ボッコボコにしてやんよ!! 作:おいらだぜ!
おいらボコだぜ―――ちょっと待ってくれ!?
「どういう事!?なんでおいらが政界と経済界と社会と戦車道界隈に喧嘩を売る事になってるんだ!!?」
「だから言ってるでしょう。一々言ってる事を壮大にしたり、分かりづらい例えにしたり、受け答えに相違が発生しているからじゃないですか」
「おいらそんな事を言ってたかなぁ!?」
「闇に対抗できるのは悪とか……悪に堕ちるとか……どう考えても魔王のセリフですよ」
「おいらボコなのに!!」
なんか気付いたらおいらが日本を掌握してフィクサーになるみたいな話になっちまってる!
「まぁ……お前達が勘違いする分にはいいけどさ……」
「多分西住師範も同じこと考えてるんじゃないですか?」
「ハハハ!まさか―――」
「ようこそいらっしゃいました、小久保心穂さん」
「……ぁい」
数日後、再び熊本にある西住家の屋敷に小久保心穂一同は呼び出されていた。
しかもそこには島田千代も訪れており、これがただの会合ではない事を示していた。
「私達は、改めて貴女から話を聞くために集まりました」
「……はい」
「端的に言って、アナタは今後どのように動いていくつもりですか?」
「ボコられグマのボコを広めて会社をデカくします……」
「それで?」
「大企業になって、いっぱい従業員を雇えるようにします……」
「それで?」
「いっぱい稼いで、戦車道チームを作ります……」
「そう、その先よ。一体貴女は何処まで考えているの?」
なんで詰めて来るんだよー!こちとら社会人になったばかりだぞ!戦車だって乗って三日なのに!!
大体わかってるんだぞ!こういう風に話が進んでいる時は、相手の要望が通るまで話が終わらないんだ!
いいぜ!行けるところまでやってやるぜ!そしてボコボコになって不死鳥の如く蘇ってやるからなぁ!!!!
「ではここからはまだ、お願いの話です。西住師範と島田流家元に
西住しほと島田千代は堂々としながらも、どこか浮ついた気持ちで目の前の女性の言葉を待った。
「借りた物はお返しします。人材は何とかしますので『資金』と『土地』をお貸し頂きたい」
「へぇ?未だ零細の貴女が大きく出ましたわね。まず、貴女の言う人材は何処から調達するのかしら?」
「私こと小久保心穂の生まれは広島、育ちはベルウォール学園、僭越ながら「広島の人食い熊」と呼ばれておりました。学園艦とはこれ渡りに船と申します、北に南に斬った張ったを繰り返し、船上陸上練り歩き、見かけ次第に食い散らかしたのです。おかげで彼女らとは縁があり、
「「成程」」
そう言えば不良娘達をどうやってシンパに仕立てあげたのか、その手腕を問うていなかったが―――文字通り手腕が出ていたのか。
「それで、土地は余っていますが資金とは?何かアテになるモノはあるのかしら?」
「当社の株、その内の45%をそれぞれ西住師範と島田流家元へお譲りいたします。つまりこの世の私を含む日本のイリーガルどもは、全てお二人の手足となります」
「イリーガルねぇ、それが本当に役に立つのかしら」
「製造、販売、営業は我々が動き、経理や総務においてはお二方の息のかかった人間を出向させるのがいいでしょう。才と気合のある者は戦車道に参加させ、一部の人間は―――草として放ちます」
「政界も経済界も、貴女方のつけ入る隙がある様には思えませんが?」
「人が何をしたかより、人がどの様に動いたのかを知れば仕込みは上々」
「それが貴女に読み取れまして?」
「戦車道は今、その規模を広げて世界各国を繋ごうと、或いは繋げようとしているでしょう」
「……」
「柔道や空手の様に戦車道は国家の事業に組み込まれる。文部科学省がプロリーグ設立の為に動き、戦車道連盟はスポンサーから多額の支援を貪りながらその足元を疎かにする。違いますか?」
「……それで?例えそうだとして貴女は結局何をしたいのかしら?」
「文部科学省の役人と戦車道連盟会長の首を獲り、経済界をこちら側へおびき寄せます」
首を獲る、それはつまり一般人が組織の人間を失墜させるという事。おびき寄せるとは、世間の理をこちらに傾けるという事。
「貴女は自分が何を言っているか分かりますか?文部科学省の役人を失墜させるという事は国家に喧嘩を売るという事。戦車道が国家に組み込まれると言った矢先に行う事がそれだと言うのですか」
「戦車道連盟も同じく、いくら西住流と島田流の規模が大きかろうとそれを制御する装置と化した戦車道連盟の権力はその補償の面を含めて経済界の力も集約しています。新参の貴女が関われるようなものではありません」
小久保心穂は立ち上がる、そしてこれまでの態度を一変させて机の上に片足を叩きつけ、二人に睨みを聞かせながらいい放つ。
「ごっめーん、国と社会に喧嘩を売る事になっちゃった~!」
「ほーら言ったじゃないかぁ!」
「やっぱりそうだと思ってましたよ!」
「いつかはやるって思ってたもんなぁ!!」
えへへと緊張感のない顔で笑う小久保心穂、その顔を見た三人娘はうふふと笑ってボコを取り囲んだ。
茨城県の森の奥に作られた施設には、様々な設備がいつの間にか整えられていた。
本部、工場、宿舎、整備場、演習場、そして少し離してボコミュージアムが建設された。
それは二大流派からの多額の資本を与えられて作り上げられた陸の要塞とも言える場所。
「おかしいなぁ、西住流からいっぱいお金貰ったのに土地を貸すからってお金を取り上げられちゃった」
「実質無料、って奴ですね」
「汚いなさすが西住流きたない」
「おかしいなぁ、島田流からいっぱいお金貰ったのに人を貸すからって人件費としてお金取り上げられちゃった」
「実質無料、って奴ですね」
「汚いなさすが島田流きたない」
言いたい放題だが仕方ない面もある、小久保心穂が立ち上げた会社は目立たなくてはならないが、目障りになってはいけない。
二大流派が一方的に出資をして世間からの注目を集めてはいけない、そういう意味ではファンシーグッズを売っているボコの会社は隠れ蓑に打ってつけだ。
「「娘が気に入っているので」」
二大流派の長であり母親の二人が私財で会社に投資してもなんら問題ではない。
こうして小久保心穂の会社の拡大、戦車道チームの設立、そして来るべき革命の為の基盤は成り立った。
「ネー子、チュー子、マオマオ。準備は出来たか?『入社式』が始まるぞ」
「入社式ねぇ、これって普通じゃないよなぁ……」
「今更だろ。それに、ね?」
「うん。普通じゃないから、私達も着いて行こうって思ったし」
好き勝手に話しながら、小久保心穂は工場の一角に設けられた演説台に昇る。
(((そういえば何でお姉さま、武装してるんだろう?)))
辺りを見回し、喧噪を鎮め、ここに集められた同士に対して高らかに声をかける。
「お前達、今まで何処で暮らしていた。一体今まで、どうやって過ごして来たんだ」
「おいらは、お前達をずっと探していたんだ。迎えにいけなくて、本当に申し訳なかった」
「おいら達は、今までのしがらみを捨てる。おいら達は人々の影に隠れ、人々が正面から希望の光を浴びる事が出来る時代を進めていく」
「しかし闇は人々の背中を、足を掴もうと後ろより這い出て来るだろう。おいら達は人々の殿としてこれを迎え撃つ」
「人々は何も知らないまま、歩み続ける。我々もまた、前に出る事無く時代から去っていく」
「しかし、我々の意思は受け継がれる。ボコられグマのボコとして、不撓不屈の精神として!」
「我々の思いは、この傷とともに刻まれる!我々の傷は、栄誉として残る!!」
「しかし我らは悪として歴史に刻まれる―――悪とは何か!悪とは
「かつて『この世界』で第一次世界大戦が起こり、その中で多くの男性が命を散らした。この悲劇において夫や息子を失った者からの切望が男性から戦車を取り上げた!!」
「大いなる戦車の力は多くの人々の命を奪った悪だ!そしてそれを戦車道という騎士道精神に基づく形に治めたのが善だ!」
「悪天候、悪運、悪戦―――何れも大いなる強い力だ。世界を変えようとするおいら達は、大いなる強い力でなくてはならない」
「我々は悪となり、善が時代を作るとそう信じる。かつて生まれた火薬が人々の生活や娯楽の中に溶け込みつつあるように。我々の起こした革命が、人々の社会や生活をより良い物へ変えていくと信じている」
「そう、おいらはお前達を信じる。もしこの中に平和に暮らしていきたい者は、残念だがここを去ってくれ」
工場の重く分厚い扉はいつの間にか閉まっていて、出入り口をそこしか知らない者は出ていくことを躊躇してしまった。
「ありがとう、やはりお前達は勇敢だ。やはりお前達は最高だ!!」
「おいら達は国を、社会を、組織を相手にする事になる!」
「しかしおいら達は永遠に勇敢なるお前達を忘れない!その証をここに残そう!!」
次からガルパンにちょっとずつ関わっていきます。
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