沫嘘の聖誕   作:山幸 蟹

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暇を持て余した探偵達、しかし事件は身近な所で既に起こっていた。

勘違いで日数間違えていたので直しました。
10月→3月
うろ覚えでやるもんじゃ無かったですね。


Sudden turn of events(事態急変) 2024.3.29

*** Incident occurred

 

2024年3月29日

春にしてもそこそこ暑い日の事だった。

 

「暇ー」

事務所ワザリングの所長はいつものように暇を持て余していた。

助手を弄るのも飽きて、仕事も来なかったので本格的に暇になってきたのだ。

厄介事にちょくちょく巻き込まれるので平和を愛するのような人間に矯正されると有難いのだが…

 

「馬鹿言わないで掃除してくださいよ」

客間からは想像できないほど汚れた職場、不衛生ではないが…見た目が悪いし、歩くにも少しばかり邪魔である。

ゴミは放置してあるのにも関わらず何らかの手段で清潔さを保っているようだ。

それに明らかなオカルトな物や高価な物が散乱している。

適当に纏めて掃除してしまう訳にはいかないので、相当気を使わないといけない。所長がやってくれればいいんだけどな。

 

中性的な容姿に男性にしては少し高い声、身長は女性にしては少し高い。

どうやら魔術を会得しているとか。

本人は適当に誤魔化してるが、杜撰なのでこっちは分かんないフリを強要されている。

 

「ということでこっちから出向こうか。」

「いい加減にして下さいよ。」

「ココ最近失踪が相次いでいるが、犯人不明で警察も手を焼いているらしい。」

「へぇ、それでどうするんです?」

 

嫌な予感と直感が働く、その事件に関わりたくないと言う気持ちと関わらなくては行けないという気持ちがある。

……少し嫌な気分だ

 

「私はこれを神話的事象であると考える。科学的な証拠を魔術的な処置を施し隠蔽すれば、警察にはどうしようも無いからね。それに魔力的な証拠も君のような過敏な眼でなければ見えない。」

「…ふぅ。……依頼も来てないのに行く意味あるんですか?」

「正式な依頼は無いが、依頼なようなものはある。」

 

ほら。と1枚の手紙を渡される。

 

たんていさんへ

失そうしたお姉ちゃんを助けてください

ミサキ

 

その手紙と共に500円玉が同封されている。

 

「……今回の理由はこれですか?」

「これでも探索者だ。謎があるなら行かなきゃね!ということでまずは調査だ。ついてこれるか助手君!」

「行く以外の選択肢があるなら聞きたいものですね。」

 

事務所にある物を一先ず整理する。

聞きたいことがあるなら聞いておくのも手か。

 

1.本

雑多な本がある知識を引用したいなら使えるだろう。

2.パソコン

調べ物ならスマホで十分。これは使わないだろう。

3.アーティファクト

魔術的な装備。僕には扱えない。

 

「神話的事象の定義って何でしたっけ?」

「現代科学では説明も付かないような摩訶不思議な出来事さ、魔術も神話的事象に入る。そして神話的事象を引き起こす、或いは関係する非人間を神話生物と言う。」

 

「魔術の定義は?」

「魔術は人類由来の物と、外宇宙由来の物がある。扱う者を魔術師、或いは超能力者と言う。外宇宙由来の物は狂信者か神話生物、或いは探索者だな。あ、私はどっちも使えるぞ。どっちも超常現象という共通点はあるが外宇宙由来の物はおぞましさがある。」

 

「どんな魔術を使えますか?」

「幻覚や暗示が得意だ。他にも色々使えるぞ。」

 

これから聞き出せるのはこんなもんか。

 

「失踪ってどこで起こってるんですか?」

「分からん。だから探しに行くんだろ。」

 

ぶん殴ってもいいかな。殴ります。

 

「はっ、危ないな〜、気をつけたまえよ?」

 

ひらりとテレフォンパンチを最小限の動きで避ける。様になっているのがとても腹が立つ。こちらを見てニヤついているのがさらに腹が立つ。

 

「じゃあ街に出ましょうか。」

「あ、私は一人で調査しとくから、そっちも一人で頑張ってね。」

「は?」

「足引っ張ったら…そうだな…」

 

少しばかり所長は思案する。どうにも下らないことを考えているようだ。

 

「減給としようか。」

「冗談ですよね?」

「私はくだらない冗談は言わない主義だよ。」

「はぁ、クs…ンン゙ッ!それでは頑張って下さい。」

 

そう言い所長は一人で出て行った。

…ほんとに一人でやんないとダメかな?……やだなぁ。ついてこれるかって言っといて何なんだこの人…

 

やる事は、図書館に、聞き込み。事前調査からの突入と言ったところか?

とりあえず事務所を出るか。

 

図書館に行く途中、こんな会話が聞こえてくる。

 

「隣の神崎さんの家のお子さんが居なくなったんですって。」

「えぇ!?確かお子さんかなり小さいでしょう?」

「それは下の方。居なくなったのは上の方ですよ。それでも高学生ぐらいですけど。」

「下のお子さんは小学生ぐらいですっけ?」

「最近やけに物騒ですよね〜」

「ね〜」

 

そんな会話が聞こえてくる。

神崎ねぇ。メモしておくか。

 

大目的:失踪事件の解決

小目的:失踪事件の情報収集

現在情報:神崎の家の子供(高校生)が一人行方不明

ミサキの姉が失踪

 

こんな所か。

その後は何のイベントも無く安全に図書館に行くことが出来た。

新聞も含めて集められた情報を纏めておこう。

1.ここ1年の失踪数は確かに多い。

2.失踪は若い女性が標的になっている。

3.そして相手は科学的な証拠を残していない。

結論.以上を踏まえて失踪は誘拐であり、魔術的な生贄である。

 

何らかの儀式の贄と考えるのが自然だな。

魔術だろうとカメラに細工してれば分かる筈だ。

その為カメラが多い住宅地よりも、カメラの少ない山奥や廃墟が怪しい。

山は遠いけど車で1時間以内に行ける。廃墟は、記憶に無いな…あとで所長に聞いてみるか。

 

図書館でここ50年の事件数なども調べていたので、すっかり当たりが暗くなっている。

時計を見ると5:24 1度調査を切ろうか。

そう思っているとのスマホに1件の通知が来た。

 

『大体分かったから、1回事務所に来てくれ。』

『了解、今から向かいます。』

 

もしかしたら走んないとダメかな?

……ネチネチ言われるの嫌だし走っておこうか。

 

───────────────1日目調査終了

 

*** Information organization

 

「はぁはぁはぁ、すみ…ませ…ん。遅…れ…まし…たぁ。」

「何をそんなに急いでいたんだい?何かに追われているのか?」

 

10秒ほどゆっくりと深呼吸を行う。

息は乱れてはいるが、そこまでの疲労では無い。息を整えるぐらいなら数回の深呼吸で何とかなる。

 

「よし、じゃあ情報整理といきましょうか。」

「君が仕切るのかい?とりあえず助手君、君の調査結果を聞こうか」

「失踪が相次いでいるとの事でしたが、実記録として本当のようです。今月で8件。それもこの街で、以上なペースです。そして一切の証拠が見られないことから、人通りの少ない場所での犯行だと思われます。」

「理由を聞こうか」

「人通りが多いところは道が開けており、見られやすく、カメラもあります。それら全てに魔術で細工するには痕跡が無さすぎる。」

「魔術の残滓とやらか…」

「この事務所近くの神崎さんの家の子供も誘拐されているようです。若い女性、つまりやりやすい相手を選んでるようにも思えます。」

 

俺の調査結果は事前情報のすり合わせ、と言うよりも裏付けか。地味だし、説得力を持たせることぐらいにしか役に立たないな。

 

「今度は私の調査結果を言おうか。

犯人らしき人物の名前が分かった紺野 心 そこそこの大学の出で宗教学や神話学に興味を持っていたらしい。かなり長い間家に帰ってこないため隣に不審に思われているらしい。」

「イカれたカルトってことですか?」

「その可能性はあるな。だが、情報が少なすぎる。引き続き調査だな。明日は朝にその神崎の家、昼には推定犯人の紺野の家に行く。」

「分かりました。」

 

今回の依頼は行方不明の人間の救助である。

そして魔術儀式の生贄の可能性が高いため、時間をかけるのは得策ではない。できれば明日にでも行きたいものだが、そうは簡単には行かないんだろうな。

 

───────────────1日目推理終了




ho1
後遺症:魔力過敏
魔力に対する過敏症。触覚でも感じられるが、主に視覚を通して視える。日常生活では問題は無いが、魔力が多い所だと酔う。又は魔力だらけでまともに見れなくなる。

ho2
異能:魔術
クトゥルフ神話に由来する魔術。暗示などの精神的な物を得意とする。と言うよりも魔術はその性質故か習得者故か精神に由来するものが広く知れ渡っている。その中でもそこそこの練度を持っており、ある程度はレジストできる。
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