その男子生徒はかつて人類種の天敵と呼ばれた 作:ウォルターパパ
ミレニアムサイエンススクール。来年の今頃には人類種の天敵 リンクス、古代兵器新入生 天童アリス、古代兵器の片割れ 天童ケイ、三大問題児のお目付け役 早瀬ユウカ、ズボラダメ女 リオ会長、デカグラマトン姉妹などなどのやべー奴らが続々と集ってしまい…問答無用でキヴォトス最強の学校となってしまう学舎である。保有兵器でさえ、リンクス単独で最終的にはホワイトグリント3号機→再度大破してからの近代化改修→アーマード・アーカイブに改造という代物であり…他にもやべー代物を色々と保有しており、その気になったら銀河系さえも滅ぼせるかもしれない。
「説明してくれるかしら?カーラ指導員。今、なんて言ったの?」
そんなやべー奴らがまだ集いきれていない1年前のミレニアムサイエンススクール。そんなミレニアムの生徒会室で、来年の今頃には生徒会長となる美女 調月リオはたゆんとデカイ胸を揺らして、スマホのような端末でカーラとやり取りを行っていた。
当然だ、先日…ミレニアム近海で発見された古代兵器 ワンオフ設計のアーマード・コアネクスト ホワイトグリント3号機はかつて…世界を滅ぼす寸前まで単独で追い込んだ代物であり、そのパイロットまで奇跡的に仮死状態で生存。パイロットを生かすため、カーラが強化人間改造手術を施し…一先ず冷凍保存にした。だが、そんな人類種の天敵が再び人類の敵になる可能性もあり、パイロットの蘇生は待つ…あるいは永久凍結とほぼ決まっていた。
『ああ。私の独断で蘇生させた。機能以外はほぼ死んでるから、感情はほぼないよ。今は1人で歩くことも出来ないし、固形物も食べれない。だけどね、このビジターは好きで人類の敵になったんじゃない。人類を救うため、星を救うため、自分から必要悪になった救世主なんだ』
人類種の天敵が人類と地球を救うため、自分から必要悪になったことはケイはもちろん、ミレニアム生徒会…通称セミナー全員は知っている。だが、古代と今では価値観が違うかもしれない。もし…彼が敵になれば?誰が停められる?もうアナトリアの傭兵は居ないのだから。
『それにさ…彼が居なかったらこの星は2度と生物が住めないディストピアになってた可能性もあるんだ。そんな彼に、彼が守ろうとした星が回復した所を見せて良いじゃないか。
たった15歳の若造が、人類と地球の未来、自分の命を天秤にかけて行動したんだ。良いだろ?これぐらいは。そうそう、件のビジターだけど、ユウカが連れてそっちに行ったから宜しく!』
たしかにそうだ。人類種の天敵が必要悪にならなかったら、人類はネクストやコジマ技術を多様した超弩級兵器 アームズフォートの蹂躙で絶滅したかも知れないし、外宇宙に出ることもなかった。
しかし、今…カーラはなんと言った?ユウカが人類種の天敵を連れて生徒会室に向かってると?リオがカーラに言おうとしたときには既に通話は切れてしまっていた。
「リオ副会長?どうかしたんですか?」
「ユウカが人類種の天敵をここに連れてくるわ」
リオに話しかけた白い髪の女の子は生塩ノア。ユウカのクラスメートであり、同じくセミナーに所属する1年生だ。
「これは愉快なことになったな。新たなビジターがここに来るのか」
そして会長椅子に座るロボット…リオやノア達は普通に人間に見えるが、何処から見てもペッパーくんのようなロボットはチャティ・スティックⅡ世。ミレニアム生徒会ことセミナーの生徒会長であり、男子生徒だ。
今はペッパーくんのようなボディーだが、その日の気分によってボディーを変えており、ある日は猫耳美少女アンドロイド(本人のジェンダーは男)だったりAC サーカスの見た目になってたり…リオが作ったアバンギャルドくんボディーだったり様々だ。
「チャティ会長!たしかに彼の力が借りれるなら合理的に有力ですが、同時に危険性もあります」
「ボスも楽しんでるようだ。良いんじゃないか?」
と、そのときだった。生徒会室の扉が開き、ユウカが車椅子に乗せられた人類種の天敵を連れてきた。人類種の天敵と言うから、どんな顔をした人物なのかと思ったリオ達であったが…
「あの…カーラさんに言われて連れてきました」
「ゔぃ…ゔぃ…」
人類種の天敵は全身ぐるぐるにサランラップのような物を巻かれて、これから出荷されようとしている食品のように見えてしまった。当然、口も目も塞がれているので「ゔぃ」しか声に出せず…反応も身体が震える程度である。というかラップでぐるぐる巻きにされてるので動きたくても動けないようだ。
「「ちょっとまてぇぇぇぇ!全身サランラップでぐるぐるにされた人が来たんですけど!!」」
「ユウカ…お前、それは笑えない」
「違うんですよチャティ会長!リオ副会長!ノア!私の手じゃこのラップ取れないんですよ!!」
「ゔぃ…」
人類種の天敵はバタバタと動いてラップから脱出しようとするが、残念ながらびくともせず…端から見れば脱皮寸前の蝶々のサナギと見える動きであった。
「ゔぃ…ゔぃゔぃ」
「だからってこのままじゃ流石にダメだよ!!羽化寸前の虫のサナギみたいな動きしてるし」
「てか、彼大丈夫なの!?呼吸できてる!?」
そろそろ呼吸が出来なくなってきたのだろう。人類種の天敵はだんだん動きが激しくなり…やがてぴくりとも動かなくなった。
「……誰か切るもの持ってきて!!カッターとかハサミとか、この際何でも良いわ!!」
「リオ。マルノコならあるぞ」
「会長!?それは流石にダメです!!」
「カッターありました!!」
「ハサミありました!!」
「でかしたわ、ユウカ、ノア!」
そしてユウカとノアの手でぐるぐる巻きのラップが切られていき…人類種の天敵はラップから解放された。
顔立ちは美少女とも見間違う程で、獣のような赤い瞳。色素が抜け落ちた白髪の髪。当時は食糧難だったこともあり、痩せているが筋肉があるという少年兵に多い体つきをしていた。
「かっかわいい顔してる!!」
「そうね……でも」
リオは人類種の天敵の素顔と体型を見て、心に来るものがあった。リンクス戦争が終わり、様々な場所がコジマ粒子で汚染された大地…そのお陰か食糧難になり…実の親の顔も分からず、行く宛もなくスラム街で物乞いのように過ごし…運良くセレン・ヘイズに拾われてリンクスと成ったのは良かったが、自分を犠牲にし…表向きに語られる歴史では最悪の犯罪者となってまで人類と地球を救おうとした英雄。あんな世の中と時代に産まれなかったら、もっと別の生き方が有ったのではないのかと。
「分かったわ。貴方、ここの学生になりなさい。銃撃戦が良く行われるけど、少なくともリンクス戦争後のディストピアより遥かに過ごしやすいわ」
「傭兵の仕事も学校に居たら受けられる。良いんじゃないのか?」
上からリオとチャティからの言葉である。こうして人類種の天敵はミレニアムサイエンススクールの学生となった。
「貴方…名前は?」
「ない。でも、セレンはリンクスって呼んでくれてた」
人類種の天敵に本名はない。だが、彼は母代わりが呼んでくれてたリンクスという呼び名をここでの名前として使うことに決めた。
ホワイトグリント3号機はオーバーホール+脱コジマ技術の改造が必要なので、最初は出ません。
カーラ「代機で用意したLoader5だ。作業用フレームだが、エネルギー効率が良く戦闘にも使えるぞ!」
Mission1 出撃。
リンクスのヒロインはユウカだけど、621先生は?
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