後宮の司書になったので、死ぬ気で政争から遠ざかりつつ本の虫になるTS転生者 作:暁刀魚
官吏の
自分には才能がある。
幼く齢六つにして読み書きを習得し、十になるころには中原における知恵者の教典とも言える『
そんな西方弦は、朝廷に仕えての栄達を望んで科挙を受け──落ちた。
かれこれ二十年ほど科挙に落ち続け、一向に芽が出ず西方弦は挫折。
しかしそんな折、かの女帝崔皇后が一芸に秀でる人物を求める触れを出した。
女帝の触れを見た西方弦は一念発起、彼は女帝にたいして自身をこの様に紹介する文を出した。
超絶イケメンにしておしゃべり仙人、めちゃくちゃ天才超々凄い(意訳)。
自身をそれはもうとんでもなく褒めまくったのだ。
これが偶然にも崔皇后の目に入り、偶然にも西方弦は皇后の側で助言を送る官職を手に入れたのだ。
かれこれ、今から十年と少し前の頃である。
そんな西方弦も齢五十も半ばに差し掛かった老境の身。
宮中にあっては皇后にもっとも近しい立場であり、宴席の場に置いては誰よりも早くに料理を口にすることを許される。
才能豊かなものには寛大であるが、そうでないもの、あるいは自身に敵対するものは容赦なく処断する苛烈な女帝の側で彼女の執政の大半を一度も罰されることなく見届けてきた。
おそらく、自分はこの国の政治を動かしている。
そういう自負のもと、天才西方弦は生きてきた、のだが……最近、気付いてしまったのだ。
――自分、ぜんぜんこの国動かせてなくね?
確かに西方弦は女帝に諫言することを許され、女帝はそれに対して寛大な態度を見せる。
他の者が諫言を行えば、下手をすると死罪までありえるというのに。
それを西方弦は自分の有能さ故と思っていたのだが、これまでの女帝の政治を鑑みると自分の考えはほとんど反映されていないような気がするのだ。
基本的に女帝は
宴席となればそれは豪勢に、大々的に行うのだ。
これまで何度となくそれを西方弦は諫言してきたが、よくよく考えたら一度も改められたことはない。
宴席の場になるとすぐに酒を飲んで酔っ払い、酩酊状態になるから全然気付かなかった。
なお、女帝が奢侈を好むのは、自身の権勢を知らしめるためである。
垂簾聴政を行う女帝の権力は確かなものだが、帝を蔑ろにする様子への反感は大きい。
それを黙らせるために、権勢を誇れるところで誇っているだけで、何も女帝はやりたくて奢侈をしているわけではないのだ。
加えて、宴席における西方弦の役割は毒見である。
――この西方弦という男、決して知恵が回らないわけではない。
事実、幼い頃から勉学に励み、『方書』を始めとした書物の知識は豊富である。
何よりも、とにかく弁舌に優れているのだ。
西方弦が口を開けば、途端に周囲の人々は笑いに包まれる。
かの女帝が笑みを見せるのは、西方弦が口を開いた時か、幼帝である安延が聡明さを発揮した時、あるいは某司籍のやらかしを端から聞いているときだけだ。
ただこの男、甚だ思い込みが激しく、自身を「煌」の国が中原統一を成し遂げた原動力とも言える名宰相、”
それ故に女帝が自身を側に置いたことで、自分の立場を勘違いしたのだ。
実際の西方弦の役割は道化、その弁舌で女帝を楽しませることを目的として雇われたのだった。
で、齢五十を超えた今になって、ようやくそれに気づきかけてしまったのが、現在の西方弦。
故に西方弦は、ある時思い切って女帝に問いかけてみた。
自分はもしかして、道化として雇われているのですか? ――と。
対する女帝の返答はこうだ。
「貴方は長く私の郎官として側に仕え、私を支えてくれましたわ。それでよいのではないですか?」
そっかぁ。
西方弦は納得した。
とはいえ、衰えてもなお西方弦は自身の研鑽を怠らない。
何しろ主である崔皇后は、今も賢明にして聡明、女帝としての権勢を衰えることなく奮っているのだから。
西方弦が仕えたばかりの崔皇后は、若年であり下手をすると二十という齢とは思えないほどの幼さが残る美貌を誇りながら、苛烈極まりない政治を行っていた。
そもそもその頃は、まだ完全に皇后が実権を掌握していない時代。
歯向かう他の后や重臣をことごとく排し、崔家の人間を要職につけ足場を固めていた。
もともと、崔家は建国の功臣であり、太宗李悠安の后は崔昭宇の妹であり、「煌」の国に置いても最高位の家格を誇る。
そんな外戚の力を用いて、崔皇后は実権を掌握していったのである。
その頃と比べて、崔皇太后も老けた。
顔のシワも目立つようになり、四十という今の崔皇太后の齢を西方弦が感じるようになることもしばしば。
時間の流れを、西方弦は感じざるを得ない。
しかしだからこそ、一層の努力が求められるわけで。
これからも精進しなければならない、という話を崔皇太后にしたら受けた。
普通老けたなんて面と向かって言われたら女性は激怒するのではないか、と思うが皇太后は怒らないのだ。
西方弦には与り知らぬことだが、崔皇太后は老けない。
妖怪女帝ロリオババなのだ。
今も入内当時の若さを誇っており、だからこそ違和感を持たれないよう老けメイクをしている。
そしてそれが、何十年も仕えてきた西方弦の目もごまかせることが普通に嬉しいのだ。
現在崔皇太后が老けないことを知っているのは、主上と昭華だけである。
そして昭華は化粧したことない勢なので参考にならず、崔皇太后は自分で老けメイクをしているのだ。
なお崔皇太后は某司籍も自身の正体を知っていると思っているが、某司籍も化粧しない勢なので役にはたたない。
さて、西方弦の話だ。
西方弦にとって、自身の価値が最も高まる瞬間は、自身の弁舌で人が良い反応を見せる時だ。
笑う、驚く、感心する。
そういった感情を引き出すことが、西方弦の生きる活力となるのだ。
しかしここ最近、西方弦は行き詰まりを感じていた。
今も弁舌の切れは決して衰えてはいない。
むしろ、冴え渡っているとすら言える。
しかし同時に、冴え渡りすぎているのだ。
弁舌の技術を高めすぎた彼は、自身の弁舌でどのように相手が反応するかも理解できるようになってしまっていた。
これでは、彼にとって弁舌は決まりきった結果を導くだけの儀式に過ぎない。
もっと弁舌とは、他者だけでなく自分にとっても未知の結果をもたらすものでなければならないのだ。
エンタメはワクワクだ!
それこそが、西方弦の信条(意訳)であった。
だからこそ彼は、ここ最近崔皇太后が執心しているある人物に目をつけた。
その人物は、崔皇太后の覚えめでたく、また崔皇太后を常に驚かせているという。
崔皇太后を驚かせるというのは、凄まじい話しだ。
何しろ崔皇太后は何事にも動じない。
常に覇者の気風を宿し、何事にも帝として威風堂々と対処する。
入内してから二十年、崔皇太后は決してすべてを順風満帆にやってきたわけではない。
その地位は常に危うく、時には刺客さえ差し向けられた。
西方弦は自身の眼の前で、女帝が刃を喉元まで突きつけられたのを目撃したことがある。
しかしその時も、崔皇太后は一切動じることなく、言葉で刺客を圧倒してみせた。
最終的に昭華がなんとかしたが、あの時の舞台でもっとも恐ろしいと感じたのは刺客でも、それを容易に制圧した昭華でもなく、崔皇太后だった。
そんな崔皇太后を、驚愕とともに振り回すものがいるという。
果たして本当に、そんな人物がいるのか?
西方弦は訝しみながらも、その人物を探ってみようと決意した。
「あー、皇太后様の覚えがめでたい女官、か。無論、吾もそれは把握しておる」
最初に聞いてみたのは、やはり崔皇太后とも対等に話せる昭華だ。
宮中の事件に詳しく、また西方弦にとってももっとも気楽に言葉を交わせる官吏である。
他の官吏は西方弦をバカにしたり、からかったりと碌でもない連中ばかり。
その度に口八丁で黙らせているが、どちらにせよこういうことを問う相手ではない。
「しかし、その女官に関しては皇太后様から他者に明かさぬよう厳命されておる故。なにより、その女官自体が人に知られることを良しとする性格ではない」
が、昭華に断られてしまった。
とはいえ、別に西方弦はその女官に直接あって師事したいわけではない。
あくまで彼女から、現在西方弦が感じている行き詰まりを突破する着想が得られれればそれでいいのだ。
そう、持ち前の弁舌で回りくどい言い方をしながら語ると――
「……相変わらず勿体ぶって冗長なはずなのに面白いとかいう、わけわからん語りをしよるの汝。……まぁよいわかった。そういうことであれば、その女官に話くらいはしておこう」
何やら苦笑しながら、昭華は了承するのだった。
そして、数日後。
「
という答えが帰ってきた。
わからん。
つまり、わからないということだろうか。
わからん。
崔皇太后が目をつけた人間が、西方弦の悩みについて全く何も答えを持ち合わせていない、ということもないだろう。
必ず、その言葉には何かしらの意味があるはずだ。
だからこそ、西方弦は食い下がった。
きっとその女官の行動にこそ、真意が隠れているはず。
「ふうむ……ではそうじゃのう。ヤツは時折皇太后様と遊技をすることがあるのじゃが……」
えっ。
「あやつ……皇太后様に何度も叩きのめされて、その度に駒落ちをしてもらい、最終的に十枚落ちで皇太后様に勝利し全力で喜んでおったりしたのう。アレは吾も開いた口が閉まらなんだわ」
えっえっ。
「後そうじゃのう……主上と皇太后様にお送りする菓子のつまみ食いもよくしおるし……」
えっえっえっ。
「極めつけにあれじゃな、皇太后様との歓談中に居眠りしおったな、あやつ」
ええ――――――
西方弦はちょっと想像を遥かに超える傑物(極端に好意的な言い方)が出てきて、流石に引いた。
なお、某司籍はあくまで貴妃とのちょっとした戯れ程度にしか思っていない。
いや、それはそれであまりにも豪胆すぎるのだが。
なお、こいつ……もとい某司籍がそのようなことを平気でやらかす理由は、自分に価値があると思っていないからである。
自分はどうせ吹けば飛ぶような女官に過ぎず、朝廷が自身を不要だと判断したらとっとと逃げ出す構えの無敵メンタルで生きているだけだ。
それらの話を聞いた西方弦は、大いに迷った。
流石にそこまでの乱暴狼藉は西方弦とて実行に移せない。
もし仮にうっかりそういうことをしてしまったとしても、弁舌で切り抜ける自信は西方弦にはある。
しかし、自分からそういった行動を実行する勇気までは持ち合わせていない。
そもそも話を聞いているかぎり、その女官は完全に天然でそれをやらかしている。
わざと実行していないからこそ、崔皇太后は面白がっているのだろう。
西方弦はなんとか女官に勝る部分を探すべく、調査を続行した。
今度は宮中にいる様々な人物に、その女官を知らないか聞いてみたのだ。
たとえば、後宮に出入りする宦官。
あるいは、警備のために宮中を動き回る兵士。
大抵の人間は、その女官について知らなかった。
昭華も言っていたが、目立つことを好まない性質をしているらしく、人前に姿を見せることはほとんどないらしい。
中には西方弦の探している女官について知っている人間もいるかもしれないが、おそらく西方弦の情報からその女官を結びつけることが不可能だろう。
それくらい、周囲に自分の情報を明かしていないそうだ。
ただそれでも、多少なりとも情報はあった。
ある宦官が、後宮にそういった女官がいるという話しは聞かせてくれたのだ。
ただし、この宦官もその女官の方針をおもんばかってか、それ以上のことは教えてくれなかった。
しかし話の節々から、その女官を話をした宦官が高く評価していることが伺えたのである。
他にも、羽林軍の兵士にもその女官について知っているものがいた。
曰くその女官に絡まれた初な男性は、即座に脳が焼かれてしまうという。
初恋という感情を盗まれ、そのまま帰ってくることはないそうだ。
中には人生を狂わされるものもいるらしく、特に羽林軍の出世頭である男は、それはもう色々なものを粉々になるまですり潰されてしまったそうだ。
これらから言えることは、その女官がとにかく他者の感情を動かすことについて天賦の才を持つということ。
西方弦はとにかく相手を言いくるめることにおいて、抜きん出た才を持っている。
しかし、人の一生を捻じ曲げるようなことはできず、ただ話をしたその瞬間に相手から感情を引き出すことしかできないのだ。
それを女官は、まるで呼吸をするかのようにやってみせるのである。
深く知れば知るほど、沼にハマっていくかのような感覚を味わえるらしい。
――勝てない。
純粋に西方弦はそう感じてしまった。
それまで天才を自負し、誰にも負けない知恵と弁舌を有して他者の感情を動かすことにおいては天下一だと考えてきたが、世の中には上がいるものだ。
世の中、天然に養殖は勝てないものだ。
まぁ西方弦も別方面の天然物なのだが、少なくとも某司籍方向のやり方は西方弦には真似できない。
どうしたものか。
この女官のやり方を真似できれば、間違いなく西方弦は新たな境地にたどり着くことができる。
だが女官のそれは、あまりにもこれまで西方弦が積み重ねてきたものとは異なる類のものだ。
そんな時だった。
――西方弦は、外朝の人気が無い通路で、干からびた蛙みたいになっている薄くて細い女をみかけた。
「ぜひゅー! ぜひゅー! げほっ! げほっ!」
どうやら疲労で死にかけているらしい。
側には本がわんさかつまれた台車があり、それを持って移動するのに女は困っているらしかった。
――こいつだ。
直感的に理解する。
この女こそ、間違いなく西方弦が探し求めていた女帝の覚えめでたい女官。
そうであるという確証はどこにもないはずなの、魂で理解できてしまうくらいその女は変だった。
まず宮廷で女官が干からびているというのがわけが分からない。
地面にぶっ倒れて蛙みたいになっているし。
何より運んでいる荷物が明らかに疲労困憊になるような量じゃないのだ。
いくらなんでも非力で貧弱すぎるだろう、と。
とにかく目立つ様相である。
しかし本人もそれが解っているのか、人がほとんど通らない場所で倒れているのだ。
とにかく目立つが、目についた人間にしか印象を残さない。
逆に目についた人間は、一生脳裏にこの姿が焼き付いてしまうだろう。
そんな不思議な魅力というか、引力みたいなものを眼の前の女は放っていた。
故に思わず、西方弦も声をかけてしまう。
大丈夫か、と。
「はぁ、はぁ……だいじょば……ない……です」
本当に大丈夫じゃなさそうな反応を示しながら、なんとか起き上がる女官。
西方弦は懐に入れていた今朝の食事の残りを取り出すが、これは断られた。
なんかばっちぃ、と視線が雄弁に語っている。
――この女官、名を幽蘭というらしい。
聞けば普段は後宮で働いており、時折宮廷書庫と本の入れ替えを行うのだとか。
今回は普段手伝ってくれる後宮の女官の手が空いておらず、一人で運ぼうとした結果こうなったらしい。
思ったより普通の仕事をしているな、と内心西方弦は思った。
それからいくつか、西方弦は幽蘭に問う。
それは普段、幽蘭が何をしているか……だ。
後宮まで荷台を運ぶといったら、快く話してくれた。
といっても、話してくれた内容は当たり障りのないものである。
たとえば、普段はひがな一日本を読んでだらだら司籍をしている、とか。
字を教えるのも業務の一つと嘯いて、字をおしえている最中に本を読みながら過ごす、とか。
本人は語らなかったが、この雰囲気だと居眠りをしてサボっていることも多々だろう。
たとえば、後宮の妃に読み聞かせをしたり、遊技で一緒に遊んだり。
妃相手にも、全く怯むことなく接しているらしい。
女帝が言っていた通りの人物だ。
たとえば、休日に趣味で菓子を振る舞って、それを配ったりしているそうな。
そのために不遜にも苑の厨房を借りるというのだから、豪胆極まりない。
無論、その分は妃や女帝に甘味という形で還元されるのだろうが、それにしても奔放な女官だ。
ただ、そんな色々な業務より何より、恐ろしいのはこの女官が自分の意志を優先しながら宮中を渡り歩いていること。
それを成すだけの力が本人にあるのだろうが、それにしても恐ろしいという他ない。
何をどうすれば、そんな豪胆になれるのだ?
西方弦は、少し持って回った言い方をしながら、もしそれで他者からの不興を買ったらどうするのか。
朝廷にいられなくなったらどうするのか、と問う。
それに幽蘭は少し考えてから――
「とっとと朝廷をさりますね。その後は、山の中でひっそりと隠棲でもしましょうか。どこでも、私の生き方はきっと変わりませんよ」
と、言った。
――――それは、ある意味で究極の理想だ。
かつて、荊雍戦争にて活躍し雍の国を打ち立てるのに貢献した名軍師は、国が興った後は隠棲し悠々自適の仙人のような暮らしをしたという。
そういう人物になりたいと、西方弦も願ったりしたものだ。
それを幽蘭は、宮廷にいながら実践している。
権謀術数渦巻く朝廷の中を、まるで雲のように、仙人のように渡り歩くこの少女は西方弦が目指す一つの極地を体現しているのだ。
ああこれは――とんでもないな。
後宮まで幽蘭を送り届け、別れた時。
素直に西方弦はそう思うのだった。
――さて、困ってしまうのはその後の西方弦だ。
幽蘭については解った。
彼女ならば崔皇太后を自分に並ぶ、あるいはそれ以上に面白がらせることができるだろう。
弁舌の才では遠く及ばないが、その一挙手一投足が自分に並びうるド天然のアレなのだ。
こんな変人、他にいようはずもないし真似できるはずもない。
しかし西方弦がより高みに登るには、彼女のあり方を取り入れる他ないのだ。
であればどのようにすればいい?
どうすれば、彼女と同じ境地にたどり着ける?
結論は最初から決まっていた。
結論は
ある意味でそれは、昭華を通して西方弦に幽蘭が答えた内容と同じ。
幽蘭の極地に答えなどない。
本人にすらわからないのだから、西方弦が考えてわかるものでもないだろう。
そもそも彼女のそれは、考えるものではなく感じるものだ。
であればこそ、西方弦ができることは一つしかなかった。
すなわち、
――
以降、西方弦は女官の衣服を身にまとうようになった。
幽蘭になりきろうとしたのだ。
無論、幽蘭はそういった真似事を嫌うだろう。
故に髪色を染めたりしてはいない。
ただ心のなかで己は幽蘭なのだと信じ、そして行動するようにしただけだ。
正直、それが功を奏したのかは西方弦でもよくわからない。
しかし女装して以来、周囲が度肝を抜かれ西方弦の弁舌の想定を超える反応を見せることも増えた。
本気で昭華が男装を辞めるか検討したり、崔皇太后が西方弦に休暇を勧めたり。
そういった変化を、西方弦は好ましく思う。
未だ高みは遥か遠く、答えは結局
ああしかし、西方弦の心は晴れやかだった。
女の衣を身にまとう背徳感と、新たな自分をさらけ出すことのできた開放感。
それがどうしようもなく心地よかったのだ。
かくしてここに、中原きっての奇人「西方弦」は誕生した。
後の世に、仙人の類ではないかとささやかれ、ちょっとした神格化を受ける男の、”完成”の瞬間である――
今回の話には明確に元ネタがいます。
割と元ネタのエピソードを拾ってるので、分かる人はわかると思います。
すごい人ですよね。
女装はまぁオリジナルなんですが……
お読みいただきありがとうございます。
もし本作を面白いと思っていただけましたら、応援いただけますと幸いです。
特に高評価は非常にお手軽で効果的な方法です。
↓の評価から、何卒よろしくお願いいたします。