それか、兄様の方がいいかな?』
「…かんべんしてくれ」
そうしてヤチヨ入りスマホでビデオ通話をしてるフリをしながら文化祭を見て回る。射的とかお化け屋敷とかアクアリウム風なんてのもあって俺も楽しかったしヤチヨもツクヨミにこう言うの欲しいよねーなんて言って楽しそうだった。IT系の部活がやってたネットミーム解説ボードに食いつくのやめて欲しかったけど。
そんなこんなで時間いっぱいまで見て回った。後夜祭のキャンプファイヤーである。ついさっきまでの喧騒はすっかりと消え去っていた。残った生徒たちの談笑の声も、流れるフォークダンスの音楽もどこか遠くに感じられる。
『綺麗だね〜』
「そうだな」
『文化祭ってこんな感じなんだね。なんか、お祭りみたいで楽しかったよ〜』
「実際学生主体のお祭りみたいなもんだしなぁ。今日行く時間なかったけど、ライブステージなんかもあるんだよ」
『へぇ、そんなのもあるんだ。来年はそれも見たいな』
「ネットで探せば似たようなものはいくらでも出てくると思うぞ?」
『ノンノン。セイジは分かってないなぁ。リアルで友達と見るそれと、ネットの海に漂ってるそれじゃあ体験価値が全然違うのだよ。そういうのが、大切な思い出になるんだってヤチヨは思うんだ』
「そっか…じゃあ来年はちゃんと時間作らないとな」
『うんうん!楽しみにしてるからね!……ねぇ、去年は参加してなかったよね。どうして?』
「どうしたの急に?別に、なんとなくだよ。なんとなく」
『…そっか。今年はどうだった?楽しかった?』
「あぁ、楽しかったよ。色々あったけど、すごくすごく楽しかった。ヤチヨともこうしていろんな模擬店見て回れたしね。それこそ大切な思い出になったよ」
『それなら、良かった……ねぇ、火、綺麗だね』
「うん、綺麗だ」
それっきりお互いに黙ってしまう。パチパチと音を立てて高く燃え上がる炎が時間も溶けていくように錯覚する。
『彩葉たちのも、行きたかったなぁ』
心地良い沈黙の中、不意にそんな小さな小さな呟きがイヤホン越しに聞こえた。一瞬呼吸が止まる。先ほどまで聞こえていた雑音が全て消えて、嫌な耳鳴りだけが鼓膜にこびりつく。
何か、何か言わないと。そのままヤチヨがそのままふわっと消え去ってしまうようなそんな不安がまとわりつく。
「ヤ——」
バチンッ
焦りから口を開いた瞬間に一際大きな破裂音が篝火から響いてその身をより高く大きく踊らせた。思わず肩がビクンと震え、急に現実に引き戻される。
チラッとヤチヨを見るが、「今の音すごかったね〜」なんて呑気に笑っている。先ほど自分がこぼした言葉に気がついていないらしい。
「…そうだな」
そんな楽しそうなヤチヨを見ていると、緊張が切れて、毒気を抜かれてしまったような気がする。せめて声が震えないように、先ほどまでの焦燥を悟られないようにそう返すのが精一杯だった。
天野誠志(あまのせいじ)
ついに名前も決まった。
どうせ一緒に回る相手もいないので1番大変そうな調理担当に。フライヤーの前にずっといると油の匂いが服と髪にめちゃくちゃ付くのである。今回の文化祭をきっかけに雑談する相手もできたし連絡先もたくさん交換した。
ヤチヨの抱えるものの重さを再認識した。
クラスメイトたち
良い奴ら。イメージは着せ恋。カーター氏登場にすごいダンディな外国人が来たって盛り上がった。その外国人に見たことない嬉しそうな表情で駆け寄って会話する主人公を見てさらに盛り上がった。腐の民はごく僅かである。
メニューはチュロスとチーズ揚げ。チュロスは一口サイズで、一番美味しくてフレーバーが複数あるメーカーに決定。チーズ揚げはブロック状のチーズを切って餃子の皮で包んであげたもの。
一致団結して大きなピンチを乗り越えた。この2日間はかけがえのない思い出になっただろう。
委員長
ラストシーンのキャンプファイヤーは実は委員長のシーンだった。しかしヤチヨ回のため丸々カット。よって出番なし。実行委員や部活の関係で主人公と回る時間を取れなかった。本文の後に主人公を見つけて軽く会話している。来年は一緒に回ろうね。
カーター氏
妻も新しい友人と日本の文化祭に興味があると言ってくれたので日程を調整して遊びに来た。「少し背伸びしてる感じはあるけど良い子ね」と言ってくれてそうだろうと後方腕組み。主人公がクラスメイトに囲まれて楽しそうなところを見れたので満足。チーズ揚げが主人公の案だと聞いて楽しみにしていた。意外と美味しかった。
ヤチヨ
ついていくかどうか迷って、結局邪魔したら悪いと思ってやめた。でもカーター氏が「お客さんとして行くなら邪魔にならないんじゃないかい?きっと彼も喜ぶよ」って言ってくれたので遊び行った。主人公がクラスメイトに囲まれて楽しそうなところを見れたので満足。初めての文化祭もめちゃめちゃ楽しくて大満足。
委員長が来た時にスピードヤチヨはクールに去るぜ、した。と思ったら会話はバッチリ聞いてた。
この日以降、主人公がよりツクヨミ関連に時間を割くようになったのを不思議そうにしている。
ヤチヨ連れ歩き用スマホなくてもオリ主のスマホに普通に来れる。と言うよりも繋がっていればどこにでも行ける。ただし、平時は倫理的にとかデリカシーとかそんなことを考えて許可のあるデバイスでのみマイクとカメラを拾っている。あくまでも平時、トラブルや大義名分が何もない時のみである。
諌山真美
通りすがりの一般メインキャラ。手元にあったサイコロで決まった。他の候補は芦花、雷、乃衣くんの3人。
食べ物の恨みは恐ろしい。と同時に食べ物の恩は忘れない。
テレビでやってた縁日特集が楽しそうで行ってみたい!とおねだりしたが、近所のお祭りはもう終わっていた。その代わり一般開放されてる文化祭があったためお母さんと遊びに来た。