いずれ破滅する悪役貴族に転生した俺は、規格外の『精霊魔法』で魔法を極めて無双する~ラスボスと出会って得たスキルで、破滅フラグを回避したいだけなのに最強の聖人扱いされている~ 作:Hiruandon
大聖堂はこの国に四か所存在する。
そのうちの一つはファフニール家の私有地にある、神聖なる大聖堂の地下に設置された適性の間だった。
年に一度。
魔法適性の時のみ、その大聖堂の地下は開かれる。
大聖堂はそれぞれ有名な大貴族が保有し、その管理を任されていた。
「カイル! やっと来た!」
無邪気にはしゃぐエルフィは、何かしたいことがあるように見えた。
「カイルは魔法が使えたら最初に何がしたい?」
「特には考えてないな。エルフィは?」
「私は魔物退治!」
良い目標だな。
中央へ視線を向けると、大部屋の中央に大きな球体がある。あそこに魔力を流し込むことで、その人間の魔法適性が分かるシステムだ。
ここで魔法適性が判明することで、そのキャラクターはその属性の魔法が使えるようになる。
俺が前へ歩みを進めると、周囲からざわめきが起こった。
「カイルが……歩いている!?」
「ど、どういうことだ!?」
「えっ!?」
ざわつく貴族の子供たちを無視し、父親へ挨拶に向かう。
「父上」
「カイル……最低限、仕事をしろよ。この私に恥をかかせるな」
「……はい」
大きな期待はしていないようだ。
だが、光属性だけは出せという命令らしい。
傍に居たエルフィが悲しそうな顔で呟く。
「……カイル。私はカイルがどんな属性でも気にしないからね」
「うん、ありがとう」
他の貴族の子供たちもいる。
「あの落ちこぼれ歩けたのか?」
「やっと二足歩行できるようになったか」
「どちらにしろ、ファフニール家の面汚しだろ。面白えもんが見れるぞ」
中央には司祭が立っていた。
「それでは、魔法適性の儀を開始する」
先ほどまで騒いでいた子供たちは静まり返り、緊張が走った。
「カイル・ファフニール。前に出よ」
一番最初は俺か……。
一斉に注がれる蔑みと好奇の視線。
すれ違いざまに、父親が俺の肩を強く掴んだ。
「必ず光属性を出せ、カイル。それ以外、貴様には求めておらん」
「はい、父上」
俺が司祭に近づいて、判定する球体に力を流し込む。
────────
…性:…属性
……ます
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一瞬、心臓が飛び跳ねた気がした。
急にシステム音が聞こえると、警告なのかと驚いてしまう。
……まさか、闇属性を出せってことじゃないよな。
─────────
潜在属性:万能属性
(魔法適性の儀にて、すべての属性を選ぶことができます)
任意の適性を選ぶことが可能です。
以下の選択が可能です。
炎、水、風、土、雷、光、闇、万能
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ドキッとしたが、ここは俺の自由にさせてくれるようだな。
目の前に提示された道は、大きく分けて三つ。
一つ目は、父親の望む『光属性』。
強力な属性であり、これを選べば父上は初めて俺を褒め、受け入れてくれるだろう。
カイルが心の底から欲していた親の愛が受けられるだろう。
誰かに愛されたかった────そんなカイルのそんな切ない願望を、叶えてやる道だ。
二つ目は、原作通りの『闇属性』。
本来の歴史に従う道。だが、その先に待っているのは希望のない破滅だ。
エルフィは主人公へ心を寄せカイルの元を去り、俺は親からも見放され、最期はかませ犬として無惨に死ぬ未来。
俺もカイルも……そんな未来は避けたい。
そして三つ目は────未知にして最強格の万能属性。
世界で数少ない規格外の適性者だ。
これを選べば俺は強くなれるのだろうか。
原作知識を持つ俺ですら、リスクや今後の影響、本当に扱いきれるのかすら分からない未知のものだ。
最強とは言っても、これは最も分からないことが多い選択肢だ。
原作で扱えていれば違ったのだろうけれど。
全て扱える属性とはいえ……扱いきれないリスクがあるかもしれない。
だから、俺が選んだ道は────。