Happy Easter
*** climax
しばらく所長に案内されるように付いていくと、建物が目の前に急に出現したような錯覚を覚える。
綺麗な/廃れた
そこにある/そこに無い
とても目立つ/所長に言われて初めて気づく
神々しい/禍々しい
そんな相反する思いが脳をよぎる。
これが魔術的なものなのか、僕が狂ったなのかは分からない。
けれど、ここが目的の建物であることには間違いなさそうだ。
「ここ...ですよね。」
「ああここが目的地だ。現時刻23:00 予定よりも時間を食ってしまった。さっさと終わらせるとしようか。」
手入れはされていないのにも関わらず、小綺麗なドアを音を立てないように慎重に開く。
…崩落していて、道は少ない。
「どうします?また分かれますか?」
「敵の本拠地でおいそれとそんな真似はできんさ。ただいつでも戦闘態勢に入れるようにしろ。」
「僕がナイフ持ってきていてよかったですね。」
「私の魔術は戦闘向きじゃないからな。やりようはあるが。」
肩を竦めて所長はそう言った。
探索をその後しばらく行ったが、人っこ一人居らず何か手掛かりになりそうなものも無かった。
「構造的にこの先に地下室があるんだが、」
所長がガサゴソと床の付近を触ると、不自然なくぼみがあるのが分かる。
上にカーペットが敷いてあったが、どうやら隠し扉の用だった。
…少し汚いと思うのは僕だけだろうか。
「隠密で先手必勝でいくぞ。」
「了解。」
隠し扉から現れた階段を降りていくとそこそこの大きさの一本道にでる。そして少し奥の方に扉がある。
そこまで『忍び足』で『隠れる』ように歩く。
扉に『聞き耳』を立てて、中を索敵する。
何やら男の声がするがこれが紺野の声なのかはわからない。
扉を少しだけ開けて見てみる。男が手術用の机のようなものに括りつけている女性を見てブツブツと話しかけている。
「そういえば顔写真見せてもらってないな。」
……そう言えばそうだ。これで違う子です。って言われれば僕はどうすればいいんだろうか。まぁ所長を盾にすればいいか。
「今ならいけるか。1 2 3で突撃するぞ。」
「了解。」
懐からいざというときのためのナイフを取り出す。
バールも良いが、折り畳み式のナイフであれば持ち運びはしやすい。
折り畳み式のバールがあればいいのだが、それはバールではなくもはやバールのようなものだろうな。
「1 2 3!」
「誰だ!」
助手は一気に駆け出し、紺野にナイフを突き刺そうとするが、部屋が広く避けられる。
そして我らが所長はポケットからハンドガンを取り出した。
紺野は壁になぜかかかっているショットガンを手に取り、こちらに構えた。
…おいここ日本だぞ。
そんな思考を銃声と硝煙、そして体の痛みで中断させられる。
どうやらショットガンに当たってしまったらしい。
しかし、どうやら仕込んであった広辞苑が功を奏したらしい。
後方からの射撃も相手に当たったらしく、足から血を流し、苦悶の表情を浮かべている。
僕はその間に接近をし、ショットガンを持っている手の方を切りつける。
紺野はショットガンを落とした。
上手いこといったようである。
後は拘束をすれば……
そんな甘い思考は再度銃声によって切られる。
所長による射撃だ。今度は紺野の腹に当たった。だが紺野が何かしらの言葉を紡ぐと体の傷が全回復とは言わないまでもかなり緩和された。
それを見て手加減する必要のない相手だと確信し、刃を上に向けて腹を刺す。
こうすればより多くの内臓を傷つけることができる。
紺野は再度ショットガンを拾う。
どうやらこれ以上の攻撃手段を持っていないようだ。
所長は射撃を行うが、紺野は転がるようにそれを回避、
そして体勢が崩れている且つしゃがんでいる状態に近しいので頭を蹴り飛ばす。
軽い脳震盪か、貧血かは知らないが、しばらく床を転がってからは動かなくなったので再度所長が銃撃を行う。2度、3度。その体は熱を持たなくなった。
ナイフを拭いてから、机の上の女性の拘束を解く。どうやら寝ている、というよりも気絶しているようだ。制服だし、神崎さんでいいのだろうか。
「死体は隠したし、しばらくはこの建物は見つからない。早いところとんずらするよ。」
「そういえば警察でブラックリスト入りしてたんですっけ何があったんですか。」
「状況証拠で犯人扱いされたことが8、9回ぐらいあったんだよ。いやぁ優秀なのと無能なのの落差がすごいね!」
どっちが少女持つべきかという話が出たが、
私はか弱い乙女だからパスと言ったため助手が持つこととなった。
こんな夜だがタクシーの運転手を暗示で言うことを聞かせて神崎の家まで行った。
朝早くの訪問だったがノックをしたらすぐに出た。どうやら眠れなかったみたいだ。
「ありがとうございます・・・!」
涙を流して感謝する姿は見なかったことにすべきか。
とにかく、依頼は達成された。
どうやら末っ子の名前は御咲らしい。本来の目的も達成できて良かったと安堵した。
同時に別の依頼だったらどうするんだという思いもあった。
後日警察によって犯人が見つかった。
もちろん所長による通報である。
向こう側の警察は少しキレ気味だった。
どうやらこんなことが何十回もあったらしいことは想像に難くない。
警察も街もしばらくは忙しいだろう。
何せ若い女性をさらっていた人間が町中にいたのにもかかわらず誰も気づかなかったのだから。
だが、その喧騒には何の関係もないことだ。
探偵の仕事は解決することであり、綺麗に片付ける事ではないのだから。
今回はそんなハロウィンの、
いや、聖者の復活祭の一幕。
沫嘘:取るに足らない嘘
聖誕:聖者の誕生日。今回は復活を新たな誕生として解釈
イースター:本来はイエス・キリストの復活祭。今でも死亡時間から5分以上経過したら蘇生は難しいが、キリストは死後3日後に復活したらしい。
Merry Bad End:当事者は幸福だが、観客からは悲劇に見える。
Merry Happy End:メリーバッドエンドの逆。恐らく造語
ho1
元ネタ:ワトソン
ho2
元ネタ:蒼崎橙子
くぅ〜(疲)
ちなみに事件解決が遅れると新世界の神が誕生しました。
紺野は回復などの奇跡っぽい魔術を修めた者で、御幸は神になる資格を有してました。それを奪おうとしてた訳ですね。